廃核の海 〜魔族アバターのまま現実世界に放り出された俺と不思議な美少女の物語〜   作:織雪ジッタ

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ゲームの中のキャラクターの姿のままログアウト後の世界に出てきてしまったショウ。
ゲーム運営を名乗る男達の言うまま施設へ。


そこは脳内携帯とも言える『インプル』も全く使えない閉ざされた空間だった。


ついに施設の男達と戦闘に入ったアナトとショウ。


二人の圧倒的な力の前に男達はなすすべも無く消え去り、いよいよ地下10階へ潜入した。


13話 魔法ゼロの肉弾戦 ― 俺VS機械人形フクスケ

大音量のハウリングで平衡感覚が奪われた二人は立っていられない程にめまいがした。

 

 

ショウ「うわ、気持ち悪い。。」

 

 

激しく乗り物に酔った時の様な感覚の後、次は目が焼けるような感覚に襲われる。

 

 

ショウ「アナト!なんだコレ!?目が焼ける様に熱い!!」

 

 

アナト「マイクロ波だ!目を閉じろ!目が沸騰するぞ!」

 

 

驚いて急いで必死に目を閉じて両手で目を隠すショウ。

 

 

アナトの方はというと、白目の部分が黒く染まり、瞳を透明の膜が覆っている。

 

 

どうやら目を開けていても大丈夫な様だがこの音のせいでかなり苦しそうだ。

 

 

とっさにショウのローブを掴んで次の部屋に転がり込んだ。

 

 

しかし、その途端床が抜けて数メートル下に落ちた。

 

 

ショウ「うわぁぁぁぁ!」

 

 

アナト「チィッ!」

 

 

人の身ならこれだけでも致死に値する高さだ。

 

 

目に見えていないショウはそのままドサリと地面に叩きつけられたがアナトはふわりと着地した。

 

 

すると、天井が何重にも閉じられて今度は真っ暗になってしまった。

 

 

ショウ「ビックリしたぁー!!」

 

 

ショウ「な、なんだこれ?何も見えないぞ?アナトいるか?」

 

 

アナト「あぁ、ここにいる。私は夜目が効く。お前は自分の光は認識できるか?」

 

 

ショウは自身の目の光と頭の上のハンドルネームの明かりでようやくうっすら自分の手やアナトの姿が伺える事を確認した。

 

 

ショウ「何とか目は潰れてないようだ。ありがとう危なかったよ。アナトは目は大丈夫だったのか?」

 

 

アナト「そうか。私は目も防御出来る。問題ない。」

 

 

ショウ「良かった。。」

 

 

ショウ:今、さらっとスゲーこと言ったな。。。目って防御できるものなんだ。。。

 

 

アナト「それにしても、さきっの音には参ったな。三半規管が潰れる所だった。」

 

 

ショウ「うん。まだクラクラしてる。」

 

 

アナト「立てるか?」

 

 

ショウは立ち上がると「うん。なんともなさそうだ。」と答えた。

 

 

アナト「マイクロ波にはやられなかった様だな。」

 

 

そしてアナトもすくっと立ち上がった。

 

 

しかしその時、ショウはすぐ自分の異変に気がついた。

 

 

ショウ「あれ?コントロールパネルが出ないぞ?」

 

 

アナト「?。。なんだそれは?」

 

 

ショウ「ちょっと待って、来る時かけてきた防御魔法も外れてるぞ。。?」

 

 

 

 

 

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

施設内、とある部屋にて

 

 

その部屋は薄暗く壁一面にモニターがあり、各階の様子を一度に見渡せる様になっていた。

 

 

中央のモニターはひときわ大きく、他のモニターで特に見たい画面を中央のモニターに映し出せる様になっている。

 

 

正面に3つの席があり、3人の黒い服の男達がそれらを操作している様だ。

 

 

その3人の後方に大きなデスクがあり、そこにショウの担当医を名乗ったあの金森が座って、じっとモニターを見つめている。

 

 

中央に映し出されているのは暗闇に閉じ込められたショウとアナト。

 

 

二人の様子を赤外線カメラで捉えた様子だった。

 

 

金森「あのもう一人の女。あれは検体ではないようだか適合者で間違いなさそうだな。ランクはいくつだ?」

 

 

金森がそう問いかけると男の一人が

 

 

「これは。。SSの模様です!」

 

 

金森「SSSランクの検体にSSランクの未確認適合者か。。」

 

 

そう呟くとニヤリとし

 

 

金森「素晴らしい。。イ特がここを嗅ぎつける前に危険を侵してでもサンプルを入手するぞ!インプルアプリの強制停止をかけてナノマシーンウイルスで部屋を満たせ!」

 

 

男達「インプルアプリ強制停止を確認。ナノマシーンウイルス注入開始。」

 

 

金森「ウイルス注入後、キラーボードを投下!切り刻んでやれ。」

 

 

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

ショウ「物理攻撃無効!プロテクト!マジックウォール!」

 

 

詠唱ポーズを取っても魔法が発動しない。

 

 

ショウ「ダメだ。。魔法が打てないしコンパネが開けないから道具とかも無理だ。。」

 

 

ショウ:それでもこの姿は変わらないのか。。

 

 

アナト「??おい!何か空気がおかしい。。息をするな!」

 

 

ショウ「え?あ。。。なんか頭がボーッとする。。風邪をひいたみたいな??」

 

 

アナト「力が半減しているのが分かる。。何か見えない攻撃を仕掛けられているぞ」

 

 

ショウ「そう言えばコチンダさんが古(いにしえ)の何とかが、何とかで、それで地下10階は力が制限されるとか言ってたな。。」

 

 

アナト「そう言うのは先に言え!」

 

 

いつになくゆとりがなさそうなアナトは天井に向けて雷撃を放った。

 

 

しかし、やはり威力が先程の半分も出ていない。

 

 

分厚い金属質の天井はびくともしなかった。

 

 

そこにチェーンソーの様に刃物が回る円盤状の飛行物体が数機、火花を散らしながら壁の小さな隙間からショウ達の落ちたスペースに入って来た。

 

 

アナトは夜目の効かないショウの為に自ら光を放って部屋を照らす。

 

 

するとそれは10機の編隊で今にもこちらに襲いかかりそうな雰囲気で宙を舞っていた。

 

 

アナトの光に照らされて、ようやくそれらに気付いたショウが後退りする。

 

 

ショウ「うわ。。!何だあれ!?」

 

 

そして間もなく、その中の1機がアナトの頰をかすめて飛んで来た。

 

 

アナトの頰に血が滲む。

 

 

アナト「!!傷がついた。。。これは。。?細胞壁の防御が弱まっているのか?」

 

 

そしてまた、別の数機が今度はショウを襲う。

 

 

ショウも何とかかわすが腕をかすってしまった。

 

 

ショウ「痛って!これまともに食らったらヤバイぞ!アナト!」

 

 

アナトはキッとその飛行物体(キラーボード)を睨むと3機が消え去った。

 

 

アナト「もう3機!」

 

 

再びアナトが仕掛けたが次は2機しか消えなかった。

 

 

アナトはさらにもう一度消し去ろうと試みたが、もう消すことは出来なかった。

 

 

アナト「っ!限界か。。」

 

 

数は減ったもののまだ残り半分の5機が二人に一斉に襲いかかった。

 

 

二人もよくかわしているが徐々にキズが増えていく。。

 

 

アナト「おのれ!これならどうた!?」

 

 

すると、アナトの体からの赤い色のオーラがみなぎる。。

 

 

次にアナトに向かう1機を睨みつけた瞬間、アナトのおでこのあたりに光が迸(ほとばし)り、その1機が大爆発を起こした。

 

 

すると、巻き込まれて近くにあったもう1機も爆発したが、近すぎてアナトやショウにも爆風と衝撃波が来る。

 

 

ショウ「うわ!痛て!!!アチチチチ!!」

 

 

ショウ「おい、アナト何だ今のは!?一緒に殺す気かよ!?」

 

 

アナト「やはりここではこれは使えないか。。今のはかえってこちらがダメージを受けた。」

 

 

尚も3機が襲いかかる。

 

 

その時だった。

 

 

ショウの首元を目掛けて1機のキラーボードがもう避けられない所まで迫って来る。

 

 

ショウ「うわっダメだ!よけれない!」

 

 

ダメだと思ったその瞬間、ショウの硬化能力が戻り、ショウの首の皮膚はキラーボードの攻撃を弾き返した。

 

 

アナト「!」

 

 

ショウ「アナト、さっきのアナトの爆発でなんか力が戻ったみたいだ。」

 

 

ショウ「反撃開始だな!」

 

 

アナトは熱っぽい表情で起き上がれないまま

 

 

アナト「ふん、上出来だ。。」

 

 

と呟くと少し微笑んだ。

 

 

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

一方金森は

 

 

金森「何だ今のは?ウイルスが吹き飛んでしまったぞ!?」

 

 

左の男「ガンマ線を検知しました。恐らく極小規模の核融合が起こったかと」

 

 

金森「あの光。。まさかエンキ博士の仰っていたあの力か。。?とにかくデータをリアルタイムで本区へ送れ!インプルアプリの制御システムはまだ効いているか?」

 

 

右の男「はい。損傷は見られますが大丈夫です。」

 

 

金森「女の方はウイルスが効いている様だ。検体が手に負えないときはファーストアドベンチャーのアプリを強制アンインストールさせろ!」

 

 

右の男「はっ!」

 

 

金森「ギリギリまでもっとデータを収集するぞ。肉片でも組織さえあれば持ち帰ればいい。さあ、『機械人形』を出せ!」

 

 

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

残り2機のキラーボードがアナトとショウに1機ずつ攻撃を仕掛けて来た。

 

 

しかし、アナトは動けない。

 

 

ショウ「アナト!」

 

 

ショウは自分に向かってきているキラーボードは無視してアナトに迫るキラーボードに飛び込んで叩き落とした。

 

 

アナトに迫るキラーボードは砕け散ったがもう一方のキラーボードがショウの背中に当たり、ガリガリと音と火花を上げながらショウの背中に食い込む。

 

 

ショウ「効かねえよ!」

 

 

と、ショウは振り向きざまに腕で最後のキラーボードを粉砕した。

 

 

ガラガラと部品が散乱し、落ちたキラーボードの動きが完全に止まるのを見てからショウはアナトに駆け寄りるとアナトの額に手を充てる。

 

 

ショウ「熱だ。。」

 

 

息苦しそうにしながらアナトは

 

 

アナト「他守、お前は何ともないのか?」

 

 

と聞いた。

 

 

ショウ「あ、あぁ。アナトがあの凄い爆発をやってから治った。」

 

 

アナト「そうか。。私はまだ動けない。お前の魔法とやらはまだ使えないのか?」

 

 

ショウ「そっちはまだ。。使えないみたいだ。。」

 

 

ショウが答えたその時だった。

 

 

壁の一つに四角い大きな穴が現れて中から3メートルはあろうかという機械人形が現れた。

 

 

ロボットというよりは機械人形である。

 

 

その風貌は機械仕掛けのギミックが露出したカラクリ人形と化学兵器が融合したようだった。

 

 

その身体には、生物と機械が混ざりあった様な関節部分と筋肉、突き出た首の先に不自然についた福助人形のような朗(ほが)らかな『面』といった風である。

 

 

その『面』は、あたかも意識のある頭部であるかの様に見えた。

 

 

そしてその機械人形は何かをブツブツと呟きながら始動し始める。

 

 

機械人形「フクスケ。。フクスケ。。」

 

 

かん高い声と低い声が混ざった様な、そんな声を発しながら暗闇に浮かび上がる福助の『面』とそれを支える体が壁の穴から出てくる。

 

 

そして次第にアナトの光に当てられてその全貌を二人の前に現す。

 

 

機械人形は叫びながらショウの方を向き、その伸縮する腕を振り上げた。

 

 

機械人形「フクスケー!!!」

 

 

と、勢いよくその重そうな拳(こぶし)をショウ達にめがけて振り下ろす!

 

 

ショウ:くそ!逃げたらアナトが殺られる。。

 

 

避けることもできずに、ゴーン!!という重い金属音と共にその拳(こぶし)はショウに衝突した。

 

 

ショウは受け止めようと両手を前に構えたがそのままのポーズで床に腰までめり込んでしまった。

 

 

ショウ「くっはっ」

 

 

受け止め切れず頭にもダメージが来てショウの意識はもうろうとした。

 

 

そこにもう一発、今度は反対の腕を振り回して再びショウに振り下ろした。

 

 

また、ゴーン!!という金属音がして今度はショウの胸元まで床にめりこんだ。

 

 

それでもショウはその機械人形の腕を掴んでめり込んた体を軸にその機械人形の巨体を投げ飛ばした。

 

 

ショウ「うおおおおおおおお!!」

 

 

ドーン!!という轟音と共に機械人形は元きた穴とは反対側の壁に投げつけられてその壁が大きく崩れた。

 

 

倒れこんだ機械人形だったが、すぐに亀の様に首が伸びて『面』がこちらを向く。

 

 

機械人形「フクスケ。。フクスケ。。フグスゲー!!」

 

 

と、叫びながら今度はよつ這いになって、爬虫類のような動きでショウに突っ込んできた。

 

 

ショウは床に突き刺さったままそれにぶつかると、ショウがブレーキになって床を引き裂きながら機械人形の突進を止めた。

 

 

そして、「これならどうだーーーああああ!!」

 

 

と、下から機械人形の腹部に向かって思い切り飛び上がる。

 

 

ドン!!!

 

何かが爆発したような重い音が鳴り響く。

 

それと同時に重そうな機械人形の腹を撃ち抜き、その巨体を浮かばせるほどの衝撃を与えた。

 

 

そして機械の背中に突き抜けて天井近くまで飛び上がったショウはアナトの横に静かに着地した。

 

 

機械人形は「ブグズゲーー!!!」

 

 

とのたうち回っている。

 

 

そして機械人形の『面』から涙がこぼれ落ち

 

 

機械人形「ユルザナイ。。ユルザナイ。。。」

 

 

と、ショウを睨みつけた。

 

 

見つめ合う次の瞬間

 

 

機械人形「オレにデンとまかせておけー」

 

 

と、機械人形の声が低い声に変わり同時に「デン助人形」の様な顔に『面』が入れ替わった。

 

 

機械人形「オレにデンとまかせておけー」

 

 

と言いながら長く首を伸ばして振り回して来た。

 

 

周りの壁をところ構わず破壊しながらショウに近づいてくる。 

 

 

ショウ「む、無茶苦茶だ。。!」

 

 

しかし、大量の瓦礫ボコリを舞い上げて自分の視界が悪くなると、今度は急に動きを止めて

 

 

機械人形「なんだ?チクショウめ?見えねえぞ?」

 

 

と、ショウを探し始める。

 

 

それからホコリの中からぬっと顔を出して機械人形はショウの顔の間近で顔を止める。

 

 

機械人形「見つけたぞコノヤロウ」

 

 

機械人形「オレにデンと。。。」

 

 

ホコリの中では、体中からカマキリの鎌の様な金属質な足を無数に出した。

 

 

機械人形「まかせとけ!!!」

 

 

その無数の足を一斉にショウ目掛けて突き立てて来た。

 

 

ガスガスガス!!!

 

 

鋭利なその爪が次々にショウに突き立ててられる。

 

 

ショウ「ぐわぁぁぁぁ!」

 

 

流石のショウの硬化された肉体も耐えきれず機械人形の爪が食い込む。

 

 

機械人形「やっと捕まえたぞチクショウ」

 

 

ショウを固定した機械人形は、その中年オヤジ様な目玉のギョロリとさせて、古びた『面』をユラユラ揺らしながら無数に生えた残りの鎌の様な足を床にリズムカルに打ち付けながら、まるで踊るかの如く次々にショウに向けて代わる代わる所狭しと突き刺してきた。

 

 

ショウは襲い来るその爪の奥で叫びながら耐えていた。

 

 

その光景を横たわったまま見ながらアナトは

 

 

アナト:苦戦しているな。。。ある程度能力を回復したとは言えまだ完全では無い様だ。。私もまだ動けない。。万事休すか。。

 

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