廃核の海 〜魔族アバターのまま現実世界に放り出された俺と不思議な美少女の物語〜   作:織雪ジッタ

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決戦
1話 ツワモノ達


81区27番地

 

そこは今や大半が海に沈んでいた。

 

かつての面影は見る影もなく、ただ波に漂う瓦礫が虚しく揺れ動いていた。

 

そんな中、MNOの一角は辛くもその惨劇から免れていた。

 

バアルのはっていた『結界』が秘密基地の周辺を守っていたのだ。

 

とは言え、外壁の崩れた街は人の住める場所ではない。

 

あたりは閑散としていた。

 

 

 

MNO イシュタラ秘密基地 会議室

 

そこには、竹田氏が亡くなって今は6人となった西の各番地の長達と、バアルやアナトなどイシュタラの重鎮たち、それにこの会議の為に戻ってきた剛本、それに同行したエアバニー、そしてコマチンの姿があった。

 

そこに、ショウとミネルバも加わってこれまでの経緯を話した。

 

バアル「なるほど、それで結局アヌはどうなったのですか?」

 

ショウ「前後の記憶がなくて何とも。。。」

 

バアル「そうか。。。」

 

アナト「天子様の話では、気配は消えていない、と仰せでした。」

 

コマチン「このまま終わりってことはないと思う。またあの変な人形を使って襲ってくるかもしれないわ。」

 

ショウ「それってあの爺ちゃんの形見のくるみ割り人形のこと?」

 

コマチン「うん。ずっと昔にも人形を使って襲って来たことがある。きっとあの人形と同じものだと思う。すっごく強いよ。」

 

ショウ「それは気が抜けないな。。。」

 

バアル「ふむ、私は近い内に向こうから仕掛けてくると思う。おそらく調印式の日か、その前に。」

 

バアル「81区を中心とした人間達とイシュタラとの和平がなれば彼らにとっては非常にマイナスだ。妨害してくると思っていた方がいい。」

 

アナト「向こうは人間とイシュタラで潰し合ってくれればまさに漁夫(ぎょふ)の利ですからね。」

 

ショウ「ギョフってなんだよ?」

 

アナト「。。。」

 

ショウ:視線が痛い。。。

 

ここでイシュタラ側の一人の女性が口を開く。

 

「バアル、イシュタラを装って人間の高官を殺害でもされたら厄介よ。何か手を打った方が。。。」

 

もう一人のイシュタラ側の女性も同調する。

 

「それに、外海の魔神もこの和平に全員納得している訳では無い。それもナム君の説得次第だ。我々は今、非常に脆(もろ)い。」

 

バアル「先生のおっしゃる通りです。」

 

ショウは、この会話に違和感を覚えた。

 

このイシュタラの二人は国の王子であるバアルにあまり敬意を払っていない。

 

それどころかバアルの方が少し気を使っているみたいだ。

 

ショウ「あの、先生って?お二人はどういった方なんでしょうか?」

 

バアル「あぁ、紹介していなかったね。お二人は、母の学生時代のご友人と先生だ。」

 

ショウ「え!?イシュタル樣って学校行ってたんですか?」

 

バアル「もちろん、母上も元は普通の人間だったんだからね。だから彼女たちは母様の臣下という訳ではないんだよ。」

 

「よろしく、私はナズィよ。イシュタルとは同級生だったわ。もう随分(ずいぶん)とむかしの話だけどね。」

 

「よろしく、私は元イシュタル達の部活の顧問をしていたテミスよ。今ではイシュタラの国と外海の魔神達とのパイプ役をしているわ。まあ、ヤム君のお手伝いね。」

 

ショウ「ヤ、ヤム君って。。。あの?神殿議会長のですか。。。?」

 

テミス「そうよ。彼、気難しいでしょ?でも、根はいい子なのよ。」

 

テミスはそういうとニコリと微笑む。

 

ショウ「は、はぁ。。。そう、なんですかね?」

 

ショウ:ていうか、この人たち一体何歳なんだろ。。?あのヤムをまるで子供みたいに。。。

 

あっけに取られているショウにアナトは耳打ちする。

 

アナト「お二人は母とわたしたち兄妹(きょうだい)の恩人でもある。粗相のないようにな。」

 

アナトは意地の悪い笑みを浮かべている。

 

ショウ「何だよ。。。子供扱いするなよ?」

 

アナト「フフン、見た目もすっかり可愛らしくなってまるで子供ではないか。」

 

ショウ「言うなよ!コンプレックスなんだぞ?」

 

ショウの反応を見て何だか嬉しそうにしているアナトを見てバアルが仲裁に入る。

 

バアル「アナト、まぁそのぐらいにして、本題に入るとしよう。」

 

アナト「はい、兄様!」

 

ショウ:なーにが「はい、兄様!」だよ。。。ホント、バアルには素直だよなぁ。。

 

剛本「それで、具体的にどう対策を取ればいいと思う?」

 

バアル「イ特と人型(ひとがた)のイシュタラで要人と主要カプセルの警護にあたりたい。」

 

エアバニー「分かりました。必要な人数を手配します。が、その『くるみ割り人形』ってのはどのぐらいの強さなんですか?敵の戦力や規模も共有願いたいです。」

 

コマチン「アレは強いよ。アナトやバアルよりずっと強い。」

 

エアバニー「まさかそんなに。。。それではうちの隊じゃいてもいなくても同じになっちまいますよ。。。」

 

コマチン「いえ、アチシはテレポートができるので出現の通知を受けたら主力メンバーを連れて駆けつけるので、交戦は考えずに偵察のみを任務にしてほしい。」

 

コマチン「『くるみ割り人形』が特にヤバイのと、後はエンキ、エンリルも覚醒者よ。」

 

コマチン「エンリルが復活しているかも『くるみ割り人形』と連携しているかも分からないわ。」

 

コマチン「でも、アヌはあの時エンリルの居場所を見つけたと言っていたわ。生きているのなら必ず復活させてもう奴らの拠点、83区で合流しているはずよ。」

 

エアバニー「なるほど。。。分かりました。」

 

エアバニー:となると、敵はもはやエンキの傀儡となっている83区全体か。。。

 

エアバニーは周りを見渡した。

 

ショウ、ミネルバ、アナト、バアル、そして剛本。

 

彼らはみな強者だ。

 

何もしていなくとも、とてつもない力を感じる。

 

そしてなにより、この小さな猫耳の女の子、コマチンからもそれは感じていた。

 

ショウと同じか、それ以上の。

 

エアバニー:たしかコマチンだっけ。あの言葉を話す猫と小町が融合して生まれた少女か。見た目によらずとんでもない強さなのはビリビリ感じる。

 

エアバニー:本当に化け物揃いだな。。。これ程の連中がこんなに警戒するって一体どんだけなんだ?考えただけで身震いするよ。全く。

 

ため息しか出ないエアバニーであった。

 

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