廃核の海 〜魔族アバターのまま現実世界に放り出された俺と不思議な美少女の物語〜   作:織雪ジッタ

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2話 証言

バアル「イ特からも何か情報提供があるらしいね。」

 

エアバニー「ええ、我々が踏み込んだ現ニンナズ社、旧サークルアンデッド社の施設で保護した施設職員を呼んでいます。ここへ呼んでも宜しいでしょうか?」

 

バアル「もちろんだ。他の方々も宜しいですか?」

 

西部6番地の6人の長の一人「我々も異論ありません。」

 

エアバニー「ありがとうございます。それでは東風平(コチンダ)君、入り給え。」

 

ショウはハッとする。

 

ショウ:え?コチンダさん?

 

スライド式の自動扉が開くと見覚えのある一人の女性が立っていた。

 

東風平(コチンダ)「失礼します。」

 

東風平(コチンダ)は一礼すると会議室に入ってきた。

 

ショウはそれを見ると急にソワソワし始める。

 

サークルアンデッドの施設にて自らの危険をかえりみずにショウに危険を知らせてくれた看護婦さんの東風平(コチンダ)。

 

そんな彼女を逃がす為にショウは転移魔法「ディメンション2」で施設の外まで転送したがその後の消息が分からなかったのでずっと気にしていたのだ。

 

ショウ:本当にコチンダさんだ!

 

ショウ「コチンダさん!良かった。。。無事だったんですね。」

 

思わず声をかけてしまう。

 

東風平(コチンダ)「えっと。。。あなたは?」

 

東風平(コチンダ)は見た目の変わってしまったショウに気が付かない。

 

ショウ「あ、他守です!あの、ファーストアドベンチャー18のキャラクターになってしまってた。。。あなたに金森の事を警告してもらった。。。」

 

東風平(コチンダ)「あ!あの他守さん?ですか?元の姿に戻られたんですね。」

 

ショウ「はい!そうです!他守です!よくご無事で。。。」

 

東風平(コチンダ)「あの時はありがとうございました。他守さんが逃がしてくれていなければ、あの大爆発に巻き込まれて死んでいたと思います。」

 

東風平(コチンダ)は深々と頭を下げる。

 

ショウ「いえ、そんな。。。こちらこそ危険を知らせてもらって命拾いしました。ほんとに頭を上げて下さい。」

 

ショウ:ていうか、その大爆発って俺がやったやつだよな。。。

 

バアル「なるほど、二人は面識があるんですね。」

 

ショウ「はい。あのサークルアンデッドの施設で危険を知らせてくれて、逃げるように言ってくれたんです。」

 

ショウ:まぁ、アナトがその後せっかくコチンダさんがしてくれた警告を無視して突き進んじゃったんだけど。。

 

ショウ「でも、僕を逃がしたら東風平(コチンダ)さんの立場が悪くなってしまうと思って、それで魔法でコチンダさんを施設の外に飛ばしたんです。」

 

エアバニー「なるほど、それで一人だけ他守君の魔法で転送されて外に逃れてきたのか。」

 

バアル「ふむ、それで?ここに呼ばれたからには何か話すことがあるんですよね?」

 

東風平(コチンダ)「はい。私はあの施設の責任者、金森の下で長く働いていました。。。」

 

バアル「知っていることを話してもらえますか?」

 

東風平(コチンダ)「。。。はい。」

 

そうして東風平(コチンダ)は語り始める。

 

東風平(コチンダ)「はじめに、私は旧47番地の出身です。知っての通り現在は83区に編入されて今や人権の存在しない植民地カプセルです。」

 

皆の表情に少し驚きが見える。

 

東風平(コチンダ)「そんな私たちのカプセルでは公然とナノマシーンの実験が行われています。そして適合できない人達は全て殺されています。」

 

6人の長の一人「やはり。。。そうなったか。」

 

東風平(コチンダ)「私は、たまたま適合できたので生かされて逆に人体実験をする手伝いをさせられていました。」

 

ショウ:コチンダさん。。。なんて辛い過去を持ってるんだ。。。

 

ショウの心に言いようのない怒りとジレンマが湧き出してきた。

 

東風平(コチンダ)の話は続く。

 

東風平(コチンダ)「金森をはじめ、多くのサークルアンデッドの職員は81区民ではありません。戸籍を偽装した83区民です。」

 

ショウ「え?」

 

東風平(コチンダ)「知っての通りサークルアンデッドを買収したニンナズ社も旧サークルアンデッド社も83区の企業です。」

 

東風平(コチンダ)「83区民の彼らはメディアや教育機関による根拠のないデタラメな洗脳を生まれたときから受けています。だから当然の様にほとんどの人が81区を強く嫌っていました。」

 

東風平(コチンダ)「そして、そんな嘘で塗り固めた洗脳活動を支援していたのもニンナズ社やサークルアンデッド社です。」

 

東風平(コチンダ)「そして、彼らはこの81区を巨大な人体実験場にしようと目論(もくろ)んでいました。他守さんもその被害者です。」

 

ショウ「。。。いえ、むしろ被害者はコチンダさんですよ。」

 

東風平(コチンダ)「どうして、ですか?」

 

ショウ「いえ、先に話をして下さい。」

 

東風平(コチンダ)はうなずく。

 

東風平(コチンダ)「彼らは悪の根源である81区には何をしても許される。そう教え込まれた人達です。都合の悪いことは全て81区のせいにして自分たちは非道の限りをつくしていました。」

 

東風平(コチンダ)「実際に私達の生まれた47番地の人々はそんな83区のプロパガンダに乗せられて81区から独立し、まもなく83区になし崩し的に強制編入されました。」

 

東風平(コチンダ)「それからは。。。適合者になるまで人として扱われた事はありません。。。」

 

東風平(コチンダ)「他守さん、施設の地下10階に行ったのなら見たでしょう?あのおぞましい実験を。。。」

 

ショウ「はい。。。」

 

東風平(コチンダ)「あの被験者たちの大半は47番地の人達です。適合しても低位の適合者は実験体にされます。」

 

ショウ「え?ファーストアドベンチャー18の被害者じゃなくて?」

 

東風平(コチンダ)「はい、ファーストアドベンチャー18の被害者ももちろんいましたが数は47番地の人達の方が多かったと思います。ファーストアドベンチャー18の被験者は元々高位の適合反応のある人のみをターゲットにしていましたし。。。」

 

東風平(コチンダ)「それに、小さな赤ちゃんやご老人がそんなゲームをやると思いますか?年代、性別に関係なく被検体はいたはずです。中には妊婦や細胞をかけ合わせて作った人造の赤ん坊までいました。」

 

ショウ:確かに。。。アナトが拾ってきたオンジも赤ん坊だったな。。。

 

ショウ「そ、そんな事がゆるされていいはずがない。。。どうしてそこまで酷いことができるんだ。。。」

 

東風平(コチンダ)「彼らはこの81区の地に眠る『神の子』と、この地に隠されているという『神の力』を手に入れる事にやっきになっていました。」

 

バアル「ではやはり、あのゲームは他守君の存在を探すために。。。ということか。」

 

東風平(コチンダ)「そして、彼らはイシュタラ達を神に背いた悪魔たちだと言っていました。」

 

アナト達の表情は険しくなる。

 

東風平(コチンダ)「でも、私達が見た彼らの所業こそ悪魔そのものでした。罪もない人々に人体実験を繰り返し、根も葉もない悪意のある噂を流し、適合出来なかった人間はゴミの様に殺されました。」

 

東風平(コチンダ)の目には涙が溢れ出していた。

 

東風平(コチンダ)「そんな時に、他守さんは現れました。見たこともない程の適合者。まるで神の降臨を見たようでした。この人を絶対に奴らに渡してはいけない。そう思ったんです。」

 

東風平(コチンダ)「他守さん。巻き込んでしまってごめんなさい。私。。。いえ、私達のやっていたことを考えたら、私達は全員死をもって罪を償うべきです。。。」

 

ショウ「そんなこと、ないです。巻き込まれたのはむしろコチンダさんの方です。」

 

東風平(コチンダ)「どうしてですか?私の手も汚れきっています。」

 

東風平(コチンダ)「私は。。。同じ番地のみんなを、命令されて、何度も。。。何度も。。。」

 

東風平(コチンダ)は泣き崩れる。

 

ショウ「結局のところ、あいつらはアヌの『器』だった俺と、俺を隠して逃げていた爺ちゃんの遺品からエンリルの居場所を探していたんですね。」

 

ショウ「だから、コチンダさんは俺にそんなに卑屈になることないです。俺はコチンダさんにずっとお礼が言いたかったんです。」

 

ショウ「あの時は、ありがとうございました。本当に、気持ちがどれだけ救われたか分かりません。」

 

東風平(コチンダ)はただ、その言葉を聞きながらただ泣いていた。

 

ショウはいたたまれない気持ちでいっぱいになっていた。

 

エアバニー「ふーむ、そんな彼らにとって『神の力』であるアヌと『神の子』であるエンリルを得た今、彼らの求めるところは。。。」

 

バアル「器である他守君の奪還。それから不用となった81区の処分。そして彼らから見れば『反逆者』であるイシュタラ達の殲滅。といった所か。」

 

エアバニー「あぁ、恐ろしくてたまんないな。マッタク。」

 

バアル「コマチン、単体でアヌのくるみ割り人形を倒せますか?」

 

コマチン「倒し切るのは無理ね。他守と一緒ならなんとか。。。かも?」

 

バアル「では、アヌは二人で対応。私とアナトでエンキ、エンリルは抑えよう。イ特には剛本君もいる。」

 

エアバニー「恐らく戦力的にはこちらに分がありますね。ですが。。。」

 

エアバニーが話しかけたその時だった。

 

突然停電が起こったのだ。

 

 

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