廃核の海 〜魔族アバターのまま現実世界に放り出された俺と不思議な美少女の物語〜   作:織雪ジッタ

137 / 141
4話 侵略

火の手は瞬く間に81区全土に広がった。

 

83区から移民してきていた人々が一斉に反乱を起こしたのだ。

 

その数は300万人を超え、81区は大混乱に見舞われた。

 

警察ではとても対応できず、治安維持には軍が出動した。

 

そこに、旧時代に作られた海底地下トンネルを通って九州に83区軍が突入。

 

これをイシュタラとイ特が迎え撃つ事になる。

 

かつて敵同士だった者同士の初めての共闘だ。

 

両者を治める為に、剛本とバアルが先頭に立ってこれをまとめることになった。

 

アヌやサークルアンデッドはまだ動きを見せない。

 

そんな中、ショウは『待機』していた。

 

秘密基地の客室のリクライニングチェアにて『トキメキパラダイス』を読むショウ。

 

その隣には、『トキメキパラダイス2』を読むアナトの姿があった。

 

二人ともほっこりした表情だ。

 

ミネルバはベッドで昼間から幸せそうに眠っている。

 

ショウ「なぁ。」

 

アナト「なんだ?」

 

ショウ「俺達こんなことしてていいのかな?」

 

アナト「さあな。今は兄様達にまかせるしかないだろう。」

 

ショウ「そうだよなぁ。」

 

二人ともなんだかウットリしている。

 

コマチン「なかなか興味深い本だね。」

 

ショウの読んでいる本を覗き込むコマチン。

 

ショウ「うわっ!何だよ!?」

 

まるで恥ずかしい物を隠すみたいに本を見せないようにするショウ。

 

コマチン「何も隠さなくてもいいでしょう?」

 

ショウ「か、隠してないよ!ビックリしただけだよ!」

 

コマチン「ふーん。」

 

アナト「なんだ、コマチンも読みたいのか?1巻なら貸してやるぞ?」

 

コマチン「べつに読みたい訳じゃないわ。他守がデレデレしてるから気を抜かない様にして欲しいだけよ。」

 

ショウ「なんだよ。別に気を抜いてる訳じゃねーよ。」

 

コマチン「じゃあ何なのよ?」

 

ショウ「。。。何かしてないと怖いんだよ。」

 

コマチン「ふーん。意外だね。」

 

ショウ「だって戦争になるんだぞ?」

 

コマチン「そうだね。。。とうとう来るべき時が来たって感じだね。。。」

 

コマチンは感情なく答える。

 

ショウ「アヌってヤツ、あんなとんでもないヤツがいつどうやって攻めてくるかもわからないんだぞ?」

 

コマチン「今ここに現れてもアチシは驚かないよ。そういうヤツだしね。」

 

ショウ「怖いこと言うなよ。。。」

 

ショウ「ハァ。。。それに、することがないと余計に不安になるんだよな。。。」

 

ショウ「この本はそんな憂鬱(ゆううつ)な気分をひととき忘れさせてくれるんだよ。」

 

そう言ってまたゴロリとリクライニングチェアーに寝転んでトキメキパラダイスを読み始めた。

 

コマチン「なによそれ?ただの現実逃避じゃない。」

 

アナト「まぁ、そう言うな。呼ばれればいつでも戦う覚悟はある。他守もそうだろう?」

 

ショウ「ふぇーい。」

 

アナト「情けない声をだすな。」

 

コマチン:。。。みんな不安なのね。

 

 

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 

81区41番地KRT

 

はるか昔、朝鮮半島への出兵の拠点として建てられた古城跡に建てられたカプセル。

 

そこを83区軍は占拠し、拠点にしている。

 

83区軍は効率の悪い船での行軍はしなかった。

 

200キロメートルに及ぶ海底トンネルを通り抜けて大群で押し寄せて来たのだ。

 

その数ざっと100万人、すでに50万は上陸してきている。

 

古城跡カプセルでは入り切らず、それでもなお続々とトンネルを行軍してきている。

 

カプセルの占領はすでに内部で暴動を起こさせていたので容易だ。

 

防衛線をはらなければあっという間に各地のカプセル群も実効支配されてしまう。

 

対するイ特イシュタラ軍はそこから南へ数キロの山々に陣を張った。

 

しかし、イ特イシュタラ軍の数は双方合わせても一万に満たない。

 

とはいえ、外は放射能が蔓延している。

 

83区軍は対放射能のリスクを背負っていた。

 

イシュタラやイ特の適合者達には放射能は障害にならないが、それでも圧倒的な数の違いを埋めなければならなかった。

 

軍議にはエアバニーとイ特の各特殊部隊の隊長、そしてバアルと人魚の里の長のエリドゥとアルルの街の守護者アルルが参加していた。

 

エリドゥはバアルの幼い頃の戦闘訓練の師でもある。

 

そして、アルルは人間の撒き散らした放射能への最初の報復『セラフィール戦』を指揮した将だ。

 

 

エアバニー「さて、どうしますかね。」

 

バアル「まず、補給路と兵站を絶たなければね。」

 

エアバニー「トンネルをなんとか破壊できればいいんだが。。。現状、81区軍には潜水艦も核兵器もない。海底から壊すのは厳しいか。。。」

 

バアル「敵もトンネル破壊を警戒して迅速に行軍を進めている。数時間後には残りの軍勢も到着してしまうだろう。」

 

エアバニー「あそこのカプセルは元々城の跡なんで地形的に守りも硬い。正面突破で力押しするには時間が足りない。」

 

エアバニー「そんな事をしている間に全軍が上陸してしまう。」

 

バアル「ふむ。。。なら、私が破壊してこよう。」

 

エアバニー「大将自らですかい?」

 

エリドゥ「若様、それはいけません!」

 

アルル「私も同意しかねます。」

 

バアル「心配はいらないよ。少し過保護だよ。」

 

エリドゥ「何を申されます。若様に何かあったらイシュタル様に顔向けできません。」

 

アルル「エリドゥの言う通りです。それはおやめ下さい。」

 

ここで剛本が口を挟む。

 

剛本「それでは俺が行こう。この戦いは81区を守る戦いだ。先陣は任せてくれないか?」

 

バアル「ふむ。確かに君なら可能だろう。私に異存はない。エアバニーはどうだい?」

 

エアバニー「剛本、やれるか?」

 

剛本「やってみせます。」

 

剛本の目に迷いはない。

 

エアバニー「分かった、任せる。トンネルを破壊して必ず戻ってこい!」

 

剛本「了解!」

 

剛本は敬礼すると赤いオーラを放ち、そのまま宙に浮かぶと突然凄いスピードで北の方向へ飛んで行った。

 

エアバニー「頼むぞ。」

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。