廃核の海 〜魔族アバターのまま現実世界に放り出された俺と不思議な美少女の物語〜   作:織雪ジッタ

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5話 ある男ない男

「何だあれは?!」

 

赤い光が83区軍のいる古城跡(こじょうあと)カプセルの上空を凄まじいスピードで通り過ぎようとしている。

 

「敵襲か!?撃て!撃ち落とせ!」

 

次々と追尾型の迎撃ミサイルが打ち上がるがスピードが違う。全く追いつくこともなく追尾ミサイルは明後日の方向に飛んでいってしまった。

 

「駄目です!目標が速すぎて迎撃できません!」

 

その間にも赤い光は猛烈なスピードで一直線に北に向かっている。

 

さらに速度を上げたのか空気の摩擦で赤い光を包むように白い光が眩しく輝き始めている。

 

「あの方向は。。。まずいぞ今トンネルをやられたらまだ上陸していない40万人が立ち往生するぞ!後方部隊に迎撃命令を出せ!」

 

しかし、そんな命令も虚しく数十秒後には北の方で赤い光が強く輝くのが見えた。

 

その後、しばらくして激しい地震がカプセルを襲った。

 

剛本がトンネルを爆破したのだ。

 

83区軍の司令官の男はあまりの出来事に呆然としていた。

 

司令官「うわぁぁ!何だこれは!?これでは、まるで。。。まるであのお方のようじゃないか。。。そんなまさか。。。」

 

そして、ハッとしたように行動を開始する。

 

まずはインプルで遠方の部隊に指示を出す。

 

司令官「トンネル内に孤立した後方部隊と連絡を取れ!復旧作業を急がせろ!」

 

すると音声で返事が返る。

 

「はっ!」

 

司令官「赤い光の正体は分かったのか?大至急偵察部隊を展開しろ!」

 

「赤い光はどうやら人間の様です。イシュタラの可能性もあります。すぐに偵察部隊を向かわせます!」

 

それから、一息ついて冷静になると別の何者かにインプルで指示を出した。

 

司令官「おい、今すぐあの二人を準備させろ。奴らの思い通りにはさせん。」

 

「分かりました。」

 

 

――――――――――――――

 

 

暗い大型の特殊車両の中、そこにはコールドスリープの機械が左右に2台設置してある。

 

その中にはそれぞれ一人ずつ。計二人の男が眠っていた。

 

ガチャリと車の扉の開く音がすると、その特殊車両に白い放射能防護服をまとった男が一人、静かに入ってきた。

 

そして男が慣れた手つきでコールドスリープの端末を操作すると2台のコールドスリープのハッチが開く。

 

プシューッと中から冷気が溢れ出て床を這いながら狭い車内に広がると、冷気の霧の中から二人の男がムクリと起き上がってきた。

 

二人とも筋肉質で大柄だ。

 

そして、その額には赤く光る杭のようなものが打ち込まれていて機械的なゴーグルをしている。

 

二人とも立派な口ひげを蓄えているが片方は体毛がデンジャラスで片方はツルツルだ。

 

体毛な方は革(かわ)の短パンに革のベストしか着ていない。

 

ツルツルの方はなぜかピンクのネグリジェだ。

 

そんな二人は起き上がると言葉もなくその科学者風の男の前にひざまずいた。

 

防護服の男「ここから南に5キロほど行った山々に敵兵力が展開している。まずは左側のイ特の隊をお前達で叩け。」

 

胸毛のない男「わかるぅい、ましとぅ。お任せアレ!」

 

胸毛のある男「フフフ。俺達がチャンピオンだ。」

 

胸毛のない男「ユー、チャンピオン。貴方は私のスター誕生ぉう。」

 

胸毛のある男「イエス!俺達がいれば鬼もボウボウさ。」

 

胸毛のない男「ボウボウ。。。それは、言わないでぃ。。。わたし毛なぁい。。。」

 

胸毛のある男「かたじけない?謝る必要はない。俺の胸毛を少し貸してやろう。」

 

そう言うと、胸毛のある方はムンズと自分の胸毛を少しむしり取り、胸毛のないほうの胸元に添えた。

 

するとどうだろう?

 

なんと胸毛達は胸毛のない方に吸い付くように根付いたのだ!

 

胸毛のない男「OOOOOOh!!! これは。。。!」

 

涙を流す二人を防護服の男は何事もなかったかのように見つめている。

 

防護服の男「気が済んだか?」

 

胸毛をもらった男「これは失礼しむぁーした。」

 

胸毛のある男「では、行ってまいります。」

 

防護服の男「うむ、戦果を期待しているぞ。モモイ、ラフム。」

 

胸毛のある男(ラフム)が立ち上がる。

 

すると、彼の胸毛がグネグネと生きているかのように動き始める。

 

ラフム「さぁ、お前達。出番だ。情報を集めて来い。」

 

そして次々にラフムの胸元から『毛』が飛び立っていく。

 

それはそのままフワフワと車を出て外へ飛んでいった。

 

ラフム「さぁ、我々も行こうじゃないか。」

 

そうして二人も外に出ると、置いてある自転車にまたがる。

 

ラフム「行くぜ!俺達の自転車で!」

 

モモイ「Oh スゥテッキーでぃーす!」

 

丸太のように太い彼らの脚力に自転車はゆっくりと力強く走り始める。

 

その時、ラフムは大きな声で叫んだ。

 

ラフム「レッツゴーウアーーイエーイ!」

 

その大きな美しい声は空に山に響き渡った。

 

すると、ゾロゾロと夢遊病のように近くにいた兵がラフム達に付き従い始める。

 

それはあっという間に3個連隊、1万人を超える軍勢となり、ラフムについて行軍を始めた。

 

その様子を防護服の男はニヤリと笑みを浮かべながら見ていた。

 

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