廃核の海 〜魔族アバターのまま現実世界に放り出された俺と不思議な美少女の物語〜 作:織雪ジッタ
月明かりが荒れ果てた山々を照らす中、3つの影が月の前を横切る。
イ特、特殊部隊P野営地
ここには特殊部隊とその配下の1000人ほどが配属されている。
その上空を飛ぶ3人の特殊部隊P。
その背にはマントが翻(ひるが)り、頭部には口の辺りまですっぽりと隠れるカラフルなヘルメットを着用している。
さながらスーパーヒーローといった外見だ。
隊長のミツオ率いるその隊は、隊長から数えて1号から5号までいる。
この5人が突出して能力が高く、特別なのだ。
そして5人は正体不明である。
ここでそのメンバーを紹介しておく。
1号 隊長 ミツオ 通称 リーダー
2号 筋肉質な男 通称 ゴリビー
3号 女の子 通称 ピーコ
4号 太った男 通称 プーやん
5号 赤ん坊 通称 ピー坊
その中の1号から3号までが野営地から偵察に出たところだった。
3号「リーダーわかってる?私達は偵察が任務なのよ?」
ちなみに3号はまだ10代の女の子だ。
ミツオ「分かってるって!敵影を見つけても戦わないよ。すぐに隠れて様子を見よう。」
3号「本当に分かってるの?こないだだってそんな事言ってて真っ先に戦闘始めちゃったじゃない。」
ミツオ「アレはただの強盗だったじゃん。今回は戦争だよ?ちゃんとやるよ!」
3号は信用できないといった目でミツオを見つめた。
その時だった。
2号が急にくしゃみをして鼻に痛みを訴えはじめた。
2号「ヘイックション!!痛ててててて!は、鼻に何か入った!!ヘックション!!」
ミツオ「どうした?大丈夫か?」
すると次は隊長のミツオにも同じ様な症状が現れる。
ミツオ「ヘックション!ヘックション!痛てて!何だこれ?」
3号「どうしたの?みんな変よ?」
ミツオ「ヘックション!!何か鼻に入った!!3号も気をつけろ!」
3号「何?急にどうしたの?花粉症?」
ミツオ「いいから息をするな!」
そう言うとミツオは3号の口元に自分のハンカチを押し付けた。
3号「いや!何するの!?バカリーダー!」
しかし、ミツオの様子が明らかにおかしくなっていくのが分かる。
ミツオ「気を気を気をつけろ?つけろ?けろけろ?クソが!」
3号「ど、どうしたの?急に?」
2号「おかおかおかおかおかしい!の?は?お前だ!ムッキー!!」
3号「2号まで!?ちょっと何なの!?」
3号はミツオからもらったハンカチを口に当てて警戒しながら辺りを見渡すが、特に何もいないように見える。
ミツオ「ウハハハハ!!死ね!!」
様子のおかしかったミツオは突然3号に攻撃を仕掛けた。
猛スピードで3号めがけて拳(こぶし)を振り上げてせまってくる。
3号「リーダー!!待って!!」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
特殊部隊D 剛本の陣営
剛本がトンネル破壊に向かった後、この陣営は指揮官不在の状態であった。
主要メンバーのうちリーダーの剛本が不在、小町は『行方不明』で、ここにいる特殊部隊Dのメンバーは以下になっていた。
肉厚(にくあつ)ヒゲ夫、通称ヒゲオ
後比(ごび)こびる、通称こびる
ロボットDJ-08、通称DJ
その彼らの元に原因不明の怪現象の報告が次々と入っていた。
それは、先程の特殊部隊Pの奇怪な現象と酷似したものだった。
被害者は皆、放射能防護服を着けず外にいる時に突然鼻口に強い痛みを訴えた後、気が狂った様になりやがて正常な者に襲いかかってくるというのだ。
一般隊員の中にも放射能に耐性を持ったナノマシーン適合者が多数いたために放射能防護服を着ていない者が多くいた。
それが仇となったのだ。
隊長不在もあり、完全に対応が後手に回った特殊部隊Dの配下の部隊は大混乱に陥っていた。
そして、特殊部隊Dの作戦室でその対応を迫られている。
その薄暗い作戦室には多数のモニターと中央に大きな作戦会議用のテーブルがあり、そこにヒゲオとこびるの二人とDJが心もとない雰囲気で事態の対応にあたっていた。
こびる「一体、何が起こってるんだろう?DJ、分かる?」
DJ「コビル、ソンナ事、知ルカ!自分デ、考エロ!」
DJは球体なのでコロコロと転がりながら、その球体の中央を浮遊するリングを回転させてライトをこびるに向けてピカピカと光らせた。
こびる「わ!眩しい!やめてよDJ!」
ヒゲオ「DJは小町がいなくなってから本当に荒れてるなよぁ。」
DJ「ソンナ事!ナイ!DJフツウ!一般業務コナス問題ナイ!」
ヒゲオ「なら、そんな事してないで頼むよ。調査に行ってくれないか?外で次々に人に異変が起きてるんだ。細菌攻撃か何かかも知れない。」
こびる「僕からも頼むよDJ、どんどん被害が広がってるみたいなんだ。」
DJはライトを消すとしばらく考えこんでそれからリングをくるりと回転させてドアの方にカメラを向けた。
DJ「。。。。ワカッタ。DJ調査、行ッテクル!」
そしてコロコロとドアの前まで転がっていくと頭頂部から機械的な触手を出してドアの開閉ボタンを押し、扉を開けて外へと出ていった。