廃核の海 〜魔族アバターのまま現実世界に放り出された俺と不思議な美少女の物語〜   作:織雪ジッタ

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ゲームの中のキャラクターの姿のままログアウト後の世界に出てきてしまったショウ。
ゲーム運営を名乗る男達の言うまま施設へ。
アナトが発見された事もあり施設側と交戦。
秘密のニオイがする地下10階で慢心から罠にかかり能力を半減された二人を次々と刺客ロボットが襲う。
アナトがナノマシーンウイルスに侵される中、パーティー補充用のNPC『マスク』の召喚士ミネルバ姫を呼び出したショウ。


召喚獣バハムートのスペシャルムーブ(必殺技)テラフレイムが炸裂。


しかしそれはとても危険な技だった。


16話 壁の向こう側の地獄 ― そして“カンビ”が現れた

ボロボロになりながらもショウは立っていた。

 

 

バハムートのスペシャルムーブ(必殺技)である『テラフレイム』をまともに食らったのだ。

 

 

普通なら生きている事自体が奇跡である。

 

 

ミネルバはバハムートの召喚を解くと、さもスッキリした風に晴れやかな顔で

 

 

ミネルバ「キレイになりましたねー。。ん?」

 

 

と、そこでようやく怒りに震えるショウに気がついた。

 

 

ショウ「。。。。な」

 

 

ミネルバ「あら、tamori。そんな所に隠れていましたの?それにしても随分汚らしい格好になりましたわね。」

 

 

ショウ「。まえはな」

 

 

ミネルバ「え?何ですの?」

 

 

ショウ「お前はな!!!少しは後先考えれないのか!?」

 

 

と、大声でキレるショウ。当然である。死ぬところだったのだ。

 

 

しかし、ミネルバは逆ギレする。

 

 

ミネルバ「まぁ!助けて貰っておいてその口の聞き方は何ですの!?畏(かしこ)くもこのヒュムリア王国第一王女、ミネルバ・フォン・ヒュムリア様に対して失礼ではなくて!?」

 

 

ショウ「ふざけるな!こんなの外でやってたら大変な事になってるぞ!」

 

 

ショウ「お前は俺達を殺す気か!?」

 

 

ミネルバ「俺達?他に誰かいまして?」

 

 

ショウ「馬鹿!気付かなかったのか?」

 

 

ショウ「それに自分で様とかつけるな!」

 

 

ミネルバ「ば、馬鹿とは何ですか!?この無礼者!」

 

 

ミネルバ「tamori!そこに直りなさい!」

 

 

ショウ「フン!」

 

 

怒るミネルバを無視してショウはアナトに走りよる。

 

 

ショウ「アナト!」

 

 

バハムートの光を浴びて更に苦しそうなアナトは既に意識がない。

 

 

ショウ「ミネルバ!回復魔法使えるか?」

 

 

ミネルバ「tamori、わたくしの話を聞いてますの?」

 

 

ショウ「早くしろ!!!」

 

 

あまりの剣幕のショウにミネルバはしぶしぶ仕方なく応じる。

 

 

ミネルバ:人を呼び出しておいて何なのまったく。。。

 

 

ミネルバ「はぁ。。はいはい、しばしお待ちくださいませっ」

 

 

そして、ミネルバが魔法詠唱ポーズに入ると今度はミネルバの足元にエメラルドグリーンの魔法陣が現れる。

 

 

ミネルバ「キュアーオール!」

 

 

その声と共にミネルバを中心に優しい光に包まれて味方全員の外傷が癒やされる。。

 

 

ショウもほぼ全快し、アナトもウイルス以外のダメージは癒えた様だった。

 

 

ゆっくりと目を覚ますアナト。

 

 

アナト「。。。!これは。。?」

 

 

ショウはホッとして

 

 

ショウ「良かった!取り敢えずは無事だな!」

 

 

アナト「まぁな。。しかしこのザマだ。。情けない。」

 

 

ショウ「立てるか?肩に掴まれよ!」

 

 

アナト「あぁ、すまない。」

 

 

しかし、アナトに肩を貸すショウを見てミネルバは不機嫌になる。

 

 

ミネルバ:な、何ですのあの女?tamoriとどう言う関係なの?

 

 

ミネルバ:し、しかも。。美人!

 

 

ショウ「隣の部屋に何かある。。行ってみるか?」

 

 

アナト「あぁ。ここにいても事態は好転しないしな。前に進もう。」

 

 

熱で苦しそうなアナトだが目は死んでいなかった。

 

 

ショウ「よし!行こう!」

 

 

歩き出す二人を追いかけて慌ててミネルバも付いていく。

 

 

ミネルバ「ちょっとtamori!ま、待ちなさいよ!」

 

 

ミネルバ:それからこの女!tamoriに引っ付き過ぎなんですけと!

 

 

 

バハムートの一撃でできた穴は壁一面に及んでいた。

 

 

壁の幅は分厚く3メートルはある。

 

 

しかも何重にも金属や他の素材の層が重ねられていてそう簡単に貫ける構造では無いことが見て取れる。

 

 

他の壁も恐らくそうであろう。相当な耐久性を担保している事は見ただけでも伺えた。

 

 

そして、その穴の向こうは薄暗い大きな部屋があった。

 

 

中に入ると天井はかなり高い。その内部はかなり広く、高さ2.5メートル程の円筒状の密閉された水槽が無数に青く光っていた。

 

 

水槽の中には、色んな生物や奇怪な生き物、機械人形の一部の様な物か機械かわからない様なものまで浮かんで眠っていた。

 

 

それらは呼吸器を付けている訳でもない。

 

 

ショウ達と同じく呼吸を必要としないのか、あるいはその液体の中で呼吸可能なのか、どの生物も死んでいるわけではなく、そこで眠っているようだった。

 

 

そんな中をしばらく奥の方へ歩くと『人間』の水槽群を見つけた。

 

 

しかし、その殆どの『人間』は異常な突起や局所発達、肌の形状変形等が見られ、中には眠りながらもがき苦しむ者もいた。

 

 

老若男女問わず胎児も老人もいた。

 

 

電極を付けられて痙攣している者や硫酸等の危険な化学物質を投入しているようで、泡を吹きながら肌を溶かし続けている水槽もある。

 

 

ショウ「こ、これのどこが治療室なんだ!?明らかに人体実験じゃないか!?」

 

 

怒りが抑えられないショウ。

 

 

ミネルバ「汚らわしい。。悪趣味ですわ。。」

 

 

アナト「。。解っただろう?自分でナノマシーンをバラ撒いて、それで適合反応のあった人間をいじくり回して自分達の実験や兵器に利用しているのだ。」

 

 

アナト「ハァハァ、半分はこれをお前に見せる為にわざわざ危険を犯してここまで来たんだ。」

 

 

ショウ「なんでそこまでして?」

 

 

苦しそうな中にアナトは少し笑顔を見せて

 

 

アナト「フッ、さあな。。すぐに解る。」

 

 

アナト「他守、お客様が来た様だ。足手まといで済まない。」

 

 

そう言われてショウが部屋の一番奥に目をやると、そこには江戸時代の旅人を思わせる格好に目だけが天井見ている中肉中背の青髭の男が、扉を背にして少し猫背でこちらに向いて立っていた。

 

 

カンビ「よろしゅうに。カンビと申します。」

 

 

と、その男は目は上向けたままショウ達の方に顔を向けてニヤリとしている。

 

 

その男を見た瞬間、ミネルバの背筋はゾッと凍りついた。

 

 

ミネルバ「いやぁぁぁ!!何ですのあれ?!」

 

 

とショウの後ろに隠れるミネルバ。

 

 

ミネルバ「無理ですわ!わたくしには無理ですからね!」

 

 

とショウにすがりよるも。

 

 

ショウ「いや、お前の召喚獣なら直接触らないし平気だろ?」

 

 

と、あっさり突き放すショウ。

 

 

ミネルバ「ちょっとtamori!最近わたくしに冷たいんじゃなくて?」

 

 

カンビ「ちょっとあんさん達、お取り込み中にすんませんけど、そこで暴れられでもしたらその中の『患者さん』死んでしまいまっせ?」

 

 

ショウ:『患者さん』だと?。。何だコイツ?

 

 

カンビ「まぁ、悪いようにはしませんよて、こっちの部屋に来とくれますやろか?」

 

 

と、初めて目線を下ろしたが、ショウ達に目線を合わせるでもなく床を見つめた。

 

 

その瞬間、『カンビ』の後ろにあった重厚な扉が真ん中から割れて両脇にスライドして開いた。

 

 

ショウ:罠か?

 

 

ショウ:ここを壊されたくないって事。。。だけよな?

 

 

ショウ:じゃあ逆にここが安全?

 

 

カンビ「ささ、早うこっちへおいでやす。」

 

そのいかにも怪しい男はショウ達を開いた扉の向こうへ誘う。

 

しかし、相変わらずショウ達を見ている訳ではなく、その目線はまた天井に向いていた。

 

 

 

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