廃核の海 〜魔族アバターのまま現実世界に放り出された俺と不思議な美少女の物語〜 作:織雪ジッタ
サークルアンデッドとVRMMORPGファーストアドベンチャー18の正体を知ったショウ達は打倒サークルアンデッドを胸にイシュタラの国へとやってきた。
しかし、イシュタラの国の入国で女神の門の試練に失敗、近くにある人魚の里で修行をする事になった。
一方、剛本はエルヴィンという不思議な猫に出会い街を目指してシダーの森に入った。
森の影「よそ者だ。」
森の影「ああ、よそ者は災いを呼ぶかも知れん。」
その声はどこからともなく響き、姿は見えないのに確かに近くに感じられる。
森の影「何しにきたんだ?」
森の影「この森に害なすのか?」
森の影「それが判ってからでは遅かろう?」
森の影「待て待てフワワ様にまずはご報告じゃの」
森の影「いやいや。フワワ様のお手を煩わせるような事態ではなかろう?」
森の影「確かに。。」
森の影「ところであの猫はなんじゃろう?」
森の影「猫?そんな物が何処にいる?」
森の影「は?よそ者を森に案内しているではないか。」
森の影「そんなものはおらぬ。」
森の影「おらぬ?」
森の影「何を言う?皆は見えないのか?」
森の影 ヒソヒソ。。。
剛本「おい、エルヴィンと言ったな。」
エルヴィン「ようやく名前を呼んでくれたね。」
剛本「。。。このヒソヒソ言っているのは何だ?俺たちは誰かに監視されているのか?」
エルヴィン「森の住人さ。」
エルヴィン「この森に住むのは動物系のイシュタラが殆どかな。」
エルヴィン「彼等は臆病で用心深いんだ。」
剛本「警戒されてるって事か。。」
そう言っている間に剛本達は森の中に流れる川に出た。
剛本「潮の匂いがしないな。。。」
剛本は河原の大きな石に飛び乗るとその透き通る水を口に含みハッとした。
不思議な事にこの川の水は真水なのだ。
ここは海の底だと言うのにである。
それにどこを見渡してもここは地上世界とは違う。
まるで小さい頃に見た図鑑や教科書に載っていた『旧世界』の風景そのものだった。
空には鳥も舞い、遠く川上には水辺に集まる動物達の姿もある。
草木には昆虫達、川には小魚が泳ぐ。
今や地上は死の世界だ。生き物なんていない。カプセルの中もこんなに広大な自然を見ることはない。ここはまさに『生きている森』だった。
地表が全て氷に覆われていた時もここはずっとこうだったのだろう。
ここでは要らないものは何もなく全てが調和しているのだ。
これだけの世界を海底に作り上げたイシュタルに、剛本は畏敬の念すら覚えた。
立ち止まって少し物思いにふけると、剛本はエルヴィンの所に戻り訪ねた。
剛本「この森を抜けるにはどの位のかかる?」
エルヴィン「そうだね。。。森の守護者フワワのいるレバノン杉のエリアを迂回するから、何もなければ10時間ぐらいかな。」
剛本「そうか。。ところでそのフワワというのはどんな化け物なんだ?」
エルヴィン「わっ!化け物とか言うなよぉ!」
エルヴィン→剛本:「森の住人に聞かれたらどうするんだよ!」
と、焦りながらエルヴィンは直接会話(SP)で剛本を制したが剛本はいまいちピンと来ていない。
そこへ一匹の見た目は可愛らしい小狐が現れた。
小狐「おい!そこのよそ者よ、言葉を慎め。」
エルヴィン「あちゃぁ。。」
剛本「。。。お前は?」
小狐「わしは森の住人、ポン太と申す。フワワ様を化け物呼ばわりするとは何事じゃ。」
剛本「。。すまない。悪気は無かった。」
小狐「だいたいヌシ達は何故この森に来たのじゃ?」
小狐「特にそこの猫!お前は何だ?何故わしにしか見えない?」
小狐の登場に森がざわつく。。
森の影「おいおい。。ポン太の奴、一人で勝手に接触しおったぞ。。」
森の影「勝手な事をしおって。。」
森の影「フワワ様に早くお知らせをせねば。。」
森の影 ヒソヒソ。。。
猫「そうか。。君もオイラが生きていると思ったんだね。」
ポン太「どう言う意味じゃ?」
剛本「エルヴィン。俺にもちゃんと説明してくれ。お前はいったい何なんだ?」