廃核の海 〜魔族アバターのまま現実世界に放り出された俺と不思議な美少女の物語〜   作:織雪ジッタ

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ゲームの中のキャラクターの姿と能力のまま現実世界に出てきた他守ショウ。


サークルアンデッドとVRMMORPGファーストアドベンチャー18の正体を知ったショウ達は打倒サークルアンデッドを胸にイシュタラの国へとやってきた。


しかし、イシュタラの国の入国で女神の門の試練に失敗、近くにある人魚の里で修行をする事になった。


一方、剛本はエルヴィンという不思議な猫に出会い街を目指してシダーの森に入った。



15話 森の守護者フワワ─森が選ぶ者

エルヴィン「他の人が見えないんじゃぁないよ。他の人は僕が死んでいると認識してしまったんだよ。だからもう視界にも入っていない。」

 

 

ポン太「そんなバカな事があるか?現に今お前は目の前にいるではないか?」

 

 

エルヴィン「君がそう思ったからそうなったのさ。」

 

 

剛本「何故、そう思うとそうなるんだ?」

 

 

エルヴィン「この世の物は全て本当はそんな物なんだ。僕はそれがたまたま固定せずに重ね合わさって存在しているだけ。」

 

 

剛本「さっぱり解らん。」

 

 

エルヴィン「考えてもわからないよ。そういう物として受け入れるしかないんだ。」

 

 

ポン太「答えになっとらんぞ。」

 

 

エルヴィン「僕にもどうしようもないのさ。」

 

 

剛本はやれやれと言った感じで首をふった。

 

 

剛本「はぁ。。もういいわかった。俺は細かい事は気にしない。お前は俺やそこのポン太?にとっては生きている。」

 

 

剛本「それは紛れもない事だ。もうそれでいい。」

 

 

エルヴィン「ありがとう。」

 

 

ポン太「わしは全然解らんぞ!そんなのあるか!」

 

 

そして剛本に詰め寄る。

 

 

ポン太「それにお前は何だ?この森に何しに来た?ここはフワワ様の統べる森じゃ。用がないならとっとと出ていけ!」

 

 

剛本「。。。俺はあるイシュタラを探している。この森に用がある訳じゃない。この向こうの街へ行きたいだけだ。」

 

 

ポン太「イシュタラ探しじゃと?なんの為に?」

 

 

剛本「父親の仇だ。」

 

 

ポン太「なんじゃと?この国のイシュタラはイシュタラ同士で殺し合ったりせん。何かの間違いじゃないのか?」

 

 

剛本「。。。俺は。。人間だ。」

 

 

森がザワザワとする。

 

 

森の影「に、人間?」

 

 

森の影「人間じゃと?」

 

 

森の影「ば、馬鹿な。。女神の門を人間が通ったと言うのか?」

 

 

森の中にどよめきが広がるのが分かった。

 

 

鳥たちは飛び立ち遠くの動物達は姿を隠した。

 

 

そして森にドスの効いた低い大声が響き渡った。

 

 

『にぃーんげぇーんだぁとぉぉ!?』

 

 

ポン太「フワワ様だ!控えろ!」

 

 

そう言うとポン太はひれ伏した。

 

 

森の奥から、地鳴りのような振動がゆっくりと近づいてきた。

 

 

そして、体長5メートル以上の巨体が剛本達の目の前に飛び出してきた。

 

 

獅子の顔に突き出た口は龍の如く。

 

 

体は人の様であり獣の様でもある。

 

 

その口からは炎が漏れ胸からは水が滝のように溢れ出ていた。

 

 

『我はフワワ。イシュタル様が創りし森の守護者なり。』

 

 

『人間如きが如何なる理由が有って我が森にいる?』

 

 

『心して答えよ。守護者はイシュタラの法の外にいる。くだらぬ言い逃れは許さぬ。』

 

 

剛本は、本能的に答えを誤ると死を意味する事を悟った。

 

 

剛本「俺は、バアルに連れられてイシュタラの国へ来た。そして女神の門に認められて門をくぐりここに至った。」

 

 

『女神の門が貴様を認めただと?嘘を言え!』

 

 

剛本「彼女はこう言った。猛る者達を諌めてくれと。」

 

 

『猛る者達。。』

 

 

剛本「俺はここに親父の仇を探しに来た。」

 

 

『何ぃ!?』

 

 

剛本「しかし、それは殺し合う為じゃない。解り合う為だ!」

 

 

『解り合うだと?』

 

 

剛本は頷く。

 

 

剛本「俺は人の世界を守る為に自ら命をかけてナノマシーンの適合者となった。」

 

 

剛本「しかし、イシュタラ自身もそのナノマシーンの犠牲者達だと知った。」

 

 

剛本「バアルは何故ここに俺を連れて来た?女神の門は何故俺を受け入れた?」

 

 

剛本「最初は俺の隊長に頼まれたからだと思っていたがそれは違う。」

 

 

剛本「恐らくこの国は今一枚岩じゃない。」

 

 

『何故そう思う?』

 

 

剛本「俺の力はイシュタラに比べたら微弱だ。仇を見つけたとしても俺にどうこう出来るとはとても思えない。」

 

 

剛本「それでも、俺は何もせずにはいられなかった。だけどとうだ?実際に話を聞けばイシュタラも俺たち人間と心は変わらない。」

 

 

剛本「こうなった理由を知らなければならない。そして話をしなければならない。」

 

 

剛本「俺は家族をイシュタラに殺された。」

 

 

剛本「そんな俺が、腹を割って会えば何か風が起こるんじゃないか?」

 

 

剛本「バアルも女神の門もそれに何かしらの期待をしたのではないか?」

 

 

剛本「俺は今、そう思っている。」

 

 

剛本「だから命を掛けてでも会いに行く。」

 

 

剛本「たとえ、あんたが誰であろうと、どれだけ強くともだ。」

 

 

フワワは少しの間、沈黙した。

 

 

『それが女神の門の意思か。。』

 

 

ゆっくり剛本はうなずく。

 

 

張り詰めた空気がしばらく続く。

 

 

『確かに今、このイシュタラの国は割れている。』

 

 

『人間殲滅作戦を推進する神殿議会長ヤムが実権を握っているのだ。』

 

 

『ヤムはこの国のイシュタラではない。外海の魔神と呼ばれる回遊族のイシュタラだ。』

 

 

剛本「魔神。。!?」

 

 

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