廃核の海 〜魔族アバターのまま現実世界に放り出された俺と不思議な美少女の物語〜 作:織雪ジッタ
サークルアンデッドとVRMMORPGファーストアドベンチャー18の正体を知ったショウ達は打倒サークルアンデッドを胸にイシュタラの国へとやってきた。
しかし、イシュタラの国の入国で女神の門の試練に失敗、近くにある人魚の里で修行をする事になった。
一方、剛本はエルヴィンという不思議な猫に出会い街を目指してシダーの森に入った。
エルヴィン「他の人が見えないんじゃぁないよ。他の人は僕が死んでいると認識してしまったんだよ。だからもう視界にも入っていない。」
ポン太「そんなバカな事があるか?現に今お前は目の前にいるではないか?」
エルヴィン「君がそう思ったからそうなったのさ。」
剛本「何故、そう思うとそうなるんだ?」
エルヴィン「この世の物は全て本当はそんな物なんだ。僕はそれがたまたま固定せずに重ね合わさって存在しているだけ。」
剛本「さっぱり解らん。」
エルヴィン「考えてもわからないよ。そういう物として受け入れるしかないんだ。」
ポン太「答えになっとらんぞ。」
エルヴィン「僕にもどうしようもないのさ。」
剛本はやれやれと言った感じで首をふった。
剛本「はぁ。。もういいわかった。俺は細かい事は気にしない。お前は俺やそこのポン太?にとっては生きている。」
剛本「それは紛れもない事だ。もうそれでいい。」
エルヴィン「ありがとう。」
ポン太「わしは全然解らんぞ!そんなのあるか!」
そして剛本に詰め寄る。
ポン太「それにお前は何だ?この森に何しに来た?ここはフワワ様の統べる森じゃ。用がないならとっとと出ていけ!」
剛本「。。。俺はあるイシュタラを探している。この森に用がある訳じゃない。この向こうの街へ行きたいだけだ。」
ポン太「イシュタラ探しじゃと?なんの為に?」
剛本「父親の仇だ。」
ポン太「なんじゃと?この国のイシュタラはイシュタラ同士で殺し合ったりせん。何かの間違いじゃないのか?」
剛本「。。。俺は。。人間だ。」
森がザワザワとする。
森の影「に、人間?」
森の影「人間じゃと?」
森の影「ば、馬鹿な。。女神の門を人間が通ったと言うのか?」
森の中にどよめきが広がるのが分かった。
鳥たちは飛び立ち遠くの動物達は姿を隠した。
そして森にドスの効いた低い大声が響き渡った。
『にぃーんげぇーんだぁとぉぉ!?』
ポン太「フワワ様だ!控えろ!」
そう言うとポン太はひれ伏した。
森の奥から、地鳴りのような振動がゆっくりと近づいてきた。
そして、体長5メートル以上の巨体が剛本達の目の前に飛び出してきた。
獅子の顔に突き出た口は龍の如く。
体は人の様であり獣の様でもある。
その口からは炎が漏れ胸からは水が滝のように溢れ出ていた。
『我はフワワ。イシュタル様が創りし森の守護者なり。』
『人間如きが如何なる理由が有って我が森にいる?』
『心して答えよ。守護者はイシュタラの法の外にいる。くだらぬ言い逃れは許さぬ。』
剛本は、本能的に答えを誤ると死を意味する事を悟った。
剛本「俺は、バアルに連れられてイシュタラの国へ来た。そして女神の門に認められて門をくぐりここに至った。」
『女神の門が貴様を認めただと?嘘を言え!』
剛本「彼女はこう言った。猛る者達を諌めてくれと。」
『猛る者達。。』
剛本「俺はここに親父の仇を探しに来た。」
『何ぃ!?』
剛本「しかし、それは殺し合う為じゃない。解り合う為だ!」
『解り合うだと?』
剛本は頷く。
剛本「俺は人の世界を守る為に自ら命をかけてナノマシーンの適合者となった。」
剛本「しかし、イシュタラ自身もそのナノマシーンの犠牲者達だと知った。」
剛本「バアルは何故ここに俺を連れて来た?女神の門は何故俺を受け入れた?」
剛本「最初は俺の隊長に頼まれたからだと思っていたがそれは違う。」
剛本「恐らくこの国は今一枚岩じゃない。」
『何故そう思う?』
剛本「俺の力はイシュタラに比べたら微弱だ。仇を見つけたとしても俺にどうこう出来るとはとても思えない。」
剛本「それでも、俺は何もせずにはいられなかった。だけどとうだ?実際に話を聞けばイシュタラも俺たち人間と心は変わらない。」
剛本「こうなった理由を知らなければならない。そして話をしなければならない。」
剛本「俺は家族をイシュタラに殺された。」
剛本「そんな俺が、腹を割って会えば何か風が起こるんじゃないか?」
剛本「バアルも女神の門もそれに何かしらの期待をしたのではないか?」
剛本「俺は今、そう思っている。」
剛本「だから命を掛けてでも会いに行く。」
剛本「たとえ、あんたが誰であろうと、どれだけ強くともだ。」
フワワは少しの間、沈黙した。
『それが女神の門の意思か。。』
ゆっくり剛本はうなずく。
張り詰めた空気がしばらく続く。
『確かに今、このイシュタラの国は割れている。』
『人間殲滅作戦を推進する神殿議会長ヤムが実権を握っているのだ。』
『ヤムはこの国のイシュタラではない。外海の魔神と呼ばれる回遊族のイシュタラだ。』
剛本「魔神。。!?」