廃核の海 〜魔族アバターのまま現実世界に放り出された俺と不思議な美少女の物語〜   作:織雪ジッタ

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ここまでのあらすじ


ゲームの中のキャラクターの姿と能力のまま現実世界に出てきた他守ショウ。


サークルアンデッドとVRMMORPGファーストアドベンチャー18の正体を知ったショウ達は打倒サークルアンデッドを胸にイシュタラの国へとやってきた。


しかし、イシュタラの国の入国で女神の門の試練に失敗、近くにある人魚の里で修行をする事になった。


一方、剛本はエルヴィンという不思議な猫に出会い街を目指してシダーの森に入り、森の守護者フワワに街へ行く事を認めて貰う事に成功した。


イシュタル神殿に来ていたバアル達はそこでアナトの友人アスタルトに会う。





■登場人物の紹介
◇他守ショウ  VRMMORPGファーストアドベンチャー18からログアウトしたらゲームのキャラクターのまま現実世界に出てきてしまう。ナノマシーン適合者としてはこの世界最強のSSS。緑色のオーラを持つ。
銀髪に角があり、光を帯びた赤い目、口元には牙が見え、少し尖っ耳に爬虫類系の尻尾がある魔族設定のキャラクターだが中身の本人は童顔を気にする黒髪の28歳。


◇アナト  ショウと一緒にサークルアンデッドと戦ったイシュタルの娘。ナノマシーン適合者ランクはSS。赤いオーラを持つ。


◇バアル  アナトの兄。ナノマシーン適合者ランクはSS。オレンジ色のオーラを持つ。 


◇ミネルバ   ショウが呼び出した『ファーストアドベンチャー18のフェイスと呼ばれるパーティーメンバー補填用のNPC』召喚士。ゲーム設定ではヒュムリア王国の王女。


◇イシュタル   アナトとバアルの母であり、全てのイシュタラに尊敬、崇拝されるイシュタラ達の女神。イシュタラの国を作り、放射能汚染から低ランクのイシュタラと魚たちを守るために命を落とした。



◇メロウ  
小さな魔法の帽子をかぶっているショウのメタモルフォーゼの訓練を指導する事になった人魚。
笛吹いて人を魅了する事もある。


◇アスタルト  アナトの幼馴染。



19話 女神ティアマト─祈りの間

神殿にアナト達が来ているとの噂を聞き礼拝堂の近くで待っていたアスタルトはアナトと再会した。

 

 

そして再会を心から喜んでいた。

 

 

美しいがどこか近寄り難い雰囲気のアナトとは対照的に可愛らしい親しみの持てる雰囲気の少女だ。

 

 

しかし、彼女は病弱で小さい頃から度々ナノマシーンが不安定になり何日も苦しむといった事を繰り返していた。

 

 

そんなアスタルトを心配した彼女の父親は『青の研究施設』の研究員となり、ナノマシンの研究をしながら病弱な彼女を支えた。

 

 

そして時を経た今もナノマシーンとティアマトのリンクの研究をしている。

 

 

そんな父親が娘の為に開発したナノマシーンを安定させる薬はやがて評判となり、薬を求めてアスタルトの家を訪ねてくる者が後を絶たなくなっていった。

 

 

そうしてアスタルトの実家で余った分を配布する様になると今度は必要以上に求める者まで現れた。

 

 

そんな時、人間の社会ならば需要に供給が追い付かなくなれば価格が高騰する。

 

 

だが、通貨の存在しないイシュタラの国では薬も無償である為に、ただ過剰に需要が増すばかりだった。

 

 

対価を取るとすれば代わりに人手を借りるか物々交換が基本だ。

 

 

そこで、アスタルトは薬を提供する代わりにその者の持つ様々な情報を聞く様にした。

 

 

苦しむ人々に取っても一番負担の軽い対価だったし、薬が本当に必要かどうかも推し量ってその情報に価値をつけれるからだ。

 

 

そうやって暮らして来た為、今ではアスタルトはこの国一番の情報通になっていた。

 

 

なので今回のアナト達の帰国の事もおおよその事情は掴めていた。

 

 

アスタルト「本当に無事で帰ってきて良かった。。」

 

 

アスタルト「81区では緑色のオーラを持つ者が現れたとか。。」

 

 

アナト「心配ない。こうしてピンピンしている。」

 

 

アスタルトはホッとした様に頷く。

 

 

アスタルト「礼拝堂へ行くんでしょう?私もご一緒していいかしら?」

 

 

アナト「ああ。勿論だ。」

 

 

バアルもにこやかに頷くと三人は礼拝堂の方へと歩き始めた。

 

 

 

 

 

 

礼拝堂。

 

 

そこはイシュタラ達の中で宇宙の外側にあると信じられている海を象徴した女神、ティアマトが祀られる神聖な場所だ。

 

 

この海(ティアマト)は全ての根源たる存在であり、絶対のエネルギーであり、女神の意思でもある。

 

 

また、死者はティアマトの中で冥界と呼ばれる無限の結果に枝葉した永遠の時を輪廻し、ティアマトの導きによって無限に生死を繰り返されると信じられている。

 

 

礼拝堂の奥、中央の高い位置にはその女神ティアマトの像があり入り口からそこまでは一本道で両脇に長椅子が並ぶ教会によく似た構造だ。

 

 

天窓からの光が像を神々しく演出している。

 

 

女神ティアマトの姿は二本の角と翼を持ち蛇の尻尾を踊らせる猛々しい姿で見る者を畏怖させる。

 

 

その膝下に優しく微笑む女神イシュタルの像が見る者を包み込むかの様に鎮座していた。

 

 

かつては実際にイシュタルがここで来る者を迎えていたのだ。

 

 

そしてその前に祭壇があり、礼拝する者は祭壇の前で一人ずつ『神』と語らうのだ。

 

 

そんな神聖な場所でバアル達三人は一人ずつ厳(おごそ)かに『神』と語らうのだった。

 

 

 

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 

 

そしてショウ達のその後は。。。

 

 

 

 

ミネルバ「か、完璧ですわ。。」

 

 

メロウ「本当に。。」

 

 

そこにはツヤツヤと光る緑色をした完璧なスライムがいた。

 

 

他ならぬ他守ショウその人である。

 

 

ショウ「。。。やっぱりこうなるのか。。」

 

 

メロウ「なんか可愛い。。」

 

 

メロウ「てっきり人面スライムなどになるかと思っていましたのに。」

 

 

ミネルバ「人面スライム?」

 

 

メロウ「人の姿ではありませんが、これはこれで良いのではないでしょうか?」

 

 

ショウ「いや、スライムですよ?魔物ですよ?」

 

 

メロウ「人魚隊にもメタモルフォーゼが苦手な方がいまして、その方もずっと人魚になれずにいます。人面魚のまま人魚だと言い張っております。。」

 

 

メロウ「ですから、スライムですが人間だと言い張れば良いのです。」

 

 

ショウ「いや、それはちょっと。。。」

 

 

ミネルバ「人面魚。。。?何か来るとき見たような気が。。。?」

 

 

ミネルバ「でもまぁ、これならバハムートはありませんわね。」

 

 

ショウ「こんなんじゃダメだ!次は頑張るぞ!」

 

 

 

今度こそ元の姿になる!そう誓うショウだった。

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