廃核の海 〜魔族アバターのまま現実世界に放り出された俺と不思議な美少女の物語〜   作:織雪ジッタ

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21話 エレガントな薬屋

イシュタリアの街のメインストリートを神殿の方へ向かう道の途中。

 

 

街は正方形の神殿の周りに碁盤の目の様に整然と建ち並んでいる。

 

 

どこの家も木組みの可愛らしい家だが、どの家も似たような感じで気が付くと何処を歩いているのか分からなくなりそうだ。

 

 

そんな中、剛本と猫のエルヴィン、小狐のポン太はアスタルトの薬屋を目指して歩いていた。

 

 

エルヴィン「この辺りの筈なんだけど。。」

 

 

特に看板を出している訳でも無さそうで、どの家がその薬屋なのか分からずにウロウロしていると後から女の人の声がする。

 

 

アスタルト「あれ?。。良かった。死んでいるのかと思った。」

 

 

エルヴィン「君も僕が生きていると思ったんだね。」

 

 

アスタルト「え?」

 

 

やはり不思議そうな顔をするアスタルトにエルヴィンは

 

 

エルヴィン「あぁそうか。君がアスタルトだね。」

 

 

アスタルト「え?ええ、そう、ですけど。。?」

 

 

エルヴィン「オイラ、エルヴィンって言うんだ。君も僕らとの時間を共有する事を選んでくれたんだね。」

 

 

アスタルト「え?選ぶ?一体どう言う事ですか?」

 

 

剛本「ああ、すいません。ソイツの事はあまり深く考えない方がいいですよ。」

 

 

アスタルト「え?そうなんですか?」

 

 

剛本「俺達が出会った時も意味が分からなかったので。。」

 

 

ポン太「それにしても何で名前まで分かるんじゃ?」

 

 

エルヴィン「だってこの付近で出会うべき者が他にいるかい?」

 

 

ポン太「相変わらずお前の言う事はよく分からんのう」

 

 

剛本「ポン太、考えるだけ時間の無駄だ。」

 

 

ポン太「そうじゃったの。。」

 

 

アスタルト「あの。。一体何なんですか?」

 

 

剛本「すいません。私達はこの辺りにあるという薬屋を探していまして。。」

 

 

アスタルト「あぁ、それならうちですよ。」

 

 

アスタルト「うちにご用件でしたら、立ち話も何ですから、どうぞうちにいらして下さい。」

 

 

アスタルトはそう言うと剛本達を丁度目の前にある自宅の客間に通した。

 

 

その部屋は品が良く小ぎれいによく整頓された部屋で、窓には薄いブルーのカーテンとレースのカーテンがかかり神殿から吹き下ろすそよ風を心地良く部屋に通していた。

 

 

部屋にはほのかにハーブの香りが漂い、訪れた者の心を自然と落ち着かせる。

 

 

窓際にあるチェストにはハオルチアやエケベリアといった小振りの多肉植物が寄植えにして置かれていて、壁には絵の施されたお皿が12枚飾られている。そして本棚も置いてある。

 

 

そして部屋の中央には赤いソファーとアンティークな楕円(だえん)の応接テーブルがあり、剛本達をそこに案内するとアスタルトはキッチンの方へお茶の用意を取りに行った。

 

 

エルヴィン「散々迷ってたのに、まさか目の前の家だったとはね。。」

 

 

ポン太「薬屋というから所狭しと薬が並んでいるのかと思ったがのう。。そうでもないのう。。」

 

 

確かにそこは薬屋と言うには程遠いエレガントな雰囲気の客間だ。

 

 

しばらくして、アスタルトはカチャカチャと音を立てながらたっぷりと紅茶の入った紅茶ポットと品のいいティーカップを4客、それに砂糖の入ったポットとミルクを可動式の台に載せてやってきた。

 

 

そして一人ずつ丁寧に振る舞った。

 

 

アスタルト「どうぞ。」

 

 

剛本「どうも。」

 

 

ポン太「これはご丁寧に。」

 

 

エルヴィン「頂きまーす!」

 

 

アスタルト「で、今日はどうされましたか?」

 

 

剛本「回りくどいのは苦手なんで、率直に伺います。3年前のE.C255年初頭、44区16番地のセラフィールドに派兵されていた方をどなたか知りませんか?」

 

 

アスタルト「セラフィールド。。。」

 

 

アスタルト「。。。何故そんな事を知りたいんですか?」

 

 

アスタルトの表情がにわかに険しくなる。

 

 

アスタルト「あなたは一体何者ですか?」

 

 

剛本「私は。。。人間です。」

 

 

アスタルト「そうですか。」

 

 

剛本「驚かないんですか?」

 

 

アスタルト「ええ。。大体の状況は分かりました。」

 

 

アスタルト「あなたの事はバアルから聞いています。」

 

 

剛本「お見通しって訳ですか。」

 

 

アスタルト「いえ、こんなに早く来るとは思っていませんでした。」

 

 

剛本「。。。それで、教えてはもらえるんでしょうか?」

 

 

アスタルト「結論から言うとNOです。」

 

 

剛本「理由を聞かせてもらっても?」

 

 

アスタルト「きっとその猫ちゃんの導きなんでしょうね。。」

 

 

剛本「?」

 

 

エルヴィンはアスタルトの方を見ながら紅茶をペロリと舐めた。

 

 

エルヴィン「アツッ。オイラ猫舌なんだよね。。」

 

 

アスタルトはそんなエルヴィンを見てくすっと微笑み

 

 

アスタルト「私がお教えするまでもありません。」

 

 

部屋の奥から声がする。

 

 

アルル「私は当時、イシュタラ軍を率いて魔神軍と共にセラフィールド戦を戦った者だ。」

 

 

そして客間の方に入って来た。

 

 

アルル「私の名はアルル。アルルの街の守護者だ。この薬屋には神殿議会のあった時は必ず立ち寄らせてもらっている。」

 

 

アルル「バアル様が招いてイシュタルの門に認められ、シダーの森の守護者フワワの子弟を連れし人間よ。これもイシュタル様のお導きであろう。」

 

 

アルル「まずはお前の話聞こう。」

 

 

アルル「私の話はそれからじゃ。」

 

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