廃核の海 〜魔族アバターのまま現実世界に放り出された俺と不思議な美少女の物語〜 作:織雪ジッタ
エリドゥの城
そこは城と言うよりは石造りの神殿と言った感じだった。
あたりはひんやりとして、まるで古代の祈りが今も残っているかのようだった。
ギリシャのそれを思わせるその神殿の奥には広い部屋があり、中央を色のついた石が真っ直ぐに奥へ続いていた。
両脇には背の高い燭台が建ち並んでいる。
一番奥には松明が二本あり、更に奥の部屋の入り口が見える。
勿論、灯りは炎ではなく、何かエネルギーの塊の様な物が丸く輝いているのだ。
その決して明るくはない優しい光が尚の事その場所を神秘的に魅せていた。
その入り口を入るとエリドゥを含めた5人の議員達と剛本、そして小狐のポン太がショウを待っていた。
そして議員達は一人ずつショウに自己紹介した。
アルル「私はアルルの街の守護者アルル。イシュタラ軍の将軍の一人じゃ。」
ウル「ウルの街の守護者ウルと申します。」
エリドゥ「このエリドゥの街、通称人魚の里の守護者。エリドゥです。我が城にようこそ。」
ラガシュ「ラガシュの街の守護者。ラガシュだ。」
ウンマ「ウンマの街の守護者。ウンマと言うワン。」
ミネルバ:ワンって言った。。
ミネルバはこういうのに敏感だ。
ショウ「ど、どうも。。何か錚々(そうそう)たる感じですね。。。そんなエライ方々がいったい俺に何のご用でしょうか?」
そして剛本に目が留まる。
ショウ「あれ?確かイ特の。。何でこんな所に?」
ショウが不思議そうにしていると剛本は重い表情で話しかけて来た。
剛本「他守ショウ、お前にふたつ頼みがある。」
ショウ「む、何か態度でかいな。」
ショウ「それが人に物を頼む態度なのか?」
剛本「。。。わ、わかった態度を改めよう。」
剛本は深く頭を下げる。
剛本「この通りだ。」
ショウは素直な剛本に少し驚いたが少しとりつくろってみる。
ショウ「え?あ、あぁ、まぁ分かればいいんだ。。。で?頼みって?」
剛本「一つはこれからこの皆さんが酷いダメージを受ける。それを回復してあげて欲しい。」
ショウ「なんで酷いダメージを受ける?」
剛本「今からこの皆さんが俺に移譲をする。」
ショウ「?」
ショウ「何でこの皆さんが移譲を?」
アルル「人間殲滅作戦を中止させる為じゃ。」
エリドゥ「これしか道がないのです。」
ショウ「ちょっと話が見えなんですが、移譲をしたらどうして人間殲滅作戦てのが中止になるのですか?」
ショウ「これだけの面子が揃っていれば止めれるんじゃないですか?」
剛本「ある男がそれをさせない。」
剛本「そしてイシュタラの法では彼らにその男は殺せないし今の力では勝つことも出来ない。」
剛本「だから俺が殺る。」
ショウは剛本をじっと見る。
ショウ「それで君はいいのか?」
剛本「人間殲滅などさせない。」
ショウ:なんかこの人たち、マジだな。。。
ショウ「んー。。。分かった。もう一つは?」
剛本は突然土下座する。
ショウ「わっ?え?急に何を?」
剛本「この通りだ!必ずナノマシーンウイルス血清剤を完成させてくれ!」
ショウ「な、何で血清剤のために君が土下座なんかするんだ?」
ショウ「訳は聞かないでくれ。血清剤を完成させて、それを隊長に渡してくれれば分る。」
剛本「頼む!」
剛本は床に額を擦りつけた。
ショウ「わ、わかったよ。この後、研究所の方に行く予定だから完成したら分けてもらえるように必ずお願いするよ。だから頭を上げてくれ!」
剛本「感謝する。」
そう言うと起き上がり、5人の議員達の方を向いた。
剛本「宜しくお願い致します。」
議員達は頷く。
アルル「各々方、いくぞ!」
その声をきっかけに、その場の守護者たち全員が眩いばかりに輝き始める。
そして光は剛本を包みこんでさらに輝きを増した。
しばらくして光が収まると全員が苦しそう倒れ込んでいた。
その中で特に酷かったのは剛本だ。
剛本だけは絶叫しながらもがき苦しんだ。
目鼻口耳全てから血を吹き出し、血管は浮き出てミミズが這う様に見えるほどに脈打っていた。
今にも気がおかしくなりそうな声を上げながら地面をのたうち回り、何度も頭を床に打ち付ける。
ショウはあまりの光景に後ずさりした。
ショウ「うわぁぁ。。」
エリドゥ「ゼイゼイ。。どうか回復を。。。」
アルル「ぐわぁぁ!」
ショウ「こ、これが移譲。。」
ショウの後ろにそっと隠れるミネルバ。
すると突然、そこに威圧感のある男の声が響きわたった。
ヤム「そこまでです!」