廃核の海 〜魔族アバターのまま現実世界に放り出された俺と不思議な美少女の物語〜   作:織雪ジッタ

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38話 特別牢2─英雄の条件

イシュタル神殿地下牢

 

 

剛本「。。。人間殲滅は本当に中止するのか?」

 

 

ヤム「ええ。他守ショウが引き続き我々に協力して貰えればと言う条件付きですが。」

 

 

剛本「。。。そうか。」

 

 

剛本「もう一つ聞きたい。」

 

 

ヤム「何でしょう?」

 

 

剛本「サークルアンデッドの作ったナノマシーンウイルスに対する血清剤はどうなったか知りたい。」

 

 

ヤム「何故そんな事を知りたいのですか?」

 

 

ヤム「。。。そうか。。なる程。。」

 

 

剛本「?」

 

 

ヤム「イ特で何かありましたね?イ特内部でナノマシーンウイルスのクラスター感染がおこっている。。とか?」

 

 

剛本「!」

 

 

ヤム「図星ですね。」

 

 

ヤム「然しながら残念な事に未だ血清剤は出来ていません。」

 

 

ヤム「この件もやはり他守ショウの協力が必要な様です。」

 

 

ヤム「我々としては全く歯がゆい限りですがね。」

 

 

ヤム「それを踏まえた上で貴方に提案があります。」

 

 

ヤム「貴方がどの様な目的でここに来て、そして私の暗殺を目論んだかは大体把握しています。」

 

 

剛本はふと薬屋での会話を思い出す。

 

 

剛本「あの薬屋の女か。。」

 

 

ヤム「それについては言及しません。」

 

 

ヤム「そんな事よりも、そもそも君の目的は私と争う為にこの国へ来たのですか?私怨のために。」

 

 

剛本「違う。解り合うためだ。だからイシュタラの門も通れた。」

 

 

ヤム「宜しい。それでは、貴方の当初の目的、これから果たしてみたいとは思いませんか?」

 

 

ヤム「そこの猫もそれが望みなのでしょう?」

 

 

剛本はハッとして顔を上げる。

 

 

エルヴィン「オイラは事なかれ主義なんだよ。」

 

 

剛本「。。。見えていたのか?」

 

 

ヤム「ええ。初めから気付いていましたよ。」

 

 

剛本「人魚の里の神殿では誰も気にかけていないようだったしここに入る時もポン太は止められたがこいつは素通りだった。」

 

 

剛本「まるで他の者には存在自体が認識出来ない様な。。」

 

 

ヤム「そう。その猫は存在していない。」

 

 

剛本「?」

 

 

ヤム「猫よ。お前が剛本と私との時間を共有したという意味を私なりに考えた。」

 

 

ヤム「ならば私にもそれなりの役回りがあるのだろう。」

 

 

エルヴィン「さて?何の事だかオイラにはわからないよ。」

 

 

ヤムはぐらかされてヤレヤレと言った感じでエルヴィンに緩んだ表情を見せた後、再び真剣な面持ちになると剛本の方を向いた。

 

 

ヤム「本題に入ろう。」

 

 

ヤム「人間との停戦をするにあたりイ特に人間の代表となってもらいたい。」

 

 

ヤム「つまり、剛本。君が人間の代表となるのだ。」

 

 

剛本「俺が?区長ではなく?隊長だっているのに?」

 

 

ヤム「そうだ。まず、君が人間の英雄となるのだ。」

 

 

ヤム「イシュタラとの共栄の道を模索するにはまず、君が人の世界を味方につけなさい。」

 

 

剛本「アンタにメリットがあるとは思えないが?」

 

 

ヤム「。。。そうですね。良いでしょう。お話します。」

 

 

ヤム「実は、私はもう長くない。まもなく死を迎えるでしょう。」

 

 

剛本「!?」

 

 

ヤム「無理な捕食と移譲を繰り返したツケが来ましてね。」

 

 

ヤム「私に残された時間でイシュタル様の残されたこの国の未来をいかにより良いものにするか?それを考え、実践する。」

 

 

剛本「。。。」

 

 

ヤム「それが私の望みでしたが、現実は日暮れて道遠し。焦ってイシュタラの民で争う事になる様な愚策を取りました。しかし、あなた方に会ってそれは間違いだと悟りました。」

 

 

ヤム「ならば皆の望むあるべき姿を目指すのが私の成すべき道です。」

 

 

剛本「しかし、なぜ俺が?普通は我が組織の代表、エアバニーが立つべきだ。」

 

 

ヤム「貴方は人で唯一このイシュタラの国に潜入し、この停戦の話を生み出した。」

 

 

ヤム「そして今やティアマトのオーラを纏(まと)い人間最強の存在だ。」

 

 

ヤム「さらにこの後、君はナノマシーンウイルスの血清剤を持ち帰りイ特の救世主となろう。」

 

 

ヤム「これ以上の適任者が他にいるかね?」

 

 

剛本「。。。これは、責任重大だな。。」

 

 

ヤムは剛本を見つめてニヤリとした。

 

 

ヤム「期待していますよ。」

 

 

ヤム「その上で君に頼みたい仕事がある。」

 

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 

 

人魚の里の森

 

 

ショウが目覚めると目の前に人面魚の顔があった。

 

 

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