廃核の海 〜魔族アバターのまま現実世界に放り出された俺と不思議な美少女の物語〜 作:織雪ジッタ
傷だらけのアナトが見える。
あたりはどこか戦場の様な風景だ。
アナト「お前には随分助けられた。」
疲れたようなアナトの表情に思わず駆け寄ろうとするがショウはすぐ自分の体の違和感に気づいた。
ショウ「!?動けない!」
そんなショウをどこか寂しげな目で見つめながらアナトは振り返って背を見せてゆっくりと歩き始める。
アナト「お前は生きろ。」
ショウはその場にはいつくばって去りゆくアナトを見ているしかなかった。
ショウ「待て!待ってくれ!」
ショウ「アナト!」
遠く燃え盛る戦場へ行ってしまうアナトの背中を見ながら涙するショウ
ショウ「待ってくれ。。。お願いだ。。。」
ショウ「アナト!」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ハッと目覚めるとショウは人魚の里の森のモフモフに人面魚の姿のまま沈むように寝そべっていた。
ショウ「夢。。。か。。」
ショウ「ん?」
そしてすぐに目の前にいる異物に気が付いた。
ショウの鼻先数センチの所に不気味な別の人面魚の顔があったのである。
ショウ「うわ!!??」
『それ』は、どこかウットリした様にショウの事を熱い視線で眺めていた。
ショウ「な、何だ!?」
人面魚「ボソボソボソ。。。?」
ショウ「何だお前は??」
ショウの声を聞いてアナトとミネルバも目を覚ます。
ミネルバ「おや?tamoriが2匹いますわ。。」
ショウ「匹って言うなよ!」
アナト「おや?人面魚(ビビアン)ではないか。どうした?」
ショウ:ビビアン?
人面魚(ビビアン)「ボソボソボソボソ、ボソボソボソボソボソボソ」
ショウ「声ちっさ!」
アナト「そうか、ご苦労。」
ショウ「今ので解るのかよ!?」
アナト「私は聴覚も進化させているのでな。」
ショウ「そ、それでこの人面魚はなんなんだ?」
アナト「それはヤムの管轄のイシュタラで今は一応これでも人魚モードだ。」
ショウ「人魚?これが?」
アナト「他守、言っておくがお前も人の事は言えないぞ?というかお前たちそっくりだな。」
ショウ「そっくりって言うなよ。。。ていうか、俺はともかくこいつメロウ達と全然違うじゃないか。。」
アナト「人型がベースで人魚に擬態している者と人魚型がベースで人に擬態している者がいるがこいつは元は人型だ。」
アナト「お前もそうだが人型から人魚になろうとすると稀に魚になろうとし過ぎてこうなる場合がある。」
アナト「まぁ不器用なんだろう。」
ショウ「へぇー。。」
ショウはマジマジと人面魚(ビビアン)を眺めた。
すると、人面魚は頬をポッと赤らめて視線をそらしてアナトに耳打ちした。
人面魚(ビビアン)「ボソボソボソボソ。。」
それを聞いて呆れた様にアナトは人面魚(ビビアン)を見てそれからショウの方を冷たい視線で見た。
ショウ「な、何だよ?何言われたんだよ?」
アナト「人面魚(ビビアン)はお前に一目惚れしたそうだ。」
恥ずかしそうにしながらショウに熱い視線を寄せる人面魚(ビビアン)。
しかし、ショウはひきつった顔で
ショウ「い、いや、そんないきなり言われても。。」
と、後ずさりした。
そんなショウを見てミネルバは
ミネルバ「フッ。。つがいの人面魚とは笑えますわね。」
と蔑んだようにショウに接した。
そしてそんなミネルバを見てアナトはミネルバに違和感を覚えた。
アナト「。。。?」
アナト「ミネルバ。。。お前、何かおかしくないか?」
ミネルバ「何がですの?」
アナト「お前、前はもっと他守にベッタリだったろ?」
ミネルバ「は?冗談じゃございませんわ?」
ミネルバ「私(わたくし)の様な王家の者が冒険者風情に心を寄せるとでも?」
ショウ:うわぁ。。随分な言われ様だな。。
ショウ「いやアナト、確かに以前と変わったけどこっちの方が本来ゲームの中にいたミネルバだよ。」
ショウ「このいちいち癇(かん)に障る物言いは確かにミネルバだ。」
アナト「どういう事だ?」
アナトは何か腑に落ちない感じがした。少し前のミネルバとあまりに雰囲気が違ったからだ。
そこでショウにミネルバの変化について聞く事にした。