廃核の海 〜魔族アバターのまま現実世界に放り出された俺と不思議な美少女の物語〜 作:織雪ジッタ
オンジは気持ち良さそうに寝ている。
しかし、その鼻の穴の中からは赤ん坊らしからぬ極太の鼻毛が数本、モッサリと丸く下にカールしながら伸びていたのだ。
ショウ:こ、これは?
ショウ:ちょっと待て。。落ち着いて考えろ。。
ショウ:コイツ実はおっさんなんじゃないのか?
ショウ:言葉も話してたし、実は中身は体の成長が止まってるおっさんじゃないのか。。?
そうしてしばらく考え込んで、ふとオンジを見るとさっきまで下向きのカールだった鼻毛が今度は上向きのカールになっていた。
固まるショウ。
ショウ:え?
ショウ:この鼻毛、さっき下向きだったような。。?
と、不審に思って食い入る様に鼻毛を見つめていると。。
サワ。。と、なんと鼻毛が動き始めたのだ。
ショウ:!!!!
ショウ:今、動いたよな??
ショウ:まさか、この鼻毛は生きているのか??
たじろぐショウを見てミネルバは理由のわからないようす。
ミネルバ「どうかしましたの?」
ショウ「い、いや。何でもない。。」
ミネルバ「何でもない事はないでしょう?」
とオンジの顔を覗いた。
ミネルバ「。。。特に何もありませんわ。」
ショウ「そ、そんな筈は。。」
ショウが再び見ると今度は鼻毛がなくなっている。
ショウ「あれ?」
ショウ:おかしいな。。?
ミネルバ「どうしましたの?」
ショウ「いや、何でもな。。うっ」
次にショウがオンジに目をやると今度は鼻の穴の中がモゾモゾ動いている。
そしてさらにオンジの鼻の穴の中から声が聞こえてきた。
鼻毛「オンジ、そろそろ起きろ。」
オンジ「うーん。。ミッシェル。。まだ眠い。。」
ショウ:ミ、ミッシェルだと?
ショウは更に愕然とした。
ショウ:こ、こいつ鼻毛に名前つけてるのか?いや!まて!鼻毛が喋ったぞ。。。!?
ここでようやく鼻毛(ミッシェル)に気が付いたミネルバはそれをじっと見つめた。
ミネルバ「。。。」
ミネルバ「tamori、それヤドカリですわよ。」
ショウ「え?ヤドカリ?」
オンジ「うーん。。?あ、ミッシェル、また鼻に入って。。。」
オンジは起き上がると鼻に指を突っ込んでミッシェルを引きずり出した。
ショウ「うお!?」
それは小さな殻のないヤドカリだった。
もちろん言葉を解する所をみるとイシュタラではあるのだろうが見た目にはただのヤドカリに見える。
そして起きたオンジはようやくショウ達に気が付くと
オンジ「あれ?あなたは確か。。他守さん?」
ショウ「あ、ああ。そ、そうだ。」
ショウ「ところでその鼻。。いや、ヤドカリは?」
オンジ「この子はミッシェル。ここで知り合ったんだ。友達!」
ミッシェルはオンジの手に隠れながら
ミッシェル「ど、どうも。はじめまして。」
ショウ「君は何でオンジの鼻の穴の中にいたんだ?」
ミッシェル「は、はい。随分昔にここへ紛れ込んだのですが住んでいた貝殻が割れてしまい。。この辺り貝殻が無くて小さな穴があるとつい入ってしまうのです。」
ショウ「そう言えばこの辺には貝殻がみあたらないな。。」
ショウ「そうだ、ちょっと待って!」
ショウ:錬金素材で何かなかったかな。。?
ショウはコンソールを出してアイテムを確認する。
ショウ:えーっと。。お、これなんかいいかも。
ショウはアイテムリストの中から『うずまき忍者貝の殻』を選択した。
すると丁度ショウの胸の前あたりの空中が黒くなりそこに手を入れると中から小さなオレンジ色の巻き貝の貝殻が出てきた。
ショウはそれをミッシェルの前に置くと
ショウ「こんなので良かったらあげるよ。」
と言って厳(いか)つい顔に赤い目を怪しく光らせた。
ミッシェルはその顔に少しためらいながらもその貝殻の中に入って行った。
ミッシェル「おおお。。これは。。」
ミッシェル「素晴らしいです!ありがとうございます!!」
オンジ「わぁ」
ショウもホッとして
ショウ「それは良かった。」
と頷いた。
ミッシェルはとても気に入った様子でその場をクルクルと回って見せた。
ミネルバは相変わらずつまらなそうに
ミネルバ「そろそろ施設に戻った方が宜しくては?」
と促す。
ショウ「あ、あぁ。そうだったな。」
ショウ「クレピオスさんが呼んでたよ。それからアナトも。」
それを聞いてオンジの表情はパッと明るくなる。
オンジ「アナト来てる?」
ショウ「あぁ。一緒に来たよ。」
オンジ「アナト、会いたい!早く行こう!」
こうしてショウはオンジを連れて診察室へ戻って来た。
スライド式の診察室の扉を開き、オンジはアナトの元に駆寄ると
オンジ「アナト来た!嬉しい!」
と、赤ん坊らしからぬ動きでアナトの周りをぐるぐる回ったり飛び跳ねたりした。
アナト「オンジは随分元気になったな。」
オンジ「うん!この通りだよ!」
と快心の笑顔を見せた。
そこに
クレピオス「早速だがオンジ、そして他守君、二人に頼みたいことがある。」
とクレピオスが切り出して来た。