廃核の海 〜魔族アバターのまま現実世界に放り出された俺と不思議な美少女の物語〜   作:織雪ジッタ

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2話 部屋

ショウ達はテレポトである場所に転移した。

 

テレポトとはファーストアドベンチャー18というVRMMORPGのゲーム内のホームポイントまでワープする事のできる白魔法だ。

 

ゲーム内でのホームポイントは『エッグハウス』と呼ばれるゲーム内での自宅あるいは各都市の拠点だ。

 

では、ゲームの外の現実世界にいるショウのホームポイントとは一体何処(どこ)なのか?

 

なんの事はない、ショウの自宅マンションの自室だった。

 

テレポトによるワープが完了するとショウにとっては見慣れた自分の部屋に久しぶりに戻ってきた事になる。

 

ショウ「あぁー!もう帰ってこれないかと思ったよー!」

 

そう言うと気が抜けたショウは傍目も気にせずにベッドにバタリと倒れ込んだ。

 

ショウ「ふー。。。落ち着く。」

 

対照的にキョロキョロと落ち着かないバアル。

 

バアル「。。。ここは?」

 

ショウ「あぁ、俺んちですよ。」

 

ショウは久々の自分の枕にウットリしたまま答える。

 

アナト「兄様、ここは81区27番地JSOです。」

 

バアル「そうか。。。ありがとう。」

 

バアルにありがとうと言われてアナトは満面の笑みを浮かべる。

 

アナト「いえ、むさ苦しい所で申し訳ありません。」

 

ショウ「おいおい、アナトがむさ苦しいって言うなよぉ」

 

アナト「それにしても相変わらず狭い部屋だな。」

 

ショウ「ふふん、独身男性の一人暮らしってのはこんなもんなんだよっ」

 

ショウ「ふーっやっぱこの枕じゃないとなー。モフモフ(ラスボスの発音)も良かったけど俺にはヤッパリこれだわー」

 

すっかり気の抜けたショウにやれやれといった感じのアナトだったがそれでいて特に不機嫌というわけでもない。

 

アナト「気持ちは分からないでもないが、あまり気を抜きすぎるなよ。休戦協定が結ばれるまではここは敵地だ。」

 

アナトらしい厳しくも思いやりを感じる言葉をかける。

 

それに比べてミネルバは。。

 

ミネルバ「まったく、汚くて座るのも汚らわしいですわ。」

 

と、ため息混じりに不快感を顕にしていた。

 

ショウ「。。。お前マジで失礼だな。」

 

ミネルバ「何がですの?」

 

ショウ「もういいよ、チクショウ。」

 

ショウ:ホント極端だな。。。確かにゲームのNPCだった頃のミネルバそのんまだけど。。。前のミネルバは前のミネルバで無茶苦茶だったけどこれはこれでなぁ。。。

 

エルヴィン「なあ!冷蔵庫のミルクからチーズの臭いするぞ!」

 

ショウ「勝手に開けんじゃねーよ!」

 

ショウ「だいたいそのちっこい体でどうやって開けたんだ?」

 

「ぎょぎょ?」

 

エルヴィン「ちっこい言うなよ!そういう時は可愛いって言うんだよ!」

 

ショウ「自分で可愛いとか言うなよぉ。どっちかって言うと化け猫とか妖怪系の類(たぐい)だろ?」

 

エルヴィン「うぉい!オイラそんな扱い受けたことないぞ!なんて言い草だ!」

 

アナト「まあそう揉めるな、取り敢えず落ち着いてこの後の行動を決めたいのだが、この部屋にこの人数では少し狭いな。」

 

バアル「それならこの近くにイシュタラの秘密基地がある。そちらに移動しないか?」

 

エルヴィン「賛成!オイラの研ぎ澄まされた嗅覚ではここの悪臭は耐えられないよ!」

 

ショウはそんなエルヴィンの嫌味にムッとしながらもムクリと起きる。

 

ショウ「そんなの近くにあったんだ。知らなかった。。。」

 

アナト「そうだ。だから私は他守の覚醒にすぐ気が付いたんだ。」

 

ショウ「そうだったのかぁ。でも、あの時はただゲームにログインしただけだったのにどうしてこうなったんだろう?ゲーム自体は昔さんざんやってたけどその頃は何ともなかったのに。。。」

 

アナト「さあな、他にもあのゲームからの適合者はいたが他守ほどの適合者はいなかった。ティアマトのリンクの覚醒があったこと自体、他に例はないと思う。」

 

アナト「他守、お前については本当に分からない事だらけだ。」

 

ショウ「だから調べに行くんだろ?」

 

アナト「そうだな。取り敢えずイシュタラの前線基地の方に行くか?あそこなら広いし全員のプライベートも確保できる。」

 

ショウ「そうだな。。。」

 

ショウはちらりとミネルバを見る。

 

ショウ「あ、ちょっと!その前にトイレ!ミネルバついて来て!」

 

ミネルバ「な!?なんでわたくしが!?」

 

ショウ「だってしょうがないじゃないか。離れられないんだから。」

 

ミネルバ「はぁ!?冗談じゃないですわ!それなら一度召喚を解いて下さる!?」

 

ショウ「あぁ、そうか。じゃあ。。。」

 

ショウはそう言うと視界にあるコントロールパネルから『マスク』を選択。

 

すると『マスク』一覧が出る。

 

『マスク』とはファーストアドベンチャー18のゲーム内で呼び出し可能なNPCでソロプレイやパーティーメンバーの欠員補助で使われる機能だ。

 

 

トリル 王子 ナイト 戦士

シャンプー 大魔法使い 黒 白

ミネルバ 姫 召喚士 白【PT】

影丸 忍者 忍者 戦士

ゾーム 魔王 ???

 

 

ミネルバの所が【PT】とパーティー中の印がついている。

 

ショウがミネルバのナマエをタップするとミネルバの体は光に包まれて姿が消えた。

 

『マスク』の呼び出しを解いたのだ。

 

ショウ「なーんてね。俺はトイレなんて行かないって言うか行けないんだよね。」

 

アナト「な、何をしたんだ?ミネルバはどこへ消えた?」

 

ショウ「あぁ、元いた場所に一旦帰しただけだよ。」

 

アナト「??。。どうしてミネルバを戻したんだ?」

 

ショウ「うん、ちょっとね。それよりこういう時はこいつだ。」

 

そう言うと、ショウはそのまま『影丸』の名前をタップした。

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