廃核の海 〜魔族アバターのまま現実世界に放り出された俺と不思議な美少女の物語〜 作:織雪ジッタ
ミネルバを強引に下げたショウは次にある試みをして影丸を呼び出す事にした。
それは呼び出す際のショウの脳内イメージがそのキャラクターにどう影響するかという検証だ。
マスク『影丸』を呼び出す際にファーストアドベンチャー18とは全く別のとある格闘ゲームの事を考えながら呼び出すとどうなるのか、といったものだ。
そうしてショウはとあるその格闘ゲームを頭の中でイメージした。
ショウ「影丸!出てこい!」
その声と共にミネルバが現れる時と同じ視覚効果が起動する。
しかし、今回光に包まれて出てきたのは黒い頭巾を被り、おでこには鉄の額当てをし、全身黒ずくめの出で立ちをし、ピンと伸びた背筋に両手は印を結んだ状態の男だった。
影丸「南無阿ー!」
ショウ:なむあーだと!?やっぱりそうか!
顔を覆う頭巾からは目しか露出していないものの、その表情はいかにも硬派な雰囲気で、強靭な精神を感じさせる眼光をしている。
その『忍者』は着地してすぐにくるりと後ろ宙返りすると決め台詞を言い放った。
影丸「修行の成果、見せてあげるわ!」
さらにカンフーの型の様なポーズをとってもう一言。
影丸「ケガしても、知らなんだからね!」
なんだか少女っぽい。
しかし影丸の表情に迷いはない。
自信に満ち溢れた小生意気な少女の様な口調だが、やはり厳ついおっさんだ。
しかしそのセリフはファーストアドベンチャー18のものではなくその『とある格闘ゲーム』のものだった。
まさに、ショウのよくやっていた格闘ゲームのカンフー使いの女の子、チュンチュンのセリフだ。
ショウ:おい!そのセリフはそっち(チュンチュン)のか!
全員「。。。。」
とてつもない違和感が部屋を包んだ。
アナト「。。。ちょっといいか?」
ショウ「うん。言いたいことは分かるよ。でも、これでいいんだ。」
アナト「いや、違うんだ。」
ショウ「どうした?」
アナト「あれって、ひょっとして忍者か?」
ショウ「うん。ちょっと出す時に壊れちゃったけど忍者だよ。」
アナト「そ、そうか。。。」
ショウ:?
アナトの表情が明らかにテンションが上がっている。
アナト「なあ、あれって忍法とか使えるのか?」
ショウ「へ?」
アナト「忍者ってあれだな。ちょっとイメージと違う喋り方だな。」
ショウ「い、いや。。。あれは。。。」
アナト「そうか、もしやあれは我らを欺いているのか。。。」
ショウ「え?いや、そういう訳じゃ。。。」
アナト「そうかぁ。。そうだな。魔法使いが出せたんだ。忍者も出せて当然だな。」
ショウ「どうしたの?アナト、ひょっとして忍者が好きなの?」
アナトはギクリとする。
アナト「え!?いや!そんなことはないぞ!ただ気になっただけだ!」
バアル「母の父方が81区系だった事もあってアナトは小さい頃からサムライや忍者が好きでね。よく物語を読んで二人で想像してごっこ遊びをしたものだよ。」
アナト「に、兄様!」
ショウ「そ、そうなんすか。意外ですね。。」
アナト「他守!か、勘違いするな!小さい頃の話だ!い、今はそれほどでもないんだからなっ」
そう言いつつもアナトは顔が真っ赤だった。
ショウ:アナト。。。可愛い所もあるじゃないか。。。(笑)
ショウ「アナトの母さんかぁ。イシュタラの国を作った人だよね?あんな国を作れるんだもん凄い能力を持った人だったんだね。へぇ〜81区系の人だったんだ。」
アナト「ああ、既に没落したそうだが81区の旧王族と964区の旧王族を祖先に持つそうだ。」
ショウ「へぇー、じゃあ元々お姫様だったんだ。」
アナトは少し照れながら
アナト「まあな、むかし母様はよく81区の話をしてくれた。それもあって私や兄様はこの区を出来れば滅ぼしたくはなかったんだ。」
ショウ「そうなんだ。」
アナト「エアバニーとの出会いは我ら兄妹にとっても渡りに船だったんだ。」
バアル「そうだね。彼の登場でこの地の侵攻に待ったをかけられたからね。」
ショウ「エアバニーかぁ。。。81区じゃ世界で初めてイシュタラの侵攻を防いだって英雄扱いだけど、実際はイシュタラとじゃ力の差は歴然だもんなぁ。アナト達が退いてくれてホント良かったよ。」
アナト「まぁ、そういう訳だ。ところで他守、この忍者はこの後どうするんだ?」
ショウはチラリと影丸を見る。
影丸「なんなりと。」
影丸は片膝をつく。
影丸「遠慮は、しはらんといてごめんやしておくれやす。」
ショウ「。。。うん。」
ショウ:なんか変なのも混ざってるな。。。
ショウ「まず、偵察を頼む。81区の事、イ特の事、この近所の事、それから僕が壊したサークルアンデッドの建物の事、剛本の事、コチンダさんの事、それから。。。」
しかし、ショウがまだ話している最中に影丸は無言で巻物を取り出して広げ始めた。
アナト:おお。。。巻物か!
ショウ「ん?」
影丸「かたじけない、メモするのでもう一回お願いいたしまする。」
ショウ「あ、ゴメン長すぎた?」
影丸はゆっくりとうなずく低い声でこう言った。
影丸「何でも忍法や気合で解決できる訳じゃないのよ。」
ショウの顔が引きつる。
ショウ「そんな事を自信満々で忍者が言うなよ。。。」