廃核の海 〜魔族アバターのまま現実世界に放り出された俺と不思議な美少女の物語〜   作:織雪ジッタ

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6話 空蝉の術

アナトは言われるままにショウの肩に手を触れようとした。

 

するとアナトの手はショウの体をスルリとすり抜けた。

 

一瞬デジタル映像が崩れるかのようなノイズと共にアナトの手が通った部分にノイズが走るがすぐに見た目はきれいに元通りとなる。

 

これを見てアナトは言葉を失った。

 

アナト「!?」

 

バアル「ほぉ。。。」

 

エルヴィン「何それ?どういう仕組み?」

 

ショウ「どういう仕組みって言われると困るんだけど空蝉(うつせみ)の術っていう術だよ。」

 

エルヴィン「ふーん。。。」

 

エルヴィンもピョンとショウの肩に乗ろうと飛びつくがやはり同じようにすり抜けてしまう。

 

エルヴィン「なんだよコレ?まるっきり触った感覚がないぞ?幻影なの?」

 

ショウ「幻影じゃないよ!」

 

ショウはエルヴィンの鼻を軽くデコピンで弾く。

 

すると、今度はちゃんと当たってエルヴィンの鼻がパチンとなった。

 

エルヴィン「わっ!何だよやっぱり本物か!?」

 

ショウからの接触はちゃんと出来るようだ。

 

ショウ「フフフ、凄いだろ?これが効いてる間は敵の攻撃が完全無効になるのさー」

 

アナト「ほぉぉ。。。」

 

アナトはもう一度ショウに触れてみるがやはり何の感触もなくすり抜けてしまう。

 

アナト「すごいな、何故これをサークルアンデッドの地下での戦いに使わなかったのだ?」

 

ショウ「ハハハ。。。実はこれそんなに長持ちしないんだよね。。。それにあそこ(地下10階)じゃ何たらウィルスのせいでジョブチェンジ出来なかったし。。。」

 

アナト「何たらウィルスってナノマシーンウィルスのことか?確かに、あれにはしてやられたな。」

 

バアル「ふむ、ナノマシーンウィルスか。。。」

 

バアルは真顔で少し考え込む。

 

アナト「兄様?どうかしましたか?」

 

バアル「いや、何でも無いよ。それより他守君、早くその店で用事を済ませてくるといい。」

 

ショウ「え?あ、そうだった!ニュースエージェントに行くんだった!すっかり忘れてましたよ。」

 

エルヴィン「ホント抜けてるよなあ?育ちが悪いとこうも抜けた奴になるのか。」

 

エルヴィンはやれやれといった感じでショウを見ながらため息をつく。

 

ショウ「失礼な!どう言う意味だよ!?育ちがどうとかお前に関係ないだろ!?ふぬー!」

 

アナト「ケンカするな。それより私もその店に同行してもいいか?」

 

ショウ「いいけど。。。なーんにも良いもの売ってないホンーット大したことない店だよ?」

 

アナト「ああ、構わない。」

 

ショウ「そうか。。。分かった。じゃあ一緒に行こうか。」

 

アナトは黙ってうなずいてショウに付いて行った。

 

 

それを見送るエルヴィンとバアル。

 

エルヴィン「あの二人、仲良しだな。」

 

バアル「え?あぁ、そうかな?」

 

エルヴィン「アナトはショウの事が好きなのか?」

 

唐突なエルヴィンの言葉にバアルは困惑する。

 

バアル「え!?さ、さあ。。。?そうなのかい?」

 

エルヴィン「絶対そうだよ。バアルは止めないのかい?」

 

バアル「?」

 

キョトンとするバアルを気にするでもなくエルヴィンは何か切羽詰まった様な仕草を見せる。

 

くるくると同じところを行ったり来たりしながら落ち着かない様子だ。

 

エルヴィン「何としてもジャマしないと。」

 

バアル「べ、別に良いんじゃないかな?他守君は悪い人間には見えないし。。。」

 

エルヴィン「ダメさ!」

 

バアル「。。。?どうして?」

 

エルヴィン「どうしても!」

 

バアル「うーん。。。理由は教えてくれないのかい?」

 

エルヴィン「そのうちね。」

 

バアル「ふむ。」

 

バアルはそれ以上はエルヴィンに尋ねなかった。

 

それよりも急に何か切ない様な悲しいような不思議な気持ちになった。

 

空蝉(うつせみ)とはセミの抜け殻のことを言う。長い時を地中で過ごし、抜け殻から出たセミの余生は短く儚(はかな)い。

 

バアルはショウの事がなんとなくそんな儚い存在に思えて仕方がなかった。

 

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