恋恋高校に高性能なパワプロくんが入学しました 作:肌がキレるティッシュ
〜合宿2日目・朝ごはん会場〜
あおい(……な、なんだろ。ほとんど寝られなかった……)
昨夜のことが、何度も頭の中をぐるぐる回っていた。
パワプロ「お、あおいちゃん!おはよう!」
あおい「……オ、オハヨウ」
声が、少しだけ上ずった。
パワプロ「この合宿所、ご飯もおいしいね!」
パワプロ「はるかちゃんが選んでくれたところで正解だったよ!」
はるか「ふふふ。喜んでもらえて良かったです」
にこやかに微笑むはるかの隣で、あおいは立ち尽くしていた。
パワプロ「ところであおいちゃん、なんで突っ立ってるの?」
パワプロ「ほら、ここ座りなよ」
パワプロはそう言って、隣の席を軽くポンポンと叩く。
あおい「……ウ、ウン……」
腰を下ろしはしたものの、視線が落ち着かない。
あおい(……なんだろ)
あおい(パワプロくんと、何を話せばいいのか分からない……)
パワプロ「……あおいちゃん、大丈夫?もしかして、疲れ取れてない?」
そう言って、少し身を乗り出して顔を覗き込んでくる。
あおい「うわっ!?だ、だいじょうぶだよ!」
一歩引いて、慌てて首を振る。
あおい「ボ、ボク……今日の朝ごはんはなしでいいや!」
あおいはそのまま、逃げるように会場を後にした。
パワプロ「えっ!?」
パワプロ「あおいちゃん……大丈夫かな?」
はるか「そうですね……。少し、心配です」
はるか(あおい……やっぱり、昨日のこと……)
〜合宿所のグラウンド〜
まだ誰もいない、静かなグラウンド。
朝の空気は少し冷たく、土の匂いが濃い。
あおいは一人、黙々とストレッチをしていた。
あおい(……よし)
あおい(こういう、気分が落ち着かないときは……)
あおい(体を動かして、忘れるのが一番)
……ぐぅ。
あおい「……」
あおい(……と思ったら、おなか減ってきた……)
あおい(朝ごはん、ちゃんと食べればよかったなぁ……)
パワプロ「あおいちゃん?」
あおい「うわっ!?」
振り向くと、そこにはパワプロが立っていた。
あおい「び、びっくりした!」
あおい「ど、どうしたの? まだ練習には早いよ!?」
パワプロ「それはこっちのセリフだよ」
苦笑しながら近づいてくる。
パワプロ「朝ごはんも食べないで練習したら、体壊すよ?」
あおい「あはは……実は……おなか減ってきたかも」
パワプロ「え、ほんと!?」
一瞬、心配そうだった顔が、ぱっと明るくなる。
パワプロ「それなら良かった!」
あおい「……え?」
パワプロ「実はさ」
パワプロ「朝ごはん会場で、あおいちゃんの分もって思って」
パワプロ「おにぎり作ってきたんだ」
パワプロ「食べるかなーって」
軽くウインク。
あおい「……え……」
一瞬、言葉が出なかった。
あおい「……あ、ありがとう……」
パワプロ「じゃあ、あっちの日陰で食べようよ」
あおい「……うん。そうだね」
〜グラウンドの日陰〜
あおい(……結局、パワプロくんと二人だ)
パワプロ「はい!」
パワプロ「これ、俺特製のおにぎりね!」
パワプロ「野球ボールをイメージしました!」
あおい「……うん……ありがとう……」
パワプロ「……やっぱり、元気ないね」
パワプロ「普段ならさ。『それ、ただ丸いだけじゃん!』ってツッコミが来るのに」
あおい(……ツッコミなら、悩んでるのはパワプロくんのせいだって言いたいよ……)
パワプロ「……本当に大丈夫?」
あおい「……心配してくれて、ありがとう」
あおい「でもね、ボクは本当に大丈夫だよ」
あおい「これ食べたら、元気出して練習するから!」
パワプロ「……そっか」
少しだけ、安心したように笑う。
パワプロ「もし何かあったら、ちゃんと言ってね」
パワプロ「あおいちゃんのためなら、俺、何でもするから!」
あおい「……!」
胸が、少しだけ強く鳴った。
パワプロ「じゃあ、俺は今日の練習の準備してくるよ」
パワプロ「あおいちゃんは、ここでゆっくり食べてから来てね!」
そう言って、用具入れの方へ走っていく。
あおい(……パワプロくん……)
あおい(やっぱり、優しいな……)
あおい(それに……)
あおい(ボクのこと、ちゃんと見てくれてるんだ……)
〜合宿2日目・練習終了後〜
パワプロ「よしっ!」
パワプロ「今日は少し早めだけど、ここまでにしよう!」
パワプロ「早めに夕食に行こうか!」
部員たち「おおお!?」
矢部「今日はどういう風の吹き回しでやんすか!?」
パワプロ「実はさ……」
パワプロ「今日の夜、みんなで花火をしようと思ってね!」
パワプロ「はるかちゃんと一緒に、買い出しで用意しておいたんだ」
パワプロ「ね、はるかちゃん!」
はるか「はい。たくさんありますから……」
はるか「皆さんで楽しみましょう」
部員たち「やったぁー!!!」
はるか「あと、スイカもあります」
部員たち「うぉおおおお!!!」
あおい(……花火にスイカ・・・ちょっと楽しみかも・・・)
〜合宿2日目・夜/合宿所の庭〜
夕食後、合宿所の庭に部員たちが集まった。
全員ジャージ姿で、手には花火の袋。
加藤先生「いい? 火の扱いは気をつけなさい」
加藤先生「ふざけない、終わった花火はバケツに入れる。分かった?」
部員たち「はーい!」
パワプロ「よーし!安全第一で思いっきり楽しもう!」
パチパチと光が弾けて、庭が一瞬ずつ明るくなる。
笑い声が飛び交い、時間だけがどんどん溶けていった。
はるか「スイカ、切りましたよ」
部員たち「うぉおおおお!!!」
〜花火、終わり際〜
最後は線香花火。
みんなが一本ずつ受け取って、火をもらい合う。
あおいも線香花火に火をつけた。
小さな火玉が、静かに揺れる。
あおい(……)
気づけば、考え込んでいた。
昼の練習で見た、パワプロの本気の姿勢。
誰よりも真剣で、誰よりもチームのことを考えていて。
それなのに、ふっとした瞬間は子どもみたいに笑う。
さらに朝。
ボクを気遣っておにぎりを渡してくれた。
あおい(……優しかった)
火玉が、パチ…パチ…と小さく弾ける。
あおい(……なんでだろ)
あおい(胸が、落ち着かない)
〜パワプロ、あおいの隣へ〜
パワプロ「あおいちゃん」
あおい「……っ、パワプロくん」
パワプロは気づけば、隣にしゃがみ込んでいた。
パワプロも線香花火に火をつける。
パワプロ「……線香花火って、なんかいいよね」
あおい「……うん」
パワプロ「俺さ、この学校に来て本当に良かったって思うんだ」
あおい「……え?」
パワプロ「あおいちゃんがいてくれたから」
パワプロ「すごく練習熱心で、投手としても凄くて」
パワプロ「勝つためにキャッチャーの練習までしてくれて」
あおい「……っ」
パワプロ「それになにより――」
パワプロ「あおいちゃんと一緒に練習してると、俺すごく楽しいんだ!」
パワプロ「だから、これからもよろしくね!」
あおい「……うん」
あおい(……)
あおい(……この人、照れないんだ)
あおい(こんなにまっすぐ……)
パワプロ「……あおいちゃん、覚えてる?」
あおい「……なにを?」
パワプロ「ほら!前にプリクラ撮った時にも書いた俺の目標」
あおいの頭に、すぐ浮かぶ。
写真に勢いよく書かれていた文字。
――『あおいちゃん、絶対 甲子園優勝しようね!』
パワプロ「あおいちゃん、絶対、甲子園優勝しようね!」
そして、すとん、と落ちた。
あおい(……ああ、ボク)
あおい(パワプロくんのこと、好きなんだ)
線香花火の火玉が、小さく震える。
あおい「……ねえ、パワプロくんってさ」
パワプロ「ん?」
あおい「ボクのこと……どう思ってるの?」
パワプロは迷わず即答した。
パワプロ「え?さっきも言ったでしょ」
パワプロ「あおいちゃんは最高の野球仲間だよ!」
あおい「……そうだよね!」
あおい(そっか……)
あおい(やっぱり、これは片思いだ)
あおい(初恋だって気づいた瞬間に振られてる)
あおい(……つらい恋だなぁ)
あおい「……うん!」
あおい「ボクにとってもパワプロくんは最高の野球仲間だよ!」
でも、決める。
顔には出さない。
あおい(この気持ちは抑える。忘れる)
あおい(ボクは野球をして、チームで勝つ)
あおい(……恋は、はるかに任せる)
火玉が、最後にぱっと弾けて――消えた。
あおいは無理に明るくして、話題を変えた。
あおい「あー!パワプロくん!」
あおい「スイカの汁でめちゃくちゃジャージ汚れてるよ!」
パワプロ「え……マジ!?うわぁ……」
パワプロ「うーん……でも大丈夫!」
あおい「何が?」
パワプロ「明日ヘッドスライディングすれば分からなくなるよ!」
あおい「うわぁ……」
あおい「ヘッドスライディングの使い方、完全に間違ってる……」
パワプロ「あはは!」
あおいも笑う。
ちゃんと笑えている気がした。
少し離れたところ。
庭の端で、はるかがバケツの近くに立っていた。
はるかは、そっと二人を見る。
並んでしゃがみ、線香花火をして笑っている姿。
はるか(……)
胸の奥が、ほんの少しだけきゅっとする。
でも、それを隠すみたいに、はるかは小さく息を吐いた。
はるか(私も、頑張らないと)
~合宿最終日~
加藤先生「はいはーい!」
加藤先生「合宿最終日は恒例の完全オフよ!
加藤先生「練習は一切なし!」
矢部「いやっほおでやんす! 天国でやんす~!」
パワプロ「ということは……やっぱり海だよね!」
部員たち「うおおおおおお!!」
一気に歓声が弾け、部員たちは我先にと砂浜へ駆け出していった。
しかしその中で、あおいとはるかだけは相変わらずパーカー姿のまま、パラソルの下に残っていた。
あおい「みんな、思いっきり楽しんできなよ。ボクはここでのんびりしてるからさ」
はるか「私も……皆さんが楽しんでいるのを見るだけで十分です。どうぞ行ってきてください」
矢部「仕方ないでやんすね……」
部員「よっしゃー! 遊ぶぞー!」
パワプロ「よーし、まずは砂浜ダッシュだ!」
矢部「それは休養じゃないでやんす……」
そうして、あおいとはるかを除いた全員が、海へと消えていった。
波の音と、遠くから聞こえる笑い声だけが、静かにパラソルの下に流れてくる。
しばらくして、はるかがぽつりと口を開いた。
はるか「あおい……ひとつ、聞いてもいい?」
あおい「え? うん、なに?」
はるか「合宿初日に、あおいはパワプロさんのことが好きかって聞いたよね」
はるか「……あれから、気持ちは変わっていない?」
はるか「私には……あおいも、パワプロさんを好きなんじゃないかって、どうしても思えて……」
あおい「……正直ね、これまではあんまりちゃんと考えたことなかったんだ」
あおい「でも、昨日ずっと考えてみたんだよ」
あおいは少し視線を落とし、波打ち際を見つめながら続ける。
あおい「結論から言うと……やっぱり、ボクはパワプロくんを恋愛的に好きなわけじゃない」
あおい「だからさ……はるかの恋、応援したいと思ってる」
あおい「本当に、そう思ってるよ」
あおい(……これでいい)
はるか「あおい……それ、本当?」
あおい「うん。本当だよ」
あおい「そもそも、恋愛とか……今のボクにはまだよく分からないし」
あおい「それより今は、このチームで勝ちたい。それだけなんだ」
そう言って、あおいはいつも通りの、明るい笑顔を浮かべた。
あおい(ボクの、パワプロくんを好きだった気持ちは……全部、忘れる)
はるか「……そっか」
はるか「うん……わかった」
はるか「私、頑張ってみるね」
その言葉に、あおいは小さくうなずいた。
二人は並んで腰を下ろし、海ではしゃぐ部員たちの姿を、ただ静かに眺めていた。
楽しげな笑い声が、潮風に乗って、いつまでも耳に残っていた。
そして、しばらくして——
砂浜の向こうから、息を切らした二人が全力疾走で近づいてきた。
パワプロ「あおいちゃん! はるかちゃん!」
矢部「ちょ、ちょっと待つでやんす~!」
パワプロ「あのさ! 矢部くんがとんでもない変化球の極意を発見したんだよ!」
はるか「変化球の……極意、ですか?」
あおい「え~? 絶対うそでしょ……」
矢部「いや、オイラも何の話をされているのか全く分からないでやんす!」
あおい「で、その変化球の極意って、結局なんなの?」
パワプロ「あおいちゃん!まずは落ち着いて聞いてほしい!深呼吸しよう!一回、深呼吸!」
あおい「いや、落ち着いてるけど……」
矢部「まずパワプロくんが落ち着くべきでやんす!」
パワプロ「俺とあおいちゃんで、ずっとシンカー強化の方法を研究してきたよね?」
パワプロ「でも、どうしても足りなかった最後のピースが……この海にあったんだ!」
矢部「いや、オイラは貝殻を海に投げて、水切りして遊んでただけでやんすよ?」
パワプロ「それだよ!!」
矢部「え?」
パワプロ「水切りってさ、自然とアンダースローになるよね?」
パワプロ「しかも、手首のスナップを効かせて強烈な回転をかける!すると水面で跳ねて方向がかわる」
あおい「……それって、ひょっとして……」
パワプロ「そう! シンカーを完成させるための、最後のヒントなんじゃないかな!?」
あおい「で、でも……肝心の『水』がないよ!?」
パワプロ「そこが唯一の問題なんだよ……」
パワプロ「……でも、なんとかなりそうな気がしてて……」
パワプロ「はるかちゃん、どう思う?」
はるか「……!!」
はるか「ひょっとして……空気中の酸素と水素を、ボールの特殊回転で結合させて、水を発生させる……とかですか?」
パワプロ「それだ!!!」
あおい「……たしかに」
あおい「それができれば……シンカーを、ストレート並みの速度で……打者の手前で、鋭く落とせるかもしれない……」
パワプロ「ね!」
矢部「何が『たしかに』で、何が『ね!』なのかわからないでやんす……」
矢部「やべぇやつらでやんす……」
パワプロ「あおいちゃん! はるかちゃん! 矢部くん!」
パワプロ「今すぐ合宿所のグラウンドに戻ろう!」
矢部「いや、今日は完全オフでやんすよ!?オイラは海で遊ぶでやんす!」
あおい「いいから来る!」ギロリ
矢部「マジでやべぇ奴らでやんす!」
パワプロ「加藤先生! 俺たち、グラウンド戻ります!」
加藤先生「えっ!?ちょっと……!って、もう行ってるし!」
~合宿所のグラウンド~
パワプロ「よし、みんな着替えたね!」
パワプロ「あおいちゃんはピッチャー! はるかちゃんは特殊回転の確認! 俺はキャッチャー!」
矢部「オイラは何をすればいいでやんす?」
パワプロ「うーん……矢部くんは、応援してて!」
矢部「雑でやんす!?」
あおい「……よし、いくよ」
あおい「いつものアンダースローを……水切りのイメージで」
あおい「手首のスナップを最大限効かせて……」
あおい「水素と酸素を結合させる特殊回転を……!」
あおいは、鋭く腕を振り抜いた。
シュッ!
パシャ……
クイッ!
パワプロ「おおっ!?」
パワプロ「すごい……! 本当に水切りみたいに、水が生まれて曲がってる!」
はるか「……ですが、まだ水分量が足りません」
はるか「おそらく、特殊回転が完全ではないかと……」
あおい「……よし」
あおい「次は、もっと強くイメージする……!」
あおい「ガンガンいくよ!」
パワプロ「よし、こい!」
——そして。
パシャアッ!!
パワプロ「……!」
パワプロ「こ、これだ……!」
パワプロ「すごいスピード……すごいキレだよ、あおいちゃん!」
あおい「はぁ……はぁ……」
あおい「……ついに、できた……!」
はるか「……完璧です」
はるか「理論上、想定していた理想の特殊回転でした……」
矢部「……終わったでやんすか?」
パワプロ「いや、まだだよ矢部くん」
パワプロ「次は打者目線の確認だね」
はるか「変化の見え方、初見の体感……」
はるか「データにするなら必要です」
矢部「えっ、ちょっと待つでやんす!?」
矢部「オイラで試す気でやんすか!?」
矢部「暴投デッドとかないでやんすか!?」
パワプロ「当てないよ! ミットに投げるよ!」
パワプロ「ただ……矢部くんが打席に立ってくれると、あおいちゃんもイメージしやすいからさ」
あおいはボールを軽く握り直し、矢部を見た。さっきまでの息の上がりも、もう落ち着いている。目だけが、静かに燃えていた。
あおい「……何をぼーっとしてるの?」
あおい「早く打席に入ってよ矢部くん」
あおい「当てないからさ」
矢部「言い方が怖いでやんす!」
矢部は渋々、バットを持って打席に入った。
足元の土をならしながら、顔は引きつっている。
矢部「言っとくでやんすけど……」
矢部「オイラ、今日は完全オフのはずでやんすからね……!」
パワプロ「オフだよ! 自主的にやってるだけ!」
矢部「オイラは強制でやんす!」
はるか「矢部さん、お願いします。これはチームのためです」
矢部「はるかちゃんに真顔で言われると断れないでやんす~!」
パワプロはミットを構え、声をかけた。
パワプロ「あおいちゃん、全力でいい。矢部くんには……当てないから!」
矢部「繰り返し言われると逆に不安でやんす!」
あおい「じゃあ……いくよ」
矢部はごくりと唾を飲み、バットを構えた。
その瞬間、あおいのフォームが一段階、研ぎ澄まされる。
——シュッ!
ボールが消えたように見えた。
矢部「……えっでやんす?」
次の瞬間。
パシャッ!!
空中で水しぶきが弾けたように見え、白球は矢部の目の前で一気に沈み込む。
ブンッ!
矢部のバットは、あり得ないほど空を切った。
矢部「うわああでやんす!?」
パワプロ「ナイスボール!」
はるか「……今のは完璧です!落ち始める地点が、打者の反応の限界でした」
矢部はバットを支えにしながら、膝をガクガクさせて振り返った。
矢部「マジで、すごいスピードとキレでやんす……!」
矢部「こんなの……絶対打てないでやんす……!」
パワプロ「だよね……!」
パワプロは興奮したまま、あおいとはるかと顔を見合わせる。
パワプロ「このオリジナル変化球、名前がいるよ!」
はるか「海で見つけたヒントで生まれた球……水しぶきのような特殊回転……」
あおい「……マリンって感じだね」
パワプロ「よし、決まり!」
パワプロ「この新球種の名前は……」
パワプロ・あおい・はるか「マリンボール!」
はるか「良い名前です!印象に残ります」
矢部「まじで、オイラの寿命が縮んだでやんす!」
あおいは小さく笑い、もう一球ボールを握った。
あおい「矢部くん、もう一回」
矢部「まだやるでやんすか!?」
あおい「絶対打てないって言ったよね? だったら本当に打てないか確認しないと」
矢部「理不尽でやんすーー!!」
合宿は、地獄みたいにキツかった練習の先に、最後の最後で生まれた切り札。
新球種——マリンボール。
チームの誰もがそれを見て、確信していた。
この合宿で、自分たちは確かに強くなった、と。
そして――――
加藤先生「……で? 完全オフの日にグラウンドで何してたの?」
パワプロたち「…………」
合宿は、最高の成果と、ちょっとした説教をお土産にして——幕を閉じた。
矢部(どうしてオイラまででやんすーーーー!!)
―― 能力データ ――
早川あおい
【球速】135km/h
【コントロール】155B
【スタミナ】85D
【変化球】カーブ2/シンカー3/マリンボール4