パラダイス・ロスト another   作:りんしゃおりん

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最後まで読んでいただけると幸いです。感想とかこうやって書いたら書きやすいよなどのアドバイスも貰えると幸いです。


エピソード0

2003年 日本

 

 街の電力はほとんど落とされていた。

 黒い箱のようなビル群の中で、一社だけが光を独占している。

 そこでは何百という窓が耐えることなく白く輝き、社員たちの影が無数に行き来していた。

 

SMART BRAIN(スマート ブレイン)

 日本の首都東京に位置するその企業は、街頭アンケートで「あなたが思う、最も有名な企業は?」と尋ねられたら、必ず上位に組み込む程の知名度を誇る企業であり、テレビをつけチャンネルを回せばその殆どにCMが流れる日本随一と言って良いほどの大企業だ。

 しかしCMで流れる商品はどこにも売られてなく見かけることも少ない。その為、商品は高額かつ希少であり、その少なさから一部のネットでは「そもそも売られていないのでは?」や「CMはただのイメージ戦略のためのものだ」等と噂されている謎に包まれた場所でもある。

 

 そしてその企業の中枢、スマートブレイン本社の中でも社長室と呼ばれる場所では1人の黒いスーツを着た男が黒いレザーの椅子に足を組みながら座り,5名の役員達に対して冷たい怒りを出していた。

「貴女方はいったい何をしていたのですか。」

 スマートブレインの社長である村上峡児(むらかみきょうじ)は静まった部屋の中で静かに声を響かせ、人間であればその場で立ち尽くす事が出来ないほどの圧を漏らしている。しかし、この場にいる殆どは人間ではない。

 

()()()()()()

人間が死んだ時稀に覚醒することで生まれるヒトの進化系。

頑丈な身体、強靱な力、特殊能力といったものを取得し世間ではバケモノと呼ばれている。彼らは人間社会に溶け込み、人を密かに襲い同類を増やす事を目的とし、人に変わる新たな霊長の支配を目論む怪人達の総称だ。

 

「先月,研究所から3つのライダーズギアが盗まれたのにも関わらず,次は産業スパイによる侵入を許したと?林さん。どういう事でしょう。」

 村上はスマートブレイン本社の警備担当である林に対し問い質していた。

「わ、私は悪くありません...!!責任は全て私の部k」

 林が次の言葉を発する前には、目の前に青い薔薇が舞い、ソレが林に触れた直後、林は灰と化していた。4名の社員は次は自分だと不安と恐怖で震え,冷や汗を流していた。

「もういいです。」

 村上は吐き捨てるかのように冷たい目を「林だったもの」に見向きもせず、4人の役員達に向けた。

「直ぐにでも産業スパイを捕まえなさい。最悪命を奪う事も構いません。決して()()()()()()()()()()()を外に漏らさぬように。」

 役員達は「次の犠牲者は自分だ」という死の恐怖から解放された事に安堵し、「ハッ!」と素早く答え、礼をした後部屋を出て、各々の部署の部下達に「裏切り者を捕まえろ」という命令をするために電話をかけた。

 

〈???.side〉

 

「いたぞ!侵入者だ!」

 

 俺は今現在追われている。理由としてはスパイとして侵入していた企業のデータをコピーしている最中に徹夜していた研究員の1人にバレたからだ。

 これがただの企業ならば良かった。しかしここはバケモノ共の巣窟だった。スパイだとバレた後俺と一緒にいた4人の仲間はすぐに死んでしまった。作戦は順調でしかなかった。ただ1つを除けば。

 作戦として俺たちはスーツ姿でビルに入り、非常階段を使い27階の「資料保管室」に入り3つのファイルを奪取した後2つのチームに別れそれぞれ別の経路で脱出する手筈だった。職員に見つかっても極力殺さず気絶までに留めて騒ぎを起こさずに撤退することを目的としていた。

 潜入から保管室に到達するまでは順調なまでに進んだが、3つ目のファイルを発見しこれから逃走する所で深夜まで働いていたであろう職員に見つかった。

 仲間の1人は当初の予定通り職員を気絶するため、その研究員に対し銃を突きつけ気絶させるために殴り掛かろうとしたが、じゅうを突きつけた仲間は突如金縛りにあったかのように止まり、身体が崩壊し灰と化していた。俺たちは理解が追いつかなく全員職員に対し銃を突きつけたが職員はこちら側を振り向き、ニヤリと不気味に笑った後、目が白く濁り体から不気味な模様が現れ白色のバケモノとなっていた。その異様な光景を見た時、仲間のひとりがボソッと震えながら声を出した。

 

「オ、オルフェノク……」

 

 オルフェノク。聞いたことがある。前酒の席で古い友人と飲んでいた時急に「この都市伝説知ってっか?」と泥酔している状態でホラー系の掲示板を見せてきた。

 

 曰く、人が死んだ時蘇るバケモノ

 曰く、密かに人を襲い、殺し、仲間を増やす

 曰く、巨大な企業か政府がその存在を隠し、保護している

 

 その時はただ「呪いのビデオ」とか「こっくりさん」とかと同じ学生達の興味を惹かせる為のものだと思ってバカにしていた。だが今は違う。オルフェノクはその言葉を聞いた後

 「おや?知っていたのですね?」

 と、声を落ち着かせこちらに話しかけてきた。

 冗談じゃない。こんな怪物(バケモノ)がいてたまるか。作戦の隊長である俺は部下たちに射撃命令を出した。

 「撃て!!!」

 部下たちは命令を聞いた直後所持していたハンドガンを化け物に向かって絶えず撃ち続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 しかし怪物には効果がなかった。

 

 怪物は「これで終わりか?」とでも言うように首をカクンと曲げ、口から2本の触手を出し2人の仲間の口の中に入れてきた。その仲間も先程やられた仲間の1人と同様灰と化した。仲間がやられた様子を見た部下達は戦意を喪失したかの如くパニックとなった。俺はやむを得ず、作戦の中止を出し、逃走の命令を下そうとしたが、皆混乱状態のせいか命令が聞き取れていなかった。

 ある者は道もわからず逃げ惑い、ある者は怪物に対し命乞いをし、またある者は怪物に容赦なく灰と化されていた。

 俺は出口から7番目に近い道を行き脱出しようと逃げていた。

 

 そして今現在がこの状況だ。

ビルの中は警報アラートで騒がしくどこもかしこも白い灯りがついていて逃げ出すのは困難と言っていいほどの状況だった。

『侵入者を排除せよ

 無機質な声がひたすら聞こえる。

 (本社(ここ)にいる奴らは全員怪物なのか?どうやって脱出する?脱出の際に計画していた道は使えないだろう。)

 頭の中ではただひたすら、自分の安全のことしか考えていない。すると、突如デパートで迷子のお知らせを伝えるかのような音が聞こえ、直後まだ若く20代から30代程の女の猫撫で声のアナウンスが聞こえてきた。

 「オルフェノクのみなさーん!残りのネズミはあと1匹!捕まえた社員には社長さんからボーナスが貰えるそう!オルフェノクの皆さん頑張ってね!」

 アナウンスが終わったあと、鳴っていた音は警報アラートから猫が鼠を捕まえるかのような気楽な音へと変わった。

 (通気孔はダメだ。恐らく出口は封鎖されている。そもそもこのまま隠れ続けていると必ずヤツらに見つかってしまう。かくなる上は…)

 そう考え、俺は近くの窓ガラスを割り、下を見下ろした。

 (この(フロア)は12階。降りたら必ず足を折るだろうな。ならやるべき事は…)

 そう考えると俺は割った窓にフックを引っ掛けワイヤーを垂らし、3つのファイルをカバンにしまった後、下に降りていった。

 (よし。何とか降りることに成功した。後は見つからないようにこの場から離れ別部隊と合流するだけだ。)

 俺は外にもいるであろう警備員の姿をしたオルフェノクと光に注意しながら何とか脱出し合流地点に向かった。

 (クソ。二度とこんな巫山戯た仕事なんかしていられるか。日本にいる限り恐らく何処までも追ってくるだろうな。ファイルを渡したあと偽装パスポートと諸々を持ってロシア経由で中央アジアへ逃げるとしよう。)

 巨大な脅威から去ったか、ひたすら走りながら考え事をしていた。目的の地点に着いた時後ろから突如声が聞こえてきた。

 「ここにいたぞ!全員来い!」

 「クソッ!!!」

 最後の最後で見つかってしまった。万事休すかに思われたとき、左から重いクラクションが聞こえてきて、左を向くと大型の車がこちらに向かって走っていた。

 「乗れ!」

 そう聞くと、素早く車の中に入り転がった。

 「助かった…危うく死n」

 言い終わる前に白い服を着た男は食い気味に質問してきた。

 「状況を伝えろ。作戦は?仲間は無事か?」

 ひとまず呼吸を落ち着かせ端的に説明した。

 「作戦は成功したが犠牲が大きい。部隊は俺を除いて全滅。酷い場所だった。」

 そう聞くと男は上から目線の変わらぬ口調で

 「そうか。何があったか伝えろ」

 「中はバケモノ共の巣窟だった。オルフェノクと呼ばれる怪人共のだ。奴らは人が1度死ぬと蘇るヤツらがそう呼ばれている」

 それから作戦開始から今に至るまでの怪人の特徴を全て、小さな雑談も混ぜて話した。

 「なあ。この3つファイルはそんなに価値があるのか?組織は最初からあの会社の中身を知ってたのか?」

 俺は男に今回の作戦で疑問を抱えたので聞いてみた。

 「さあな。俺らはただ上から命令されるだけ。疑問に思うなら上に話してみればいい。」

 「嫌だよ。消されるかもしれないだろ」

 「フッ。違いない。所で盗んだファイルを見せてもらってもいいか?」

 そうキザに笑った後、奪取したものがなにか知りたいのか聞いてきたのでファイルを3つ渡した。

 「どうぞ勝手に。俺には必y」

 

  ピュン!

 

 突如後ろの先に血飛沫が待った。

 理由は単純だ。運転手はファイルを受け取ったあと膝に乗せていたサイレンサー付きのハンドガンを後ろの席にいる隊長の頭を目掛けて撃ったからだ。白い服を着た男はただ冷静に言葉を発した。

 「悪いな隊長さん。上からの命令で作戦の内容とファイルを受け取ったあとあんたらを殺せと言われてるんだ。まあ、最も部下が全員死んでくれたおかげで殺すのはあんただけとなったんだがな。」

 そう言うと、「26番倉庫」と書かれた港近くの倉庫に入った後車を降りた。男は倉庫に置かれているガソリンを車の中に撒き、火を放った。男は車が燃えている最中、ポケットから携帯を取り出し電話をかけた。

 「山上です。ファイルの奪取に成功しました。」

 そう、簡潔に伝えると

 「ご苦労だった。」

 と男か女かも分からない不気味な声が電話越しに聞こえてきた。

 「恐縮です。」

 「後始末は問題ないな?」

 「はい。抜かりありません。」

わずか1分にも満たない会話を終えたあと、電話はプツンと電話越しの相手から切られた。これで()()()作戦が終了したことが伝えられた。 山上と名乗った男は、隊長から受け取ったファイルを見て呟いた。

 「ライダーズギアねぇ…」

 3つのファイルにはそれぞれφ、χそしてΔと3つのギリシャ記号と「ライダーズギア」と書かれていた。男はφと書かれたファイルを開いたが

 「うわっ。文字だらけじゃねぇか。やめだやめだ。面倒くさい。」

 そう言うと男はファイルを閉じて、迎えが来るまで待つことにした。

 

〈???.side〉

 部屋1面はコンクリートで囲まれていて外の景色は見えなくここが地下か地上かも分からない。

 部下からの報告を聞き、電話を切った後男は席を立ち

 「これで始められる。オペレーション(シグマ)がな。」

 そう独り言かそれとも()()()()()()に向かって言葉を零した。

 

 

 

 産業スパイによるライダーズギアのデータを強奪。

 史実の仮面ライダーファイズの世界ならば第1話の時点でライダーズギアが盗まれた際にデータは残されておらず新たなベルトは()()()()()()()()()()()でも分解しない限り作られない事になっている。

 しかし、この物語は違う。そう。この世界は「IFのIF」本来ならば()()()()()()()()の世界線での物語である。




最後まで読んでくれてありがとうございます!
主人公は第2話から登場予定です!
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