ドルオタゴリラ呪術師とリアルロシアンルーレットチンチクリン 作:カフェイン中毒
「ふんふふーん、るんるるーん」
「すさまじい量だな……鼻歌歌いながら作る量じゃないとおもうのだが」
「仕方あるまい、俺たちも進級し二年にあがった。つまりは後輩ができるのだ、
「聞いた?男子一人に女子二人なんですって。楽しみね~、カワイイ子がいればいいんだけど」
やっと帰ってこれた京都校!というかもう年明けて進級しちゃったよ私たち!それよりも聞いて!私特級呪術師になって任務いきまくってたんだけどお給金すごいことになっちゃった!見たことない金額が口座に並んでるの!豪邸買えるし純金も何キロ買えるかわかんないくらい!呪術総監部ってお金持ってるんだなあ。ありがとう特級呪霊『黒死天覧宮』くん!アバドンに呑み込まれた君の雄姿は忘れないよ!
それよりももっといいことがあって、みんなして二年生に進級した私たちに後輩ができるのです!後輩だよ後輩!先輩って呼ばれたり、後輩ちゃんたちと一緒に遊んだり、一緒に任務したりできるってことでしょ!?まあ、特級になってからの私の任務全部ソロなんだけどさ……東堂君を強引にアサインしてみたりはしてるけど月の半分以上ここにいないのはちょっとつらみ。
というわけで歓迎会を開くために寮母さんにお願いしてキッチンを貸していただきました。今日の品目は中華料理となっておりますとも。私、カスタード餡が入ったももまんじゅう大好きなんだぁ。そんなこんなしているうちに歌姫先生が戻ってきてくれた。
「はい、全員そろってるわね。それじゃあ2年生の先輩発案の1年生歓迎会を始めるわよ!じゃ、まずは主役の1年生の入場!」
「歌姫先生なんかテンション高くないか」
「なんでも昨日Mr.五条と任務が一緒になったらしい」
「あー、それで琴音のおいしい料理でやけ食いでもしようとしてるって感じ?」
「そこうるさい!1年生が入りにくいでしょうが!」
最後のエビマヨを卓上に運んでいるとなんともテンションの高い歌姫先生が入ってきた。珍しいテンションをしてるかと思えばどうやら五条先生に会ってストレスが溜まってるらしい。私は無言で瓶のビールとコップを持ってきて歌姫先生の前に置いた。苦労してるんだなあ、私五条先生のことは好きだけどあの人合う合わないめちゃくちゃありそうだもん。というか大抵が合わない側かな?
歌姫先生の音頭で寮のロビーにつながる扉が開いて一年生が入ってくる。えーと、黒い髪に釣り目の女の子、水色の髪色でロングへアの女の子に木と鉄でできた男……の子……?おかしいな、私の目がへんになっちゃったのかな?男の子ってもっとこう、あるじゃん?人間じゃないのが後輩になっちゃった。
「えー、それでは順々に自己紹介!はい左から!」
「……禪院真依」
「み、三輪霞です!よろしくお願いします!」
「
「やっぱりメカだーーーーーっ!?」
「いや、呪骸だろう。見た限り術者は近くにいないようだが……まさかそれで通うつもりなのか?」
思わず言ってしまった言葉に冷静な加茂くんの言葉が突き刺さる。思わず心の中に引き上げているペルソナをルキアに付け替えてメカ丸君を見てみると、確かに呪力で動いている人工の式神みたいなやつだった。術者の場所の特定は召喚しないと無理そうなのであきらめるとして、すごいや。少なくとも術者は高専の中にはいないんだから。これはデキる後輩が入ってきたね、将来有望だぁ。
「はい、それじゃ加茂から自己紹介ね」
「真依とは会ったことがあるな、加茂憲紀だ。わからないことがあれば気軽に聞いてくれればいい。というか私に聞いてくれ、頼む」
「西宮桃よ。よろしくね後輩ちゃんたち。わかんないことは一応私にも聞いてくれていいわ。間違ってもそこのゴリラに聞いちゃダメよ」
「東堂葵だ。では初めに3人に聞こう、どんな女がタイプあっふ!?」
「東堂君、そういうのよくないって私言ってる。流石にそれで襲い掛かったら本気で殴るからね。あ、私汐見琴音!一般出身術師デース!コンゴトモヨロシク!」
いつものアレを繰り出そうとした東堂君の口の中に揚げたてでじゅわじゅわいってる春巻きをつっこんで黙らせてから私はひらひら~と手を振ってご挨拶。こんなちいさな先輩じゃ頼り甲斐はないかもしれないけど頼ってくれて構わないよ~~。大抵のことは解決してしんぜよう、お悩み相談どんとこい、強くなりたければサンドバッグにもなりましょうとも!
「さ、座りなさい1年生。そこの小さい先輩が丹精込めて歓迎の料理を作ってくれたんだし冷める前に食べちゃいましょ。というかもう待ちきれないわ。油をビールで流し込んでるから自由に交流しなさい。困ったら一番頼りになるのはそこのちっちゃいのだから泣きついたらいいわ」
「歌姫先生、ストレスが溜まってるのはわかりましたけど2本までですよ」
「琴音!お願い4本にして!」
「肝臓壊れても知りませんよ。3本です。とりあえず皆食べちゃって食べちゃって~。メカ丸くんは食べられる?」
「イヤ……食物を取り込む機能は付けてナイ」
「そっか、それじゃあ今度は直接届けに行くからちゃんと会おうね!はい、召し上がれ~」
どうぞどうぞ、と一年生を無理やり席に着かせて取り皿を前に置く。ジュースを注いではい乾杯、とやって歓迎会が始まった。三輪ちゃんはいただきます、と勢いよく食べてくれて美味しいと目を輝かせてくれている。メカ丸君は、まだどうしていいかわからないのかな?食べることはできなさそうだしつまんないかも。つまみ食いでお腹は膨れてるから私が相手しようかな。
「禪院ちゃんは、食べない?中華嫌いだった?」
「そ、そういうわけじゃ、なくて……」
「……真依、食べてもいい。ここで君の家のようなことは起こらない。私も、東堂も西宮も琴音もその類のことは嫌いだ」
「う、うっさい!外野の癖に知った口利かないで!あっ……」
「加茂君、デリカシー」
「あ、いやすまない。少なくとも私たちは味方だと言いたかっただけなんだ」
禪院真依、加茂君と面識があるってことはやっぱり御三家の禪院家の子だったんだね。加茂君は少々ストレートにものを言うところがあるし無遠慮というか天然すぎて人の心の柔らかい部分を無意識につついてしまうこともある。今回は事情を知ってるからこそそれが裏目に出たのか。
というか、加茂君がやろうとした役割は本来歌姫先生の仕事では?と早くも2本目の瓶ビールの栓を抜いている歌姫先生を見てみるとどうやら事情自体は知らなかったみたいで驚いた顔をしていた。漏らされてないってことね、ある意味で加茂君がいてくれて助かったよ。
「みんなの前で食べられそうにないなら取り分けて置いておこうか。いったん寮のお部屋帰る?」
「あ、いやそこまでってわけじゃ……ごめんなさい、いただきます」
「三輪ちゃんも固まってないで遠慮せずに食べてね~」
「いただいてます!とっても美味しいです!」
「近年稀に見るいい子な気がする。本当に術師志望?」
「君が言ったらダメだぞ琴音」
術師の人ってこう、どっちかって言うと陰気で個人行動主義みたいな部分が少なからずあるんだけど。東堂君とか加茂君とかもそう。桃ちゃんも任務になったらだいたいそうなる。だから、協調性があって根が明るい子は貴重なのだそうだ。だからこのほっぺをパンパンにしている可愛い後輩は私と同じタイプで貴重、らしい。私は私として生きてるだけなので自覚はないのだけれど。
で、典型的な術師タイプなのが我関せずに止まっているメカ丸くんと素がだせないらしい禪院ちゃんってところか。東堂君はゴーイングマイウェイなので勘案しないものとする。どこまでも規格外だね東堂君は。あ、そうだ。
「メカ丸くんって遠隔操作の呪骸、なんだよね?もしかして変形したりする!?」
「変形、と言われるほどの物ではないガ、武器はいくつか仕込んでイル」
「聞いた加茂くん!?男の子のロマンだよ!?」
「………………なんで変形が男にとって浪漫になるんだ?」
「え、これ私がおかしいの?」
「安心しろ
「加茂君、今度ガンダムかゲッターロボ見ようね……!私があなたに合体と変形の良さを教えてあげるよ……!」
「琴音、あんたそんなんだから夏油傑に名誉男子なんていわれ……ああ~~~ビール没収しないで~~~!」
なんか歌姫先生がとても失礼なことを仰ってきたので無言でビールを仕舞っておいた。およよよよとさめざめ泣いている歌姫先生と普通に仲良くしている私たちに毒気を抜かれたのかわからないけど禪院ちゃん、いいや真依ちゃんはおそるおそる一口食べて、それからは普通に料理を口に運んでくれた。うんうん、それでよし!ちょっとずつ仲良くなっていこうね~。
「へー三輪ちゃんって弟が二人もいるんだ。いいな~、私一人っ子だもの」
「え、でも東堂先輩がシスターって」
「聞き流していいよ勝手に言ってるだけだから。東堂君とは空気の合う合わないがはっきり分かれるし苦手な人も多いから私がいるときに話しかけるのを勧めるよ。性癖開示なんてしたくないでしょ?」
「え、えーとその」
「つまらん人間はどこまで行ってもつまらんからな。呪術師として生きていくなら少なくとも即断即決、聞かれたことがいかに珍妙でも即答できるくらいの対応力はなければならん。俺の場合それが女のタイプというだけだ」
「え、なにそれ下らな。女の好き嫌いで生き残れるなら術師はもっと生きてるでしょ」
あ、真依ちゃんそれが素?結構毒舌家なんだねと思わずと言った感じで出てきてしまったらしい真依ちゃんがあわてて口を閉じるけど東堂君は気にしてないから平気だよ。あくまでこれは東堂君の判断基準であって他人とは違うことは本人も理解しているけど彼は彼の尺度で生きているから価値基準としてそうなるってだけだからさ。
東堂君はつまらないと思った人間は割と視界に入れないし空気のように扱うこともある。逆もしかりで自分がやってることを返されても自分がやってるので文句は言わない。そもそも人に指図されるのも嫌いだ。私が筋道立てて言えば一応聞いてくれるけどいちいちそんな言い訳を用意するのも面倒だからそのまま扱えばいい。
「そういえば、先輩たちの中で特級呪術師がいらっしゃると聞いたのですが、どなたでしょうか!?東堂先輩ですか?」
「あ、言ってなかったわ。汐見琴音特級呪術師~返事~~」
「はーい!どうも一般呪術師です!ぎゅ~~って抱きしめて!」
「それだけは嘘よ琴音」
「というわけだからそこのフレンドリーでやさしいのが特級呪術師よ。だからといって畏怖したりとか話しかけづらいとか思う必要ないわ。なんだったら本人が言ってる通り抱きしめてぬいぐるみ扱いしても許してくれるわよ」
一般の出らしい三輪ちゃんでも知ってるくらいには新しい特級呪術師が出たっていう話は広まっているみたいだね。ってことはつまり情報解禁も近いか?それはともかくとして特級呪術師が私ってことは皆さん認識したみたいだけどバレたくなかったなあ。だってさ、話しかけづらくなりそうじゃない?
「あの……禪院直哉を死なない程度に痛めつけて全部怪我治してから返したのって汐見さん、なんですか」
「話しやすい話し方でいいよ~。うんそう、それ私。いや~最後に『覚えとれよ……!』って言って五条さんに担がれて瞬間移動で帰ってったのは爆笑したね!あ、禪院家的にこれ不愉快だったりする?」
「………………最っ高!ありがとう汐見先輩あいつに痛い目見せてくれて!意気揚々と東京に出てったと思ったら五条悟に担がれて帰ってきてしかも一か月部屋にこもってたのよ!家じゃ何も言えなかったけど心の中じゃざまあみろだったわ!」
あー、もしかして真依ちゃんもあの五条先生と同い年らしい金髪軽薄男君には悩まされていた感じ?大変だなあ、私はまだあの一回だけだから腹立ったで済んでるけど毎日一緒だったりしたら何が起こるかわかんないや。東堂君じゃないけどマジで半殺しにしてるかもしれないし。
「メカ丸、とりあえず聞いておこう。好きな女のタイプは?俺は尻と身長がでかい女だ」
「今まで生きることに必死でそれを考える余裕がなかっタ。だから、まだわからなイ」
「……つまらんな。だが次聞かれた時には答えられるようにしておけ。女のタイプすら即答できん男が戦場で生き残れはしない」
あー、もう。東堂君はほんとにマイペースだね。これでつまらないと思った人間は無視するんじゃなくてピンチになったら助けるし困ってたら割と的確なアドバイスをして解決に導いたりするんだから始末が悪いんだよねえ。嫌われてるけど、嫌いになり切れないタイプなんだよ東堂君は。少なくとも私たち4人の中でいうんなら、全員信頼はしてる。
次回で呪術廻戦0に入っていこうと思います。特級呪術師の後輩ができる琴音さんの明日はどっちだ!?あと真衣さんの煽り運転平常のキャラを掴むのが難しいけど初手はきっと猫被ってるだろうなという想像です。ではまた