ドルオタゴリラ呪術師とリアルロシアンルーレットチンチクリン 作:カフェイン中毒
「えー、残念ながら琴音には東京校に転校してもらいまーす!」
「いやだああああああああっ!!!」
「声デカっ。どこからそんな声が出てるの?相変わらず面白いね」
「五条先生の鬼!悪魔!我が儘!せっかくできた後輩を碌に可愛がれないうちに転校とか例え神様が許しても私の中の神様が許しませんよ!イザナギとか!」
「結局それ呪霊じゃん、ウケる」
「むきぃ~~!ペ~ル~ソ~ナ~~~~~!!!!」
「まあ落ち着け
どうも、ソファにしがみついて五条先生に足を引っ張られている汐見琴音です。進級してから一月と少しが経とうとしています。もう乙女の尊厳のスカートがどうとか言ってられません全部見えてるので。それでも私は京都から転校したくないのだと分かってほしいんです。そっと自分の上着を私のお尻にかけてくれた東堂君の質問に私の足を離した五条先生が口を開く、そして私は地面に落ちる、ずべしゃって。
「お鼻打った……」
「まあ説明不足だっていうのは認めるよ。だから説明できるところだけはきちんと説明させてもらおうか。まず第一、これは特級案件だ。だから葵、君にも話せないことが多分に含まれる」
「……つまり呪術総監部からの直々の依頼かつジジイも認めていると?」
「かなり渋々だったけどね。でも場合によっちゃ本当に街一つ消し飛んでも不思議じゃない。僕一人でもなんとかできるって言ったんだけどね~。ダメだったわ。総監部もたまには正論言うんだね」
「一応理解はした。だが最後に一つだけ聞かせてもらおう、
「戻れるよ、というか戻すから。無茶苦茶言ってるのはさすがの僕でもわかるからね。おそらく総監部はこれを既成事実にして琴音を東京に縛るつもりだろうけど僕がそうはさせない。あらゆる手段を使って必ずこの子は京都に返す。縛りを結んでもいい」
さすがに転校なんて無茶苦茶五条先生でもやらないと思ってたけど任務だったのね。それでもやだなあ、まず同級生の皆と離れたくないしせっかくできた後輩と一緒に任務も行ってない。メカ丸君本人とも会ってないし。でも任務かぁ、しかも五条先生が上を押さえつけてもなお無理だった案件。実力だけで言えば余裕のよっちゃんなんだろうけど上層部が心配になって私も組み込もうとしてるって感じ?
「別にずっといろってわけじゃないよ。新しい任務は入れないようにするし休みの日は京都に帰ってもいい。その間は僕がやるからね。若人から青春を奪うのはほんっとーに申し訳ないんだけど、案件が案件だ。ついてきてくれ」
「……しょうがないですね~。東堂君、しばらくお別れだね。帰る日は連絡入れるし今度の高田ちゃんのライブは予定空けとくから!じゃ、準備してきますね~」
「ああ、次に会う時はお互い術師としてより高みに昇っているだろう。向こうでもお前らしくいろ」
「琴音、生活用品は総監部が全部持ってくれるから着替えと貴重品だけ持っておいで。今日から任務だから制服でね」
五条先生の言葉を受けて自分の部屋に引っ込んだ私は今日任務に行ってる皆と一年生に向けてそれぞれ書置きをしたためた後にボストンバッグに最低限の私服と下着とかその他もろもろと制服のスペアを突っ込んだ後に貴重品とメイク用品などなどを別のバッグに詰めて東堂君にハグをかました後に伊地知さんというほぼ五条先生専属になってる補助監督さんが運転する車にのりこんだ。
「それで、任務って何なんですか?」
「過呪怨霊、部類的にわかる?」
「えーと呪われてる人あるいは場所に憑いて、執着し憑いた相手に危害を加えるなどがトリガーとなって現れる呪霊、でしたっけ」
「そのとーり花丸大正解!今回はその特級版だよ。そんで呪われた相手っていうのがちょうど高校1年生、君の一つ下だ。秘匿死刑がもう決定してるんだけど、それじゃああまりに理不尽だ。ちなみに明日彼転校だから、明日顔合わせね」
「明日!?めっちゃ急!?」
「伊地知~後の説明よろしく~」
そういってどさっとシートにもたれ掛かる五条先生は無言になった。めんどくさくなったか疲れたかしらないけどまあ伊地知さんの方が詳しく説明してくれるからそれでいっかと。高速に乗った車の中で運転しながら説明をするという何気にすごいことをしている伊地知さんのお話によると、
被呪者の名前は乙骨憂太、16歳で一般人。東京のとある学校にていじめを受けているところ同級生4人をロッカーに詰め込んで重傷を負わせる。だがそれは乙骨君本人の意思じゃなくて彼に憑いている呪い、特級過呪怨霊『祈本里香』によるもの。突如発生した巨大な呪力を発見した窓の人たちによって乙骨君は自ら捕まり、秘匿死刑が決定したけど五条先生が条件付きで生き延びさせようとしているって話らしい。
上層部としてはクソほど危険なので乙骨君ごと祈本里香を葬りたいんだけどそりゃないっしょと五条先生が介入。呪術高専で呪いの扱い方を覚えさせれば自分に並ぶ術師になるという判断を伝えたところそれじゃあ四六時中監視しろ、最低でも祈本里香を押さえられる人材をもう一人用意しろと言われて私に白羽の矢が立ったわけ。うーん、総監部は理不尽なこと言ってるけど大を助けるために小を殺そうとしてるだけだからまあお役所仕事的には間違っちゃいないのかな。
乙骨君を殺したら祈本里香がどんな暴走をするかわからないのがネックかなあ。話を聞く限り祓うのはともかく真正面からぶつかっても多分五条先生も私も負けない。只、巨大な力の塊で術師みたいに頭を使ってこない獣とそう変わらない。強いだけだ、厄介ではないと思う。
で、私に求められてるのは東京校に入って乙骨君の傍で彼を脅威から守りつつ祈本里香が顕現しようものなら強制的に退散させるか五条先生が来るまで被害を抑えるのが仕事って感じかな。ひゃー、長丁場になりそう。乙骨君の呪いが解けるといいのだけど。
「お、起きてきた?おはよう、ご飯食べる?」
「え、え、っと……いただきます」
「うんうん、ご飯が食べられるのはいいことだよ。わかめとなめこのお味噌汁とお新香と、鮭の幽庵焼きだよ。あ、出汁巻き卵もあるからね。たくさん食べてね~」
「は、はい……その、えっと」
「おはよウーマン!お、おいしそーじゃん。僕の分もある?」
「どうせ来ると思ったので用意してますよ~。ご飯大盛りで?」
「そうそう。出汁巻き卵は甘めだよね?わかってる~。憂太もおはよ。冷めちゃう前に食べるといいよ。彼女料理上手だから美味しいぞ~」
翌日の朝、食堂で朝ごはんを用意していると柔らかめの黒髪ツンツン頭で暗めのイケメンっていう感じの男の子が下りてきたのでお盆の上にオカズを置いてお茶碗にご飯をよそって手渡す。うーん、私の好みじゃないけど好きな人は好きな顔だろうなあ。知らない人間相手にご飯をもらった彼は目を白黒していたけど素直に受け取って席に着くあたりいい子っぽい。
そんで現れた五条先生、絶対私がご飯作ってるってわかってるからこの時間に来たな?まあ実際私も彼の分を来ると見越して用意してたのでそれはそれでいいや。んで私の分も用意して席についていただきます。しばらく無言でご飯を食べ進め、そして私が出汁巻き卵に醤油をかけた大根おろしを乗っけて食べていると乙骨君が急に慌てだした。
「あまりにも自然に入ってたから突っ込めませんでしたけどどなたですか!?」
「お、憂太やっと?彼女はそう!寮母さんだ!」
「寮母さん!?めちゃくちゃ幼く見えますけど年上!?」
「嘘デース!年上なのは事実だけど君の一つ上だ。彼女は汐見琴音、京都を本拠地にしてるんだけど君がここに来るにあたってこっちに越してきてもらったんだ」
「はい、汐見琴音先輩だよ!よろしくね乙骨君や。オレサマオマエマルカジリ、コンゴトモヨロシク!」
「齧られるの僕!?」
おお、レスポンスが早い。弄ったら面白いタイプと見た!だから……行き過ぎていじめられちゃったのかな。基本気弱で受け身で溜め込むタイプに見える。これは、虐める人出ちゃうだろうなあ、だからって虐める方が100悪いんだけど。ロッカーに詰められた人たちはまあ自業自得ではあるか、かわいそうだけど。
「でも、2年生?僕が転入するのって1年生ですよね。どうしてその、汐見先輩が?」
「ああ、それ?簡単だよ。万が一祈本里香が顕現した時真正面から被害を抑えつつ対処できるのは業界だと僕と琴音くらいだからね。君が力をコントロールできるまでは君を内からも外からも守ってくれるよ」
「任せたまへ~。だから乙骨君は、安心して青春を楽しもう!今度京都に行くなら案内するよ!」
「えっと、その……よろしくお願いします」
おかれた立場というのは理解してはいるのかな。少なくとも私の見てくれだけで実力を判断しているうちは術師としては間違いなくド素人なんだけど実際乙骨君は一般出身のド素人なので私の見た目を見て頼りなさそうと思うのはしょうがない。しっかしすごい呪力だね~パンパンにたまったダムから放水してるのに全く減らないみたいなイメージだ。やっばー。私の何倍呪力量あるんだろ。私は呪力総量は多めで呪力出力と回復量が化け物っていうのが評価らしいんだけど乙骨君私以上かも。やっばー。
制服に着替えた私が玄関前で待っていると着慣れてないであろう制服を着た乙骨君がやってきた。うわ、真っ白制服だ。それ着る人いたんだー。皆真っ黒選ぶから着てる人見るの初めてだよー。と東京校に向かう道をせっせこ歩いてく。うーん二人ともコンパスが広い!低身長のことも考えてよ!
転校生を!紹介しやすっっ!テンション上げて!みんなー!という教室内から響く五条先生の声としんと静まり返る教室内。うん、これはひどい。五条先生の普段の行いか何か知らないけど空気が死んでるよ。はいっといでー。という声を聴いた乙骨君と私が教室内に入ると空気が一変する。
「乙骨ゆ……ひっ!?」
「なっ!?」
「おかか!?」
「なに!?」
「えーと、何でこういうことをしたかは大体わかるんだけど、いきなりこういうことをするのは感心しないかなあ。やっていいことと悪いことの区別は付けようね?」
中にいた全員が戦闘態勢に入ったのを確認した私は呪力で体を強化しまず白い髪の男の子が下げたネックウォーマーを戻して足払いをかけて椅子に座らせた後パンダの着ぐるみ?がつけた可愛らしいメリケンサックを外して机の上に置いてからポニーテールの女の子が抜いた大刀を蹴り上げて天井に刺した後女の子をねじ伏せた。力つよっ、なんだこの子、呪力かなり少ないのに素のパワーが結構あるね。でも呪力強化した私には及ばないかなあ。これで呪力強化もできたらきっといいセンいくと思う。
「てめえ、なんだ!?いきなり来て説教かよ!」
「そりゃ説教の一つもするよ。ちゃんと目を凝らしてみて、そこにいるのは呪いじゃなくて人間だよ」
「術式なしの琴音にやり込められるなんて全員修行が足りてないんじゃないの~?それによかったね3人とも、命拾いしたよ」
「あっ、り、里香ちゃん!?」
やっぱり出てきたね、祈本里香。乙骨君が危害を加えられそうなのを察知して腕を出してきた。だけど今回は私が乙骨君に被害が行く前に止めたので祈本里香はすぐに腕を引っ込めた。それを見て事態を理解した3人は戦闘態勢を解いた。
「……なんで呪われてるヤツがここにいんだよ。ここは呪いを学ぶ場だろ?呪われてるやつが来る場所じゃねー」
「あの……呪いって」
「五条先生説明してないんですか?えっとね乙骨君、全国にある怪事件行方不明事件っていうのは人の負の感情から生み出される呪いが関係してるの。ここは、その呪いを祓うために呪いを学ぶ場所なんだよ。呪いに対抗できるのは呪いしかないからね」
「……つーか、あんた誰」
「しゃけ、ツナツナ」
「同じく転校生!乙骨君の護衛任務を受けている汐見琴音特級呪術師でーす!コンゴトモヨロシク!」
天井に刺さった大刀をジャンプして取った後返してあげながら自己紹介をすると皆驚いたらしい。どうだ、ちっさいけど特級だぞ!えらいんだぞ!……多分?大丈夫かなあ、乙骨君。呪術師は癖が強いから大変だと思うよ。頑張って。
ゼロに絡ませようと思うとこの転校設定しか思いつかなんだ。でもちゃんと東堂君の出番はあるのでご安心ください。琴音さんはゴリラ東堂と実際殴り合ってるので素手でもそれなり程度には戦えます。入学したばっかの真希さんでも多分呪力強化で一瞬上回る程度はできるくらい。