ドルオタゴリラ呪術師とリアルロシアンルーレットチンチクリン   作:カフェイン中毒

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第二十六話 チャレンジしてみよう!

「ここ本当に無人島ですか?」

 

「そりゃもちろん?人っ子一人いないし島の固有種なんかもいない。忘れ去られた無人島さ。消し飛ばしても怒られないくらいの」

 

「消し飛ばしたら怒られるでしょうけど五条先生が強権を振るったのはよくわかりました」

 

「忘れちゃダメだぜ?強権を振るったのは君もだ。いやほんと特級として一人前になったよほんとに」

 

 特級呪術師ってわがままというか己の力で上を脅して言うこと聞かせることで一人前になれるの?それはそれでよくなくない?まあ私らが一応斜め上に外れている存在だというのは最近自覚ができてきたんだけど納得できない部分もあるようなないような。

 

「五条先生がいつもの真っ黒服じゃなくて裸眼に和服というのも珍しいですね?」

 

「どう?似合う?一張羅だぜ。多分なんだけど今の君相手に目隠ししてたら逆に疲れそうでさ」

 

「いやまあ認められてるのはとても嬉しいのですけどね?挑ませてもらう立場としてはもうちょい加減をですね」

 

「いや無理。君相手に舐めプで余裕かましてもつまんないし。最悪一撃で終わってもいいから全力だしたい」

 

「それはそれは……ところでこの子はどなた?」

 

 煽ってくるなあ五条先生は、と思いながら彼の隣で不満そうな顔を隠さないツンツン頭の男の子を指さす。知らない子だし年下っぽいね。まぁ私は誰から見ても年下に見えるけどそれとこれとは別として。術師っぽいけどわざわざ五条先生が連れてくる理由はなんだろな?

 

「一応挨拶させとこうと思って。名前は伏黒恵、中学3年生で今年東京高専に入学予定。端的に言えば僕が目をかけてる術師」

 

「へぇー、五条先生が目をかけるってことは相当ですね。あ、私汐見琴音。一応特級術師、コンゴトモヨロシク!」

 

「伏黒、恵です。あの……俺連れてこられただけで何をするかとか全く知らないんですけど……汐見、さんはご存知ですか?」

 

「五条先生~~?何も説明しないの悪い癖だって常々言ってるじゃないですか~~~?もうプリン作りませんよ?」

 

 それは勘弁、とおどける五条先生を放っておいて私は所在なさげに立っている伏黒君に事のあらましを説明する。いまから五条先生と一騎討ちで死ぬ寸前までやり合うこと、一応トレーニング名目だけど無人島消し飛ばすかも?ぐらいを説明したら伏黒君は余計わけわからなくなった顔をしている。そりゃそうだ。

 

「あの……マジですか?知らなかったらアレなんですけどこの人呪術界最強ですよ」

 

「知らないわけないじゃん恵~~、考えが逆だよ。彼女と僕はそれが成り立つレベルにあると理解する方が楽だろ?見た目気にしてたら呪術界じゃ生き残れないぜ?」

 

「まあ私の見た目がショボいのは事実なので何も言いませんが実際問題どうして彼を私に会わせたんです?」

 

「それはね……恵に手本を見せたかったんだよ。ああ、手本って言うのは僕じゃなくて君ね。君実際自分をどういう術師だと見てる?」

 

「え?なんちゃって式神使い?」

 

「そうそれ!君、実際は違うけど式神使いとして一つの完成形なんだよ。それもいま恵が目指してるようなタイプ。式神を動かしつつ自分も戦えるオールラウンダー、それが君だろ?」

 

 そう、なるのかな?葵君の手解きを受けた私は結果的にとはいえ殴り合いができる式神使いという術師が当てはまる位置にいるだろう。そんで目の前にいる伏黒君は私と同じような術師に育てたいと五条先生は思っているわけで。にんやぁ~~と笑顔を浮かべた私とそれに対して明らかに引いてる伏黒君。かわいい後輩が増えたぁ~~。

 

「まぁ実際、おふざけ入れてたけど実際恵に参考にしてほしくて連れてきてわざわざ顔合わせまでさせたんだよ。恵、特級術師の死に物狂いってやつをちゃんと見ておいた方がいい」

 

「死に物狂いになるのは私だけでしょうけどまぁ納得しました。伏黒君がどんな式神を使うかは知らないけど参考にできる部分があったらちゃんと見ておいて。あとで聞いてくれたら解説するからさ」

 

「……五条さんの知り合いにしては結構まともなんですね」

 

「おいコラ恵」

 

 そんなことを言いながら伊地知さんが運転するボートに乗って島を去っていく伏黒君。カワイくないな~、男の子だね。この後洋上で待機しているタンカー船で私と五条先生の戦いを遠隔で見守るらしい。なんでも烏を操る術式を持っている人がいてその人が烏の視覚をモニターにうつせるのだそう。すっごーい、やっぱりいろんな術式があって面白いな呪術って。

 

「開始の合図はいらないよね?」

 

「はい、どうぞ」

 

「んじゃあ、僕が向こう側行って3分後スタートだ」

 

 一応仕切り直すらしい五条先生が姿を消す。それだけでもう直哉さんより速いのおかしくない?直哉さんで慣れてなかったら普通に見えなかったよ今の。んー、五条先生ならどう攻めてくるのかなあ?ありきたりに近接して殴り合いなんてオーソドックスなことしないだろうし、私なら……あっ!そうか!

 

「最初っからそれはずるくない……!?」

 

 岩と山しかない無人島の端からあらゆるものを貫通して紫色のエネルギーが私に向かって直進してくる。これ、たしか五条先生の術式の奥義みたいなやつ!ええい、大盤振る舞いだね!私もそれに従うことにするよ!召喚器を頭に突きつけ引き金を引く、幾度となく繰り返されたそれは攻撃が届くよりも前に私の背後にペルソナを宿した。

 

「ペルソナ!ルシファー、『明けの明星!』」

 

 悪魔の羽根を持った異形の天使が私の背後に表れて天を指さす。すると空から一筋の光が五条先生の放った紫色のエネルギーを上から叩きつけ大爆発を起こす。山が半分崩壊した先で、目をかっぴらいた五条先生と視線が交錯する。ふっと姿が掻き消える、なんのっ!

 

「おっ!?見えてんの!?」

 

「ほとんど勘ですけどね!無限に引っ張られてるんでしょ、それ!」

 

「でも君の攻撃はあたぐほっ!?」

 

「わーいあたったー!無限があるからって余裕ぶっこいてるからですよ!」

 

 瞬間移動を目で追ってみせると嬉しそうに犬歯を剥いた五条先生が目の前に現れる。無限で吸い寄せられるままに拳を放つ彼。私はそれに抗わず吸い込まれ、ルシファーの手が五条先生の手を無限ごと握りこんだと同時にボディブローを放つ。それは呪力の火花を散らして五条先生の無限を貫通してお腹にジャストミートした。

 

「……それ、なにやってるの?僕の術式を中和してる、それも術式を使いながら。簡易領域じゃないよね」

 

「ほら、葵君って簡易領域使えるじゃないですか。観察してて気づいたんですけどこれ、領域として空間に展開するんじゃなくて体を覆う膜みたいにできないかなって」

 

「それは分かるよ。自力でそれにたどり着いたってのがまずイカれてるけどそれは領域展延って技術だ。だけど、領域展延は使ってる最中術式を使えない。だからそのペルソナが消えないのはおかしいと言っているんだよ」

 

「あ、それですか?言ったじゃないですか。我は汝、汝は我……ペルソナはもう一人の私なんですよ。例えばいまその領域……展延?を使ってる私は新しくペルソナを召喚したりチェンジできませんけど……もうすでに現世に存在する私は別ですので」

 

 ペルソナと私は=でもあり≠でもある。同一人物だけど存在している場合はそれぞれ個別としカウントされるというなんかおかしいことになってるのだ。おそらくこれは、ペルソナがそれぞれ魂を宿していることが関係していると思う。魂が同一だけど二つある、だから二つとして数えるという世界のバグみたいな話だ。呪術界における一卵性の双子みたいな感じと言えばわかりやすいかな?

 

「僕が言うのもおかしいけど……反則でしょ君。術式反転『赫』」

 

「っ!ルシファー!」

 

 私の呪力パンチ程度じゃそりゃ痛いだけで済むよね。話を切り上げた五条先生の術式反転、空間を無限に膨張させる指向性の衝撃波。ルシファーが私の前に立ち羽根で私を覆って防御するもルシファーごと吹き飛ばされて半分削れた山の中深くに埋まった。羽根を震わせて石や土をすべて吹き飛ばしたルシファーと私、あ……見失った。

 

「術式順転『蒼』」

 

「なんの!ルシファーっ!メギドラオン!」

 

「はっ!(アレ)もそうだけど真正面から相殺されたのは初めてだぜ!」

 

「お褒めに与り光栄ですっ!ちょいなっ!」

 

 山をくりぬく無限の収束とすべてを消し去る正の呪力の大爆発。ぶつかり合いは無限をお腹一杯にした爆発のダブルノックアウト。でも、私は大技を連発しているのに五条先生はこれが全力かはともかくとして本気の通常攻撃だ。近接戦に持ち込まれるのは不利だからできれば打ち合いで決着をつけたい……んだけどその場合無下限がねぇ!理不尽!

 

 遠距離戦は埒が明かないと判断したらしい五条先生が瞬間移動でルシファーを越えて私の懐に入る。ミドルキック……まあ私にとってはハイキックだけど……防御の上から直撃。ポッキーみたいに腕の骨が折れた。だけど、後隙みっけーーっ!!

 

「ルシファーっ!!」

 

「はぁっ!?うぐっ!!」

 

「お相子ですよ!」

 

 領域展延を纏ったルシファーのパンチが五条先生のガードの上から突き刺さってぶっ飛ばした。無限が木を折って転がっていく五条先生は一瞬で体勢を立て直し立ち上がる。領域展延が私だけしか使えないなんて誰が言いましたか!彼も私ならば!術を使えない代わりにステゴロさせれば殴れるんですよこれが!

 

「キいたわ。琴音が殴るときとは比較にならないねペルソナは。でもそろそろ呪力の使いすぎじゃないか?」

 

「そりゃあもう、大技連発して呪力を蛇口最大にして使い続けてますから。ルシファーはここまでですよ。リクエストは?」

 

「一番強くて、見たことないやつ。待っててあげるからさ、ほら」

 

 最後っ屁のメシアライザーでルシファーの呪力が尽き空気に溶けるように消えていく。召喚した呪力がペルソナの使える呪力だ。やりたい放題し続ければ呪力なんてすぐに消える。まあ、私はすぐに回復できるんだけど。五条先生は折れたらしい腕を反転で無傷にする。うん、泥仕合!

 

 私の体を青い焔が包み込む。これさぁ、変身シーンみたいで恥ずかしいんだけどある最上級のペルソナを呼び出すときにはこうなっちゃうみたいなんだよねえ。多分私がつながってる先に近づきすぎるからこうなってるんだとおもうんだ。私の記憶にないのに着慣れてる感じがする赤のリボンタイが特徴の制服、赤黒でS.E.E.Sと刻印された腕章、白いガンベルトに召喚器を突きさし、顔に表れた青と金で彩られた蝶の仮面を引きはがす。

 

「ペルソナ……サタナエル!」

 

「ククッ……サイッコーだよ琴音!人として行使したらイケナイ力だろそれは!?」

 

「世界の一つや二つ鼻歌歌って渡って見せてくださいよ、最強なんでしょう?私が繋がってるもの、もうお分かりで?」

 

「ああ、君のペルソナはどこから来るのかってずっと思ってたんだ。答えは、『無意識』だ。ユング心理学って言うんだっけ?集合的無意識、君はそこにつながり僕たちが無意識に形作る概念を引っ張ってきている。差し詰めそのでっかいのは怒りそのもの、だろ?」

 

 五条先生は言葉にするのが上手だね。そう、ペルソナたちは無意識の中にある様々な感情・概念を引っ張ってきて、私の魂という素体の元に形作られる。京都の百鬼夜行での黒閃を経て気づいたのは……単純な感情や概念ほど強い力を得られるということだ。例えばルシファーなら『反抗』……オルフェウスなら『音色』、イザナギなら『表裏一体』とかね。

 

 そして、荒ぶる私の最終系。怒りという単純な感情そのもの。故に何よりも強く大きい、初めて黒閃を放ったとき私を見ていた『世界』のひとつ。ビルほどに大きな体、3対の悪魔の羽根、大きく太い金の角、闇でできたヘイロゥ。悪魔の王として生誕したサタナエル……現実に持ってくるべきでないペルソナだ。

 

「位相 波羅蜜 光の柱……術式反転『赫』」

 

「サタナエル!『漆黒の蛇』!」

 

「君ってさぁ、呪詞使わなくていいのズルいよね。常に最大出力なんだから」

 

「思いつかないんですよね、呪詞。中二病になりそうで」

 

「アッハッハ!そんなふざけた理由で!?やっぱ面白いよ君ぃ!」

 

 呪詞、要は呪術における呪文なんだけど呪術は引き算らしくて大抵誰も一番に省略するポイントでもある。けど、五条先生は詠唱をした。それによって術式に威力は最大まで引きあがり空間がねじ切れる衝撃波の赫がサタナエルに殺到する。

 

 サタナエルの翼から漆黒の大蛇がいくつも這い出してきてマシンガンのごとく殺到する赫にぶつかって相殺していく。まだまだ序盤だ、ギアをあげないと。




 VS五条戦開始です。なお五条という無法に対抗するため主人公側も無法します、ご理解ください。主人公本気フォームは月光館学園女子制服&S.E.E.S腕章としてます。P5で言う怪盗服みたいな感じです。仮面はパピヨンマスクって言えば伝わるかなぁ?ではまた次回に
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