ドルオタゴリラ呪術師とリアルロシアンルーレットチンチクリン 作:カフェイン中毒
「というわけで二級術師昇級おめでとさーん!久しぶりの五条先生だよ~!」
「私まだ半年しか術師やってないんですけど?」
「そりゃ君、力隠すのへたくそだからさ。もっと上手にやりなよー、楽巌寺のおじいちゃんのオヒゲも禿げちまうぜ?」
「えー、でも隠せって言われた部分は隠してますしー。オルフェウスもイザナギも本気出して使ってませんしー」
ツンテケテーンという変な効果音をたてて私の部屋に侵入してきた五条先生に唇を尖らせて言ってみるもののへたくその一言で閉口してしまった。高専に入学して半年、私はまあそれなりに任務をこなしてそれなりに修行をして全力で東堂君と模擬戦をしていたが、昇級がこんなあっさりしたものだとは思わなかった。というか
「なんで東京校の教師である五条さんが京都校の生徒である私に昇級を伝えてるんです?そこはこう、歌姫先生とか」
「琴音~!起きてるか入るぞー、今あんたの部屋に五条悟が侵入したって。あとあんた二級術師に昇格だって、おめでと!」
「さっきそこの目隠し先生に教えてもらいました」
「こんなバカ目隠しと二人きりで可哀そうに……!セクハラされてたりしないよな!?」
「お久、歌姫。まあこの子を二級に推薦したのは僕と七海だからね。何でそうしたか、を伝えるくらいはしにくるさ」
最近嬉しかったことは東堂君絡みで私のことを遠巻きにしていた桃ちゃんと一緒にウィンドウショッピングに出かけたことです。東堂君と一緒にいても別に苦じゃないんだけど、疲れちゃうんだよね。彼話聞かないところあるから。それと同じように私の担任の先生である庵歌姫先生は五条先生が嫌いらしい、マジで東堂君に対するみんなみたいな嫌い方してる。
ぎゅっと、私を抱きしめて五条先生から遠ざける歌姫先生。歌姫先生はなんていうか、私を小学生か何かと勘違いしてるんじゃないかと偶に思う。今とかもう幼児抱き上げてるみたいになってるからさ。私でも思うところないわけじゃないんだぞう。
「歌姫は多分、知らないよね。琴音が特級術師になる才能があるってことは」
「ナメんな。気づかないわけないだろ、あの東堂相手に一歩も引かずに戦りあってんだぞ。それ以外はまともすぎて心配になるくらいだけど。でも東堂と合わせられるのはちょっとおかしいかも」
「よかったね琴音~イカれてるところは気付いてないってよ」
「言ったら意味ないですよね。それでも私はイカれてないですけど」
はっはータチ悪!という五条先生の煽りはさておくとしても五条先生がバラしたクラスメイトの皆はともかくとして歌姫先生にはそこら辺の事情は隠してあったはずだ。まあ毎日のように東堂君のストレス発散でいろいろしてたら私がそれなりに強いっていうのはばれているのは仕方ない。でも歌姫先生のそれはもうちょっと踏み込んだものだった。
「実際、琴音の術式は式神じゃ説明がつかない。交流会も近いし実際のところは知りたいんだけど開示以外で術師の術式を聞くのはご法度だ」
「まっじめー、まあ二級に推薦した理由は簡単だよ。力を隠すのがへたくそだからさ。単独行動させた方が逆に安全だ。大概の呪霊ならもう琴音は祓える」
「仮に特級呪霊にでも遭遇したらどうする」
「それでも逃げ切るくらいなら確実にできる。僕クラスの呪霊じゃない限りね。歌姫、その子はかわいいぬいぐるみに見えるかもしれないけど着火した爆弾だぜ?」
「普通にひどいです五条先生。まだ黒閃未経験ですよ私」
「それでもさ。ずいぶんコントロールもよくなった。成長速度も僕ほどじゃないにしろ天才だね」
一応中学じゃ負け知らずで自称も他称も天才でしたし?ま、実際は努力しないとだめだったんですけどねあはは。それはそうとしても現時点最強の五条先生が言うんだから私の呪力コントロールも多少はマシになったのかなあ、どうなのかなあ?
「そういえば皆も昇級とかするんです?加茂くんとか桃ちゃんとか」
「あー、そっか、そうだよな。琴音、昇級はそうぽんぽん上がるわけじゃないんだ。それに試験もある……んだろうけど」
「ご察しの通り琴音は免除でーす!一級にさせようと僕と七海で画策してみたんだけどお偉方は示しがつかないとかなんとかで却下されちゃったよ。代わりにフリーパスさ」
「裏工作みたいでいやなんですけど」
「違うさ、君本来の実力に見合った位地に戻るだけ。悪いんだけど強い呪術師を低い任務で遊ばせるほどこの業界余裕なくてね。君なら一級だろうが単独で余裕だろうさ」
あ、そういう世知辛い理由が入ってくるんだ。そういえば七海さんも東京の呪術師らしいから関西圏である大阪にいるのはよくよく考えたら変だ。つまりそれは呪術師が人手不足過ぎてカバー範囲がものすごく広いってことじゃないかな?つまり……
「ブラック労働確定じゃないですかーやだー!東堂君とか月の半分くらいいないんですよ!?」
「安心しなよ、君もその仲間に入れてやるってんだから」
「うわーん!青春したいよー!小さくてもいいよって言ってくれる恋人とか欲しいよー!できればガタイがよくてデカイ人!」
「厚かましいなこの子は!?でもあれだぜ?2級になったら葵と組んで任務行けるぜ?」
「それはちょっと気になる」
「東堂相手にその反応できるのはすごいんだぞ琴音……」
私、いまだに東堂君と任務に行ったことないんだよね。引率してくれる二級術師の人はいろんな人がいて七海さんみたいにまともな人がいたり、男尊女卑ひどすぎて発言禁止してきたり、お前術式悪くないから俺の子を産め(意訳)みたいな人もいた。最後の人は眠らせて高専に引っ張ってきて歌姫先生に差し出した。録音を聞かせたら躊躇なく急所を蹴り潰していたあたり歌姫先生も被害にあってたりしたのかなあ。
話を戻すんだけど私の知ってる東堂君はある程度弁えてる、まあつまり仲間相手に本気で殺しにきたりとか術式を使ったりとかはしない人だ。まあ一部そうじゃないのは理解しているけど私に対してはそうなのだ。殺すくらい本気でやるのと殺してやるっていうのはだいぶ違うからね、私が知りたい東堂君は後ろの方。
「ちなみに僕はそこらへんどうなの?」
「身長は合格ですけど分厚さが足りません。出直してきてください」
「テキビシー!言っとくけど僕結構ムキムキなんだぜ?僕レベルの筋肉にはなかなかお目にかかれないと思うんだけどなー?」
「話がずれてる五条。ともかく、琴音の昇級の件は理解したからさっさと帰れ。明日も授業だ、今何時だと思ってる」
「夜の11時ですね」
「まだまだ夜はこれからっしょー!焼肉行こうぜ焼肉!」
五条先生、たぶんイケメンだろうし背も高いし筋肉もあるんだけどナイ。多分性格が致命的に合わない、東堂君みたいに息が合うこともないから私にストレスがたまるだけだろうし。そもそもこんなちんまいのに本気になってくれる人はいるのかなあ。まあ私もまだ若いし気長に待ちましょう。
「聞いたぞ汐見。どうやら二級術師に昇級したらしいな?素晴らしい、さすがは我が
「どーも、東堂君。今日の任務を終えたら東堂君とコンビで任務に行けるってー。たのしみだね~」
「……僕が思うにそれはただの地獄じゃないだろうか」
「しっ、琴音の心が広いだけよ。普通なら東堂と任務だなんて死を覚悟するようなもんなんだから。琴音、頑張ってきなさいよ!」
休み明け、二級として初めて単独で任務をしに行く私にそれぞれ歌姫先生から私の昇格を聞いたクラスメイト達が見送りに来てくれていた。なんと東堂君発案でみんなに提案してくれたらしいんだけど加茂君も桃ちゃんもよく乗ってくれたなあ、うれしい。
いってきまーす、といってこいの応酬の後私は補助監督さんと一緒に車に乗り込む。なんでもこの任務は五条先生プレゼンツらしくきびしーらしいのだけど、一人だから本気出していいよとのことなので任務では封印しているオルフェウスにイザナギ、その他もろもろが解禁となる。多分なんだけど事情知ってるクラスメイト相手以外じゃできないからちょっと思いっきり暴れられるのが楽しみだったり。
補助監督さんによると今日の任務はとある呪詛師の殲滅……らしいんだけどそもそも呪詛師って何ぞやという話をしよう。呪術師は一応法の内側にいる人たち、呪詛師はそれの反対。一般社会における犯罪者のことだ。
補助監督さんによれば、やっばすっごい言いにくそう。殺してくださいとのことだけど生きて引き渡してもいいみたい。結果は変わらないらしいけど。えー。そっか、殺さないとだめなのかぁ。呪術師ってそういうものなんだね。うん、ヤダ!気絶で引き渡しにしよ。
私が今回襲うのは呪術師と非術師の混成カルト教団。と言ってもかなり小規模。なんでもこの前非術師を生け贄にして儀式を行ったんだって。それ自体はしっかり失敗したみたいなんだけど今回2回目やろうとしてるから止めろとかなんとか。
人間相手は初めてだなあ、かといって東堂君ぐらいにやったら確実に死んじゃうし……どうすればいいのやら。となんか大きめの一軒家っぽい邸宅の前について、帳が降ろされる。私はためらうことなく銃を抜いて引き金を引いて術式を使う。
「ペルソナ――――アバドン」
不定形の塊。大きな口を備えた呪霊呪霊した見た目のペルソナを後ろに従え、私は真正面からそのお家に入っていく。玄関ドアをヤクザキックでぶっ飛ばし、中にいた人に一言。
「こんにちは、呪術高専のものです。えーっと、生け贄の儀式やめてもらってもいいですか?」
「呪術高専!?嗅ぎつけられてたのか!?」
「あ、だめだこれ。アバドン、『マリンカリン』」
洗脳の術を使って何かをしようとした推定術師を留める。脳みそをジャックされたその人は虚ろな目をしたまま口の端から涎を垂らして私の横を通って玄関から出ていく。補助監督さんがたいそう驚いてるみたいだけど手ぶりで拘束してーと伝えると慌てて縄で拘束してくれる。よしよーし。
「ふんふふーん、アバドン、『淀んだ空気』」
にわかに騒がしくなる邸宅内、地下室らしき豪華な装飾を施された扉が開いて信者の人たちが出てくる。術師らしき人は後ろでふんぞり返っている、うわ腹立つ。アバドンの大きな大きな口から淀んだ悪い空気が排出される。精神異常にかかりやすくするための下準備だ。さてそれでは仕上げに参りましょう。
「アバドン、『ブレインジャック』」
さっきのマリンカリンは対象を絞ることで出力を上げた術。つまり一人用、ブレインジャックは対象を広げる代わりに出力が拡散して落ちる。ただ、淀んだ空気でそういう精神異常にかかりやすくなっているうえに大多数は非術師だからあっさりかかって動きを止める。さてさて問題の呪詛師さんに会うために地下室に入る。
「ふざけやがってこのガキ……!俺の術式は生体電気を呪力で増加させ放電する!食らえ!『閃轟雷霆』っ!」
「『マカラカーン』」
「なっ!?……ぐああああっ!?」
「雷霆って名前のわりにはちょっと拍子抜けかなぁ?雷ってのはね、こういうものなんだよ……!」
マカラカーン、呪力を用いた術をそっくりそのまま跳ね返す術を使って非術師がいるにもかかわらず放たれた雷撃を跳ね返す。術式の開示で威力をあげているのが災いしてか返された雷撃が直撃した教祖っぽい呪詛師さんは全身から煙を上げているが気絶してない。しょうがないなあ、と洗脳状態の皆さんを外に出し、今一度銃をこめかみに突き付ける。
「やあ汐見琴音さん?あいさつ代わりだよ、『蛇抜け』」
「どなた様ですか?自己紹介しましたっけ?アバドン、呑んでいいよ。」
唐突に背後からかけられた声にそれをやめて急いで振り返る。1階につながる階段に知らない人が立っていた。坊主袈裟にまとめられた長い髪。名前を呼ばれたと同時にその男の人の傍から唐突に黒い大蛇の呪霊が発生して私に突進してくる。
背後で自分の雷撃でもダメだったらしい教祖さんが倒れる音を聞いた私は即座にアバドンを反転させて大蛇に正対させる。アバドンに許可を出すと彼は大口を開けて大蛇を苦も無く呑み込んでしまった。
「これは失礼、私だけ一方的に知っているというのも失礼な話だね。私は夏油傑、特級術師だ。元、と言ってもいいけどね?」
「あ、じゃあ呪詛師なんですね。この人たちのお仲間ですか、そうですか。アバドン」
「あー待った待った!手荒く挨拶したのは謝る。だから一度私と話をしてくれないか?同じ術式同士わかり合えることがあると思うんだ」
今回のペルソナ
アバドン
マリンカリン ブレインジャック 淀んだ空気 マカラカーン テトラカーン ウイルスブレス 状態異常成功率up 氷結吸収
状態異常系を詰め込んだアバドンくん。なお自分から攻めることをあまり考えてはいない。洗脳しとけば後が楽でしょという考えの元スキルが詰め込まれている。
出たな夏油。ちなみに主人公のペルソナのことを呪霊だと思っているのでお仲間だと思っています。ゲロ雑巾玉について語り合いたい。アバドンの見た目のせいもあるかもしれない。