俺は今、妹である初音と買い物をしているところである。
「やっぱりお兄ちゃんと一緒にお出かけは楽しいね」
「ああ、そうだな。お兄ちゃんも初音と一緒にお出かけ出来て楽しいよ」
やっぱり俺の妹は可愛いな。血が繋がってなかったら恋人にしたいくらいだ。
「にしても、もうすぐお兄ちゃんと一緒に学校に通えるんだね」
「ああ、楽しみだな」
俺と初音は両親が仕事で海外赴任することになったので親戚が大家をやっているマンションで二人暮らしをすることになった。
昨日、荷物を運び終わり今日は新しく住む町を散歩するついでに生活に必要な物の買い出しに来ている。
そして俺達が転校するところは小中高一貫の学校である。つまり校舎こそ違えど毎日、初音と一緒に登下校出来るのだ。ああ、楽しみだ。
だが俺は何かが足りない気がして仕方がない。それは昔からずっとなのだが何か大切なことを忘れているような、そんな気がしている。その何かがどうしても思い出せないが俺にとって忘れてはいけない物のような気がしている。
「お兄ちゃん、ボーとしてどうかしたの?もしかして初音と一緒にいるの楽しくない?」
「いやいや、何を言っているんだ。お兄ちゃんは初音が大好きなんだ。そのお兄ちゃんが初音と一緒にいて楽しくないわけないだろ」
「そこまで言われると恥ずかしいよ……」
ああ、照れている初音も可愛いな。まさに天使だ。……天使?あれ、何か思い出せそうな気が……。
「フンフン、フフン」
今、俺の隣を鼻歌を歌いながら白いワンピースを着た小柄な女の子が通り過ぎた。
ああ、一目見た瞬間に思い出した。何で今まで忘れていたのだろうか?
「かなで!」
俺は気付くと手を伸ばして彼女の肩を掴んでいた。
「……結弦?」
おお、かなでは俺のことを覚えてくれたのか。いや、俺みたいに今思い出したのかもしれない。だが、そんなことはどうでもいい。かなでにもう一度会えただけで幸せだ。
「……お兄ちゃん?知り合い?」
「え、あ、え~と……」
どうやって初音に説明しようか。本当のことを説明して頭のおかしいお兄ちゃんだと思われるのは嫌だ。それにお兄ちゃんに恋人がいると知ったら悲しむかもしれない。
「かなでちゃん、知り合いなの?」
げっ!ゆりも一緒にいたのかよ。
「……恋人?」
「何で疑問系なの?」
それは俺も同意見だ。そこははっきりと恋人だと言ってほしい。
て言うか、ゆりは思い出してないのか?
「……?」
首をかしげている、かなでも可愛いな。
「何で首をかしげているのよ」
にしても、ゆりまでいるとはな。日向とかはどういうしているだろう?直井には会いたくないな。
「こうなったら貴方に聞くしかないわね。本当にかなでちゃんと恋人なの?」
かなでに聞くのを諦めて、俺に聞いてきた。
「……え!お兄ちゃん……恋人がいたの?」
俺に恋人がいると聞いて初音が悲しんでいる。ああ、俺はお兄ちゃんとしてどうすれば初音を悲しませずにすむんだ。
「え~と……」
「おっ、ゆりっぺ。こんなところで会うとは奇遇だな」
「ところでそちらの方はどちら様なんですか?」
俺が答えに迷っていると今度は日向とユイがやって来た。お前らもちゃんと再会出来てたんだな。嬉しく思うと同時にイラッとくるな。俺よりも先に会っているなんて。
「グワッ!」
とりあえずムカついたので一発殴る。
「お兄ちゃん、急にどうしたの!」
「初音、心配するな。ただの挨拶だから」
「って良く見たら音無じゃねぇか!久し振りだな。いや、この場合初めてまして、なのかな?」
「おお、確かに音無先輩ですね。お久し振りです」
ん?こいつらはゆりと違って覚えているのか?
「……どうした?もしかして俺達のこと覚えてないのか?」
「いや、覚えている」
「そうかぁ、良かったぜ。これで覚えてなかったら俺達、ただの痛い人だからな」
「大丈夫ですよ、先輩。先輩はいつも痛いですから」
「それのどこが大丈夫なんだ!お前には俺に対する先輩への尊敬が感じられねぇ」
そう言うと日向はユイにプロレス技をしかけた。いやぁ、懐かしい光景だな。
「イタタタッ!先輩も見てないで助けてくださいよ」
「日向、周りが注目して恥ずかしいからいちゃつくのは家でやってくれ」
「別にいちゃついているわけじゃねぇよ」
そう言いながら日向は技をといた。
「日向くん逹も知り合いなの?いい加減に説明してほしいんだけど」
「ああ、こいつは音無。俺の親友だ」
「そうなの?」
「ああ、そうだ」
日向に助けられるのは癪だが、ここは話を合わせるか。
「音無先輩と一緒にいる可愛い女の子はもしかして彼女ですか?」
「…………」
かなでが無言で睨んできているのが怖い。
「こ、恋人だなんてそんな~」
今日……いや、今までに何万回、何億回思ったが知らないが俺の妹はやっぱり可愛い。
「いや、妹だ。今日は引っ越して来たばかりだから生活用品を買いにきたんだ」
だが、かなでの前だし一応否定しておくか。
「おお、そうだったのか。で、何処の学校に通うことになってるんだ?」
「天上学院だ」
「だったら私達と同じ学校ね」
「おお、そうなのか。それは楽しみだな」
まさか、かなでと再会出来た上に同じ学校に通えるとは。
死後の世界では神に抗っていたけど、今だけは感謝しかないな。
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