「遅い!何やってたのよ!」
案内された部屋に入ると予想通りに、ゆりが怒っていた。
「ああ、悪かったな」
「何が悪かった、だ。てめぇ、調子に乗ってんじゃねぇぞ」
いきなりガラの悪い馬鹿に絡まれた。
「お兄ちゃん、怖いよ……」
初音が怖がって俺の服の裾を掴んできた。
「初音を怖がらせてんじゃねぇよ、野田」
俺は鳩尾に蹴りを入れて黙らせた。
「もう馬鹿は黙らせたから大丈夫だぞ、初音」
そう言うと初音は安心して俺から離れた。そのままでも俺は良かったんだが。
「おい、音無。今のは野田じゃなくて藤巻だぞ」
そうだったのか。まぁ、どっちでも似たようなものだろ。
「藤巻くん、大丈夫!?」
誰かよく分からない奴が藤巻を心配してやって来た。
「大山くん、藤巻くんを隣の部屋に運んでおいてくれるかしら」
「うん、分かったよ、ゆりっぺ」
そう言うと大山は藤巻を隣の部屋に運んでいった。
「なるほど。大山だったか」
「音無、覚えてなかったのか?」
「ああ、特徴がないからな」
「まぁ、俺も最初はNPCと間違えたからな」
何かそんな話を前に聞いたような気がするな。
「おい、ゆり。ついでにユイと関根も運んできていいか?」
「勝手にしたら?」
「貴様、ゆりだと!慣れなれしすぎるぞ!」
また変な奴が絡んできた。
「なぁ、かなで。こいつが野田でよかったよな?」
「さぁ。私もよく覚えてないわ」
もうめんどくさいし、大人しくさせるか。
「よし、ひさ子。こいつを運んでくれるか?」
「……普通、女に頼むか?」
「そう言われても俺は関根を持ってるし、日向はユイを持ってるからな」
「……仕方ないな」
そう言うと、ひさ子は野田を引きずって運んだ。
俺は気になったことがあったので隣の部屋に運ぶ途中に日向に聞くことにした。
「そういや、野田は俺達のことを思い出してないんだな」
野田ならゆりに合ったのをきっかけに思い出すと思うんだが。
「一回思い出したんだけど、また忘れたんだよ」
「何故?」
「ゆりっぺに挨拶したら『貴方、誰?警察に通報するわよ』って言われてな。そのショックで忘れたんだよ」
確かに俺もかなでに同じことを言われたらショックで記憶をなくすな。
そんなことを考えながら、ゆりのところに戻ってきた。
「さて、やっと話が出来るわね」
「あれ?いつの間にか岩沢がいなくなってるな」
いつからいなかっだろうか?少なくともプレハブ小屋に入る時はいたと思うが。
「……音無くん。マトモに話すつもりないでしょ?」
ヤバッ!ゆりがキレてきている。
「いや、決してそんなつもりはないぞ!ただ、岩沢がいないことが気になっただけだ!」
「まぁ、いいわ。そこら辺についても話すつもりだったし」
ふぅ。一応、落ち着いたみたいだな。助かった。ゆりがキレると手がつけられないからな。
「まず、最初に言うわ。私達の部活に入りなさい」
「命令形かよ」
「当然よ。音無くんに選択の自由はないわ」
「はぁー。入ってもいいぜ」
予想通りの展開だ。
「後、え~と、初音ちゃん……だっけ?初音ちゃんも入らない?中等部でも大丈夫よ」
「ふざけるな、ゆり!初音をこんな馬鹿の集まりに参加させられるわけないだろ!」
前にゆり自身が言っていたからな。この集団の最大の弱点は馬鹿であることだと。初音がそんな集団に入って馬鹿が移ったらどうするんだ!
「……音無、間違ってないけど失礼だろ」
「貴方、最初から思ってたけど私達のことを知っているの?そう言えば日向くんやガルデモの皆も知ってたけど」
「ああ、知ってる。まぁ、そのうち分かると思うぜ」
そういや、他のメンバーのきっかけって何なんだろうな?俺があの世界に行く前の出来事だったら手の打ちようがないな。
「まぁ、いいじゃないか。それよりも部活の説明はしなくていいのか?」
「ひさ子さんが言うなら仕方ないわね。この話は後にしましょう」
そう言うと、ゆりは椅子に偉そうに座って説明を始めた。
「それじゃあ、まず部活の活動目的から説明するわ」
「活動目的なんてあったのか?俺はゆりっぺが楽しむだけに作った部活だと思ってたぜ」
「日向くんは黙ってなさい。後で野球部の部長に日向くんの練習メニューを倍にするように言っておくわ」
「それだけはやめてください、ゆりっぺ様。この部活のせいであまり練習に参加できないから、他のメンバーよりも多めに設定されてるんだよ」
いらないことを言うから駄目なんだ。やっぱり日向は成長してないな。
「て言うか日向は野球部にも所属してるのか?」
「ええ、そうよ。日向くん以外も色々な部活に参加してるわ」
まぁ、確かに戦線のメンバーは馬鹿だけど色々な能力を持っているからな。
「元々、別の部活に参加していたメンバーを強引に勧誘して部活にいれたんだよ」
ひさ子が小声で説明してくれる。にしても、ゆりは本当に無茶苦茶だな。でも、それで戦線のメンバーが集まっているんだから本能では分かってる、ってことか?
「そして、この部活の目的はあなた達が私を楽しませることよ」
よく、こんな部活の申請が許可されたな。どんな手を使ったんだか。
「じゃあ、私の部下の紹介をするわよ。まずはこのパソコンを弄ってる冴えない眼鏡はパソコン部に所属してるわ」
「僕は冴えない眼鏡ではありません。クライストとお呼びください」
クラウスじゃなかったのか。
「次はこの松下くんが――」
「柔道部だろ」
「……よく分かったわね」
「誰でも分かるだろ」
だって柔道着を着てるんだから。
「じゃあ、次は――」
「初めまして、自分はTKと言います。ダンス部に所属しています」
「!?」
TKらしき人物が丁寧に挨拶してきた。
「……おい、皆。こいつは誰だ?オリキャラか?」
「音無、お前も知ってるだろ。TKだ。オリキャラって何だよ」
信じられない。あの苦手なのにキャラ作りで頑張っていた英語はどうしたんだ!?
そんな感じで野郎共の紹介が続いたが正直、興味はない。
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