別れと出会い!
――――双子峠。
嘗て、巨熊『赤カブト』は此処に牙城を建てた。
巨大な岩や木を、幾つも積み重ねて出来たこの城塞。
赤カブトは牙城を拠点とし、各地から名高い熊達を呼び寄せ、人間や他の生物を恐怖に陥れた。
その赤カブト軍に立ち向かったのが―――聖犬『リキ』。
リキは、実力とその圧倒的カリスマ性で犬族をまとめあげ軍を作り、赤カブト軍を打倒した。
その軍の名は、奥羽軍。
だがリキは、死を悟った赤カブトの一撃を貰い、深傷をおってしまった。
リキは奥羽軍を、息子の『銀』に総大将の座を譲り、息を引き取る。
人間は奥羽軍の功績を認め、双子峠を犬の解放区に指定した。
それから8年の年月が過ぎ――――――
「―――――ハァハァ」
「クソッ、また人間が来やがった!!」
「チキショー!何処が楽園だよ!」
「これじゃ、楽園どころか地獄じゃねーか!」
奥羽山脈を数十匹の犬が走っていた。
彼等の表情は、恐怖と怒りに引き攣っている。
果たして彼等は何に怒り、何を恐れているのか。
その時―――――
ッドン!……ッドン!
人間の銃口が火を吹いた。
一発が一匹の犬に当たり、頭から血を噴出させる。
「トーマス!!」
「振り向くな!お前も殺られるぞ!」
彼等は今、人間に追いかけられている。
この集団の犬は皆若い。
殆どが一歳程度。
楽園を夢見て奥羽に来たが、彼等を迎えたのは銃弾であった。
この集団のリーダー―――ブルーは右目に銃弾がかすったのか血が流れている。
「………ブルーさん!
あんたが奥羽に行きたいっていうから!」
「ケンタ、何を………っ?!」
「うるさい!あんたには、もうついていけねーよ」
「………ああ、そうかい、じゃあ此処でお別れだ!
アバヨ、俺はこっちに行く!
死なねー事を祈っとくぜ………」
ブルーはそう言うと、
―――――――――◆
ブルーは、ほうほうの
…………また独りだ!
思い返せば、昔から独りだったな……
ブルーは生まれてすぐ捨てられた。
親の顔など見たことがない。
それから、誰にも頼らずなんとか生き長らえる事が出来た。
そんなブルーの周りには、親を捨てた奴等が集まってきた。
だが、ブルーは彼等とは違い、愛情に飢えていた。
だから噂に聞く、犬の楽園に憧れ旅立った。
しかし、楽園はなく、そこは地獄。
銃弾が右目を掠め、逃げる際仲間にも見捨てられた。
……………嫌、俺が見捨てたんだ!
右目の傷は、血は止まっている。
だがブルーの精神力体力は限界であった。
その場に倒れこむ。
その時―――
「……………グァァ!」
ボロボロのブルーの前に、熊が現れた。
ブルーの血の臭いを辿って来たようだ。
「俺を食おうってか?!」
だが、ブルーに逃げる体力も闘う力もなかった。
熊は強靭な腕をブルーに降り下ろそうとしている。
「ジャアァァ!!」
「やめっ…」
…………俺は生きてちゃいけねーのか?
チキショー……俺は愛情がどういうものか知りたかっただけだ。
嫌だ………死にたくねー!
だが、熊の腕がそこまで迫っている。
ブルーは目をつむって、覚悟をした。
「………っ!」
だが、いつまでたっても覚悟していた衝撃や痛みは来なかった。
そしてブルーの躯に、水滴がポツポツとあたる。
………何がどうなってる?
それと、雨が降ってるのか?
恐る恐る目を開けると、衝撃の光景が目に写った。
「……………っな!!」
熊が腕を振り上げたまま固まっている。
それはどうでもいい、問題は上。
熊の首の上にあるべき頭が無く、そこから噴水の様に血が吹き出ている。
先程の雨だと思ったのは、熊の血の雨であった。
そして――――
「大丈夫か
熊の頭を切り飛ばしたと思われる、黒い犬が満月に照され凛と立っていた。
初めて書きました。
駄文ですがよろしくお願いします。