銀牙伝説NIGER   作:ニゲル

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勇気

 

 

 

 

◆GBside◆

 

 

 俺は佐助と一緒に、ふもとにある農家に来ていた。

 目的は農家の池、そこで放し飼いされているガチョウだ。

 佐助は俺の反対側、家の側から忍び寄っている。

 タイミングをあわせ挟み撃ち。

 まだだ……もう少し待ちだ。

 

 

「―――グェッー!グワッグェ!!」

 

「ブハッ……逃げ足速すぎだろ?!」

 

 

 佐助のばか野郎っ…何でそこで飛び込む!

 そこは、もう少し引き寄せてからだろう!

 だからお前はカエルしか獲れねぇんだ。

 

 

「くそっ」

 

 

 しょうがねぇ!

 どうする、ん?一羽こっちに来るぞ……

 あいつが狙い目だな、少し遠いがいける……これ以上 時間かけると人間がきちまう。

 

 

「おらっっ――と!」

 

 

 狙いをつけ、飛び込む―――。

 よし、さすがオレ。

 

 

「とったぞ!おい、佐助ずらかるぞ!

…………なにしてっ―――!」

 

「ギャァァ――――!!」

 

 

 ガチョウをくわえたまま、佐助を呼ぼうと振り返るととんでもないやつがいた。

 

 

「苦しいかっふっふふ、もうすぐ楽にしてやる!」

 

「GBだずげでぐれ゛ぇ……!」

 

 

 闘犬に佐助が捕まっていた。

 佐助の首を噛み締めている!

 佐助がもがき苦しんでいる、どうする?!助けるか?!

 だが、俺に何ができる?

 せいぜい死体が二匹になるだけだろ。

 仕方ないよな……。

 土佐犬に俺がどうこうできるはずがねぇんだ。

 

 

「悪ぃな―――」

 

 

 と、切り捨てる言葉を放とうとしたが。

 それを最近聞いた声に遮られた。 

 

 

「GBぃ~!」

 

「―――あっさっきの坊主!」

 

 

 昼間、鳥を譲った虎毛の坊主がいた。

 早く山から出ろって言ったのに、まだでてなかったみたいだな。

 

 

「何で此処に?!」

 

「偶然見つけてついてきたんだ!

そんなことより、あのおじさんGBの仲間だよね、早く助けないと!」

 

「何を言ってんだ!?

俺があの化け物に勝てる訳ないだろ!」

 

「そうじゃないよGB!

勝ち負けじゃないんだよ、少しの勇気でいいんだ!

……GBは仲間を見捨てないよね?!」

 

「うるせぇ!そんな綺麗事で、生きてけないんだよ!」

 

「そんな………もういい、ボクが助ける!」

 

「まてっ坊主!」

 

 

 坊主は、俺の制止を振り切り佐助を助けにいった。

 一瞬、信じられない!というような目を俺にむけた。

 昼間のことで俺を美化していたのか、俺は優しい奴じゃない。

 俺は坊主の期待に応えられるような犬じゃ………。

 坊主は俺を見限っただろうな。

 

 

 本当に情けないな。

 

 

 ……うるせぇ!

 

 

 情けないのはわかってんだ。

 だってそうしないと、今の世の中を生きてけないだろ。

 だが、本当にそんな風に生きて楽しいか?

 

 

 ………うるせぇ。

 

 

 

 確かに楽しい事なんて僅かだ。

 だが楽しいのかどうかは、命あってのものだろう。

 あいつとのばか騒ぎは、楽しかったといえるが。

 命をかけるほどしゃ………。

 じゃあ、あいつがいなくなったあとの(お前)はどうだ?!

 

 

 …………うるせぇ!

 

 

 わかってる……だが俺に何ができる?!

 いや、できるできないじゃないか………。

 助けたいか、助けたくないか。

 俺は佐助を助けたいか?

 どうだ俺………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………っふ」

 

 

 なんだ、俺にもあるじゃないか――勇気が。

 消えかかっていたが、まだ消えていない。

 その想いを知ったとき、自然に笑みが溢れた。

 

 ………なぁ坊主、まだ俺はお前の期待をとりもどせるか? 

 

 

「………俺は変わるんだぁぁぁ―――!」

 

 

 俺は佐助を助けに走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

◆???side◆

 

 

 

 ほぉ、懐かしいにおいがするときてみたが。

 あの小僧もしや……銀の息子だろうか?

 いや、勘違いかもしれないな。

 それより、あいつもいい顔をするようになったじゃないか。

 

 視線のさきに、仲間を助けようとしている犬がいる。

 

 なにかと世話をしている野良犬だ。

 いつも弱気で山賊の手下をしていたようで。

 どうやって発破をかけようと思っていたが……どうやら必ようないみたいだな。

 

 

『うおぉぉぉ俺はもう逃げないぞ!』

 

 

 柴犬と銀に瓜二つの小僧と一緒に、土佐犬と対峙している。

 若者の成長はみていて楽しい。

 ほんとにいい顔をしているぞ。

 

 

「―――ニヤッ」

 

 

 少し手助けをしてやろう。

 少し笑うと、あの土佐犬に幾ばか覇気をとばした。

 

 

 

 

 

◆佐助side◆

 

 

 

「――――っひぃ!」

 

 

 いきなり闘犬野郎が尻尾をまき逃げていった。

 何が起きたのか。

 急に怯えだしたが、一体何に怯えたのか。

 分からないが、とりあえず助かったようだ。

 マジで死ぬかと思ったぜ。

 まさか、あの臆病者GBが助けに戻って来てくれるとは。

 夢にもおもわなかったな、いやぁ見直したぜGB。

 

 それより――――。

 

 

「―――さすがGB。

来てくれるって信じてたよ♪」

 

 

 GBに尻尾を振る、虎毛の小僧。

 誰だ?

 恩犬にかわりないが、来たときはびっくりした。

 小さい子供がというのもあるが、今の世の中で見知らぬ犬を助けに入る犬がいることにたいしてだ。

 こんな奴もいるんだな。

 

 

「――そういえば坊主、何でまだ此処にいたんだ?」

 

「うん、明日の早朝ここをでるよ。

だから最後にGBにお礼を言いたかったんだ。

 

“ありがとう”」

 

 

 GB達の方を向くと、俺を蚊帳のそとに話をしている。

 

 

「お礼を言いたいのは俺のほうだ、お前のお陰で俺は変われた。

ほんとにありがとな坊主」

 

「ああ、俺からも言わせてくれありがとな。

それとGBもありがとな」

 

「へへっ……そうだGB母さんもお礼を言いたいっていってたから一緒にきてよ。佐助さんもね」

 

「おう、坊主を生んだ母親に挨拶したいしな」

 

「なんか、ついで感があるが俺も恩犬の母親にお礼をしたいからな」

 

 

 俺はGBと一緒に、小僧の母親に会いにいくことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

◇sideout◇

 

 

 

 

 

 

「…………まさか、伝説の男がいるとはな」

 

「伝説の男?」

 

「ん?ああ、そういえばお前は噂や伝説の類いの話は疎かったな」

 

「あの年寄りがか?」

 

「初代奥羽軍、闘将ベン………一筋縄ではいかなそうだな」

 

「へぇ~~俺がやってもいいか?」

 

「いや俺もやる」

 

「だとしたら、息子の方はどうするんだ?

変なのが二匹ついたぞ?」

 

「………あいつらには丁度いい相手を用意するさ」

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 




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