銀牙伝説NIGER   作:ニゲル

3 / 11
雨の降る日

 

 

 

◆ニゲルside◆

 

 

 

 ブルーと出会い、三日がたった。

 

 俺は今、茨城にいる。

 

 とある犬と会う約束をしているんだが、本当に場所はあってるのか?

 

 

「………兄貴、雲行きが怪しくなってきたみたいです」

 

「確かに夜にでも降りそうだな……ブルーは雨は嫌いか?」

 

「……俺は嫌いですね。

雨は、嫌な想い出しかないんで……」

 

 

 ブルーはそういって、顔をしかめた。

 

 

「俺と同じだな」

 

「兄貴もですか?!」

 

「ああ、俺も大っ嫌いだ」

 

 

 嫌でもあの日をおもいだしちまうからな。

 

 

 

 

 

◆半年前―――――――

 

 

 群のリーダーの奏牙(そうが)さんのもとで、自らの戦闘技術を磨きながら過ごしてきた。

 

 確か………犬の身体の凄さに、驚愕していたな。

 

 俺は、もともと剣道をやっていたおかげで、動体視力と洞察力は鍛えられていた。

 

 前の体では、わかっていても動けないということがあったが。

 

 この躯は、反応してくれる。

 

 理想を体現してくれるのだ。

 

 半年にして群の誰にも負けなくなった。

 

 犬としての生活にも馴れ……家族四人(母、弟、妹、俺)と、家族同然の仲間達と幸せに暮らしていたのだ。

 

 ………あの日までは。

 

 その日、俺は川に魚を獲りにいっていた。

 雨が降りだしたので、早めに切り上げ帰ると……。

 

 そこは地獄であった。

 

 赤い……赤く染まった水溜まりが雨に跳ねる、赤い滴が踊っていた。

 

 赤い水溜まりは辺り一面に拡がり、其処に冷たくなった骸が複数転がっている。

 

 

「なんだよこれ………………」

 

 

 側にあった骸に近付くと、見覚えのある顔をしていた。

 

 …………母ちゃん。

 

 

「………まだ、無事なのがいたか」

 

 

 何時の間にか、俺の目の前にナニかがいた。

 

 俺よりも黒い、まるで漆黒の闇を纏った化物。

 

 本当に纏っていたのかもしれない……と、思えるほど禍々しい狼が俺の仲間、家族を殺していた。

 

 

「……お前がやったのか?」

 

「そうだ、安心しろ直ぐに貴様も殺す」

 

 

 そう言った刹那、狼の姿がぶれた。

 

 

「ッガハッ――――!」

 

 

 気付いた時には、俺は数メートル程吹き飛ばされた。

 

 辛うじてあの牙だけは避けれた……が、衝突は避けれなかった。

 

 吐き気が凄い、意識も失いそうだ………だがあの牙に捕らわれたら、既に引き裂かれ死んでいただろうな。

 

 避けれただけでも行幸レベルだな……糞が。

 

 

「ほぉ、今のを避けるか。

だが、足掻いても苦しむだけだ。

大人しくしてれば、楽に死ねるぞ!!」

 

 

 そう言いながら、ゆっくりと俺に近付いてくる。

 

 

「ふざけるなっ!!

俺は死なねぇ!お前を殺すまで死なねぇぞ!

糞野狼!!」

 

 

 意識も朦朧ながら、敵を睨み付け叫ぶ。

 

 その瞬間、狼は嗤った。

 

 

「………ッククハハハッ!!

嘘だろ……いや、その目は本物か……

面白い!……生かしてやるよ、その代わり強くなれよ。

そんで、俺を殺しに来い!」

 

「絶対に殺す!

強くなって、お前の咽を喰い千切ってやるからな!

 

 

 

 俺はそう言い残し、気を失った。

 

 

 

 ―――――――――――。◆

 

 

「―――兄貴?

大丈夫ですか、顔色悪いですよ」

 

「んああ、大丈夫だ」

 

 

 心配かけちまったらしい。

 

 ………気をつけないとな。

 

 

「それより、迎えがきたみたいだ」

 

 

 木陰から、茶色いのが2匹現れた。

 

 

「………あんたがニゲルだな」

 

「ああ、そうだ………でお前らは?」

 

教授(プロフェッサー)の遣い、砕羽(さいは)です」

 

「同じく、切羽(キルハ)だ………」

 

 

 2匹は、名乗り終わると、ブルーに目をやった。

 

 

「そっちのあんたは?」

 

「私達は、ニゲル様だけだと伺っているのですが?」

 

 

 確かにそうだったな。

 

 

「………ブルーだ」

 

「この前、あいつらに話を通した後、仲間になったんだ!

悪ぃな……一匹追加で頼むわ!」

 

「俺は別にいいと思うが、どうだサイ?」

 

 

 切羽が適当に頷き、砕羽に話をふる。

 

 

「……はぁ、いいでしょう……案内します。

ついてきてください」

 

 

 砕羽は溜め息をつきたそうな顔で了承し、くるっと切羽の方に向くと。

 

 

「キル、後で御話があります」

 

 

 目が笑っていない笑顔で、いい放った。

 

 

「はい!」

 

 

 その笑顔をみた切羽は、硬直し震えだしたのだった。

 

 夫婦漫才は他でやってくれよ…………はぁ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




文才が欲しい………
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。