ホラーゲーム開発部に取材しに行ったら本物だったんですけど   作:ガクランクン

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カメラのフラッシュはかなり眩しい

「鮫島・・な先輩・・・ジョーダンとかジョークって感じじゃないっすよね。あたしじゃないから・・・」

 

 安倍が落ちたドローンを拾い呟く

 

「はぁ、自覚はあったのか・・・まさか、怪異にやられたか・・・?」

 

「えっ!だとしたら結構まずいんじゃ」

 

「いや、凌牙がここにいる怪異程度に簡単にやられるほど弱くはない・・・だがそれでも心配だ。私は助けに行く安倍は山田の護衛を頼む」

 

「はいっす!」

「あ、安倍さんも一緒に行ったほうがいいんじゃ・・・・・・?」

 

 そう言うと安倍はヤレヤレと肩をすくめて言う

 

「鮫島先輩はまぁ一応は自衛手段あるからともかくとして、山田先輩には怪異に対して抗う術がない・・・だからあたしたちの内護衛に秀でたあたしが同行したほうがいいんすよ」

 

 山田はその言葉を聞き先ほどの発言に対し羞恥心を覚えた。そうだ、自分は誰かを守れるような人間じゃない、ただの人間だ。

 

「うっ・・・・・・すいません」

 

「いえ、こっちこそキツイこと言ってごめんなさいっす・・・じゃあここからは二手に別れる感じっすね?」

 

「君と山田くんはこの教室内で待機、私は外にいる凌牙を助けに行く」

 

「OKっす」「が、頑張ってください・・・!」

 

 如月は無言で頷き、扉を開けて外に出ていった。

 

「…男子生徒と女子生徒2人、密室で何も起きないはずもなく・・・って感じっすねぇ〜」

 

 真面目な顔でポツリと安倍はそう呟いた。本当に唐突なタイミングで、

 

「い、いやいきなり何言ってんですか!?!」

 

「いやぁ結構ソッチ系のネタもいけるんでぶっ込んで見たんすよ」

 

 すごいマイペースで掴みどころのない人だ。なんとなく普段如月が困っている姿を幻視した。そこで山田は最初見た時の疑問を思い出し安倍にぶつけた

 

「そういえば、安倍さん・・・その格好はなんなんですか?」

 

 そう、そのコスプレのような格好だ。最もコスプレにしてはすごいクオリティが高いが

 

「あぁ、これっすか?・・・・・・名前は“八田羽衣”まぁ簡単に言えば“戦闘服”っす」

 

「戦闘服?」

 

「そっす。怪異の攻撃から身を守ったり、もしくは各人の特徴に合わせた機能を付け足したり・・・・・・あたしの場合は、この悪行罰示の札をしまっておくのと“霊力の巡り”を良くする機能なんすけどね」

 

 それを聞いて、山田はそう言えば如月先輩も制服では無い黒スーツ姿だったなと、今更ながら思い出した。

 

「───と、いうことはその格好にも何か意味が?」

 

「いやシンプル趣味っす。なんか良いっしょ?こういう制服との融和!みたいなの、好きなんすよそうゆうの」

 

 山田はずっこけて危うく椅子から転がり落ちそうだった。安倍はそれを見て少しクスクスと笑い笑い合えると、改まって

 

「こっちから質問してもいいっすか?」

 

「は、はい」

 

「どうやってここに来たんすか?」

 

 その言葉を聞いてドキッとした。別にやましい理由があるわけではない。ただ彼女の目が山田の心を見透かす様に見て来て少し恐怖心を抱いたのだ。

 

「もう気づいてるとは思ってらと思うっすけど、“ここ”は普通の人が来れない特殊な場所・・・何があったんすか?」

 

 そうギロリと睨む安倍に対して、山田は必死に弁解をした。ホラゲー開発部と別れたのちに新聞部に行き新聞を書こうとして・・・そうそう部長が買ったであろうアロマが付けっぱなしで消したことも話した。

 

 部室に匂いがついてないかなぁと言うぼやきも追加して──そしてホラゲー開発部についての新聞を書こうと取り掛かろうと思ったら、気づいた時にはもうここにいたと言うことを話した

 

「・・・なるほど、ありがとうっす!」

 

「いえいえどういたしまして、そう言えば先ほど僕に会った時に驚いたりしていましたよね?何に驚いたんですか?」

 

「あーそのことっすか?・・・・・・まぁ簡単に言えば疑ってたんすよ。本来いない場所に山田さんがいたんで、怪異が化けたのかなぁって」

 

──もし仮に怪異が化けたのと勘違いされていた場合・・・自分はどうなっていたのだろうか?

 

 恐ろしい想像をしてブルリと震え上がる。そんな山田の心情も知らない安倍は暇っすねぇ如月先輩無事っすかねぇと今度は机の上に乗り足をプラプラとさせる。

 

 今の彼女の格好は結構スカートが短めで白い脚が交互に動くのを見て山田は思わず妙な気分になった。

 

「おっ?どこ見てるんで───不味い。ちょっと行ってくるっす!」

 

 人を煽る小悪魔的笑みが消えて、いきなり扉の外に向かって駆けて行く。山田は怖いから安全な教室で待機しようと思った。

 

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 扉の向こうには、見覚えのある冷たい不気味な霧のある廊下に繋がっていた。

 

(何があったんだろう?)

 

 ひょっこりと顔を覗く。すると目線の先にあったのは、左手を己の顔の前に突き出し、指の間に札を挟んだ安倍と

 

 安倍の背丈を悠々と越し、手には両手剣…大太刀を構えた白い紙に包まれた武者が立っていた。

 

 両者は見合う様に向かい合い、山田はその空気に思わずごくりと固唾を飲んだ。

 

 先に動いたのは武者の方だった。己の背丈ほどある大太刀を安倍に向かって力任せに振り下ろす。

 

 技術も何もない力技だが、その一撃はか弱き少女の命を消すには十分な一撃だった。

 

最も

 

彼女はか弱き少女をではなく、陰陽師だが

 

「───」

 

 彼女は口元で何かを呟くと、周囲に真四角の青白いものに覆われた。直感的にそれがゲームとかでよく出る“結界”だと分かった。

 

 その結界に大太刀がぶつかるが、重たい音を響かせながらスライドする様に大太刀が滑り地面に降りる。そしてその衝撃で重々しい音を響かせながら廊下に軽いヒビが入った。

 

 その隙を安倍は逃さず、安倍はヒラリと跳躍すると易々と武者の背後を取り掌から光弾を打ち出す。

 

 武者は光弾に綺麗に飲み込まれ、光が止むと武者は綺麗に消えて、武者が居た場所には一枚のヒトガタが落ちていた。

 

「す、凄い・・・」

 

 一瞬のうちに行われた激しい攻防、何がどうなっているのかすらも不明な非現実的な戦いが山田の目の前で起こり、目を奪われた。

 

「大変っす。山田先──って見てたんすか?」

 

 戦いを制した安倍がこちらにかけてきて山田の覗き見がバレた。

 

「す、すいません。急に気になっちゃって」

 

「別にいいっすよ。それより見てた方が説明を省きやすくて・・・ここを出るっすよ」

 

今までにないほどに冷静な口調で山田も戸惑った。しかしすぐに安倍の指示に従い外に出る。

 

安倍は扉を回収すると「走ってっす」と言い走り出した。山田も後を追いかけた

 

「・・・まず謝らせてください。巻き込んでしまって」

 

「な、何があったんですか?」

 

「さっき戦った奴・・・あれは怪異ではなく式神っす」

「式神ってことは悪行罰示の?」

 

「それとはまた違うんすがね。とにかくこの学園には今、()()()()()()()()()使()()()()()()()()()()()

 

「?同じ陰陽師ってことは仲間なんじゃ・・・」

 

「いえ、バレると不味いんす・・・だから陰陽師から逃げているのはあたしが原因で・・・」

 

安倍の言葉を遮るように安倍に向かって横から光る物体が飛んでくる。それをなんとか躱すと声が聞こえてくる。

 

「さすが“あの”安倍さんね。簡単に交わすなんて・・・」

 

 安倍とは違う、大人の女性の声…振り向くと教室の中に1人の大人の女性が佇んでいた。

 

「あーもー!見つかっちゃっすか・・・!」

 

安倍が悔しそうに呟く。

 

「え、えっと、どちら様ですか?もしかして安倍さんの知り合いですか?」

 

 安倍の名前を言った目の前の女に対して恐る恐る山田がそう聞くと、女性がフフフとミステリアスに笑い喋る。場の空気が彼女に集約されたようだ。

 

「彼女と私は面識はないわ。ただ私が一方的に知ってるだけ…そうでしょ?“家出少女”の安倍セイカさん」

 

「っ!」

 

 その言葉を聞いた時、今まで見たこともない敵意を向ける。鮫島と口論してる時よりももっと大きく。

 

しかしそれも一瞬だけすぐにいつも通り飄々した態度に戻る

 

「こっちとしちゃ、アンタとは戦いたくないっす。見逃してくれませんっすか?外に友達が待ってるんで」

 

「そうは言ってもねぇ・・・アナタを逃がすメリットも無いし、捕まってちょうだい?」

 

「絶対嫌っす!」

 

 その言葉を皮切りに戦いの火蓋は斬られた。女性は肩に掛けているバッグから数枚の札を取り出し、投げる。すると札が光り先ほど見た武者に変化する。

槍を持っている者、弓を持っているものなどなど、これらは先ほどの大太刀を持った武者と同じ“式神”なのだろう

 

 弓を持っている武者が安倍に狙いをつけ弓を引く、安倍は飛んでくる矢を簡単に避け弓を引いたことで硬直している武者に対し札を投げつける。

 

「これでも食らえ!」

 

 札が命中した箇所から這い出るように、黒い大量の手達が生えてきて近くにいた武者を遊ぶかのような手つきで破壊する。札に触れていた武者は簡単に破壊された。

 

 いともたやすく自身の式神を破壊された女性は悔しさから顔を歪ませる。安倍は一旦出した黒い手達を札に戻して、手のひらに戻し別の怪異を呼ぼうと懐に手を入れる。

 

「──っ」

 

 彼女の視界の端にあるものが入った。教室の机の上に、この学園の制服とは違う古めかしいセーラー服を着た少女が立っていた。いや立っていたというのは描写としておかしい、浮いていたのだ。

 

彼女は青白い体に、全身を鎖と札で拘束されて、目を瞑っている。

 

 それを見た瞬間、安倍の飄々とした顔は消え入り、喉からヒュッと音が鳴り、瞳孔は激しく動き、息も滅茶苦茶だ。

 

「ゆう…れ…」

 

“だ・・・も・・・笑・・・て・・・”

 

女性はその隙を見逃さない、すぐに新しい式神で安倍を拘束する。上からのしかかられて手は掴まれ拘束された

 

「安倍さん!!」

 

山田は近づこうと教室に侵入する。入った途端ズシリと体全体に重りがつけられた感覚がした。

 

「っ!なんだ・・・これ・・・!」

 

 中学校の頃にかかったインフルエンザの時以上の息苦しさを感じた。しかしそれでも関係なしに彼女を助けようと歩を進めるが

 

「来ちゃ・・・だめっす・・・」

 

安倍が涙に掠れた声を振り絞り、山田の歩みを止めさせる。

 

「やったわ・・・嬉しいけれど虚しいわね。意外か簡単に物事が終わると素直に喜べないわ」

 

女は無感動に呟き、地に伏した安倍を見る。

 

「なんで・・・」

 

「ん?」

 

「なんで安倍さんを捕まえたんですか!?この人が何かやったんですか?!」

 

 今までに無いほどに山田は怒っている。なぜ安倍は捕まらなければならないのかその理不尽に怒っているのだ。

 

「なんでって・・・坊やは知らないのね。彼女のことを」

 

「彼女のこと?」

「えぇ、彼女の苗字は安倍・・・そして陰陽師、安倍で陰陽師って言ったら一人しかないわよね?」

 

「まさか・・・安倍晴明?」

 

日本で有名な陰陽師の名前を言う。

 

「正解よ、彼女は安倍一族の末裔。なんでも一族の中でもっとも安倍晴明に近い才能を持った子らしいわね」

 

「それが何と!」

 

「家出、したのよ。安倍家から突如としてね。理由は分からないわ。あのままいれば成功間違いなしなのに」

 

訳がわからないわと付け加えた女性の言葉に噛み付くように、安倍は肺から空気を絞った声で言う

 

「あたしは、嫌なんすよ・・・・・!あの家に居たままだと、あたしはあたしじゃなくなってしまう・・・・・!!」

「アナタの許可は要らないわ。フフッ楽しみね。家に帰らせるだけで数百万円の臨時ボーナス・・・フフッ」

 

 どうせお金が入ったら何に使おうかしらね、と考えているのだろう。山田は安倍のことについて学校の噂程度にしか知らなかった。

 

 だから分からなかった、本気で口論する相手がいる事が、ソッチ系のネタも言う事が、陰陽師なのが・・・理由は不明だが、家に帰りたく無いのが

 

 心から実家を拒絶している。それはきっと生半可な理由では無いのだろう。

 

だがそれは関係ない自分が妄想するべきではない

 

──ただ、その涙を無視して下卑た妄想をする人物は許せない

 

「あら?何かやるの?アナタのようなただの凡人が」

 

凡人?構わない、ただしやる時はやるものだ

 

「ウ、オオオオオ!!」

 

 喉から血が出るほど絶叫し、新聞部の証である首から下げたカメラを手に振り回す。なんも特殊な技能もない怪異に触れるすらできない攻撃

 

「気が触れたかしら?・・・っ!」

 

 がむしゃらに振り回しただけの攻撃とすらよべないお粗末なもの、しかし偶々机にカメラのスイッチが当たり、シャッター音を教室に響かせてフラッシュを焚く。

 

 辺りが音と共に光に包まれる、女はそのフラッシュに目が眩み、周囲の式神に命令を下せず目を覆った。

 

 その隙に安倍を拘束を外そうと腕を引っ張るが、なかなか式神の力が強く外れない。すぐに視力が回復した女性が充血した目を向けて叫ぶ。

 

「やりやがったわね!!このガキ!」

 

式神を襲わせようと命令をしようとするが、パリンと小粋に割れる音がした。散らばるガラスを周囲に纏いながら、グローブを着け黒いスーツを着た男が教室に着地する

 

「すまない、遅れた」

「なっ・・・!新手ですって!!」

 

部長の到着《エントリー》だ

 

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