ホラーゲーム開発部に取材しに行ったら本物だったんですけど 作:ガクランクン
「な、何か用事で・・・ひょっとして何かトラブルですか!?というかすいませんこんな体勢で、今起きますね!!」
あまりの展開に驚いて自分でもびっくりな肺活量と滑舌で早口に喋り、そして寝たままだと如月に失礼だと思い急いで体を起こそうとするが如月が手で制する。
「いや、このままで構わないよ。それよりも君は頭を打ったんだ、もう少し安静にしていなさい」
「す、すみません・・・・・・」
自分がパニックになっててとんでもないことをしようとしていたことに気づいて思わず顔が熱くなる。が、如月の言葉により切り替わる。
「・・・さて、単刀直入に聞くが
「っ!?・・・はい、見間違いでなければですが」
気絶する前の光景を思い出し、顔を青くしてそう言う。見間違いでなければ、昨日の怪異と似たようなものが見えた。と、それを聞いた如月は何か考えたあと、胸ポケットから何かを取り出し山田の目の前に出す。
「これはお守り、ですか?」
目の前に出されたそれをみて言う、神社とかで売っている安全祈願や合格祈願などでお馴染みの“袋型”をした一般的なお守りだ。山田もこの学園に合格するために似たようなものを買っているため記憶に新しい。
お守りの見た目は赤が主体となった色合いにその中心にはデカデカと安全祈願と書かれており、記憶の中にあるものとは少し毛色が違う気がする。
「安倍が作ってくれた軽いお守りさ、それがあればここにいる怪異は近づかなくなる。ポケットにでも入れて大丈夫さ」
「は、はい。ありがとうございます」
如月の手からお守りを受け取って、ポケットに入れておく。あの安倍が作ってくれたお守りだ。如月の言う通り、恐らくは大丈夫だろう。
「それと、今日の放課後我々の部活に来て欲しい、そこで先ほどのことについて説明する。申し訳ないのだが、新聞部の方は休んで欲しい」
「わかりました。部室の方ですか?」
「あぁ、部室の方で頼む・・・それじゃあ頼んだよ」
「は、はいっ!」
背中がピンと張った。寝ている体勢だが一応は、失礼ではないはずだ。多分
「さて、じゃあ授業の方は行けそうになったらでいいからね・・・それでは放課後に会おう」
「ありがとうございました!如月先輩!」
そういい残して、保健室から出ていく如月の背中を見送りながら、大きな声でお礼を言った山田であった。
その後、このまま休みたいという内なる欲望になんとか打ち勝ち授業に出た。
放課後、もう授業は終わりだと、このあとどこかに行こうと約束する人や、部活に行く者がいる教室にて
「・・・あ、ごめん。言い忘れたけど今日部活行けないからね」
そういえば言い忘れていたと、鼻歌を歌いスキップしながらすぐに部活に直行しそうな岡崎に告げる。岡崎はその言葉を聞いて体を止めて、少し経ったのちにオイルを入れ忘れたロボットのような動きで山田の方まで進みそして泣きついた。割と大きな声で
「ごめんんん!!!僕が昨日すっぽかしちゃってぇぇ!!怒ってるよなぁぁ!!・・・・・・いやでも、他の奴らもズル休みだったしぃ!特に部長なんて彼女とデートだったしぃぃ!!」
謝りながらも他の人間に責任転嫁しそうとするところで本当に反省しているのか?と疑問に思う・・・しかし特にもう岡崎には怒ってない、愛想をつかした訳じゃ無い。
部長の方に関してはちょっとキレたが
「怒ってないよ、今日一日中サポートしてくれてたから。むしろ今の今まで忘れていた僕の方が悪いし」
そう、今日一日怪異のことを考え続けて上の空になっていた山田が教師に当てられそうになった時とかに岡崎がサポートしてくれたのだ。
「実はね、今日はちょっと用事があって」
「用事?・・・ひょっとしてお前も映画か?だったら僕が昨日見たやつおすすめだぜ」
「いや個人的な感じで・・・・・・ってかその映画結構B級映画臭するやつだよね?」
「B級じゃない、ありゃサメ級映画だ」
「サメって独立したジャンルなの??」
そう、岡崎が昨日観た映画というのは“地球侵略しようとした宇宙人が地球上で最も凶悪凶暴な生き物であるサメに目をつけて改造したはいいものの、制御しきれずに宇宙人のロケット内で虐殺を続ける”という変なパニックホラー映画である。
予告だけ無理やり見せられたが、なんともまぁ宇宙人のコスプレがチープだしサメのCGも2昔前で画面から浮いているし、カメラアングルもなんか変でずっと傾いてるか逆光で眩しいし、映画は英語版しかなかったが、役者が全体的にボソボソ話しているだけだしで予告だけでツッコミどころ満載の一周回ってCMの意味がある映画だったと山田は記憶している。
ちなみに特典のキーホルダーはサメに飲み込まれて上半身だけ出ている宇宙人である。はっきり言って趣味が悪いの一言である。
「まぁでも良かったわ、なんか朝見た時より生き生きして・・・・・・それじゃあまた明日な」
「うん、また明日」
そういい岡崎と別れた山田は「さてと」と笑顔から一変して緊張した顔つきになり、ホラゲー部へと足を進めた。
怪異について聞くために。何故自分が見えているのかを知るために
今自分の身に何が、周りで何が起こっているのかのか知るために