軍神アレスとなった誰かの話   作:色々残念

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思い付いたので更新します


軍神アレスと鍛冶貴族

鍛冶貴族であるクロッゾ一族は、クロッゾの魔剣が作れなくなっているが、通常の武器や防具は問題なく製作可能である為、鍛冶師としてラキアの兵士や騎士達の装備の作成を任されていた。

 

魔剣を作れなくともラキアに貢献しているクロッゾ一族は鍛冶貴族という呼び名を誇りに思っており、優れた鍛冶師を輩出する名門鍛冶一族と名高い。

 

俺が友神のヘファイストスに教わった鍛冶の技術を、より貪欲に吸収して、鍛冶師として最も成長したのがクロッゾ一族だ。

 

クロッゾの魔剣を作れなくなったことで、危機感を抱いたクロッゾ一族が、魔剣以外でラキア王国に貢献する道を選んだことで、優れた鍛冶師が生まれたのは、ラキアにとって悪いことではないだろう。

 

クロッゾ一族の1人であるガロン・クロッゾは、俺から神の恩恵を授かった時には14歳の少年であったが、既に腕の良い鍛冶師と呼べる存在だった。

 

クロッゾ一族が代を重ねていくごとに受け継がれていく鍛冶の技術は、時が経つごとにより洗練されていき、積み重ねられてきた技法を更に高めていくクロッゾ一族。

 

今ではラキア王国に欠かせない存在となったクロッゾ一族は、ラキア王国の鍛冶貴族として今日も働いている。

 

ラキア王国の主神である俺は軍神である為、戦装束が正装であり、鎧姿となることが多い。

 

国内の重要な行事にも鎧姿で参加することになる俺の鎧と剣は、ラキア王国で最も優れた鍛冶師が作ると決まっており、ここ数十年はクロッゾ一族の者達だけが選ばれていた。

 

それだけクロッゾ一族の鍛冶師が優れた存在となっていたということになる。

 

永劫に劣化することなく使える鎧や剣を作成可能な技量までは得ていないラキア王国の鍛冶師達。

 

故に俺が身に付ける鎧なども定期的に取り替える必要があり、古びた鎧よりは新品の輝く鎧を身に付けてほしいとラキア王国の歴代国王全員から懇願されて、仕方なく着用しているところもあるが、優れた技術で作成された鎧を身に付けること自体は嫌いではない。

 

それは積み重ねられてきたラキア王国の鍛冶師達の技術の進歩が、実感できる瞬間でもあるからだろう。

 

そして今年も誰がラキア王国で最も優れた鍛冶師であるかを確かめる為に、ラキア王国の様々な鍛冶師達が同一の素材を用いて作成した剣を用いた試し切りや防具の強度確認等も行われるが、例年通りに鍛冶祭りとして大々的な祭りとなって、大多数の国民が祭りに参加していた。

 

様々な出店や屋台が用意されて、鉄製の鎧や兜に鉄板や鉄棒を断ち切れるか、防具の強度がどの程度であるかの確認が、祭りの最中に行われていく。

 

剣を使った試し切りを行う人員は、武器の扱いをある程度身に付けただけの新米兵士が選ばれ、技量だけでは斬鉄ができない新米兵士に扱わせて、どれだけの結果を剣が残せたかを競う試し切りの種目。

 

様々な剣を扱って、鉄製の鎧や兜に鉄板や鉄棒に斬撃を叩き込んだ新米兵士。

 

斬鉄まではいかない剣も幾つかあったが、それでも折れたりすることはない剣の強度は基本的に高い。

 

ガロン・クロッゾが作成した剣は、持ち主の技量が最低限であっても、全てを切り裂くことに成功していた。

 

「流石は鍛冶貴族のクロッゾだ!」と誰もが称賛したガロン・クロッゾの剣。

 

試し切りが終わると今度は防具の強度を確認する種目が始まり、武器の扱いに慣れた騎士団長が振るう武器による攻撃に、鍛冶師達が用意した防具が、どれだけ耐えられるかを競うことになる。

 

騎士団長の振るう槍による槍撃により、次々とひしゃげて壊れていく鎧。

 

あっさりと騎士団長によって壊されていく鎧を見て、落ち込んでいた鍛冶師達は多かった。

 

まだまだ未熟な鍛冶師達も少なくはないということだろう。

 

剣や魔剣の作成が得意な鍛冶師は多くとも、通常の防具の作成が得意ではない鍛冶師も居るようだ。

 

防具の作成が苦手だろうと、剣や魔剣の作成が可能であるなら仕事はあるので、それぞれが適材適所で働いてもらえば、何も問題はない。

 

騎士団長の槍を受けて原型を残していた鎧も幾つか存在したが、壊れていることには変わりがなかった鎧の数々。

 

騎士団長が態と最後に残した鎧は、ガロン・クロッゾが作成した鎧で間違いなかった。

 

放たれた騎士団長の叩きつけるような槍撃は、手加減無しであったが、固定された鎧には傷もなく壊れていない。

 

「見事!」と騎士団長も褒める程に優れた鎧を作成したガロン・クロッゾが、最も優れた鎧を作成した鍛冶師となる。

 

剣部門と鎧部門両方の種目で、最も優れた鍛冶師となったガロン・クロッゾが、俺の鎧と剣を作る鍛冶師と決まった。

 

ラキア王国の主神である俺の鎧と剣を作ることになったガロンは、ラキア国王と俺に挟まれながら表彰されたが、ガチガチに緊張していたんで、軽く背中を叩いて「ラキア王国で最も優れた鍛冶師として選ばれたのだ。胸を張って己を誇れ、ガロン・クロッゾ」と言っておき、ガロンの緊張を解しておく。

 

それから、ラキア王国が提供できる素材を用いてガロンが作成していった俺の鎧と剣。

 

今のラキア王国で最も優れた鍛冶師によって作られた鎧と剣が完成し、ラキア王国の国王が「是非ともお披露目しましょうアレス様」と頼んできたので、国民達にもお披露目することになった。

 

ラキア王国の国民を集めて、俺の鎧姿をお披露目するだけの謎の行事に参加した俺。

 

一応ラキアの国民達は物凄く喜んでいたんで、無駄な行事という訳ではなかったのかもしれない。

 

少年だったガロンも青年となり、妻と結ばれて、次代のクロッゾが生まれたりもしたが、ガロンの息子はヴィルという名前であるそうだ。

 

ガロンの息子のヴィルが、鍛冶貴族であるクロッゾの名に恥じない鍛冶師となることを期待しておくとしよう。




アレスがヘファイストスから教わった鍛冶の技術を、より貪欲に吸収したクロッゾ一族の鍛冶技術は、ラキア王国でもトップとなりました
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