ここだけ病弱コハル   作:匿名さん

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【WARNING】
この先先生が好きな人には辛めの描写があるよー
あくまでも作中の一人物からそう見えるだけであって、それが必ずしも真実というわけではないことはあらかじめ伝えておくよー
あと今更だけど独自設定と独自解釈のタグが強めに火を吹くよー
読んでてなんじゃこりゃ!? ってなった人はすっぱり忘れて別の作品を探したほうが幸せだよーごめんねー


その49

「──はああぁぁ……」

 

深い、深いため息だった。心の機微まで全て吐き切るかのように。

脱力したウイは、呆れた調子を隠しもせず私に問いかけた。

 

「わかってはいましたが、こうも予想通りだとそれはそれで苛立ちますね……一応聞くだけ聞いておきましょう。なぜ賛同できないと?」

 

【ウイ……】

 

どう言葉にすれば、伝わるだろうか。言葉選びに苦慮しつつ、私は常よりも数倍重たい口を開いた。

 

【言いたいことは概ねツルギと同じだよ。ウイ、その方法はあまりにも多くの生徒を巻き込みすぎるんだ。大勢を動員した暴力は、どれだけ指揮や統制が上手だろうと制御しきれない。必ず無関係の人たちを巻き込むことになる。たくさんの悲劇が生まれてしまうんだ……コハルを守るために、他の人たちを傷つけるのは、よくない選択だよ】

 

「……」

 

そんな一般論だけじゃないだろう? と。沈黙しつつも目がそう言っているウイに対し、私は小さく深呼吸した。ここまでは一般的な善悪の価値観で見た話。ここからは私のポリシー、考え方に基づくものだ。

 

【もうひとつ、こちらのほうが主な理由になるけど……ウイ、君はナギサを潰すと言ったね? ツルギとの話でも、君はナギサを殺してでも止めると宣言している。──そこだ。私はそこだけは、絶対に容認できないんだ】

 

私は"先生"だ。外の世界では、"先生"というのは教職につく人の呼び方で、子どもたちに知識や道徳を教えて、社会に出られる大人になれるよう導く職業だ。でもこのキヴォトスにおける"先生"の役割は、外とは違う。外の世界とは仕組みからして違うからね。

この学生都市キヴォトスにおける"先生"とは、子どもたちを教え導くだなんて御大層な存在じゃない。ただ子どもたちのやりたいこと、希望、信念を応援し、背中を押し、見守り、そして失敗したときは、その責任を代わりに取る。そんな役割だと私は思っている。

 

【ウイ、君の選択は取り返しのつかないものだ。誰にも責任を取ることができない。この世の誰にも、無論私にも。だからこそ、そんな選択をしてほしくないんだ】

 

ウイの計画が実行されれば、先程言った通り数多の悲劇が生まれるだろう。その中に、ナギサの安否も含まれるはずだ。確かにナギサの行いが許せないのは理解できる。できるけど……だからといって、命を奪っていいことにはならないんだ。その選択は、今後ウイやナギサや、その周囲の人生に一生影を落とし続ける選択だから。

 

【……どうか考え直してほしい。他の方法を探すことはできないかな? 私も一緒に考えるよ。だから──】

 

「道徳の講義ですか?」

 

【──ウイ……】

 

乾いた声が、私の発言を打ち消した。先程までは石ころを見るかのように私を見つめていたウイの目には、今初めて感情が宿っていた。それは恐らく……

 

「はぁ……世間一般的に見れば、確かにあなたが正しいでしょうね。それは認めましょう。──ならば、聞かせて貰いましょうか。あなたの考える、それ以外の方法を」

 

怒りと、嫌悪感。

 

「『他の方法を探せ』『私も一緒に考える』……この発言は、他の方法を欠片程度でも思い付いているからこそ言えるセリフです。一切思い当たらない時に口から出てくるものではない。不可能を可能だと言い張る凡愚じゃないでしょう? あなたは。──さあ、答えて下さい。先生。私の提示した選択肢よりも確実で、犠牲なく、コハルさんもティーパーティーもその他諸々も、全て無事に済む選択肢を」

 

【……】

 

三次試験開始までに可能で、コハルも補習授業部の皆もナギサも、全員が無事でいられる方法。誰も傷つかずに済む方法。

少しの沈黙の後、私は口を開いた。

 

 

 

【ナギサと、もう一度話をさせてほしい】

 

 

 

「……」

 

「ナギサさんと、話を……ですか?」

 

胡乱な眼差しを送るウイに、鸚鵡返しで尋ねてくるサクラコ。言外に「今更?」という意思を浮かべている二人の目を見ながら、私は言葉を重ねる。どうか、この思いの一欠片でも伝わることを願って。

 

【思えば、初めてナギサに会ったときから、違和感みたいなものは感じていたんだ。露悪的、と言えばいいのか……ともかく、あんなに冷徹に、悪辣に振る舞う姿が、彼女の素ではないと私は思ってる。むしろ努めてそう振る舞っているような、そんな印象を受けたんだ。それに……】

 

思い返す。ナギサから裏切り者探しを頼まれた、あの日。コハルの様子を聞いてきたあの一瞬のみ、ティーパーティーのホストではない、等身大の彼女が垣間見えた。

その上、二次試験の会場で現れたナギサのホログラム。それを見たコハルの反応も気になるものだった。まだ本人に確認が取れていないが、あれは明らかに知己の姿に困惑したような様子だった。

 

ナギサとコハル。この二人には加害者被害者だけじゃなく、また別の、何らかの繋がりがある。

 

【ナギサ自身の口から聞きたいこともたくさんある。その前に、彼女やティーパーティーを制圧するのでは意味がないんだ。彼女の本心は、抑圧して聞けるようなものじゃない。──だからこそ、ウイやサクラコたちが武力制圧に移る前に、どうか話をさせてほしい。そうすれば、まだ説得の目が──「先生」!】

 

「私が嫌いなものが何かご存知ですか?」

 

ウイが席から立ち上がり、静かに私に語りかけた。……彼女が嫌いなもの? 少し考えるが、思い当たるものはない。というより、これが初対面な上、古書館に籠りきりでほとんど外部露出のないウイの嗜好は、まだ知らないことのほうが多い。

 

【……わからない】

 

 

 

「それはですね──理想論ばかり語る脳足りん(あなたのような人)ですよ」

 

 

 

『先生!』

 

「ウイさん!!」

 

アロナがこちらにむけて警告の声を上げるのと、サクラコがウイに語調を荒げるのはほとんど同時だった。それと同じくして、蟀谷に感じる固い感触。

 

無表情のウイが、私の横に立って銃口を向けていた。あれは、消音器付きの拳銃か? どこに隠していたのか……いやそれよりも。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

ゾクリ、と。背中に氷柱を突っ込まれたかのような怖じ気が走る。

ついさっきまで、彼女は円卓を挟んで向こう側にいた。にもかかわらず、銃口の冷たさを肌に感じるまで全く挙動を察知できなかった。まるで、コマ撮り映像のコマが一部抜け落ちたかのような。小説の大事なページが飛ばされたかのような。そんな理不尽な現象。

 

『今、一瞬だけウイさんから神秘の兆候を感知しました。でもこれは……瞬間移動……? いえ、あの一瞬の神秘強度からしてそんな結果になるわけが、もっと小規模なものになるはずで……これは一体……?』

 

アロナがぶつぶつと唸っては一人首を捻るなか、そうとは知らないサクラコはウイに厳しい視線を向けた。

 

「……ウイさん。ここは大聖堂、我らが主の座す神殿です。──私の目が黒いうちは、この地での蛮行は容赦いたしません」

 

「…………」

 

見つめ合う二人。銃を突きつけられたままの私が見守ること数秒……ゆっくりと、銃口が私の蟀谷から下ろされた。

 

「──正論ですね。ただでさえ場所と人手を借りているのに、その上本拠地で好き勝手するわけにはいきませんか。失礼しました、サクラコさん」

 

【っ!】

 

『あ! また!』

 

円卓の向こうで頭を下げるウイ……まただ。目を離してなどいないのに、いつの間にかウイは私から離れて円卓の向こう側、先程まで座っていた椅子のある箇所まで戻っていた。瞬間移動、ということだろうか。だが、例え瞬間移動したと仮定しても、銃口を向けられるまで、アロナですらその存在に気付かないというのはなかなか考えられない。一体全体どういう仕組みなのか……いや、今はそんなことはどうでもいい。

 

【ウイ……】

 

「どうせそんなことだろうなとは思っていました。予想していてもなおのこと腹が立ちましたが……説得、ねぇ……先生。そんな段階は、もう当の昔に過ぎ去っているんですよ」

 

あなたのような部外者がごちゃごちゃ言ったところで、止まるような女じゃないんですよアレは。ティーパーティーのホストという役職に縛りつけられ、トリニティ総合学園を未来に遺すことに囚われているあの女にとって、あなたの言葉なぞ馬耳東風。ないものと同じです。にもかかわらず、そんなものを代案などと……聞いた私が馬鹿でしたよ。

 

【ウイ、私は──】

 

「もうひとつ。子どもが失敗したら代わりに責任を取る、でしたっけ? ──選択の責任は当人が取るものです。そんなこと、それこそ子どもにだってわかります。それを横からしゃしゃり出てきた挙げ句、責任は大人が取るものだ? ……なら逆に聞きますが、先生」

 

 

 

──この二次試験でコハルさんが死んでいたら、どうするおつもりだったんですか?

 

 

 

心臓を握りつぶされた気がした。

 

 

 

「……その時も、あなたはきっと、桐藤ナギサに向けてこう言うのでしょうね。【そんな選択を彼女にさせた状況が悪い。その責任は、(大人)が負うからね】と。……人の命を奪った責任など、そう簡単に背負えるものではないというのに。それとも、コハルさんを生き返らせると宣うおつもりですか? 大人にならそれができるとでも?」

 

【それは……】

 

「──只人の分際で、できもしないことを軽々しく口にしないでください。虫唾が走ります」

 

しばらくの間、ウイの息づかいがだんだん落ち着いていく音だけがこの場に響いていた。

 

「……まあいいです。シャーレの先生がこちらについてくれたなら、この革命もどきの正当性が保証されると思っての協力要請でしたから。正直オマケみたいなものです。──真に重要なのはあなたのほうです、ハナコさん」

 

「──あら、私……ですか?」

 

ウイに視線を向けられて、ハナコはにっこりと笑顔を返した。

 

「随分とお熱い様子でしたので、てっきり私のことなんて忘れ去っているのかと……」

 

「悲しいことにフラれてしまいましたので。脈なしの相手にはもう意識を向けないタチなんですよ、私は。……さて、言葉遊びはここまでにしましょう。ハナコさん、あなたに協力してほしいことはただひとつ。桐藤ナギサの居場所についてです」

 

最早私の存在には目もくれず。ウイは幾分か柔らかい調子でハナコに話しかけた。

 

「あの女、やってることはとんでもない馬鹿ですが、オツムまで馬鹿ではありません。ネットを介して今回の件が表沙汰になり、大騒ぎになっている今、自分の立場がかなり危険なことには気付いているはずです。事実、テラスがもぬけの殻だと先程協力者の一人から連絡がありました。……ティーパーティーに限らず、権力者は複数のセーフハウスを構えているものです。例に漏れず彼女も、そういった隠れ家に身を潜め息を殺しているのでしょう。三次試験が終わり、裏切り者が放逐されるまでずっと。──まあ、そうはさせませんが」

 

ゾッとするような据わった目付きで、ウイは手元に置かれていたアイスコーヒーを啜った。既に氷が溶けきり、生ぬるくなっていたのだろう。微妙な表情を浮かべて卓上に戻す。

 

「ただ、穴熊を引きずり出すには少々問題があります。果たして穴がいくつあるのか、どの穴に隠れているのかまるでわからないということです。ティーパーティーのホストであり、フィリウス派の代表である彼女には、それ相応の隠れ家をいくつも所有しているはず。その内のどこに潜んでいるのか……流石に全てを暴くことはできませんでした。──そこで、あなたです」

 

率直に言いましょう。桐藤ナギサのセーフハウス、把握してますね?

 

「……どうしてそう思ったのか、お聞かせ願えますか?」

 

「ティーパーティーの次期候補生」

 

ピクリと、ハナコの眉が一瞬跳ね上がった。

 

「……古書館に籠りきりだと聞いていたのですが」

 

「人の口に戸は建てられない、というだけの話です。見下している相手には口が軽くなるのはトリニティの共通項なんでしょうね。それはさておき、ティーパーティーやシスターフッドから散々騒がれて利用されかけたんです。優位に立つために、相手の弱みの1つや2つ調べたでしょう? ……例えば、セーフハウスの数と位置とか、ね。相手の弱みを握ってイニシアチブを取りたがるタイプですから、あなた」

 

「……知ったような口を聞く人は嫌われちゃいますよ?」

 

「それこそ今更です。外の人にどう思われようがどうでもいいので。……で、実際のところどうなんですか? 知っているのか、知らないのか」

 

「知ってますよ」

 

ハナコはニコニコしながらそう答えた。……随分と簡単に答えるものだ。果たして本当に知っているのか少し心配になってしまう。ハナコのことだし恐らく本当に把握しているのだとは思うが。

 

「ナギサさんの所有するセーフハウス()8()6()()()、座標も住所も全て記憶しています。……しかし、今のナギサさんの精神状態で何処に隠れたのかは、いくつか絞れても確証がありませんね……」

 

「絞れるだけでも十分です。候補を絞り込むことさえできれば、あとは奇襲して身柄を確保してしまえばいい。生殺与奪の権利を握ってしまえば、あの女もこれ以上の凶行はできなくなる」

 

「ウイさん」

 

ぶつぶつと、恐ろしい段取りを組んでいるウイにサクラコが話しかけた。

 

「ナギサさんの命に関しては……あくまでも最終手段ですからね?」

 

「……わかっています。ええ、好き好んで殺したいわけではありませんから。……ではハナコさん。ナギサが隠れているセーフハウスについては、少し時間を空けて、別の場所で話しましょう。ここまで話し続けて疲れましたし。時間がないとはいえ、休みなく動いていては肝心なところで失敗するので。後で追って連絡します」

 

ふいぃ……と息を吐き、ウイは席を立った。そのままこの場を立ち去ろうとする。……先程よりもテンションが落ち着いている気がする。言葉を掛けるなら、今しかないか?

 

【ウイ、待って!】

 

「先生」

 

ウイは振り返らず、言葉だけを背に投げ掛けた。

 

「あなたは補習授業部の顧問。その立場は、ティーパーティーから認められた正当なものです。忌々しいですが。……それこそが、あなたが私に協力しない今もなお、この聖堂にいられる理由でもある。それさえなければ今頃退場して貰っています」

 

ギリッ、と、歯を噛み締める音がする。

 

「補習授業部の顧問としてなら、コハルさんの傍にいるのも認めざるを得ません。故に認めましょう。……しかし……そこから逸脱するのであれば……私の邪魔をすると言うなら──」

 

ゆっくりと、ウイは私に振り返った。深淵のような瞳が私の姿を捉える。思わず吸い込まれてしまうんじゃないかと錯覚するほど、そこには闇しかなかった。

 

「──次は撃ちます」

 

努々、忘れないように。そう警告して、今度こそウイは去っていった。ほとんどしないウイの足音がすぐに消えて、残った彼女の痕跡はアイスコーヒーのグラスだけになった。

 

 

 

【……ウイ……】

 

「すみません、先生。彼女にかわって、私が謝罪いたします。……大切な人が理不尽に傷つけられて、常にないほど憤っているのです、今のウイさんは」

 

【……大丈夫だよ。気持ちそのものは理解できるから】

 

「……サクラコさん。ひとつ確認したいのですが……何故、今のウイさんに協力を? それも、このようなクーデターまがいにシスターフッドの戦力を貸すなど……私の知るあなたなら、本来あり得ない行動です」

 

「……」

 

ハナコに問いかけられたサクラコは、痛ましい表情を浮かべて目を伏せた。ややあって、口を開く。

 

「……理由は幾つかあります。1つは、シスターフッドと図書委員会の間にある、古くからの契約。シスターフッドは秘匿や資料の保存のため、またそれらの修復のために、かつてから図書委員会の協力を得ていました。それこそ、シスターフッドも図書委員会も、今の名を名乗る前の時代から、ずっと。その協力の代価として、シスターフッドは図書委員会にも協力すると。2つめは、今のウイさんを野放しにするのは危険だと判断したからです。誰かが横でたしなめなければ、彼女はそれこそ何をしてでも目的を達成するでしょう。そして3つめですが……私も……私たちも、概ねウイさんと同じ意見だからです」

 

【サクラコ……】

 

「──既に、賽は投げられたのです。先生。コハルさんが傷つけられた以上、もう後戻りはできません。時間が限られている今、これ以上不必要な犠牲を出すことなく、この理不尽を終わらせられる現実的な手は、ウイさんの案だと結論に達しました。……先程の提案のように、先生の言葉でナギサさんが止まってくれる保証があるのなら、それが一番平和だったのですが……すみません」

 

小さく謝罪するサクラコ。しかし謝罪こそすれ、ウイに協力しているという現状こそが、彼女の心境を如実に表していた。

 

 

 

会議室から出た私は、通路の壁に寄りかかってぼーっとしていた。等間隔で燭台が備え付けられている通路は、地下にある事実に反して明るいが……今は無性に、空の青さと日の光が恋しかった。

とはいえ、今外に出たらなんのかんのと理由をつけてウイに締め出されそうなのでそれもできない。鬱屈とした気分を誤魔化すように、ただ思索を巡らせる。

 

【それにしても、嫌われてしまった】

 

そうひとりごちる。思い返すのは、ウイのあの表情。

 

──理想論ばかり語る脳足りん(あなたのような人)ですよ。

 

──次は撃ちます。

 

生徒に警戒されたり、嫌われたりするのは別に初めてではない。が、殺されそうになるほどの怒りを買ったのは初めてだった。

それもそうだ。私が言っていることは、結局私を信じてナギサが話を聞くのを祈れということなのだから。現実味が伴っていない戯れ言だと断じられても仕方がない。

 

【それでも……このまま、やらせるわけにはいかない】

 

ウイもサクラコも、学生だ。まだ未来ある子どもたちだ。その可能性の光を、自ら消させるわけにはいかない。それだけは、認められない。

 

【とはいえ、どうするか……】

 

ウイもサクラコも、そもそもコハルのためにここまでの行動に出ている。ならコハルに相談して……いや、ダメだ。あそこまで覚悟を決めているなら、当人のコハルに止められようがやるだろう。むしろ火に油を注ぐだけで、逆効果になるのが目に見えている。

となれば……

 

【彼女たちが動き出す前に、ナギサと話を付ける】

 

これしかない。だが、これにも問題がある。今ナギサが何処にいるのかわからないということだ。

ウイは先程ナギサが雲隠れしたと言っていた。だからこそウイもハナコから情報を欲したのだから。……なら、ハナコから協力を仰げれば、ナギサの隠れ家が掴めるだろうか。特定はできないような口ぶりだったが、絞り込めるのなら、全部回れば時間内にいけるか……? 何にせよ、ハナコに相談して協力を頼む必要がある。

 

方針を定めた私のもとへ、タッタッタと駆け寄ってくる足音が聞こえる。

 

「先生!」

 

【マリー!】

 

よほど急いで来たのか、肩で息をするマリーは、呼吸を整えつつ私に告げた。

 

「はぁっ、はぁっ、──コハルさんが、意識を取り戻しました。先生を呼んできてほしいと」

 

 

 

時はまたしても少し遡る。

 

ティーパーティーのテラス。華やかなりしその場所は、今や戦場跡地と化していた。壁や柱にヒビが入り、床は砕け、あちこちに弾痕や、何か大きなものを叩きつけたような跡がそこかしこに残っている。

明らかに暴力の嵐が吹き荒れたその場所に、大の字で倒れ伏す人影と、それを見下ろす人影が1つずつ。

 

「はぁーっ……はぁーっ……いつか……こうなるのではないかと……薄々思っていました……あなたと私では……見ているもの(正義)が、似ているようで違うと……勘づいていましたから……」

 

血走った目で、明らかに消耗した様子で、人影は肩を揺らしていた。

 

「……それでも……互いに尊重できると、そう信じてもいました……」

 

──残念です、ツルギ。

 

その言葉に、倒れた人影……剣先ツルギは反応を返さなかった。

 




ウイの神秘は無駄に意味深にしたけど、ぶっちゃけ本家のexスキルやらなんやらを拡大解釈してるだけだよーウイに限らずこの作品のキャラの神秘云々に関してはだいたいそうだよー
なんでそんなジョジョみたいな設定生やしたのかって? 単に銃撃戦と格闘戦だけだと絵面が地味すぎて一部描写が薄っぺらくなるからだよー
要するに私の筆力不足だよー許して……

次回は引き延ばしに延ばしてきたツルギとハスミだよー
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