俺のスタンドが悩みの種なんだが   作:ガクランクン

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pixiv様の方でも投稿しておりますが、ほぼ書き直してリメイクのようになりました。


なんなんだ?コイツは

桜、それは新学期と春を象徴する花である。

 

そんな満開な桜の舞い散る花弁の道をコツコツ、と不機嫌な顔で歩く1人の少年がいた。

 

 少年は170は超えるであろうそこそこ目立つ背でありながら、中肉中背といった体型である。学生服を着こなしポケットに手を突っ込みながらただ歩いていた。

 

 彼はこの物語の主人公であり名前を中嶋春人、偶に中島と勘違いされる事が偶に傷の何処にでもいる平凡な高校2年生だ。

 

 しかし中嶋にはある悩みがあった。それは今度の英単語テストのことではない、友達にバイト先に押しかけられたことでもない・・・いや、後者に関しては少しキレてはいるが

 

 ずっと悩み事があった。それこそ学校の先生や家族にすら相談できない事が、この悩みを知っている人はたったの1人しかいない。

 

その悩みは──

 

「あー!僕の風船がぁー!」

 

 声のする方向を見ると、黄色いTシャツを着た5歳くらいの少年が空中に手を伸ばしている。その空中の先には子供のシャツと同じ色の“風船”がヒラヒラと風に流されているのである。

 

大方何かに気を取られて手を離してしまいこうなったのだろう。

 

 中嶋は別に薄情者では無いため無視はできないが、すでに自身の身長を大幅に超えるところにまで風船は飛んでいる。ジャンプをしても届かないだろう。

 何かに登って足場にすれば届くかもしれないが、そこまでする義理はない。それにもっと簡単な手段がある。

 

「待ってろ」

 

 少年に一声かけて、少し覚悟を決めて風船に手を伸ばす。当然既にぐんぐんと伸びた風船に手は全く触れなれなかった。

 

 

 そのとき、中嶋の腕から分離するように黒い学生服とは対照的な“ナニカ”が生えてきた。そのナニカは合計5本の指が生えており、それは腕と掌だった。

 しかしその腕は緑と黄色の中間点に近い色合いをしており、中島の一般的な太さの腕とは対照的なほどにゴツかった。

 

 太い爪が風船を破かないように、しっかりとヒモの部分を掴み中島に手渡す。手渡す際中嶋は一瞬嫌な顔をしたが、すぐに受け取り少年に風船を渡した。

 

「ほら、もう飛ばすなよ」

 

「うん!お兄ちゃん大きいんだね!僕もお兄ちゃんみたいに大きくなりたい!」

 

「じゃ、ちゃんと食べろよ」

 

「うん!ありがとう!!」

 

 少年は中嶋のもう一つの腕に気づいていない様子で元気に挨拶をすると、再び風船を持って駆け出した。

その様子を見た中島は、隣を見る。

 

『・・・・・・』

 

 そこには“異形の化け物”が佇んでいた。まるで重力を感じさせないような立ち姿でゆらりと地面に立っていた。

 身長は2メートルはゆうに超えているだろう、中島が見上げるほどの長身だ。ハツカネズミのような耳を頭につけ、顔はトノサマバッタの口の部分に牙がついたような見た目だ。

 はっきり言ってめちゃくちゃ気持ち悪い。それこそ深夜に立っていたら通報される風貌だ。

 

これが中嶋の幼少期からの悩み、彼は悪霊に取り憑かれている。

 しかし悪霊程度だったらいい、まだ良い。別にコイツは自分に対して何の害もない、手の届かない所にあるリモコンを取りに行かせることも、コンビニの商品を万引きさせることも、命じさえすればコイツは何も反対せずに実行するだろう。やったことないし、これからもやらないが

 

だがそんな従順な存在を中島は嫌っている。何故なら中嶋は

 

ネズミや虫の類が大嫌いだからだ。

 

 それを聞いた人たちは大体が笑うだろう。もしくは高校生にもなってと、ドン引くだろう。

 

 しかし中嶋にとってそれは死活問題である。どれくらい嫌いであり苦手かというと、虫が彼の顔に飛びついた場合気絶するほどである。最悪命の危険すらもある・・・かもしれない

 

「なんだ?お礼でも欲しかったのか?・・・・・・でもお前の姿を見たらあの男の子泣き喚くだろ“キャットハウス”」

 

 そう呟くと、何か一瞬動揺したそぶりを見せてキャットハウス・・・名前をつけた悪霊が消滅した。自分が念じるだけでそうなる。

 

 割とコイツのことは守護霊か何かだと思うこともあるし実際心が開かけたときもある。しかし1()()()()()()()()()()()()()()()()()()コイツのことは悪霊のようなものだと思っている。

 

「おっはー晴人ー!」

 

 後ろから大声が聞こえてきて、驚いて後ろを振り向く。タッタッタッタと規則正しい足跡をアスファルトに響かせて1人の少年がこちらに向かって走ってくる。突っ込んでくるんじゃあないか?と思い一瞬身構えるが、キュッと急停止して目の前で止まる。

 

「朝から元気だな、放課後まで持つのか?前島」

 

 彼の名前は前島優斗、バスケ部に所属している少年で基本無表情がデフォルトの中嶋とは真反対の常時笑顔が特徴の少年。中嶋とは違い、彼は悪霊には取り憑かれていない。

 

「モッチロン!それが俺だからな!ナァナァそれよりも今日の放課後空いてっか?今日ゲーセンか茶店行かね!」

 

 息もつかせぬようなマシンガントークだが、それが前島のデフォルトのため中嶋はいつもの調子で話した。

 

「あーごめん、今日は放課後からコンビニでバイトあるから行けないな」

 

「おーそっか、そりゃバイト優先した方がいいな。今度誘うわ」

 

「ありがとな、そういや今日英単語テストあるんだが勉強したか?」

 

「・・・単語帳貸してくれませんか?」

 

 中嶋の言葉にフリーズして、ギギギと油を刺していない人形のような動きとカッスカスな声で前島はお願いをしてきた。それに苦笑いしながらも中嶋は了承をした。

 

「貸し1な、それより今日の1限目にあるから早く登校して早く詰め込んだ方がいいと思うぜ?」

 

「んマジィ?・・・走んねーとヤバいじゃん!?速く走・・・あ、お姫様抱っこして一緒に行くか?!」

 

「野郎のお姫様抱っこはごめんだ。追いかけるから走っていこうぜ」

 

「マジ恩に着る!」

 

 そういうや否や先ほどのダッシュよりもさらに速いダッシュで駆け抜けていったから慌てて中嶋も追いかけた。ここだけを切り取れば青春の1ページだが、それでも内心にはあの悪霊の事でいっぱいだった。

 

(なんなんだ?この悪りょ・・・じゃなかったな。“スタンド”っていう名称があるんだったよな。いまだに慣れん)

 

 あの時の出来事でこの悪霊と呼んでいるものに名称があるとわかったのだが、それでも昔から悪霊と呼んでいたためいまだに悪霊と呼んでしまう自分に少しイラつきながら、先に走っている前島を追いかけて行くのだった。

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