「いやほんとこの件に関しまして私めは・・・」
「もう謝罪はいい、お前も口調と文法が乱れているから・・・ってか周りの目が痛い」
「えっ!?痛いんですか!?き、救急車呼びますか!」
「辞めてくれ・・・!マジで一旦落ち着け・・・!!」
現在中嶋は、例の洗脳のスタンドやスタンドについての説明を聞くために太田のいるオーソンに豊富と共に向かっていた。しかし彼女の勘違いにより中嶋を襲った事に関してとてつもない罪悪感に際なわられていた豊富は、何回も何回も中嶋に謝罪をしていた。
(本当に高校生に重傷を負わしたやつと同じ人間なのか?)
先ほどまで対峙していた冷徹で冷静な感じがしたのだが、今ではワタワタと手を忙しなく動かして、それ以上に目を右左上下にキョロキョロしている豊富とキャラが違いすぎて風邪を引きそうだった。
このままオーソンに着くまで時間がある、この豊富の無駄な謝罪タイムをするよりかは、まだ何か書いていた方がいい。そう判断して中島は質問をする。
「なぁ、一ついいか?」
「はいっ!なんでしょうかッ!」
(なんか、子犬みたいだな)
「あの、佐川って奴がこの前校舎裏に倒れていたんだが・・・ひょっとして犯人お前?」
かなり踏み込んだ質問をして、質問をした中嶋本人でさえも踏み込みすぎたか?と危惧したが彼女の反応は落ち着いていた
「?はい、私がやりましたよ」
「っ!?お前───!」
横にいた豊富から瞬時に離れて、周囲の地形を把握する。ここだったら“アレ”がしやすいからだ。対して豊富はというと、彼女はいたって冷静だ。
「あー・・・勘違いしないでください。確かに佐川さんは私が原因で現在入院しています・・・しかしすでに怪我は完治しており明日には退院できます」
「なに、言ってんだ?」
前島や太田店長から又聞きした程度だが、それでもかなりの重症であったと聞いた。それがたった数日ぽっちで完治して明日には退院・・・どう考えてもあり得ない、彼らが嘘をついている可能性はまずない・・・最も前島が話を誇張した線は否めないが
では豊富が嘘をついている可能性は?
それもあり得ない、彼女は嘘をつける質じゃない。おそらく使おうとしたところですぐにバレるタイプだろう。そこまで考えて中嶋は一旦スタンドで攻撃しようとしたのを辞めた。彼女の続きの言葉を聞くべきだ。
「詳しい事は言えないんですけど、私はある組織に所属しているんです。スタンド使いに関係している組織に」
「・・・つまり、アレか?その組織とやらにいる“怪我を治すスタンド使い”とかが怪我を治したってのか?」
重症者を完治させるスタンド能力、その可能性も当然頭によぎったがすぐに自分で否定した。あり得ない、そんなとんでもない能力があるはずは無い
「惜しいですね」
「は?」
「その人は組織に所属していません。色々な事情があり基本的には組織と関わりのない一般生活を送っています。こーゆー時の事情でしかあの人に依頼しません」
「・・・え、そっち?じゃあ怪我を治すスタンドは」
「あー具体的にはいえませんけど、そっちに関しては大正解です。本当に観察眼と言いますがすごいですね」
「いや、その・・・」
(ほぼ皮肉のつもりだったんだがな・・・)
スタンドの奥の広さに若干恐怖しつつ、本当に完治しているのか少し不安に思った中嶋は豊富にこう提案した。
「じゃあ、説明が終わったら後でその病院に行かせてくれないか?本当に完治してるから見たいから」
もしかしたら、本人のプライバシーやら他の問題で駄目かもしれないが聞いてみるだけならいいだろう。と中嶋は考えた、しかし中嶋の考えとは裏腹に豊富は表情を変えずにOKした。
「はい、良いですよ。後で本人に許可を取る必要がありますが」
「・・・ありがとうな」
思ったよりもすんなり行けたから、若干居心地悪そうに礼を言った。
「オーソンって・・・へぇ、こんな所にもあるんですね。学校から近くでかなり便利じゃないですか」
そう話していると気づいた時には目的のオーソンに辿り着いていた。豊富はオーソンを見ながら、感心するように呟いていた。
「かなり便利って、知らなかったのか?」
「えぇ、私引っ越したのが数日前なので」
(もしかして洗脳の───いや、それは中で聞く事にしよう)
「それで?どこから入るんですか?もしかして、このまま入り口から?」
「いや、裏口から入るんだよ。後店長にはすでに連絡済みだから大丈夫だ」
「・・・私こういう関係者以外立ち入り禁止って初めてなんですよねぇ〜。興奮するなぁ〜」
「そうか」
キョロキョロと裏口がある路地裏を物珍しそうに見ているが、薄汚れた路地裏を見て何が楽しいのか、ぶっきらぼうな返事をしてドアを開けて、スタッフルームに入る。中には太田がいてドアの音で誰かが入ったのか聞こえた彼は後ろを振り向く。
「あぁ、良かった。ちゃんと来てくれてぇ───すっごい汚れている!?」
豊富との戦いではあまり重傷を負わなかったが、場所が校舎裏だったり何回も地面に転んだせいでかなり砂まみれになっている。一応人前でも出れるように砂は2人で叩いたが、第三者から見ればまだまだだったようだ。
中嶋は親になんて説明しようかと考えながら、大きめの救急箱をロッカーから出している太田を引き止める。
「ちょっと派手に転びまくっただけだから大丈夫ですよ」
「それ本当かい?大怪我した人のよく言う言い訳にしか聞こえないけど?」
「これは本当に転んだだけです。ですからその大きい救急箱閉まってくださいよ・・・てかそれ備品じゃないですよね?もしかして自腹で買ったものですか?」
「これはまぁ、その・・・うん、そうだけど・・・それで、そちらの子は?」
(話逸らしたな)
「ええっと彼女は・・・」
初めて入ったであろうコンビニの裏側に目を輝かせて───それでも周りにバレないように必死に取り繕っている豊富を見て少しボケて見たくなったので中嶋はワザと言葉足らずな情報を喋った。
「この前の佐川をやった犯人です」
「ッ!ミスティック・アンティーク!!」
瞬時に距離を離してスタンドを出現させて警戒する太田、それに対してオロオロしている豊富
「いや違・・・くは無いけど、言葉!言葉が足りてませんよぉ!」
「・・・あーすまん完全にやっちゃった。あの、太田さん───」
思ったよりも大事になってしまい、中嶋は2人の間に割って入って事情を事細かに話した。太田には佐川はあの後病院に運ばれて“あるスタンド”使いによって完治された事、そして豊富がスタンドについてた例の洗脳のスタンドについての知識がありそれを教える事。
豊富には以前太田が洗脳されたが、中嶋が倒して能力を解除した事。現在2人が洗脳のスタンドを追っていることの2つを
3人はスタッフルームに置いてあった3脚に三つ巴のような形で座りながらそれぞれがしゃべった。
「ええっと、つまりだ。この僕のミスティック・アンティークと中嶋くんのキャットハウス・・・スタンドがなんなのか教えてくれるんだね?」
「はい、それで合っていますよ・・・それにしても、私は中嶋さんが今回が2回目のスタンドバトルと言う事に驚いています。あと能力を知ったのも1年前ということにも・・・」
豊富の表情が完全にヤバい怪物を見る目になっている。しかし仕方がない、幼少期からスタンド能力を発現させていたとはいえ、つい最近までスタンドのスの字も知らなかった人間に自身がやられたことを、更には動きがかなり場慣れしている事に。
「引くな、引くな・・・それじゃあ教えてくれるか?スタンドについて」
「あーそれと、スタッフルームにはしばらく近づかないようにスタッフのみんなに伝えたから多少大声を出しても大丈夫だよ」
「分かりました。ではまずスタンドなんですが漢字では幽波紋と書き、これらは“自身の生命エネルギー”つまりは精神が形を取って作られたものです」
「ッ!?え、そうなの?!つ、つまりコイツはある意味僕自身・・・?」
「えぇ、はい。そうなりますね」
「・・・なるほどな、スタンドって一括りしてもここまで姿が似ていないのは人間の精神が千差万別だから、スタンドも変わるのか・・・これが俺とは信じたくないけど」
「それで、スタンドにはそれぞれが特殊な能力を持っています。私のように“熱を別のエネルギーに変換”する能力や“怪我を治すスタンド”と言ったようにこれも様々な能力があります。こういった特殊な力を“スタンド能力”と呼称しています・・・が、別にその辺はかなり曖昧な人もいて、ぶっちゃけ私の説明が正しいのかどうか・・・」
「このスタンド能力ってその人の精神が現れるのか?」
「はい、本体のこうありたい、こうでいたい。という願望が入ってるのは少なからずありますね」
「そうか・・・そうか───」
「あ、あの中嶋さん?なんか、凄い目が灰色になっていません?」
「彼は自分のスタンドがコンプレックスになっているみたいだからね」
「そうなんですか?・・・ええっと」
「あぁごめんごめん、僕の名前は太田匠。さっきはいきなり攻撃仕掛けてごめんね」
「いえいえ!大丈夫ですよ!アレは中嶋さんの悪ふざけが原因ですから・・・それで、何がコンプレックスなんですか?お答えできる範囲でいいですから!」
「虫やネズミを具現化する能力だ。何が悲しくてこんな───」
ついには体育座りをし始めた中嶋は恨みがこもったような、いや実際こもっている口調で喋る
「凄いじゃないですか。それ」
「え?」
「だって、恐怖を力に変えているって事ですよね?・・・それにスタンド能力にはトラウマを能力にしている物もあります。多分本能でそれが1番強いっでわかっているんでしょうね」
「・・・ありがとう、少し元気が出た」
「ふふっ、どういたしまして。では残りのスタンドのルールとスタンドの種類について話しましょうか」
豊富はスタンドの距離によるパワーの増減やらのルール、軍隊型や装備型といったトリッキーな種類のスタンドについてできる限り教えた。
「結構色々覚えることがあるね。こりゃ覚えるのは大変そうだ」
「そうですね・・・ルールや種類、そして能力・・・正直頭がパンクしそうです」
(だが、さっき言ってたルールはおそらく基礎中の基礎!覚えておかないと最悪死ぬな・・・それに、軍隊型や遠距離操作型という今までに会ったことがないスタンドの種類・・・豊富に出会えて良かった。じゃないと絶対どこかで────死んでいた)
脳内で想像だにしないスタンドによって自身が驚いているうちになす術なく殺されているイメージをした。そしてブルリと震え上がる
それを知ってか知らずか、豊富は手をパンパンと叩き喋り出す
「はぁい!それじゃあ今度は例のスタンド、洗脳のスタンドについて説明します」
「なんかテンション高いね・・・」
「多分人に教えるのが楽しいと思いますね。まぁ説明がわかりやすくて助かりますけど・・・」
「はい!そこ私語は謹んで!!」
「は、はーい」「ってか1番うるさいのお前だぞ」
「・・・はーい」
中嶋に突っ込まれると不貞腐れた表情を見せるが、すぐに表情がキリリとしたものに変わり、眼鏡をクイッと上げるような仕草をした後に喋り出した。
「その前に、スタンド得る方法について説明しましょう」
「スタンドを得る方法・・・!?そんなのがあるの!?」
「えぇ、幾つか種類があるんですけど・・・大まかには2つです。一つ目は私や中嶋さんのように“生まれついて持っている”パターン。そしてもう一つが太田さんのように・・・“矢に射抜かれたパターン”です」
「矢?矢だって?あの弓で弾いて打つ?」
「はい、その“矢”です。射抜かれた人間が“適合した”場合スタンド能力が得られます」
矢と呼ばれるスタンド使いを量産できるとんでもない道具に中嶋は一瞬思考が停止仕掛けるが、直後に言っていた“適合した場合”と言う言葉に引っ掛かりを覚えた。
「ちょっと待て、豊富。今“適合”した場合と言ってたよな?・・・適合しなかった場合はどうなるんだ?・・・まさかとは思うが」
「射抜かれた人が適合しなかった場合・・・死にます」
「「!?」」
「これは私の仮説ですが、無理やり精神をスタンドの形に整えようとしますが上手く形作られずにスタンドにならずそのまま外に出した精神が溶け出して・・・って考えています」
「じゃあ僕は一歩間違えていたら死んでいた「そこなんですよ」・・・え?」
「この話の本題、洗脳するスタンド使いの能力の“肝”は多分そこです」
「どう言う意味だ?」
「その洗脳のスタンド使いの能力の発動条件、恐らくは“スタンド能力を得かけている人間に限定されている”と思うんですよね」
「なんで、分かったの?」
「ソイツは過去に様々な国で活動していました。その時洗脳した人間に“ただの一般人”と“元からスタンド使い”がいませんでしたから、そこから推測したんです。
あ、あと矢にはその人がスタンド能力を得られるのかどうかわかる機能があるらしいですよ。ですから太田さんはどっちみち死んでない・・・ハズ」
「ですよって・・・」
しかし彼女も本物について、踏み込むほど詳しくはないのだろう。自分のような素人にもわかる“矢”と呼ばれたソレはどう考えてもヤバい代物だ。やろうと思えば見えない存在を従えた軍隊すらも作れてしまう。
「・・・そういえばひとついいかい?なんでこの町にその洗脳のスタンド使いがあるって分かったんだい?」
太田が疑問を口にする。それを聞いて中嶋は確かになんでだろう?と疑問に思った。何かそう言うスタンドがもしくは組織の力か、はたまた両方か
「それに関しては簡単です・・・お2人は“杜王町”という町について知っていますか?」
「森?いや、聞いたことないな・・・」
「・・・この前テレビでやっていたのを見たな、確か都市開発か何かで住みたい町ランキング4位か5位に入っていた・・・」
「その杜王町です。私も見ましたよその番組・・・M県S市にあるベットタウンで去年時点の人口は約50000人・・・牛タンが名物の町です・・・そして30年前まで実に全国の5倍以上もの行方不明が現れていた町です」
「ご、5倍!?」「もしかしてそれもスタンド使いと矢・・・が?」
「はい、その通りです。2本の矢を3人・・・いや、アレを果たして人と数えていいの?どっちかっていうと体・・・ま、まぁいいか。大体3人が使ってスタンド使いを増やしていました。」
「なるほど、つまりその状況と
(なんで疑問文だったんだろうか)
「はい、そうゆう事です」
「OK大体これで分かったよ。じゃあ病院にいる佐川くんに会いに「まだです」・・・あ、ごめん。まだ説明することがあったの?」
「いえ、違います。説明ではなく私からの“質問”です」
「「質問?」」
「えぇ、そうです。これから先洗脳のスタンド使いを追うということは命の危機があります。ですが、今から組織の保護下に入れば組織のスタンド使いや沢山の人員があなた方を・・・もちろんご家族も守ってもらいます」
そこで中嶋は気づいた。今までの説明は洗脳のスタンド使いと戦うための知識ではなく、むしろ逆自分のみを守る為の知識だったのだ。
「なるほどな・・・」
確かに今日の戦い、豊富が勘違いとはいえ殺すのが目的ではなく、再起不能にするのが目的・・・更に終わったらこちらの傷も治してくれる・・・とはいえそこそこダメージを負ってしまった。殺す気がない相手ですらだ。
これがもし他の洗脳された奴らだったら、洗脳されれば優しい太田てますら高校生相手に斧を振り下ろしてバットのフルスイングをしてくる。
確かにこれからの戦いはかなり危険なものになる。それは確かだ、太田も中嶋の姿を見て確信する・・・しかし
「お気遣いありがとうね・・・でも僕は」「確かにこの先危険になるだろうな。今日でそれが分かった、だけど俺は」
「「戦う(さ)」」
すでに2人の
その2人の答えに豊富はスンとした表情で聞く、何かこちらの意図を確かめるように
「一応理由は、なんですか?」
「まぁ僕が洗脳されたことに対しての仕返しってのもあるけど一番の理由はこの町にそんな危険な奴がいて野放しにできないってところかな」
「えぇ、俺も同感です。結構好きなんですよねこの町が」
それだけではない、自身のスタンドについてもっと知りたいと思ったからだ。太田との戦い、そして豊富の情報から自身のスタンドについてどんどん分かってきた。もしかしたらこの戦いの果てに何かわかるかもしれない。
だから即答した。それを聞いた豊富はようやく顔が先ほどの笑顔に戻った。
「そうですか・・・では、現地の人間が協力してくれるって組織に後で説明しておきます。これからお二人は最大限のバックアップが図られると思いますよ」
「そうか、ありがとうな」
そうお礼を言うと豊富を髪をかきながら、顔を赤くして照れて、その後大きく立ち上がり
「じゃあ、これで一つ目の用事は終わりましたね・・・次は佐川さんの様子を見に行きますよ」
「・・・そういえば、そうだったな」
今までの情報量やらで一瞬なんのことかピンと来なかったが、なんとか相手にバレないようポーカーフェイスで取り繕いながらそう返した。
豊富が外の路地裏に出て、スマホを取り出して誰かと喋っていると、通話を終えて「本人に確認取れました!」と笑顔でグッドサインをした。それに釣られて中嶋も親指を立てたら、豊富が目を見開いて驚いていた。
そのことにちょっとショックを受けつつも、豊富の案内により辿り着いたのは町の中でもかなり有名な大病院“八田総合病院”だった。
中に入り豊富が受付と話すと、すぐに許可が降りて佐川が入院している病室に辿り着いた。
「さてと、じゃあ入りますね。言っときますけど彼、怪我は完治していますけど一応入院中ですからね。あまり騒がしくしないでくださいよ?」
と、2人に忠告した豊富だが、2人とも内心
(いやぁ、どっちかって言うと僕らじゃない気が・・・)
(やった人が何をって、言うのはアウトか?)
と考えたが、言うのを野暮だと思い黙った。
「豊富里奈です。先ほど連絡した通りできました」
3回ノックしてから、一呼吸分開けてそう言うと内側から声が聞こえた。
『どうぞ、中に入って』
男の人の声だ。年齢的に中嶋とほぼ同じぐらいの年齢の
「お邪魔します」
豊富に続いて太田、中嶋と部屋の中に入った。部屋は完全に個室で清潔感あふれる空間に、ドラマでしか見たこともない道具や巨大なテレビなどなど様々なものが置かれていた。そのような空間の中心には“2人”いた。
1人は、おそらく豊富に声をかけた人間だろう。もう1人とは違い男性だ。顔は知らなかったが、おそらく彼が“佐川”なのだろう。布団越しとはいえ少々ぽっちゃりとした体型。
だが校舎裏で全身大火傷で倒れていたとは思えないほど、今の彼は無事だ。このまますぐに退院してもいいほど、素人目の中嶋にもそう映った。
問題はもう1人だ。てっきり中嶋は佐川1人だけが、病室にいると思っていたが、もう1人いた。
「・・・・・・」
佐川のベットの隣にある椅子に佇む女。見た目は可愛らしく、病室にいる状態で写真を撮ったら何からしいものになる程。少々吊り目になっていて、その目で3人・・・いや、場所的に豊富を睨んでいるのだろう。
『何か用よ?』
その敵対心をそのまま声に移したように、かなり邪険何かトーンで豊富を更に睨む、その少女を見て中嶋は違和感を覚える。
(なんだ?この人。何かさっきから変な違和感を覚える・・・何がおかしい?・・・そうか、綺麗すぎるのか)
強烈な違和感、それは彼女の容姿だ。どこか浮世離れしてると言うか、まるでアニメやゲームの中のキャラクターをそのまま現実に当てはめたような歪さを感じた。
「えっと、この人は?」
「あぁ、この人はですね」
しかしその人に対してまだ違和感を感じており、何がおかしいと彼女以外も見渡した。彼女が睨んでいる豊富、テーブルの上にある彼女が剥いたであろうリンゴのウサギ、彼女が座っている椅子、その椅子の影
(・・・ん?影?)
影を見たところ、そこには“椅子の影”しか映っておらず、彼女の影はなかった。そんな馬鹿な、自分達は足元には影が作られていると言うのに、天井の照明が原因ではない
(もしかして・・・いや、もしかしなくとも“彼女”の正体は・・・!)
「佐川さんのスタンドです」(佐川のスタンドか!?)
奇しくも豊富の台詞と中嶋の思考が一致した瞬間であった。
「す、スタンド・・・!?いや、どう見たって人間にしか」
「・・・・・」
(いや、影だけじゃない。違和感は、俺は彼女をどこかで見た・・・何かどこかで・・・!)
そのとき中嶋の脳裏に、ある映像がフラッシュバックする。
『喰らいなさい!マジカル〜』
妹がまだ幼稚園生ぐらいの時、日曜日になるといつものねぼすけはどこへやら、テレビの前を占拠してかぶりつくようにあるアニメを見ていた。
そのテレビの声で中嶋も起きて、流し見で妹と一緒に見ることもあった。そのときのアニメのキャラクターに酷似している。確かそのアニメは───
「マジ魔女?」
「え?・・・マジ、なんだって?」
「マジカル魔女っ子っていう・・・確かまだ俺が小学生頃の
その言葉を聞くや否や、豊富は凄まじい速さで中嶋に駆け寄り、手を掴んだブンブン振っている。
「え!?中嶋さんも、マジ魔女ファンなんですか!?奇遇ですねぇ!私もだったんですよ!誰好きでした?私は───」
「落ち着け、ただ妹がリアタイで見てたから偶々俺もなんとなく見てただけだ。ファンってほどじゃない」
「あぁ、そうだったんですか・・・」
先ほどよりも覇気がなく今日一元気がない様子を見せる豊富、居た堪れなくなり何かフォローをしようと口を動かした。
「ま、まぁ。俺も完全に知らないってわけじゃないから」
「う、うぅ。慰めてくれてありがとうございます」
「・・・えっと、そう・・・何故かは知らないけど、彼女はマジ魔女の“綾瀬雫”に酷似しているんだ。本当にそっくりだよ、まるでアニメから引っ張り出したみたいだ」
『さっきもこの女がスタンドっていう前に私がスタンドって影から分かっていたわよね?今のといい、かなり洞察力に優れているわね』
綾瀬と言われた彼女は、中嶋に対しては特に敵対心を持たずに誉めてきた。
「あ、あぁ、どうも」
「まぁ、これで佐川くんが本当に無事かどうか確かめるっていう、僕たちの目的も達成したから、そろそろお開きにしないかい?・・・一応ここ病院だから長居したら悪いかなぁ〜なんて」
「あぁ、それもそうですね・・・そういや、明日から退院できるんだったな。ノートとか貸そうか?」
「うん、ありがとうね」
「あっ!そろそろお2人共帰るんですか?・・・じゃあ最後に佐川さんと中嶋さんに聞きたいことが・・・!」
「なんだ?」「何かあるの?」
「お2人って何か部活とかやってますか?」
「んー、いや。基本バイトとかあるから俺は帰宅部だ」
「僕も、色々自由な時間欲しいから帰宅部だよ」
「・・・なるほど、なるほど。よく分かりました。では明日またお会いしましょうか」
ポケットから取り出したメモを書いて、豊富はニヤニヤと笑い先に病室から出ていった。なんなんだろう?と4人とも疑問に思ったのであった。
スタンド名 綾瀬雫 自立型
破壊力C スピードC 射程距離A 持続力A
精密動作C 成長性?
能力は無し、というより今のところそれらしい能力は見せていない。しかしこのスタンドの容姿はどのスタンドよりも人間に酷似した見た目をしている。
影を見るかマジ魔女の知識がなければスタンドだと気づかないほどに。
ちなみに若干ヤンデレ気質なところがあり、本体をボコボコにした豊富に対して敵対心を持っている。
3点リードと中黒どちらがいいですか?
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3点リード
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中黒