俺のスタンドが悩みの種なんだが   作:ガクランクン

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アンケートの結果、この小説から3点リードを使うことにしました。アンケートにご協力いただいた皆様に感謝です


話し合いと仮説

 男を倒した時に限界を迎えた中嶋はそのまま床で横になり、仲間たちが到着するのを待っていた。

 

「確かさっきの連絡だと.......」

 

「こっちでしたよね!」

 

『この先のはずよ』

 

 

 ドタドタと足音が3人分聞こえてきて、そして聞き覚えのある声を聞き中嶋は安心した。その数秒後に扉が勢いよくバタンを開き、外から豊富、佐川、綾瀬の順で流れ込んできた。

 

 豊富は中嶋と敵がどうなったのかを聞くことにして、佐川達は他に気絶している人がいてその人を安全な場所に運びに行った。

 

「早かった……な」

 

「えぇ連絡もらってすぐに走りましたからね……敵は?」

 

「そこだ。気絶している」

 

 中島は目線を動かして気絶している男の方を見た。それを見て豊富は一瞬安堵する表情を見せたが、すぐにまた中嶋の方を向いた。

 

「中嶋さん、怪我は大丈夫ですか?」

 

「あーまぁ……ちょっと手首と首が赤くなったな。絞められてしまったんで」

 

「そうですか……ちょっと待っててくださいね。今楽にします」

 

「は?楽に…何言って」

 

 何をするのか聞く前に、豊富は中嶋の首と手首を掴んだ。すると彼女の呼吸音が独特なものに変わり、何かが体を駆け巡ったような感覚がした。それが数秒続き

 

「はい、終わりました。どうですか?」

 

「……痛みが引いた?」

 

 手を離した時には痛みが先ほどよりもだいぶ緩和されていた。その妙な現象に驚き、パチパチと瞬きをした中嶋

 

「お前のスタンド能力……じゃあないな、スタンドは出していなかった。じゃあ何かの技術か?」

 

「えぇ、大正解です。私は特殊な呼吸法で色々なことができるんです……まぁ私自身は才能がなくてそんな大それたことは出来ませんけど、今のは中嶋さんの怪我の痛みをひかせました。怪我自体は完治してませんから、保健室に行って薬とかもらってください」

 

「お、おぉ。ありがとうな」

 

 スタンドに続いて、呼吸を変えるだけで人を癒す特殊な技術、世界は広いし自分の知らないことだらけだな、と感心した。 

 

「ごめん!ちょっと来てくれないかな?倒れている人がいて二人じゃ運ばなくて」

 

 隣の部屋から声が聞こえてきた、おそらく気絶している司書さんのことだろう。彼女が倒れている部屋は先ほどの戦闘の余波で物が散乱しており、本棚などが崩れてしまう危険性があり、安全なところに運ぼうとしたのだ。だが2人ではバランスを保って運ばないと判断して佐川は豊臣を呼んだ。

 

 人は気絶すると重くなる、なぜなら人は起きている時は無意識に筋肉を緊張させて自身の重心を安定させている姿勢トーンというものがあり、気絶によりそれがなくなっているからだ。

 

「今行きます!……あ、中嶋さんは休んでいてくださいよ?怪我したばかりなので」

 

「あ、あぁ」

 

 そういい残して豊富は隣の部屋に行き3人で司書さんを安全なところに運んだ。

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ、ここなら安全でしょう」

 

「助かったよ。ありがとうね」

 

『……ねぇ、さっきの部屋と言い。かなり荒れちゃったわよね?人があまり来ないところとは言っても、かなり不味いんじゃあないの?』

 

 本棚は崩れるわ、机は木っ端微塵になるわで、元々あまり清掃や設備が行き届いてない所だったが、さらにひどいことになっている。

 

「大丈夫ですよ。“組織”にはこういうときの後処理する方法があるらしいですから」

 

「方法?それって何かのスタンド?それとも秘密部隊みたいな感じなの?」

 

「それは私にはわかりません。組織の中でも一握りの人しか知らない手段らしいので」

 

『へぇ、随分いろいろ手厚くサポートしてくれる組織なのね?』

 

 綾瀬が皮肉めいた笑みでそう言う。豊富は胸を張って言い放った。

 

「そりゃあ天下のスピードワゴン財団ですからね!サポートの手段は豊富ですよ!」

 

「『……え?』」

 

 一拍置いたのちに、2人は声を漏らした。

 

「え、えぇ!?ちょっと待って!!スピードワゴン財団ってあのスピードワゴン財団!?」

 

 スピードワゴン財団、基本的に医療分野を主軸にしている事業で、現在では全世界の医療や自然動物保護のために力を注いでいる財団。本部はアメリカ合衆国のテキサス州ダラスで、日本にも支部が東京都目黒区に存在している。世界的に有名な組織、そんな自分たちとはなんの縁もゆかりもなさそうな組織が関わっていると知って2人は驚いた

 

「あれ?言ってませんでしたっけ?」

 

『アンタずっと組織、組織としか言っていなかったわよ!!』

 

「ちょ、ちょっと中嶋くん!来て!!」

 

「……なんだ?トラブルか?」

 

 中嶋が部屋に入ってくるや否や綾瀬が中嶋に聞いた

 

『アンタ、スピードワゴン財団って知ってるわよね?』

 

「スピードワゴン財団?……あぁ、ロバート・E・O・スピードワゴンという人物が設立した財団だろ?この前授業で習ったよ……それがなんだ?」

 

「豊富さんが所属しているらしいんだよ」

 

「?、豊富がスピードワゴン財団に?」

 

「は、はい。所属してますよ?」

 

「………………………マジで?」

 

 その情報に、中島はしばらくフリーズして出たのがその3文字だった。

 

『ほら見なさい!中嶋にも言ってないわよ!』

 

「本当だ、完全に言ったつもりになってましたね……」

 

「ち、ちょっと待て。お前と初めて出会った日に組織のことは詳しくは言えないって言ってただろ?あれはなんだったんだ?」

 

「あ、アレですか?アレは……どんな人が所属しているとか他のスタンド使いの能力とか装備とかは詳しく言えないってニュアンスで……あー思い出せば確かに言ってませんでしたね……ごめんなさい」

 

 シュンとして謝る豊富、凄い単純に謝る姿を見てそれ以上突っ込む気が失せた。

 

「それにしても思ってた十倍凄い組織がいたんだね。そりゃあ病院の手配ぐらいできるか……」

 

『でもなんでスピードワゴン財団が?あそこただの医療財団じゃあないの?』

 

「超常現象について扱う部署がありまして、そこからですね。最初に洗脳のスタンド使いの被害を見つけたのも彼らです」

 

「なんか本当に秘密結社みたいだね……」

 

『どっかの財団地味てるわね……』

 

 世界は本当に自分の知らないことだらけだな。と、遠い目をしながらそう考えていたが、中嶋は洗脳のスタンド使いの事で先ほどのあのことを思い出した。

 

「そういえば、洗脳のスタンド使いのことで一つ、妙なことがあったな」

 

『妙な事?』

 

「あぁ、店長の名前と佐川の名前をアイツは、俺が倒したやつは知っていた」

 

「「『!』」」

 

「もっと言えば、俺が店長を倒したことを知っていた。見られてたのは考えられないな戦ったとき周囲に人はいなかった。夏祭りかつ雨が降り出していたからな」

 

「じ、じゃあ雫ちゃんのことも?」

 

「いや、綾瀬のことは知らなかったみたいだ。お前のスタンド能力はわからないと言っていたからな」

 

『名前や倒したのは知っているのに能力は知らない?ただ調べたって感じじゃあないわね』

 

「……その人のスタンド能力は?」

 

「近距離パワー型で………多分能力は動作を溜めて一気に放つ能力。とてもじゃないが調べるとかは不可能そうだ」

 

「その人の能力で調べた訳じゃない……どう言うことだろう?」

 

 何か似たようなことが過去にもあったような気がして、中嶋は自身の記憶を探った。そして目の前に映っている光景は図書室じゃなく一年前のあのときの戦いに変わった。

 

(───『貴様もスタンド使いか!』……今まで洗脳されるスタンドとかの方に意識が集中していたが、あのとき太田さんはスタンドという名称を使っていた。でもその後記憶を失ったように自分の能力すらも忘れていた。なぜ?)

 

 中嶋は去年太田がスタンドの呼称を知っていたが、倒した後は忘れたことを話した。それを聞いた豊富は少し目を閉じ数秒下を向くと、目を閉じたまま言った。

 

 

「今、仮説考えたんですけど、話していいですか?」

 

「うん、お願い」

 

 佐川が頼むと、顔を上げて目を開けて話した。

 

「多分洗脳された人は“記憶を共有”できると思うんですよね」

 

「記憶の共有……洗脳のスタンド使いとか?」

 

「えぇ、恐らくそいつからスタンドの基礎的な知識を貰ったんだと思います」

 

「……そういえば洗脳が解除された人は洗脳されていたときの記憶がなくなる。それと同じで共有した記憶も消されてるってこと?」

 

 佐川が自分に起きた事を思い出しながらそう聞いた。

 

「えぇ、逆に洗脳されてる人の記憶から名前を知り、それを他の人たちと共有したって考えれば辻褄は合うんです……けど」

 

 豊富の推理には一つ欠点がある。それを綾瀬が指摘した

 

『でもその場合なんで“能力”が分からなかったの?記憶を共有してるんだったら当然能力について……いえ、どんな能力を得たのを知る事を最優先するはずよ』

 

「やっぱそこですよねぇ……この仮説のおかしい点って」

 

 洗脳した人物のスタンド能力、それを知るのが最優先だろう。洗脳が解除されたらそれが自分の命を脅かす武器に早替わりするから。

 

「そのおかしい点についてのいくつか反論がある。①“それを周りに共有する気がなかった”②“洗脳の記憶共有は洗脳した直後限定”③“能力の制約で不可能”」

 

 中嶋は右手では指を3本立てた、だが

 

「まず、①はそもそもする意味がない。洗脳が解除されたら記憶は消されるはずだからな」

 

 薬指を折り曲げる。

 

「②の場合は俺が店長を倒した事を知らないはず。その仮説通りだったら店長の記憶越しで知ったはずだからな」

 

 中指を折り曲げる。

 

「この中だと③が1番現実的だな。どんな制約があるのか分からない」

 

 最後の人差し指は折り曲げずに左手の人差し指と中指で摘んでゆらゆらした。

 

 自分の気絶や豊富の冷気のダメージ、倒した敵のチャージ中は無防備な弱点を思い出しながら言う。

 

「もしかしたら、もっと私達が知らない別の方法かもしれませんね」

 

「豊富さんの言うとおりだね。あくまで今のは仮説みたいだし………でももしかしたら敵は記憶を共有することができるかもしれない……それを頭の片隅に置いておくのはどうかな?」

 

『確かにそうね。かもしれないって考えるのが1番ね』

 

 佐川の言うように、結局は相手はそんなことできるかも?と考えておくほうがいい。警戒しすぎると精神的にストレスがかかりすぎて逆効果だ。中嶋と豊富も頷いて賛同した。

 

「じゃあそろそろ解散ですかね。私はすでに連絡しておいたので後から来た組織、スピードワゴン財団の人とここの被害の説明をしておきますので」

 

「悪いな、後始末頼んじゃって」

 

「いえいえ、大丈夫ですよ!」

 

「じゃあ2人とも、また明日学校で!」

 

「えぇ、また会いましょう」

 

「あぁ、またな」

 

 そういい中嶋と佐川と綾瀬は帰っていった。

 

 豊富はニコニコと笑いながら2人が帰るのを見届けてから、部屋に置いてある椅子に腰掛けた。先ほどの笑顔とは違い極めて真剣な表情で

 

(おかしい、以前までの洗脳されてた人物はみんな機械的かつ理性なんてものはなく暴れていたはず……だけど、この町の人たちは洗脳されても、自我があり会話できていた。この町の住民のせい?…………いやあまり考えたくはないが

 

 

──────洗脳のスタンド使いの能力が成長している?

 

 

 そこまで考えた時に、両頬を思いっきりぶっ叩き、またいつもの彼女に戻る。

 

「まぁなんであれ、どんな野望とスタンド持っててもぶちのめして阻止してやりますよ……約束したので」

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