「そういえば、昨日メッセージで聞いたけど。また襲われたんだって?」
太田からの問いかけに中嶋は少し笑いながら答えた。
「えぇ、少し負傷しながらもなんとかバイトできる程度には」
昨日の図書館での戦いが終わった翌日、中島は放課後コンビニでバイトしていた。あの後豊富の力で
「そうかい、そりゃあよかった……あれ?佐川くんを治したスタンド使いとは会わなかったのかい?」
「えぇ、豊富曰く『あの人は財団の協力者かつ、彼の生活を最優先に尊重しているので無理です』だそうです。その人が来たのも仕事の用事でたまたま八田町を訪れてそのついでにって」
「なるほど……つまりできる限り怪我はしないようにってことだね」
「う……は、はい。そうなりますね、一応病院の費用とかその他諸々は向こうもちだそうで」
「流石、財団となるとバックアップも大きいねえ。昨日聞いた時思わず大声上げちゃったよ」
「本当に、秘密結社まがいのところから支援してもらうってゲームや漫画でしかないことが起こるとは。いまだに現実味が……夢の中だって言われた方が納得できますね」
「それ言ったら僕だって、まだ自分の能力が現実味ないよ。コイツ」
腕の上にミスティック・アンティークを出現させて軽く這わせてみる
「洗脳から解けて初めて見た時絶叫しちゃったからね。昔見た映画のモンスターみたいな見た目だし」
「……確かに言われてみれば、人の内側に入って寄生しそうな見た目ですよね。まぁそういう俺のは環境汚染とかで生まれて人を腕力で軽々と殺害しそうなタイプのモンスターですが」
背後にキャットハウスを出現させる。2メートルはある巨体でクリーチャー感が強い見た目だが、腕力自体はそこそこなスタンドだ。下から中嶋は覗き込んでそう言った
「そういえば、君は僕とは違い先天性のスタンド使いだったんだろ?いつ頃から自覚したんだい?」
「俺は……そうですね。かなり昔のことなのであまり覚えていません。幼稚園に入ってすぐくらいですかね?ずっと家にヤバい奴いるって思ってました。それも家族には見えないものですから……」
「そっか、大変だったね。そりゃ」
「ですが、今は店長や部活のみんなもいて孤独感はないです。楽しいですよ。もちろん、ここのバイトも」
「そう言われちゃ、楽しい環境にするために努力しないとね……っとこんな宣言してなんだけど、もう今日のシフトはここまでか」
壁掛け時計をチラリと見てそう言った。
「お疲れ様です。店長……そういえば、このあと新人が来るんでしたよね?」
「あぁ、そうそう。高校1年生でこの辺りでも有名校の星常学園の子だね。面接に来た時には驚いたよ」
この店は八田高校の通勤路にあり、基本的にバイトは八田高校に通っている高校生が基本的だ。近いから放課後にバイトしやすい。
「……その新人、もしかして洗脳された……」
「か、考えすぎじゃあないかなぁ〜?一応面接した時は普通の子だし、念の為僕も怪しいと思ってスタンドを見せたけど見えない素ぶりだったよ?見ないフリをするとかじゃあない、マジの反応を」
「……ちょっとここ最近いきなり連戦していたので疑心暗鬼になってましたね」
「うん、だからマネージャーさんと君や先輩が業務を教えてね」
「分かりました」
そう言いすでに帰り支度を済ませた太田は帰って行った。中嶋は内心初めてのバイト後輩ができたことに少し喜んでいた。
「おはようございます。今日から新しく入りました清水健太郎です。分からないことばかりですが、一生懸命頑張りますので、よろしくお願いします」
ぺこりと下げたバイト服に身を包んだ青年、ネームプレートには清水と書かれていた。かなりかしこまって真面目そうな印象を受ける。先輩たちはみんな同じく自己紹介をした。
「俺の名前は中嶋晴人、よろしくな。早速だが、まずは基本業務のレジ打ちから教えるよ」
「はい、中嶋先輩。よろしくお願いします」
そうぺこりと頭を下げる清水に本当に礼儀がいいな。と中嶋は思った。
清水に対して、レジ打ちや品出しのやり方、収納代行、荷物受付、店内調理、などなどのやり方を教えた。彼はメモ帳でメモしながらわからないところはちゃんと質問するなど、ちゃんと学んでいた。中嶋は最初もしものことがあるかと少し警戒していたが、ただの杞憂で実際は真面目な新人だった。
しかし事件は起きた。
実際にレジ打ちをやってもらおうと、清水のそばで中嶋が見守っていた。何かあった際のトラブルとかに対応できるように、清水は少しもたつきながらも、それでも中嶋が直接サポートするような大きなミス等は無かった。だからそのせいで少し中嶋自身“慢心”をしてしまった。
5分前ほどに入店した二十代前半頃のグレーのパーカーを頭から被った男が、退店する時。清水は急にレジカウンターから離れて、いつのまにか男の右腕をガシリっと掴んでいた。中嶋が止める暇もないスムーズな動きで
「なんのようだ?」
パーカー男はパーカーの下からぎろりと睨みつけたが、清水は止まらない。
「まだ、お会計してないものありますよね?」
「ハァ?何言ってんのぉ?お前ェ?俺が何も購入していたいからって怪しんでるのォ?買いたいもんなかったから出るだけだよ」
「……いいえ、間違いなくあなたはとっています……盗んだのは、3分前、そこのパンコーナーで“ムチャうまウインナーチーズパン”を
その左ポケットにィッ!」
躊躇なく左のポケットに手を入れると、そこには先ほど清水が行った商品の名前がプリントされていたパンが出てきた。
「な、なんで!?どうして俺が入れるところを!?」
「やっぱりお前!盗んでるんじゃあないかッ!!誤魔化そうとするんじゃあないぞッ!」
(….おかしい、確実におかしい。清水はずっとレジに集中していてチラリともパンコーナーのほうを見ていなかった。それでもまだ余裕のある俺ですらわからなかった万引きをどうやって?
いや、それよりも何かアイツ、なにかオカシイ……止めなければッ!)
中嶋は思考を戻して清水の元に向かい止めに行った
「待て!分かった!あとは警察に通報しよう!」
「っ!先輩!止めようとしないでください!」
清水を腕を掴み、止めようとするが止まらない、彼が力持ちだからではない、異常なほどの精神力のせいだ。
「……ったく、いちいち数百円程度の商品盗んだせいでケチケチすんなよ」
その言葉に清水は完全にキレた。
「言うにこと欠いてそれかッ!お前のような一つくらいならいいっていう犯罪者がいるから日本はダメになるんだッ!お前らは白アリのように社会の基盤をガジガジ齧る存在なんだッ!」
中島が掴んでいる手、商品のパンを掲げている手、それとは全く別の第3の手が清水から生えてきた。その腕がパーカー男の喉をがっしりと掴んでいた。
「グエッ!な、なんだ?なにかがお、俺の喉を!い、息が出来ねえ……!!」
(あれは!スタンド!清水はスタンド使いになっていた!)
「……キャットハウス!」
キャットハウスの腕だけを出現させて、手刀を繰り出す。清水のスタンドに命中して、スタンドの手は離れ、清水は商品を持ってる方の手に一瞬意識を向けた。フィードバックによるダメージだ。
「そして、俺はこの国の基盤を食い散らかす犯罪者は全員憎んでいますが、それ以上に憎むものが最近できました。中嶋先輩、貴方だ」
「な、なになにぃ?なんの騒ぎぃ?」
この一連の騒ぎに駆けつけた先輩バイトが来た。彼を見ると清水は中嶋の耳元にボソリと
「店内で戦いたくないです。路地裏で戦いましょう」
と言った。中嶋は乗せられているようであまり頷きたくなかったが、一般人を巻き込んでしまうと思い了承した。
「すいません、先輩。ちょっと用事ができたので後は頼みます。あ、あとこの人万引きしたので警察に通報をお願いします!」
はいと言わせる前に中嶋は歩き出し清水もその後に続いた。残されたのは先輩バイト1人。
「えぇ、行っちゃったよ………ええっと。通報ね、通報……あの、お客さん。すいませんけど少し事務所の方に来てもらいますよ」
「は、はイィ!」
路地裏にて
「清水、まさかお前スタンド使いになったとはな……」
「中嶋先輩、貴方のことは俺と、このサベイランスが裁きます」
清水の隣に寄り添うようにベッタリと頭がカメラになっているスーツを来て手袋をしたスタンドが現れた。
一方その頃、別の路地裏にて
「まさか、帰る途中にであっちまうとはね……スタンドと」
太田が帰宅中、近道にと選んだ路地裏の先には風船サイズほどで色合いは緑、脚は発達しておらず代わり貧弱だがその代わり腕は成人男性ほどの長さになっているスタンドがいた。
『フフフ貴様、太田匠だな?戦う前に一つ質問させてくれ』
「……質問?」
『お前、タバコはやってるのか?』
「た、タバコォ?」
(なんでこのタイミングで?)
『やってるとかなり困るんだなこれが。殺してみる時にすごい困る。汚ねえシンナーまみれの臓物見ちまうのがスゲェムカつくんだわ』
「……なるほど、やってないよ。最も君に殺されないから見れないけどね」
『ハッ、いいね。だが、その強気いつまで、この“パンドラボックス”相手に持つかな?』
3点リードと中黒どちらがいいですか?
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3点リード
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中黒