飼育員がワンピースに転生。   作:みみみーん

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第3話

 レオは、そのまま村に残ることになった。

 

 マキノが経営する酒場で、簡単な手伝いをしながらの生活。

 床を拭き、皿を運び、樽を転がす。

 

「助かるわ、レオ」

 

 そう言って笑うマキノの顔は、いつも優しかった。

 

 シャンクスたちは相変わらず頻繁に酒場に現れ、

 ルフィはほとんど住み着いているような状態だった。

 

 笑って、食べて、騒いで。

 その日常が、当たり前のように続いていた。

 

 ――あの日までは。

 

 その日も、酒場は宴の真っ最中だった。

 

「ガハハハハ!!」

「飲め飲めぇ!!」

 

 シャンクスとその仲間たちが、いつものように騒いでいる。

 レオは皿を運びながら、ルフィと並んでその様子を見ていた。

 

 ――次の瞬間。

 

 ドンッ!!

 

 扉が、乱暴に蹴飛ばされる。

 

「……っ!」

 

 空気が、一変した。

 

 現れたのは、無精ひげの大男。

 その後ろに、数人の荒くれ者。

 

 山賊――ヒグマだった。

 

「おいおい……ずいぶん賑やかじゃねぇか」

 

 酒場の空気が、重くなる。

 

 レオは、知っていた。

 この後、何が起きるのかを。

 

 ヒグマは、シャンクスに絡み、

 そして――

 

「……ふん」

 

 持っていた酒を、シャンクスの頭からぶちまけた。

 

 酒が床に飛び散り、酒場が一瞬、静まり返る。

 

 だが。

 

「やられたなぁ」

「お頭、酒もったいねぇぞー」

 

 シャンクスは、平然と笑っていた。

 仲間たちも、同じように笑っている。

 

 ヒグマたちは、吐き捨てるように言って去っていった。

 

 ――その後。

 

 壊れた机。

 床に散った酒瓶。

 

 マキノは黙って片付けを始めていた。

 

 その光景を見て、レオの胸の奥が、じわじわと熱くなる。

 

(……ふざけるな)

 

(マキノさんの店だぞ)

 

(シャンクスだって……)

 

 気づけば、声が出ていた。

 

「……かっこよくない」

 

 シャンクスが、ん?と振り向く。

 

「今の、かっこよくない」

 

 隣のルフィも、顔を真っ赤にして叫ぶ。

 

「そうだ!! ださい!!」

 

 酒場が、しんと静まる。

 

 シャンクスは一瞬きょとんとしたあと、笑った。

 

「ははは、ただ酒をかけられただけだろ?」

 

「それが嫌なんだ!」

 

 レオは、拳を握りしめる。

 

「馬鹿にされてるんだぞ!」

 

 シャンクスは、少しだけ真剣な目で二人を見て、

 それでも肩をすくめた。

 

「……力で全部解決するのが、強さじゃねぇんだ」

 

 その言葉に、レオもルフィも納得できなかった。

 

 ルフィは、ぷいっとそっぽを向き、

 店の隅に置かれた小さな箱を引き寄せた。

 

「もう知らねぇ!」

 

 箱を開けると、中には二つの実が入っていた。

 

「これ、俺が見つけたやつだ!」

 

 ルフィは一つを掴み、もう一つをレオの前に置く。

 

「ほら!」

 

 レオは、むすっとしたままそれを手に取った。

 

 正直、何の実かなんて考えていなかった。

 ただ、気持ちのやり場がなかった。

 

 ――一口。

 

「……っ!?」

 

 信じられないほど、まずい。

 

 舌が、痺れる。

 

「な、なんだこれ……!!」

 

 吐き出そうとした、その時。

 

「うえぇぇぇ!!」

 

 隣で、ルフィも同じように顔を歪めていた。

 

「まずすぎる!!」

 

 気づけば、二人とも最後まで食べきってしまっていた。

 

 その瞬間。

 

「……おい」

 

 低い声が、背後から落ちる。

 

 振り向くと、

 青ざめた顔のシャンクスが立っていた。

 

「お前ら……まさか」

 

 酒場中の視線が集まる。

 

「悪魔の実を食ったのか!?」

 

 その言葉に、レオの背筋が凍りついた。

 

 ――やってしまった。

 

 原作を知っているからこそ、

 その意味が、痛いほど分かっていた。

 

 こうして。

 

 少年レオは、

 ルフィと並んで――

 

 取り返しのつかない一口を、

 運命として飲み込んだのだった

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