砂と瓦礫に塗れた道路を、太陽の光が照る中歩いている。
喉が渇き、水を飲もうと水筒を手に持とうとするが、ここに来るまでにだいぷ水を消費してしまったことを思い出し我慢する。
「なんでこんな目に……」
線路を道標にしていたことが仇になった。ハイランダーの生徒たちが改造した列車で襲ってきたせいで相棒であったバイクは爆破し、完全に破壊された。
逃げるために武器もかなり消費してしてしまい、身を守れるものは腰に収めてある六発装填の回転式拳銃だけだ。
そして、さらに最悪なことは、おそらく私は遭難しているということだ。
見渡す限り砂砂砂。
建物も砂漠に埋もれている。
ろくな物資も見つからない。
最近は平和すぎていてボケていたが、現在のキヴォトスは前の何百倍も危険な場所となっている。完全に甘い認識で動いていた自身の落ち度だ。
「来る場所間違えたかなあ」
後悔し始めるが、ここまできたらもう後戻りはできない。
せめて一晩過ごせるような建物はないかと辺りを見渡すと、遠くの方から一台の車が来るのが見えた。
周囲に隠れられるような場所はなく、腹を括り対峙することを選択する。いつでも銃が撃てるようにグリップを握りしめる。
車はどんどん私の方に近づき、目と鼻の先で止まった。車から出てきたの黒髪ツインテールの猫耳少女だ。
アサルトライフルを手に警戒しながらこちらを睨みつけている。
「あなたここで何をしているの?」
「新天地を求めてここまで来たのよ。まあ、噂に聞いていた以上に砂漠だったせいで遭難してたけど」
「……ここに来たって、何もないわよ」
「うん、それは痛感した。でもあなたと会えた。迷惑にならないように回れ右するから知っているなら帰り道をーーー」
瞬間、意識が朦朧とし始めた。
なぜが青空が視界に入り、体がうまく動かない。
「ーーーー、ーーー------!?」
猫耳少女の声がするがよく聞こえない。
あれ、わたし、どうしてーーー
◆
「いくら物資が貴重だからって倒れたら世話ないわよ。こっちだってあんまり物がないのよ」
「本当にごめんなさい。迷惑かけたわね」
水の消費を抑えようと無理したのが祟ったのか、私は軽い脱水症状でしばらく倒れていた。
幸いにも猫耳の少女のおかげで安全な場所に運んでもらい、療養してある程度体調も治った。
一時はどうなるかと不安だったが、話のわかる人物でよかった。言葉よりも先に弾丸が放たれる今のキヴォトスには彼女のような性格は稀だ。
「そういえば恩人の名前を聞いてなかったわ」
「アビドス高等学校三年の黒見セリカよ。……こんなご時世じゃあ学年なんか言っても意味ないか」
「ここまだ生徒がいたんだ。……あ、ごめんなさい!」
「いいのよ。今じゃもう廃校みたいなものだし。昔はアビドスの復興しようと頑張ってたけど、それももう無理そうだし」
そう言ってセリカは窓の外に視線を向けた。
窓から見える景色は相変わらず砂だらけ。変わり映えのしない景色だが、視線を下ろせば砂漠に埋もれた校門やバリケード、ゴールポストが見える。
「ここって学校、よね?」
「そうよ。アビドスの校舎。こんなんだけど2年前はちゃんと学校として機能してたのよ。私含めて5人だけだったけど生徒もいたわ」
「……他の四人、今は?」
「……わからない。私が最初にいなくなったから」
最初にいなくなったとはどう言う意味なのかわからないが、これ以上詮索するのは流石にダメだと思い口を閉じる。
しばらく重い空気が続き、どうしようかと頭を悩ませる。
すると、遠くの方で大きなビルが音を立てながら崩れていくのが見えた。
「ああ。もうあんなところまで来てたんだ」
「?それってどう言う……」
「待って……はい、これで見てみて」
渡された双眼鏡を手に、崩壊したビルの方を見てみる。
するとそこには巨大な蛇のような白い機械が、ところどころ壊れた装甲の隙間からばちばちと火花を散らしながら蠢いていた。
「あれはビナー。アビドス砂漠で暴れていた預言者、ていう奴らしいわ」
……私は本当に来る場所を間違えたのかもしれない。
・ハイランダー鉄道学園
キヴォトス全域の鉄道の管理と、その教育に特化した学校。……だった。
現在は列車を改造し、線路に近づく生徒や住民を襲い略奪を繰り返す無法者とかした。
きれいに整備されている改造列車を見るに、彼女たちの鉄道に対する情熱だけは消えていないようだ。
・アビドス高等学校
自然災害によっと砂漠となり、ある大企業に数億もの借金をしていた廃校寸前の学校。
2年前は5人だけだが在校生もいたようで、自治区も最低限機能していたようだが、現在は自治区のほとんどが砂漠に埋もれ、住民や生徒もほとんどいない。
ちなみに、キヴォトス崩壊のどさくさで借金はチャラになったようだ。