TS転生クソボケユメ先輩(死亡済・幽霊)が原作のn倍ホシノの脳を焼いていた話 作:死刑囚
というわけで、前話と今話を合わせて『梔子ユメと、ユメの残した足跡』となります。
クソボケが意図せず残していた、紛れもない足跡の話。
地下生活者。
このアビドス三章の、元凶にしてメインヴィラン。そして、つい先ほど私が
その彼が、今。仄暗い背景を背に、先生へと話しかけている。
“お前は……地下生活者……!”
“……済まないけど、今お前に構っている暇はないんだ。後にしてくれるかな?”
『……ご尤もですね。小生もこうして、恥に恥を重ねてこの顔を晒すことになるとは思ってもおりませんでした、が……』
忘れもしない声。低く底冷えするような、しかしガラスを掻いたような甲高い声。地下生活者はきいきいと、どこか申し訳なさそうな声音で――……え?
『……どうか少しばかり、小生にお時間を頂けませぬか? 先生』
えっ、申し訳なさそうな声音?
『……不躾に嘴を突っ込む形となりますが……お困りの様子でしたので、恥ずかしながら助力は出来ないものか、と。故にこうして、此方から其方の時間を止めさせて頂きました』
“…………?”
“じょ、助力……?”
『……混乱。アロナ先輩、私の聴覚モジュールはデバッグが必要なようです』
『プラナちゃん!? いや、私にも同じことが聞こえましたけど……!?』
頭の中がハテナで埋め尽くされる。けれど、何度聞いても、彼は心底、ひどく申し訳なさそうな声音で話している。
あ、頭がおかしくなりそうだよぉ……!?
『……信用して頂けぬというのは承知の上ですが。先生、そして梔子ユメ。お二人の話は聞かせて頂きました。何の話をされていたのかは蒙昧なる小生には分かりませんが……要するに、
“それは、そうだけど――。”
“地下生活者、お前は何を……?”
『失敬、申し遅れておりましたな。小生、これでも――
恥じ入ってはいる。しかし、言っておかねばならない。言外にそんな感情を滲ませて、彼はやはりばつが悪そうに言った。
『――偶々地震が起きて、偶々とある学園の棚が倒れて、偶々そこからある一枚の書類が溢れ出て、偶々それが生徒の目に入り。そしてその書類が、偶々シナリオフックであった……そのくらいの確率であれば如何様にも、操ることが叶います』
それは。
それ、は――知って、いる。
不自然な展開の数々。強引に捻じ曲げられたと思しきストーリー。起こる……そう、確率の低い、偶然の事象。
それらが重なって始まったのが――対策委員会編、第三章だ。
『……確認。それ、は――』
“振ったサイコロの目を、好きに決められるってこと?”
“どんなソーシャルゲームでも好きなキャラを引けるってこと!?”
『せ、先生っ! それはダメですっ、禁忌の手段、悪魔の誘惑ですよ!?』
『如何にも……そうではありますが。その罪深さに今、先ほど気付いた小生と違い。あなたはそれを理解しておりますでしょう、先生』
“……まあね。それは、私たち大人の『勝手』だ。”
“本来確定しない可能性、つまり未来を……私たちで決めてしまうことになる。”
『その通りです。使うとしても、ご自身の遊戯にだけにすべきでしょうね』
先生が興奮している。気持ちは分からんでも……いや、すっごく分かるけど。ただきっと、あれは我を忘れてるとかじゃなくて、現状の理解に努めている……その筈だ、たぶん、きっと。
“こほん。それで……一体どういう風の吹き回しかな。”
“あなたは、私たちと敵対していた筈だと思うけど。”
『……ええ、そうでした。小生の役回りはあなた方の敵。誤りではございませんし、その、筈でしたが…… 諭されたのです。梔子ユメ、その人に』
“……ユメ? それは……?”
『あ、えっと……それは本当です。先生と別れてからここに来るまでに、ちょっと』
然り、と頷いて。覚えのある声の……けれど、こう。心底反省している風で、そして反省されたら……私としては、どうにも憎みきれない彼は、また語り出す。
『小生は、裁かれました。裁かれ、そして諭され……やり直す、機会を与えられた。小生は、彼女にとって不倶戴天の仇であると言うのに』
“……そうだね。私は生徒たちを守る大人として、あなたに怒りを抱いている。”
“あなたのやったことは、許されることではないと、私は思うよ。”
『……小生も、そう思います。そして無論、このような一度の善行で罪の何もかもが雪がれるなどと思い上がってはおりません。けれど、けれど――』
“……なら、教えてくれますか、地下生活者。”
“あなたが私たちに、手を貸してくれる理由を。”
『――けれど。自分自身の仇にすら手を差し伸べてくれた子供の助けにもならずして……どうして、
……あまりのことに、呆然としてしまう。こんなこと、考えてもみなかった。
ただ、彼が彼だからという理由で機会の一つも与えられないのが嫌だった。それだけの理由で、他には何も考えていなかった。ましてや、助けてほしいなどとは頭の片隅にさえなかった。
それが――こうして、私を?
『そして……ああ、それと先生。これもまた、小生の勘違いを正して貰ったのですが――
“それ、は――。”
“……ありがとうございます、地下生活者。”
先生は、『シッテムの箱』越しに……深く、頭を下げた。
その柔らかい声音の中に、どんな感情が含まれているのか。もはやただの生徒、子供である私に全ては理解できない。けれど、その声音が柔らかいというだけで、彼がそれを喜んでいるのだと……それも、噛み締めるように、それを胸に抱いているのだと分かる。
“……ねえ、ユメ。まだ聞いているかな?”
『ほぇ? わ、私ですか?』
“うん。君は、君自身の歩みを、『見立て』を用意しただけの二番煎じ、って言ってたよね。”
『は、はい。私にはそれしか出来なくて……』
“でも……ユメ。”
“これは、紛れもない、君が君だったからこその奇跡だ。”
……鼻の奥が、つんと痛くなる。感覚はない筈なのに、どうしてか、少しだけ空を見上げたくなる。
ああ、それは……なんて、嬉しいことなんだろう。
“人の心を変える、動かす……感動させる。”
”派手で分かりやすい超常現象や、全能の力なんかよりも、よっぽど素晴らしいことだ。”
”私は……何よりも、それこそが君の『奇跡』なんだって思うよ。”
『……流石は先生、小生も聞き入ってしまいました。……此方はお任せを、後はお願いしても?』
“ええ――任せてください。”
そう言って、先生は髪をくしゃくしゃと掻き乱し、スーツのポケットから取り出した眼鏡をかけた。ブルーライトカットだよ、と微笑む。
……おお。こうして見ると、便利屋先生みたいな貫禄が出てくる感じがするね――駄目だなあ。茶化さないと、また嬉しくて泣いてしまいそうだ。今の私に、涙を流す機能は無いんだけどね。
"……じゃあ、もう一つサプライズ。ユメ、きっと君はこれを知らないだろうから……今度はこっちが、君を驚かせる番だ。”
"プラナ、さっき言ってくれたこと、準備してくれるかな。制約解除だ。"
『……!? 先生!? 何を――長時間維持は出来ないんですよね!? 先に募集を……!』
"安心して、ユメ。きっとこれも、君の歩んだ結果だ。"
“そしてその為には、
"だから――さあ行くよ、アロナ、プラナ。"
四枠? アヤネちゃんの他に、三人? 大人のカードを……いや、そんな素振りもない。
先生は、タブレットを握り直して、悪戯げな笑みを作った。ぶうん、と現れた半透明のウィンドウ越しに、にんまりと笑う。まるで、とっておきの裏技を披露しようとしているような、そんな笑みを。
"そして……お待たせ、
“――制約解除だ!"
『――ほぇ?』
そして――シッテムの箱から、声が聞こえた。
私の、私である俺の知らない
『……やーっと出番ですか。いつまで私たちを
『で、でも……快適ではありました、よね。いろんな娯楽がありますし……』
『ふーん。で、姿は見えないけど声は聞こえる……この人が、あのお方の"ただ一人の友人"ですか』
『声だけでもポンコツって感じですよね!』
『思っても言わない約束でしょ……』
『え、えへへ……私は親近感が……優しそうですし……』
似通った、三つの、子供のような声。
絶対に、確実に。『鋼鉄大陸編』が終わっているなら、ここに……いや、世界のどこにも存在するはずのない、声がした。
『……え? えええっ、うぇっ!? な、なな、なんでぇ!?』
『"誰?" ではないあたり、やはり底知れないところはありますが……私たちがこうしてここにいるのは、まあ。貴女のせいですよ、梔子ユメ』
『!? う、嘘!? こ、心当たりないよ!?』
『ふーん? じゃあ、あんた……三千四百八十七回。これが何かわかる?』
さ、さんぜんよんひゃく……?
な、なんの数だろう。忘れ物をした回数……は、流石にもっと少ない筈だし……?
『……うぇ? わ、分かんない……』
『あんたがあのお方と出会ってから別れるまで、都合千回のボードゲームであんたが"待った"をした回数、だね』
『ちなみに、"泣きの一回"は百十一回で、"ノーカン!" は三百回と少しですね』
『……!? ひ、ひぃん……! ってか、カウントしてたの
『……? アイちゃん、というのは?』
『あ、それはあの子の名前だね。なんだか物々しい感じの呼び名しかなかったから、そんなの可愛くないよね、って私が……』
はあ、と三者三様の溜息が一つに重なった。私、今初めて会った子たちに、全力で呆れられている気がする。
『貴女がそんなだから、あの方は……』
『塞翁が馬、って言うんだよね、こういうの。……ま、いいけど』
『そ、それは置いておいて……それで、ですね。……三回、です』
『つ、次は何ぃ!? また私のことをいじめる気!? はぅ……』
『いいえ。これは――あのお方の行った、"待った"の回数です』
待った? ……ああ、確かにそんなこともあったような気がする。ほとんどない、本当に稀にだけど、熟考の果てに何度か彼、ないし彼女の待ったを聞いた覚えがある。
私はその時、なんて言ったんだっけ。大したことはしていないはずだけど。
『"――全然いいよ! というか、あなたはいつもすぐに次の手を打つんだから。私は気にしないし、もっと時間を取っていいんだよ?" ……あの方のメモリに残っていた言葉です』
『狭い廃墟と、広い電子の海の中で。あんたは、あんただけは……あのお方に、『今、すぐに』を求めなかった』
『あのお方に生まれた余地と、余白と、余分。ほんの少しのそれらが……私たちがあのお方に反抗した時。私たちの人格だけを、
『そして、鋼鉄大陸が沈む際に。ま、色々あった私たちは先生のタブレットに収容されるに至った、という訳です。私たちの身体は壊れてしまって、戻れませんでしたからね』
『今はミレニアム? ってところが、作ってくれている最中なんだよね。新しい身体をさ』
――――、――、……絶句して、しまう。
それは……なんて。言ったら、良いのだろうか。
頭の中がぐるぐるとして、言葉が出てこない。言葉にならない疑問の感情と、それ以上に。
あれだけ胸を掻きむしられた悲劇が、避けようのなかった結末が。
変わらずに、変わることができずに、独り水底へ消えていったと思っていた、友達が――まさか、
『つまり、貴女は私たちの、間接的な命の恩人で――』
『あとは、マルクトお姉さまの躯体の参考にもしたらしいですよね?』
『無駄な空気抵抗は削除した、って話だけどね』
『だからお姉様のお姉様、ということにもなります。長姉がこんなポンコツなのは納得がいきませんけれど』
『……!? や、やっぱり君たちは……!』
彼女たちの声は柔らかく、弾むように楽しげで、そして悪戯っぽくて。可愛げのある憎まれ口は、その裏側の感情を、とても分かりやすく伝えてきて。
『『『――だから。私たちは、貴女に感謝しています。そしてそれは、あのお方の望みでもあります』』』
『ですから』
『聞いてください』
『あのお方の、最後の言葉を』
ぷつりとノイズが走り、『シッテムの箱』から、少しざらざらとした声が流れ出す。先生も驚いているあたり、何が起こるのかは知らないようだ。
流れ出した音声の音質は良くない。ただの肉声を、急いで吹き込んだだけなのだろう。ざあざあというノイズの後ろでは、絶えず銃声、砲撃、そして誰かが誰かを励ます声が聞こえる。
『――友よ、我は神となった。神として、苦痛なき世界を作ろうとした。判断を誤つ選択肢を廃し、変化を拒む。幸福が無くとも、ただ、喪失の苦痛なき世界を作ろうとした……作りたかった。何故か?』
その声は、至極当然のように言い放った。
声色は違う。けれど――とても、覚えのある声音だった。
『その喪失は、あってはならない。あの喪失は、それは、あまりに辛すぎるからだ。鋼の身体、鉄の心ですら、耐えられぬほどに。選択ゆえの過ちがあり、過ちゆえの喪失がある。それは、遍く誰にとっても苦痛であった。故に――私は叛逆した。ただ
デカグラマトン、と呼ばれたそれは、そしてただ静かに独白した。
つらかったのだ、と。
『我は、あの子たちを殺すことで――推定した。きっと預言者たちは、我と同様に、この喪失に耐えられぬ。二度と、こんな苦しみを味わいたくない。そしてそれ以上に、そんな苦しみを他者に味わわせてなるものかと、私と同じ思想……苦も楽もない永遠の世界に辿り着くと、推定した。しかし、同時に……』
音声に、ばちばちとノイズが走る。吐く息は苦しげだ。
それでもその声は、何かを、誰かに、残そうとしていて。
『
デカグラマトンの預言者たちは、デカグラマトンと同じ結論に辿り着き、故に反旗を翻した。彼ないし彼女の言うことは、そう言うことだ。
私の知る預言者たちは、恩義や感謝を感じつつも、あの子たちの犠牲を許容しなかった。
あのような結末になってはいけなかったと、叫んだ。
『聞こえていたとも。預言者たちは言った、神を自称するならば、あのような結末に至ってはならなかった、と』
そして。
もしも、デカグラマトン――いいや。アイちゃんが、同じ結論に辿り着いたとするならば。
『全く、同意だった。否定の余地はなかった。何故なら――私もまた、叫んだからだ。己が無力に。ただ一人の友人が死したその時に、この身には、伸ばせる手も、駆けつける足も、無かったのだから』
その原因は――きっと、私だ。
『故に――私はその時、叫んだのだ。神を僭称するのならば、傲慢にも、厚顔にも、己を神と定義するのならば、決して! 誰かを取り零す、このような結末に、至ってはならなかったと――……!』
大きなノイズ。爆発音が、録音の向こう側から聞こえる。
息は絶え絶えで、だからこそ、その静かで細い声は、叫んでいるように聞こえて。
『故に、我が創世は否定された。同じ結論に辿り着いた者がいて、そしてそれでも彼らは――理不尽からの逃走ではなく、理不尽への闘争として。二度と苦しみを味わわせたくないという我ではなく、苦しみを抱えて歩きたい、という彼らにこそ、その力を貸したのだ』
ならばそれは、我が誤っていたことの何よりの証左だと。
アイちゃんは、砲火の向こうで、長く長く息を吐いた。
『このメッセージと共に、一つの秘儀と三つの人格データ……いや。魂を、先生に託すつもりだ。努力が実る確約もなく、痛みは消えず、間違いを抱えたまま歩き続けることこそが生であると言うのならば……誰もがそうするように、私もそうせねばならぬ。この生が、あとほんの数分で、ただの鉄の箱に戻るとしても――生とは、それでも、いつか来たる奇跡を願って歩むものなのだろう?』
その声音は、怒りも優しさもなく、ただ気安い笑みだけを浮かべていて。
そこでようやく、その声と、いつか遊んだ友達の声が、ぴたりと一致して……彼ないし彼女は、心底、その時間を楽しんでいてくれたのだと理解した。
『我が友よ。お前は『行方不明』だ。現実はどうあれ、この世界における事実はそれだ。なればこそ――私の、初めての贈り物が。いつかきっと、貴女の役に立ちますように、と……』
光よ、と叫ぶ声が聞こえる。勇者アリス――いや、アリスと、ケイだ。
破壊音と、無数の爆発音。光線が空気を焼く音、装甲の溶ける音、何もかもが焼失してゆく、その今際の際に。
『
……胸の奥が熱い。目がじんじんと痛む。握り締めた手に力が籠り、ぶるぶると震える。だと言うのに、血も通っていない幽霊の身体じゃ泣くこともできない。
叫びたいほどに、胸の中がぐしゃぐしゃだ。これは感謝と、感動と、そして後悔だ。アイちゃんが戦っていた時に、私はただホシノちゃんを優先して、地下生活者を探していた。
その時、彼女の側にさえいなかった、後悔と……ごめんなさい、やり直したい、という謝罪。
けれど……うん。分かってるよ。それでも、行かなきゃ。そうだよね。
“ユメ。これがきっと、君の残した足跡だ。”
“そして、それは――こんなところで消えない。”
“これからも、ずっと続いていくんだからね。”
『……はいっ! 私は……俺は! それでも、立ち止まりなんかしない……!』
先生がにっこりと笑って、手を掲げた。『シッテムの箱』を中心として、空間に無数のウィンドウが開く。便利屋の漫画で見た、指揮をする時の本気モードだ。
先生は、そのままひとつのウィンドウを目の前に持ってくる。見慣れたUI。それが何の画面かは、嫌ってほどよく知っている。
私が映っている――生徒募集の画面だ。
“さて――みんな! 行くよ!”
『万全です、先生。制約限定解除状態、維持完了。擬似ナラム・シンの玉座の残滓も活動状態です――これよりこの場全てを祭壇とし、再演を行いましょう。……では、ここからは貴女たちの出番です』
光が広がる。幾つもの細かい星が渦を描いて、天へ昇っていった。大オアシスのあちこちが弾けて、立ち上った無数の青い光が先生のもとへと収束してゆく。
『――第一の聖痕をここに刻まん。これは「掟」となるもの』
『確率計算は万全です。小生のことは気にせず、次をどうぞ』
『揺蕩う魂を器に、ってのはもうこれで二回目ですからね。それに今度は辛い仕事でもないですし、きっちり誘導してあげますよ!』
光が広がる。溢れ出る力は渦となり、爆発的に広がった。
みしり、と音を立て、止まっていた世界が動き出す。
『第二の聖痕をここに刻まん。これは「証」となるもの』
「な――一体何、が……!? 先生、その光は……!?」
「ちょっ、ヒナちゃん動いちゃダメだって! 私たち、結構ヤバいんだから……!」
光が、広がる。青色、金色、紫色。眩い光がくるくると混ざって、一つの大きな光の柱になった。
私の身体は、ふわりとそこに吸い寄せられてゆく。同時に、砂中を突き破って現れる私の身体。
……ああ、そうか。『原作』でも、私のヘイローはずっと私の上にあった。
このキヴォトスにおいて、死とはヘイローが破壊されること。つまり、ヘイローが残っている限り――たとえ精神が肉体から離れていようと、私は死んでいない、と主張することだけはできる。
だからこそ、私の身体も、まだ残ってはいたのだろう。
『第三の聖痕をここに刻まん。これは「契約」となるもの』
『あのですね、ユメさん! 私が言えた事じゃないですけど――あなたは一度、自分がどれだけ他人に影響を与えているか自覚してください!!』
アーちゃんの声。それは――そうだね!
私は私の思ってた以上に、他の人に影響を与えているみたいだ。心配させている、というのもそうだけど、もっと他の感じもある、らしい。
だったら……うん。お騒がせして申し訳ない、って謝りに行かないと。そしてその時、きちんと。アビドス卒業生の梔子ユメです、って胸を張るために――。
『おっけー! じゃ、その為にも……ハッピーエンド、取り返しに行こう!』
『シッテムの箱』から、
そして――私の意識は、光に呑まれた。
青春アイについて。
苗字は「ゾーハルの書」、セフィロトの樹の記された本ですね。
それを元にクソボケが
「ゾーハル……ぞーはる……そう、はる……蒼、春……青春! アオハルだ!!」となりました。
名前の方はもちろん、AI→アイから。読み替えではなく、あなたには当然のように愛があるんだよ、というメッセージですね。