超かぐや姫!0 ~before full moon~   作:ごーまん

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刹那

こんな深夜にいきなりかぐやに呼び出された。 

 

確かに手伝えることは何でもやるから、

遠慮せずに呼べとはいったが、

まさかここまで常識知らずとは思わなかった。

2時だぞ、2時。

 

とはいえ、

宇宙人に地球の常識を持ち込んだ俺が馬鹿だったかもしれない。

さっさと要件を済ませ、

彼女に常識をたたき込んだ後、

すみやかに寝よう。

 

 

ハジメ:「んで?要件は?」

 

 

かぐや:「はい!発表します。

     ズバリ!今日の要件は!

     ダrrrrrrr、ダッ!!!

     KASSEN!

     教えて欲しいの!」

 

 

内容は意外と普通だった、おそろしく長い溜めは気になったが。

おそらく配信でやるのだろう。

だが、すぐに、一つ疑問が浮かんだ。

 

 

ハジメ:「それこそ、いろはに聞けばいいだろ?

     何で俺?」

 

かぐや:「だってぇ…。いろは忙しそうだしぃ?

     芦花と真実もこんな時間まで付き合わせるのは、悪いしぃ?」

 

 

知らんやつが出てきた。

しかも本名みたいだ。

コイツにネットリテラシーというものはないのか。

いや、でも最近は本名で活動している若者も少なくない。

時代の流れが恐ろしいよ。

 

 

ハジメ:「その言い方だと、

     まるで俺は忙しくない上に、

     こんな時間に呼び出しても、

     心が痛まないやつだと思われてるみたいに聞こえるな。」

 

かぐや:「あーーー……。

     まま、細かいことはいいっしょ?」

 

 

てへぺろ、みたいな顔で誤魔化そうとする様に、

俺は普通にイラッとした。

コイツホントに、今巷で人気なのか?

日本の将来が心配だよ。

 

このままログアウトしてやろうとも思ったが、

自分から言った約束である手前、無下にもしにくかった。

 

 

ハジメ:「は~~~~っ。」

 

かぐや:「おお!?」

 

 

大きく息を吐く。

腹を括った。

 

 

ハジメ:「分かった、教える。

     どこから教えればいい?ルールは?」

 

かぐや:「ルールは、芦花と真実から聞いた!」

 

ハジメ:「ああ、知らん。

     じゃあ、逆に何が聞きたいんだよ?」

 

かぐや:「ほら、KASSENって1対1のやつがあるっしょ?

     あれやったことないから、教えて!」

 

ハジメ:「あぁ、SETSUNAのことか…」

 

 

確かに、グループで遊んでいるやつらは、

やる機会が少ないかもしれない。

 

しかし、まあ、SETSUNAか…。

 

正直、さっきとは違う意味でやりたくなくなってきた。

理由は、ひとえにそのゲーム性だ。

このモードは、1対1の都合上、

純粋にプレイヤーの操作精度の高さで、

優劣が決まることが多い。

 

そもそも、KASSENの、ルールSENGOKUを、

反則すれすれのことをやって争ってきた俺にとって、

それは余りにも苦手な分野だった。

 

当時やりこんでいたときですら、

朝日相手だと10本中3本取れれば、

御の字といった感じだった。

 

前にいろはとやったときは、

ギリギリ6本取れた。

以来何かにつけて、再戦の話をされるが、

煙に巻いていた。

初見殺しで勝ったところがある。

次やったら多分5本取れない。

 

 

ハジメ:「分かった。

     まあ、とりあえずやるか。」

 

かぐや:「オッス!

     ヨロシクオネガイシマス!」

 

 

そういってファイティングポーズをとるかぐや。

いうても初心者。

基礎的な動きを教えるぐらいで済むだろう

 

……と考えていたのだが。

 

 

かぐや:「どりゃああああ!!!!」

 

 

 ズゴーーーーーーーーン!!!!

 

 

ハジメ:「っぶねぇなあ!」

 

 

大きく地面がえぐれている。

ハンマー職特有の破壊力。

その長所が遺憾なく発揮されていた。

俺のアバターは、アサシンとファイターの中間といった感じのビルドだ。

その回避性能故に、

避けること自体は、問題ないのだが、

一発でも食らおうもんなら、それだけでゲームが決まりかねない。

 

縦横無尽に突撃してくるハンマー女。

型破りな戦型もさることながら、

なによりその操作精度の高さに驚かされた。

 

 

かぐや:「ほいほいほい!!!」

 

 

重たい縦ふりをコンスタントに振り続けるかぐや。

短剣と隠密スキルを駆使して、何とかそれを凌ぐ。

防戦一方といった感じだが…

 

 

ハジメ:「ッ!!甘いッ!!」

 

かぐや:「グエエエ!!!」

 

 

なんとか、モーションの後隙に一太刀いれる。

こういう所の荒さは初心者特有だな。

 

 

かぐや:「チックショ~~~!!!

     もうちょっとだったのにぃ!!」

 

 

ハジメ:「なめんな。

     流石に、昨日今日始めたやつに負けるわけにはいかん。

     …というか本当に初心者なんだよな?」

 

かぐや:「うえ?そだよ?

     どう、筋いいっしよ!?」

 

 

そういって盛大にドヤ顔を晒すかぐや。

こういう態度を取られると、

いきなり褒めたくなくなるのは、

俺が天邪鬼だからなのだろうか。

 

 

ハジメ:「……まあ、相当筋はいいな。

     …正直怖いくらいだ。

     これだと教えられる事なんてそんなにないぞ?」

 

かぐや:「へえ~?」

 

ハジメ:「なんだよ?」

 

 

何やら言いたげな顔でこちらを向くかぐや。

 

かぐや:「私、昨日は、負けなしだったんだよ?

     芦花と真実と一緒だったし、

     相手、そんなに弱かった訳じゃないと思うんだけどな~?」

 

ハジメ:「…何が言いたい。」

 

かぐや:「教えられること、まだあるんだなぁ~って。

     ハジメ、もしかしなくても、

     結構このゲームやってるっしょ?」

 

ハジメ:「…昔、少しな。」

 

 

食えないやつだ。

自分の実力が、初心者離れしていることを自覚したうえで、

俺を泳がしていたのか。

普段おちゃらけてる雰囲気を出しといて、

こういう打算的な部分を隠し持っているところが、

コイツの魔性さの所以であるように思えた。

 

 

かぐや:「ね!いろはとハジメ、どっちが強い?

     ハジメに教えてもらえば、

     私もいろはぐらい上手になれるかな!?」

 

ハジメ:「…意外だな。

     お前、上手くなりたかったのか、

     しかもそんな理由で。」

 

 

かぐや:「だってぇ~、

     いろは全然遊んでくんないだもん!

     でも?私のほうが上手くなって、

     もしいろはに勝っちゃったりしたら?

     悔しくて再戦!エンドレス1v1!!!

     みたいなことも~~。」

 

 

まあ、想像できなくはない。

できなくはないが…

 

 

ハジメ:「あいつは、そんなんじゃないだろ。

     少なくともお前に対しては。」

 

かぐや:「へ?そうかな?」

 

ハジメ:「ああ、別に、

     今のままでも、誘えば遊んでくれるだろうし、

     逆に言えば、どう転んでもエンドレス1v1みたいなことには、

     ならんだろうな。

 

かぐや:「え~~~~……

     やっぱだめか~~~~~……。」

 

 

ちぇ~と唇を尖らせ、いじけるかぐや。

 

 

ハジメ:「それで言うと、

     むしろうまくない方が遊んでくれそうじゃないか?

     アイツ、何だかんだ言って世話焼きというか、

     お前にも甘いところあるっぽいし。」

 

 

そういってかぐやのほうを見ると、

コイツ如何にもだな、

と言いたげな顔でこっちを見ていた。

 

 

かぐや:「そーゆうので喜ぶのって男の子だけだよ~?

     いろははそんなんじゃないけどね。」

 

ハジメ:「は?でも、お前もかぐや争奪戦とかいって、

     いろはに甘えてただろうが!?」

 

かぐや:「かーーーッ!!分かってないなぁ~。

     あれは、いろはが喜ぶからやったんじゃないの!

     ああやってちょっとず~つ、甘えの段階を上げていけばっ!

     もっと色んなお願い聞いてくれるようになるっしょ~?」

 

ハジメ:「…………」

 

 

思わず絶句した。

コイツ…思っていた以上に腹グロかもしれない。

まずいぞ、日本男子諸君、

今まさにこの国は、

この異星人に侵略されそうになっている。

傾国ならぬ傾星だ。

 

 

ハジメ:「呆れた。

     本当に好きなんだな、いろはのこと。」

 

かぐや:「うん!大好き!!!」

 

そういって満面の笑みで応えるかぐや。

やっぱり眩しいな。

正直ちょっと嫉妬しているかも知れない。

それは、俺には到底出来そうもないことだから。

 

 

かぐや:「でもやっぱり男の子ってのは、

     俺が守る~、みたいのが好きだよね~」

 

 

そういって座ったまま足をパタパタさせながら、

何か思案している様子のかぐや。

ブツブツとしゃべっている内容に耳を傾けると、

 オタクもそういうのが好きだよな~、今度配信でそういうのやろっかな~、

なんて言っているのが聞こえた。

…本当にコイツに力を貸していいのだろうか。

なにか大切なものが失われそうになっている気がする。

GO 少子化、グッバイ 日本の未来。

 

そんなことを考えていると、

かぐやが何かに思い至ったように立ち上がった。

と思ったらすぐにこっちを向いて、

にやにやしながら口を開いた。

 

 

かぐや:「もしかしてぇ、

     ハジメがこのゲームやりこんでたのもそういう理由…?」

 

ハジメ:「?どういう意味だよ?」

 

かぐや:「とぼけないでよ~、ヤチヨのこと!

     え、隠せてると思ってたの?」

 

 

俺は面食らった。

いや、なにも自分が隠すのが得意という自負があったわけではなかったし、

付き合いが長くなれば、

そのうち気づかれることもあるとは思っていたが、

まさかこんなに早くばれるとは。

俺って顔に出やすいタイプなのだろうか。

 

 

ハジメ:「別に、そんなんじゃねーよ。

     …むしろ最初は、あんまりにも俺がこのゲームにはまってたから、

     口うるさく止められてたぐらいで…」

 

かぐや:「…へ?」

 

ハジメ:「…なんでもないこっちの話だ…。」

 

 

いかん、つい要らん事まで口走った。

さっきまでのにやけ面から一転、

怪訝そうな顔でこっちを見るかぐや。

 

 

かぐや:「……そーだよ?

     いくら好きとはいえ、相手は、AIなんだからさ───」

 

ハジメ:「……ほっとけ。」

 

 

つい、言葉を遮ってしまった。

言った後で、しまったと思ったが遅かった。

 

 

束の間の静寂が訪れる。

 

 

やっぱり弁明しよう、

そう決心して口を開いた。

 

 

ハジメ:「あ~…そのなんだ、

     別に俺もそこまで本気じゃな──────────」

 

かぐや:「ごめん。

     よく知らないのに、適当なこと言ったかも。」

 

 

今度は俺の言葉が遮られた。

見ると、かぐやがペコっと頭を下げている。

 

…俺も知らないことだらけだな。

 

こんなに短い間のやり取りでさえも、

自分の中のかぐや像が、

変わり続けているのを感じた。

 

 

ハジメ:「いや、こっちこそ悪かった、ごめん。

     言い方、感じ悪かったな。

     ちょっと色々と事情があるんだわ。」

 

 

そう告げて俺も頭を下げる。

頭を上げると、かぐやの微笑む様子が見えた。

どうやらこじれずに済んだらしい。

安心した。

 

と思った矢先だった。

また、いつもの調子に戻ったかぐやが、

 

 

かぐや:「そうだよね…

     今の時代、多様性…。だもんね…

     色んな愛の形があるよ………」

 

 

そういって憐れむような目線を向けてきた。

いつか本当に手が出てしまいそうだ。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────

 

 

そんな雑談を交えつつ、

何度か手合わせをした。

 

驚くことに、最後のほうには、かぐやに一本とられることも出てきた。

げに恐ろしき学習能力。

 

 

ハジメ:「潮時だな。

     時間も時間だし、そろそろ終わるか。」

 

かぐや:「オッス!アリガトウゴザイマシタ!」

 

 

そう言って険しい表情で挨拶してくる。

一体何に影響されているのやら。

そうして、ログアウトしようとした時だった。

 

 

?:「や。面白そうなことやってんじゃん?」

 

ハジメ:「げ……」

 

かぐや:「だれだれ?

     知り合い?」

 

 

そこには意外な人物がたっていた。

いや人物というか、アバターというか。

 

 

アサヒ:「はじめまして…俺はアサヒ。

     って…キミもしかしてかぐやちゃん?

     なんでこんなところに?

     俺ファンなんだよね~」

 

かぐや:「え!どもども~~」

 

 

そういって握手を交わしている。

成程、どうやらそういう感じらしい。

 

コイツの正体は酒寄朝日、そのサブアカウントだ。

赤髪腹筋丸出しの”帝アキラ”とは違い、

現実の見た目に沿った黒髪のアバターである。

あくまでお忍びというか、

かぐやにも本性を明かす気はないらしい。

だがそうなると、

尚のこと、ここに来た真意を測りかねる。

 

 

ハジメ:「で?何しに来たんだよ。

     俺たち、今日はもう解散、

     って感じになってんだけど?」

 

アサヒ:「そんなつれないこというなよ?

     お前が珍しくSETSUNAをやってるから、

     予定そっちのけで来たってのに…」

 

 

合点がいった。

コイツの目的は俺か。

朝日からも、

日頃からSETSUNAに誘われていたのを思い出した。

俺なんかでは相手にならないが、

朝日は、SETSUNAでJPサーバー1位の男だ。

試合になるやつがそもそも少ないのだろう。

 

 

アサヒ:「な?だから一戦だけでも…」

 

ハジメ:「勿論やらない。」

 

 

そういって手を合わせてくる朝日を一蹴。

 

 

ハジメ:「俺は勝てる奴としか戦わん。」

 

 

そう高らかに言ってのける。

それを聞いてオイ!と突っ込むかぐやが見えたが、

華麗にスルー。

 

なにせ、事実だ。

今後仮にかぐやの力が俺を超える日が来たとすれば、

当然俺は彼女と戦わないだろう。

それが俺のポリシー。

 

 

アサヒ:「そういうなって。

     ほら、俺もフル装備じゃないし、

     …な?」

 

ハジメ:「…グッ………」

 

 

そう言ってちらりとかぐやの方に視線を向ける朝日。

先日の出来事がよみがえる。

くそ、あれは貸し借りなしだって話だったろうが。

 

 

ハジメ:「はぁ、分かった一戦だけな。」

 

アサヒ:「やりぃ、

     勿論、適当に流すのはなしだぜ?」

 

ハジメ:「当然、やるからには本気だ。」

 

かぐや:「うぉ~~~!!、わくわく。」

 

 

そう言って俺は、定位置につく。

さっきの言葉に嘘はない。

相手はサブ垢装備、

いつも携えている

刀を仕込んだ棍棒や、

取り回しの良さそうな中型銃は持っていない。

代わりにスラっとした長い日本刀一本を持っているだけだった。

十分に勝算はある。

 

俺は目を閉じ、その瞬間を待つ。

まもなく、試合開始の合図が鳴った。

 

 

 

俺は左手に持っている釣竿を目いっぱい振り、

力を籠める。

 

この釣竿、名を”Ho-lai”というそれは、

発動効果として、

リールを自動回転させる効果を持っている、

それを応用して、グラップリングフックのような運用をすることができた。

 

今回の狙いは、釣り針を相手に接着し、

こちら側に手繰り寄せること。

 

が、朝日はそれを難なくかわす。

すぐさま、体勢を立て直し

俺と距離を詰める。

 

釣り糸が伸び切り、無防備になった俺に、

朝日が刃を突き立てようとしたその時だった。

 

 

アサヒ:「!」

 

 

俺の体が高速で前進する。

その機動力で、間一髪朝日の刃をかわす。

 

朝日がフックを避けることは想定内。

針はそのまま直進し、

彼の背後にあった地形に突き刺さっていた。

その後、張った糸を巻き取ることで、

俺は先の高速移動を可能にしたのだった。

 

そのまま、朝日の背後に回る。

右手に握られた一振り、

俺が短剣として愛用している脇差がキラリと光る。

名を”伊邪那岐(イザナギ)”というそれを、

朝日に突きつけた。

この間合い、彼の長刀ではそのリーチが仇となる。

 

 とれる!

 

そう直感した瞬間だった。

 

 

 ドゴ!!

 

 

みぞおちに鈍い感覚が走る。

信じられない姿勢から、

強烈な回し蹴りが放たれたようだ。

思わず空中に放り出された。

 

まずい、間合いが離される。

 

距離を詰めようにも、

踏みしめる大地がない。

すかさず、"Ho-lai"を振って相手を拘束し、

剝がされないようにする

 

が、

 

 

アサヒ:「遅い!」

 

 

次の瞬間、すさまじい速度で剣閃が奔る。

この一瞬で、二度、いや三度だろうか、

目で追えないほどの速さで切り付けられた。

 

見ると、俺の両腕の肘から先がなくなっていた。

しかもご丁寧に、胴体も袈裟懸けに斬られている。

万事休すか…

 

 

程なく、試合終了のコールが鳴り響く。

 

完敗だな。

もうちょっと勝負になると思ったが、

流石は現役プロゲーマーといったところか。

 

 

ハジメ:「っちぇ…これで満足かよ。」

 

 

そんな恨み節を言う。

ガキっぽいが許してほしい。

これで結構負けず嫌いなのだ。

だから、戦いたくなかったのだが…

 

 

アサヒ:「…あの蹴り、対処できたんじゃないのか。」

 

ハジメ:「馬鹿言え、

     あんな姿勢から蹴りが出せるなんて思うわけねーだろ?

     俺のことなんだと思ってんだよ。」

 

アサヒ:「…俺はこの勝負、負けられなかったよ。」

 

ハジメ:「…所詮ゲームだろ?」

 

 

束の間の沈黙が流れる。

なんだか気まずい空気だ…

 

 

 パチパチパチパチ

 

 

そんな拍手の音が、思い沈黙を切り裂いた。

 

 

かぐや:「いや~~~!すごかった~~!

     どっちもレベル高すぎぃ~

     ねえねえ、キミ、有名な人?

     めっちゃうまいじゃ~ん!!」

 

 

そう言って、かぐやが手をたたきながら近づいてきた。

そのまま、朝日に話しかけている。

 

 

アサヒ:「まあ、ちょっとプロとしてやってたりもするかな。」

 

かぐや:「うえ~~すげ~!

     また今度教えてよ!!」

 

 

そんな会話で盛り上がっていた。

助かった。

なんだか気まずい雰囲気になってしまっていたからな。

かぐやには素直に感謝しておこう。

 

 

ハジメ:「これで要件は済んだな?

     じゃあ俺は落ちるから、

     お疲れ。」

 

 

そう言ってログアウトしようとした時だった。

去り際にこんな言葉が投げかけられる。

 

 

アサヒ:「いつか、負けられないお前とも戦いたいな。」

 

ハジメ:「…なんじゃそりゃ。」

 

 

そのまま、俺はツクヨミを後にした。

 

 

 

 

────────────────────────────────────────

 

 

いろは’s View

 

 

いろは:「ねえ、昨日の夜、

     誰と話してたの?」

 

 

私は、かぐやにそう問いかけた。

 

 

かぐや:「うえ?

     ああ、ごめん。起こしちゃってた~?

     うるさかったかな~」

 

いろは:「別に…そんなんじゃないけど…

     随分、楽しそうだったじゃん?」

 

 

そういって私は、目を背ける。

正直、自分でもなんでこんなことを聞いているのか

よくわからなかった。

ただ、昨日かぐやの声を聴いた時から

原因不明のもやもやが晴れなかったため、

しょうがなく、

本人に直接聞くことにしたというわけだ。

 

 

かぐや:「うん!楽しかったよ!

     ハジメにKASSENの1対1のやつ、

     教えてもらってたんだ!

     そういえば、最後にもう一人来たんだけど…

     名前聞くの忘れちった~」

 

いろは:「そ、ハジメさんに…」

 

 

成程、それならば納得がいく。

KASSENのことについて聞くうえで、

彼以上の適任者はそうはいないだろう。

 

頭では納得できた。

納得できたはずなのだが、

心のもやもやは消えない。

 

 

かぐや:「実は、今日も教えてもらうことになってるんだ~

     あ、大丈夫!

     今日はうるさくしないからね?

     いろははちゃんと休んで?」

 

 

そう言ってしーっとジェスチャーをしているかぐや。

先日の一件、

私が過労で倒れたあの日以来、

かぐやは、私の体調を気遣ってくれることが増えた。

以前のような、

めちゃくちゃなスケジュールでの配信がなくなったことは

素直にありがたかったのだが、

同時にどこか物寂しさを感じていたのも事実だ。

 

でも、前みたいに倒れてしまっては困る。

そうだ、折角ハジメさんが、

かぐやのお守を引き受けているのだから

任せておけばいいではないか。

そういって自分を納得させようとするも、

無意識にそんな二人の様子を想像してしまう。

 

 

 もや、もやもや

 

 

駄目だ。できない。

私は、時計を見て現在の時間を確認しながら、

かぐやの問いかける。

 

 

いろは:「その教えるやつ、私がやっても平気?」

 

かぐや:「へ?そりゃ勿論平気だけど。

     どうして?」

 

いろは:「…1時間だけ、夜に時間作るから。

     それでいい?」

 

かぐや:「え………………?

     いろはが教えてくれるの?」

 

いろは:「そう。

     ただ、その時間にやることになってたこと、

     前倒しでやるから、

     くれぐれも邪魔禁止────────」

 

かぐや:「やっだ~~~~!!!!!

     いろはが遊んでくれる~~~!!!」

 

 

そういって踊りだすかぐや。

全く、人の話は最後まで聞いてほしいものだ。

私は、小さく息を吐く。

 

心のもやはもうなかった。

 

 

かぐや:「あ!そうと決まれば、

     ハジメにメールしとかないと!

     じゃあいろは!!また後で」

 

 

そういってPCのほうにかけていった。

 

 

 

 

────────────────────────────────────────

 

 

 

ヤチヨ:「? 

     どうしたの? そんなところで固まって

     うえ! 顔怖!

     般若かと思った。」

 

 

俺は、一件のメールを前にして

立ち尽くしていた。

今日はかぐやとの約束があった日。

彼女の異常な成長性を加味して、

それなりに準備をしてきたのだが……

 

 

かぐや:「やっほー!かぐやだよ!

     今日の約束のことなんだけど…

     ごめ~ん、やっぱなしで!!

     なんか、いろはが教えてくれることになったんだ~

     じゃ!そういうことで~~!!」

 

 

そんなメールが送られてきた。

なんだか出汁に使われた気がして納得がいかない。

この怒り、一体どうしてくれようか。

 

 

その夜、ヤチヨは、

俺の怒りが収まるまで、

それはもう熱心に話を聞いてくれた。

 




以下補足


男の子はバトルが好きです。
とりわけ細かな技で読み合う戦いなど、
至高の一品と言えるでしょう。

戦闘描写です。
個人的には、いい設定とギミックだと思っています。
ネーミングもいいセンスだと思っています、
笑わないでください。目を背けないでください。

KASSENってめちゃくちゃ面白くできそうな素材ですよね。
原作の雰囲気的に、少年誌的なバトル要素を入れると、
めちゃくちゃになるというのは分かるのでしょうがないですが、
もったいなく感じてしまいますね。

なんでここでやります。
俺が、ワールドトリ何某や、呪術廻何某、ハンターハン何某で培った経験を存分に発揮したいと思います。

アバターの身体能力の概念は、ワールドトリ何某のトリオソ体のイメージで、
具体的なステータスの項目については、リーグオブ何某のイメージから来ています。



と言う訳で最後に、主人公の武器の詳細を書いて終わります。
見なよ、俺のセンスを…

"Ho-lai" 武器種:釣竿

ハジメが長年愛用している釣竿。
KASSENの前身となるゲームから使っている彼のトレードマークともいえる一振り。
組成が特殊で、いかなるダメージ与えることができない代わりに、
いかなる防御もすり抜けるという、格ゲーの投げみたいな性質を持っている。

グラップリングフックにもなるという万能ぶりだが、
器用貧乏になりがちで、
片方に一つの武器しか持てないというKASSENの性質上、
近接武器と中・遠距離武器を片手ずつ持ちたいアタッカー系の職には
あまり好まれず、使用者が全然いない。

長さは無限。任意の時点で確定できる。

UNIQUE Passive - 不戦の契り:
この武器は、いかなるダメージも与えない代わり、攻撃として判定されない。
Active - 廻天:
詠唱後、自動でリールが回転し、糸を巻き取る。



"伊邪那岐《イザナギ》" 武器種:片手剣・短剣

ハジメがツクヨミに来た後に、作った一振り、ヤチヨとの共同開発。
その名に冠する神の力に即した2つの固有能力を持っている。

KASSENにはManaという概念が存在しており、
詠唱を伴うスキルは、大抵これを消費するが、
この伊邪那岐《イザナギ》も例外ではない。

しかし、ハジメは近接職のビルドであるため、
耐久面や敏捷性のステータスを重視しており、
Manaのステータスには最低限しか振っていない。
そのため、この武器の能力が使われることはあまりない。

本来、Manaに振ったメイジ系の職であれば、
これ一本で戦えるほど宝剣だが、
ハジメは切れ味のいい脇差程度にしか使っておらず、
まさに宝の持ち腐れである。

UNIQUE Active - 神産み:
説明省略。
UNIQUE Active - 国産み:
切っ先がいずれかの地形に触れているときのみ、発動可能。
触れた地点から球状範囲内の地形を、自由に変動させることができる。
範囲、変動速度は、いずれも消費ManaとAP(Ability Power)の値に依存する。






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