超かぐや姫!0 ~before full moon~   作:ごーまん

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ターニングポイント

日が経ち、

ヤチヨカップの優勝者発表まで、

残り僅かとなっていたある日。

俺はモニターに流れている、

ヤチヨカップ速報を眺めていた。

 

 

ハジメ:「かぐやは…まだ圏外か…」

 

 

3位以上の発表を見終えて、そう呟く。

1位は堂々の“Black onyX”

やはり、その実力は伊達じゃなかった。

 

 

ハジメ:「やっぱり、アレをやるしかないか…」

 

 

俺は、出来れば使いたくはなかった切り札。

それを使うため、

とある人物に連絡をした。

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

ハジメ:「というわけで、頼む。

    かぐやとKASSENコラボをしてくれ!」

 

 

俺が連絡をしたのは、

現在1位グループ“Black onyX”のリーダー、

帝アキラだった。

 

 

アキラ:「前も言ったけど、

     それ、俺に言うんだ…

     流石に、俺にメリットがなさすぎない?」

 

 

そう言って一蹴された。

いや、彼の言うことはもっともだ。

 

 

ハジメ:「もちろん、ただでというつもりはない。」

 

 

その言葉に、朝日は少し目を開く。

 

 

アキラ:「へぇ、なんかしてくれんの?」

 

ハジメ:「一つ、無条件でお前らの要望を聞く。」

 

乃依:「へえ、面白そうじゃん。」

 

 

その言葉に咄嗟に反応したのは、

朝日ではなかった。

 

 

乃依:「久しぶり、ハジメ。」

 

ハジメ:「ああ、乃依。

     お前は相変わらず元気そうだな。」

 

 

軽く挨拶を交わす。

実は乃依とは、

彼が"Black onyX"に入る前から交流があった。

 

 

乃依:「ハジメもこう言ってるんだし、

    やってあげたら?

    ねえ?」

   

 

 

そういって、俺の方を見て悪戯っぽく笑うノイ。

こいつ、一体どんな要求を突きつけてくるのやら。

だが、背に腹はかえられない。

コラボが成立さえすれば、

多少の無理は甘んじて受け入れよう。

 

 

アキラ:「ああ、コラボは受けるよ。

     ただし…

     別に何か要求はしない。」

 

 

告げられたのは、意外な言葉だった。

 

 

ハジメ:「なんで?

     お前らにメリットなんてないはずだろ?

     そりゃ、ただで受けてくれるのは何よりなんだけど…」

 

乃依:「そうそう、本人もこういってんだから、

    雑用でも押しつけときゃいいじゃん。」

 

 

アキラ:「いや、実を言うと

     元々、こっちからコラボを持ちかけようとしてたんだよ。

     だから、ハジメの頼みを聞いてるわけじゃない。」

 

 

それを聞いて、俺は余計に混乱した。

 

 

ハジメ:「それまた、なんで。

     お前、自分でメリットがないって…」

 

アキラ:「…まあ、お前と一緒で、

     こっちにも色々事情があんのよ…

     全くお兄ちゃんってのは、大変だよ、ホント。」

 

そういっていつかのように、

かぐやと狐の着ぐるみが映った写真を眺める。

 

 

アキラ:「そういうわけだ。

     コラボは、俺の方からかぐやちゃんに連絡する。

     それでいいだろ?」

 

ハジメ:「ああ、問題ない。

     本当、恩に着るよ。」

 

乃依:「ちぇ~。つまんね。」

 

雷:「リーダーの言うことは絶対だ。」

 

 

奧からでてきたもう一人のメンバー、

雷が、不貞腐れている乃依を宥める。

 

何はともあれ、俺の切り札

“帝とかぐやの世紀の竹取KASSEN”を、

無事取り付けることが出来た。

その内容次第では、

十分にかぐやのヤチヨカップ優勝も狙える。

なんとか首の皮一枚繫がった感覚だった。

 

 

アキラ:「あ、待て。

     願い事、そうだな…」

 

 

そう言って朝日が、考え込む素振りを見せる。

それを見て、ノイが踵を返して戻ってきた。

 

ぐぬぬ、

上手くまとまりかけていたと思ったが、

やはりそう簡単な話はないか。

だが、一度出した条件だ。

甘んじて受け入れるのが筋。

 

チラリと俺の方をみる朝日。

俺は、ゴクリと生唾を飲み込む。

が、次の瞬間朝日は笑い出した。

 

 

ハジメ:「な、なんだよ。」

 

アキラ:「いや、願い事、

     言ってもいいなと思ったんだが、

     やっぱやめた。」

 

ハジメ:「なんでだよ。

     男に二言はない。

     俺はやるぞ?」

 

 

そう言って息巻く俺。

 

 

アキラ:「いや、お願いなんてしなくても、

     きっとそうなる気がするからさ。」

 

 

全く要領を得ない。

一体どんな要求なのだろうか。

 

 

アキラ:「まあ、当日を楽しみにしとくよ。

     お前も来るんだろ?」

 

ハジメ:「まあ、そのつもりだけど…」

 

アキラ:「そっか、じゃあまた当日な?」

 

 

そう言って去っていった。

一体何だったのだろうか?

 

真意は分からんが、

とにかく目的は果たした。

後はただ、その時を待つのみだ。

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

そして、遂に決戦の日がやってきた。

予想通り、その話題性は十分で、

ツクヨミの中でもとりわけ大きな会場が、

この日のために用意されていた。

にも関わらず、

すでに観客で埋め尽くされそうになっている賑わいぶり。

なんとか、席を見つけて座る。

 

ここまでの反響を呼んだのは、

やはり朝日の文言が大きかったようだ。

この勝負、勝ったら彼はかぐやと結婚するらしい。

 

んなアホな、

と言ってしまいそうになる話だが、

これが意外にも効果てきめんで、

SNSで大々的に取り上げられていた。

 

若干炎上商法味がないわけではないが、

流石はトップストリーマー。

そういうバズへの嗅覚みたいなものは、

流石というほかない。

 

俺は、ステージに目を移す。

大きな電子スクリーンに、

今日の対戦カードが表示されていた。

 

“Black onyX”のほうは、言わずもがな、

帝、乃依、雷のフルメンバー。

対してかぐやの方だが、

こちらは、かぐや、いろP、そしてマミ、

というメンバーになったようだ。

 

マミ、たしかかぐやといろはの友達の子だったか、

一度かぐやの口から聞いたことがあった気がする。

が、俺の記憶では、

KASSENの上位プレイヤーではなかったはずだ。

 

 

ハジメ:「…大丈夫か…?」

 

 

思わず口から漏れてしまった。

この試合はあくまでエキシビションマッチ。

その勝敗の価値は、

普通の試合に比べて極めて低いが、

それでも試合がワンサイドゲームのような

展開になってしまえば、

それだけで観客の熱はさめてしまう。

 

やはり、それなりに両者、拮抗した実力は欲しいところだったのだが…

 

そんなことを考えていると、

ステージ内で、

何か問題が発生したようだ。

見ると、件の人物、マミが気絶していた。

どうやら、朝日が悩殺したらしい。

…罪な男だ。

 

しかし、こうなると誰が出場するのだろうか。

たしか、彼女らにはもう一人友人がいたはず…

その子が出ることができれば、

一応は問題なさそうだが…

 

そんなことを考えていると、

ステージに玉手箱のような黒い箱が落ちてきた。

 

 

そうか、そこまでするのか…

 

 

中からは、

見知った人物が登場した。

 

 

ヤチヨ:「じゃじゃ~ん! よんだ?」

 

 

そう言ってヤチヨが姿を現す。

なるほど、これならば安心できる。

ヤチヨのKASSENの実力は折り紙付きだ。

あの帝アキラとも十分に張り合える実力を持っている。

 

 

アキラ:「え~? ヤチヨちゃんが入るの?」

 

ヤチヨ:「ウフフフ

     この前は帝様側に付いてましてよ?」

 

 

そんなやり取りをしていた。

これでメンバーは決まった。

そう思っていたのに…

 

ズキ…

 

一瞬の頭痛。

俺は、慌てて頭を抑える。

幸いなことにすぐに収まった。

一体何だったのだろう。

 

気を取り直して、ステージに目をやる。

すると、次の瞬間信じられない展開が起きた。

 

 

アキラ:「いや、ヤチヨちゃんでもいいんだけど...

     …もっと適任なやつが、いるんじゃない?」

 

ヤチヨ:「…ああ♪」

 

 

そういって悪戯っぽく笑うヤチヨがこっちを向く。

俺は、自分でも見たことないぐらい

顔が顰められているのを自覚していた。

 

 

ハジメ:「…嘘だろ?

     まさか、アキラの要求って…これ?」

 

 

俺は、背中にびっしょり汗をかいているのを感じた。

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

 

オタ公:「突如現れた謎の人物!

     乙事照さん、何か知っていますか?」

 

乙事照:「いやぁ、これまた懐かしい人が出てきましたね。

     彼、昔は有名なKASSENの上位プレイヤーだったんですよ。

     一時期は“black onyx”に入る、

     なんて話もあったくらいに。」

 

オタ公:「そんなにですか?」

 

乙事照:「でもまあ、今回の主役は、

     あくまでかぐや&いろP vs Black onyXですからね!

     彼は…まあ、黒子みたいなものと考えていいでしょう。

     本人も目立つの嫌いみたいですしね。」

 

オタ公:「了解しました!

     お!そうしている内に、準備が整ったようですよ!?

 

     まもなく!試合開始です!!!」

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

ハジメ:「はあ……、なんでこんなこと…」

 

 

ステージにしゃがみ込んで、

ため息をついていた。

 

どう考えても場違いだ。

今をときめく人気配信者たちの中に、

紛れるパンピー。

今すぐにでも逃げ出したい気分だった。

 

ちらっと聞こえた実況席の声で、

解説の乙事照琴が、

俺について、

なんとなくフォローを入れてくれていたのが分かった。

ありがとうテルさん。

それだけが救いだ。

 

俺は、天に祈っていた。

 

 

いろは:「なんでこんなことには、こっちの台詞だよ…

     …わたしだって、ヤチヨの方が良かった。」

 

 

うなだれる俺に、

容赦なくそんな言葉を投げかけるいろは。

 

 

ハジメ:「お前…よくもまあ、本人を前にして、

     そんなことが言えるな。

     人の心とかないんか?」

 

ヤチヨ:「ごめんね~、

     ヤッチョ、ちょっと強すぎるみたいで~」

 

 

そういってヨヨヨ〜っと涙を流すヤチヨ。

その様子に、いろはは柄にもなくタジタジになっていた。

いいぞ、もっとやれ。

 

実況席の様子から察するに、

もうしばらくで試合開始のようだ。

 

 

ハジメ:「はぁ、いい加減、腹をくくるか…」

 

 

俺はゆっくりと立ち上がる。

その様子を見て、

かぐやが声を掛けてきた。

 

 

かぐや:「おお~…

     ようやくやるきになった~?」

 

 

そういってにやりと笑いかけてくるかぐや。

 

 

ハジメ:「勿論、相手はプロゲーマー集団だが、

     やるからには、

     負けるつもり…

     ないんだろうな?」

 

かぐや:「と~ぜんっしょ?」

 

 

そういって俺とかぐやは、

拳を突き合わせ、

相手陣地の方角目がけてガンを飛ばす。

 

その様子を呆れながら見上げるいろは。

ため息をこぼしながら、

立ち上がり、

俺たちに向かってこう告げる。

 

 

いろは:「それじゃあ、勝つよ…!」

 

ハジメ&かぐや&ヤチヨ:「おう!!」

 

 

KASSENの火蓋が切って落とされた…!

 

 

 




以下、補足

まずはすみません。


過ぎた自己主張。
KASSENに…出ちゃった。

これまでの話は、一応原作の描写はそのままに
あくまで裏で何かやってるみたいな感じにしてたんですけど
今回で崩れますた。

まあ、結局エンディングは変わるんでいいっしょ。
許せ。


まあ、どうしても主人公を出場させたかった理由は、
戦闘シーンがうまく書けたという自信があるからなわけで
既に出来上がっています。

ひとところに繰り出します。
どうぞよろしく。
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