超かぐや姫!0 ~before full moon~ 作:ごーまん
よろしくお願いいたします。
ハジメ’s View
いろは:「てか、実力差ありすぎだよ。
ムリムリ」
二試合目までのインターバル。
そんなことを口にするいろは。
先の惨敗。
そう思ってしまうのも無理はないが、
些か弱気が過ぎるように思えた。
ハジメ:「そんなことは、
ハナから分かってたことだ。
その上で、
俺たちにも勝機はある…
と思ってる。」
なんとか鼓舞しようと言葉をひねり出してみるも、
語気が弱くなってしまう。
未だにいろはの表情は暗いまま。
かくいう俺も、
正直焦っていた。
俺の想定では、
この一試合目は取れると踏んでいた。
が、結果はこの有様。
どうしても、敗北の二文字が頭から離れなかった。
ヤチヨ:「まだまだ、勝負はこれからだよ!!」
そう言って励ます、
コーチ・ヤチヨの声も虚しく
いろは&かぐや陣営には、
重苦しい空気が立ちこめていた。
ただ一人をのぞいては…
かぐや:「ねえ、帝ってさ――」
そう言って語り始めるかぐや。
それは、続く二回戦で、
相手を出し抜くための奇策だった。
その内容はあまりにも型破りなものではあったが、
不思議と聞いている内に、
俺の心が明るくなっているのを感じた。
かぐや:「ね!?
いけるっしょ~!!」
ハジメ:「確かに、やってみる価値はあるな。
いや、正直見直した。
流石、意外性No.1ライバー。」
えへへ、と頭に手をやるかぐや。
これならば、二戦目も
十分勝利を狙える。
俺達の陣営にも、光が差したと思ったが、
いろはの表情には陰が見える。
何か言葉をかけてやろうとしたが…
ハジメ:「………チッ。」
そう言ってばつが悪そうに、
頭をかく。
こんな時、どんな風に声をかけていいのやら。
対人経験の少なさが徒になった。
しかし、そんな俺の横を、
スッと通り過ぎて
いろはに駆け寄るかぐや。
かぐや:「い~ろは」
いろは:「うえ!?
何、急に!?」
かぐや:「一緒にがんばろ?」
いろは:「…うん。」
そういって頷くいろは。
その顔には、まだ少し陰りが見えるものの、
随分よくなったように見えた。
ハジメ:(余計な心配だったな…)
俺は内心そう考えた。
思い出してみれば、
最初からいろはのことはかぐやに任せていた。
俺は、俺の果たすべき役割に集中しよう。
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アキラ’s View
ほら貝の音とともに二回戦が始まる。
俺たちは、一回戦目と同様
トライデントの配置を取っていた。
だが、実はこの配置を継続するかについては少し悩んでいた。
何しろこの試合は、エキシビションマッチ。
一戦目と同じように、二回戦でも
かぐやいろP陣営を、俺たち黒鬼が完封してしまっては、
盛り上がりに欠けるどころか
会場が冷えてしまう可能性もあった。
”夢”を見せることを第一に考える俺にとって
それは最も懸念すべきことであったのだ。
だが最終的には、トライデントの継続を決めた。
それは、俺が信用していたからだ。
アキラ:(こんなんで終わるタマじゃねぇよな?)
そう考えながらTOPの櫓に直進していると、
空に大きな鳥の影が見えた。
アキラ:「お?」
ギンと再び鈍い金属音。
鳥から降りて攻撃してきたいろはの一撃を受け止める。
すぐさま異変に気づいて、彼女に問いかけた。
アキラ:「かぐや姫は?」
いろは:「月に帰ったよ。」
アキラ:「はっ 冗談!」
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乃依’s View
BOTの様子は、一回戦と変わらない。
一試合目、TOPは1v2でも勝っていた。
俺たち側から戦術を変える必要はない。
時間を使ってじっくり潰す。
そう考えていた瞬間だった。
雷:「乃依、BOTにガンク。5秒後だ。」
そんな連絡が入ってきた。
ガンク…誰が?
相手配置は一回戦と変わらなかったはず────────────
そういって目線を一瞬マップに移した瞬間だった。
ハジメ:「余所見。」
俺の体に糸が巻き付く。
振り返って見ると、そこにはハジメの姿があった。
一戦目とは配置を変えており、
彼はずっとBOTにいて、
この瞬間まで隠密スキルで身を隠していたのだ。
そのまま思い切り空中に投げ出された。
うおお~~~~!
遠くからそんな声が近づいてくるのが聞こえた。
…成程、完全にしてやられたみたいだ。
乃依:「…ぴえ~ん」
そう言って空中で
回転するかぐやのハンマーと激突する。
そのまま地面に叩きつけられた。
当然無事であるはずもなく、
俺はそのままダウンした。
体が消えていく中、櫓に向かって狙いを定めるハジメが見えた。
ハジメ:「反撃開始だな。」
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ハジメ’s View
かぐやの奇策がうまく決まった俺たちは、
乃依を落とした後に、
BOTの櫓を占拠する。
が、全てがうまくいったわけではない。
ゴ~~~~ン
TOPのほうから鐘の音が聞こえる。
と同時にいろはのダウン通知。
すぐにいろはから連絡が入った。
いろは:「ごめん、とめれんかった…」
ハジメ:「気にすんな、
1v1でアイツに勝てるやつは
今のツクヨミのどこにもいない。
…お前は切り替えて三回戦のことでも考えてろ。」
そういって、かぐやとともに敵天守へ急ぐ。
マップを見ると、
幸いMIDにいる雷よりも
俺たちのほうが天守到達が早く見える。
となれば、当然ヤツの取る行動は…
ズドン!!!
そんな音とともにすさまじい衝撃が地面に走る。
大きく空いたクレータの中心に、
件の男が立っている。
こちらを見つめる彼の眼と目線があった。
が、それを全く意に介すことはなかった。
ハジメ:「ま、想定済みだわな…
かぐや、いくぞ?」
かぐや:「ほいさ!」
そのまま、糸でぐるぐる巻きにしたかぐやを
相手の天守めがけて放り投げる。
と同時に俺はアキラに詰め寄った。
ハジメ:「これぞ名付けて”四天王ピーク作戦”。
相手を倒すことが全てじゃないってわけ。」
アキラ:「ちっ、小賢しい…」
そういって苦笑するアキラ。
まもなく背後の城が爆ぜる。
勝負の行方は三戦目に持ち越された。
以下補足、はない。
後半もぉ、終わる。