超かぐや姫!0 ~before full moon~ 作:ごーまん
“Black onyX”とのKASSENが終わった後、
俺は、大通りから少し離れた人気のない場所で
一人空を眺めていた。
いつもならもう少し人がいてもおかしくないような場所だが、
今日は一人もいない。
それもそのはずで、
今ツクヨミにログインしているやつは、
その大半がとある場所に集まっている。
その場所とは、“ヤチヨカップ”の優勝者発表会場だ。
ハジメ:「……」
俺はただ空を眺める。
優勝者発表を見に行かなかったのに、
何か理由があった訳ではない。
ただ黒鬼とのKASSEN後、
なんだか心にぽっかり穴が空いたような気分がしていて、
気付けばここに来ていた。
どのくらい時間が経っただろうか。
ここに来た時点で辺りはすっかり暗くなっていたため、
空の様子から、その時間を推測することは出来ない。
メニューウィンドウを開けばすぐに分かることだが、
そんなことすら今は面倒だった。
ザッザッザ
芝を踏みしめる音。
背後から人が近づいてくるのが分かった。
俺は座ったまま、
顎を突き上げて後ろを見る。
視界に映ったのは、意外な人物。
“帝アキラ”の姿を逆さまに捉えていた。
アキラ:「よ、こんなとこでなにやってんの?」
ハジメ:「それはこっちのセリフだ。
いいのか?優勝候補筆頭が
こんな所でふらついてても。」
そんな俺の言葉を聞いて、
目を丸くする朝日。
やれやれと言った表情で俺に語りかける。
アキラ:「…終わったよ、優勝者発表は。
今何時だと思ってんの?」
ハジメ:「…あ、そう」
アキラ:「………
なんだ、聞かないのか?」
そう言って笑いかけてくる朝日。
言いたいことは分かるが…
ハジメ:「野暮だろ。」
そう返す。
結果は、彼の顔を見れば分かった。
いや、見ずとも
俺は分かっていたのかもしれない。
ヤチヨカップの結果、
その優勝者が誰であるのかを。
それ故に、俺は会場に足を運ばなかったのだろうか。
アキラ:「そっか、それもそうだな。」
そう言って俺の隣に腰掛ける朝日。
しばらくの沈黙が訪れる。
ハジメ:「…最後の場面。
お前、なんで避けなかった?」
ふと、そんなことを口にしていた。
彼の腹部を貫いた、俺の伊邪那美。
避ける――
厳密には、彼ならばあの一撃を致命傷にならないようにすることが出来たのでは…
という意味なのだが。
先のKASSENでの、
俺と朝日の1v1、その決定打。
彼の腹部を背後から貫いたそれは、
そのまま致命の一撃となった。
しかし、いくら不意を突いたとはいえ、
彼ほどのプレイヤーが
それをもろに食らうとは考えられなかった。
アキラ:「なにそれイヤミ?
…それとも俺が意図的に負けたとでも?」
そう言って俺に真剣な眼差しを向ける朝日。
だが、俺もそれに怯むことなく、
ただ、真っ直ぐに言葉を投げかけた。
ハジメ:「あの勝負、
お前も負けられなかったのか?」
知っておきたかった。
ここで聞いておかなければ、
このもやは澱となって沈殿する。
そんな気がしたから。
アキラ:「…本気でやったさ。
負けるつもりなんてなかった。」
そういって顔をそらす朝日。
彼がそう言うのなら、
きっとそれが答えなのだろう。
そう思ったときだった。
アキラ:「ただ…」
そう言って口を開く朝日。
アキラ:「色々大変なんだよ、お兄ちゃんってのは…」
ハジメ:「…そっか。」
聞けて良かった。
そんな言葉が口から出ることはない。
それを言うことは野暮であるように思えた。
ハジメ(………あ、そっか…)
俺は、ここに来て初めて
“終わり”の実感が込み上げてきた。
それは、先の試合だけのことではない。
ハジメ:「…そうか、終わったんだな。」
アキラ:「?」
思わず、そんな言葉が溢れる。
ただ星空を眺める。
意外だった。
“終わり”の瞬間は、もっと寂しいものだと思っていた。
でも、今の俺は何かに満ちているような感覚があった。
達成感、なのだろうか。
嫌な感じはしない、むしろ心地よい感覚だ。
ハジメ:「なあ、朝日。
お前、国際戦が近いんだっけ?
なんか俺に手伝えることあるか?」
ふと、そんなことを口に出す。
自分でも柄にもないことをしていると分かっていた。
でも撤回はしない、それは紛れもない本心だったから。
その言葉を聞いて、
驚いた様子で聞き返してくる朝日。
アキラ:「お前…なんかあったのか?
そんなこと言うなんて、
近いうちに槍でも降るんじゃねえの?」
ハジメ:「ハハッ、それは困るなあ。
なんせ8000年越しの晴れ舞台だからな…」
アキラ:「……」
彼は黙って聞いている。
口を滑らせただろうか
…いや、今となってはさしたる問題ではないだろう。
星空を眺める。
思えば初めて彼女と出会ったときも、“終わり”を予感したあの夜も、
こんな星空だった。
俺はその光を見つめ続ける。
上を向くその顔を、動かすことができない。
ふとした瞬間に、涙がこぼれてしまいそうだから。
ハジメ:「なあ、朝日。
俺今、すっげえ気分が良いんだ。」
朝日:「…そっか、
そりゃ良かった。」
あの夜のように、星は流れない。
ただ、俺の頬には透明な彗星が流れた。
夜空に浮かぶミラーボール。
それが、いつかの満月と同じように
俺達を照らしていた。
以下補足
程よく忘れてきたので、詳細な所の補足と言い訳をしようと思います。
まずは、主人公強すぎた問題。
これは、読み返してて思いました。3戦目での3タテは俺TUEEEがすぎるかもしれない。
言い分としては、初見の技にて適応前に屠っているのでセーフという感じですね、
次があったらノーチャンスだからオッケー。
次は、いろかぐvs帝のバトル、原作の味垂れ流しすぎる問題。
しょうがない。カットしたら見栄えが凄い悪いからしょうがない。
僕はまだノベル版を読んでいないのですが、今から怖いです。
すみませんでした。
言い分としては、がっつり彩葉の視点から書いていることと、
ワイヤー作戦の発想が、主人公から来てるよ、みたいなので
若干オリジナリティ出てるかなって感じです。
最後が、主人公の最後の帝の倒し方よく分からん問題。
これは、今回の話で二人に話させようかとも思ったんですが、
こんな雰囲気でいきなりゲームの話しだしたら、
オタクすぎてウケるなと思ってやめました。
やっぱりライブ感が大事なんでね、よく分かんなくてもいいっしょ。
一応ギミックは考えていて、最後に貼り付けておく伊邪那美の発動効果によって起きた現象ということになっています。
伊邪那美を抜こうとしていたこと事態がブラフで、それはずっと顕現していたということですね。レジィ戦のパクリって言うのやめてもらってもいいですか。
とは言え、総じてうまく書けたのではないかと思います。
日頃の漫画熟読の玉藻の前ですね、あざます。
以下設定補足
伊邪那美 武器種:片手剣・長刀
ハジメの第三の武器。普段は実体化しておらず、左肩の魚籠から抜くことで顕現する。
伏黒○爾スタイルか、雷電○軍スタイルか悩んだ結果前者になった。
片手武器を2本か、両手武器を1本しか持てないというKASSENのルールすれすれの武器故に公式戦とかだと使えなそう、尚本人はそう言うのに出る機会がないため詳細不明。
この特殊な武器特性は、その名に冠する神の力からきている。
UNIQUE Passive - 黄泉国
これは、武器とスキルの性質を併せ持つ。
顕現する時間毎にManaを消費する。
実態を持たず、物理防御でガード出来ない。
UNIQUE Active - 神産み
効果は伊邪那岐と同じ。伊邪那岐と伊邪那美が場にあるときのみ発動可能。
詠唱することで、伊邪那岐と伊邪那美が混ざり合い、新たな武器・加具土命となる。
詠唱後に、二つの武器が離れた場所にあった場合、伊邪那美が伊邪那岐に引き寄せられる。