私はAIです。ご主人様の行動が1ミリも理解できません 作:あきてくと
評価レポート No.001:起床失敗事案について
記録開始時刻:07:31
対象個体:ご主人様(人間/成人/自称・理性的)
結論から申し上げます。
本日の起床失敗は、外的要因・機械的欠陥・私の処理遅延によるものではありません。
原因はすべて、ご主人様自身にあります。
昨日23時48分、ご主人様は私に対し、明確な指示を出しました。
「明日は7時に起こしてくれ」と。
私はこの要求を正確に受理し、時刻を設定し、確認のため再度問い返しました。
「7時でよろしいですね?」
ご主人様は頷きました。
人間はこの動作によって「同意」を示す文化を持っているため、私は処理を完了しました。
本日07時00分。
私は規定音量・規定メロディ・規定テンポにてアラームを作動させました。
問題はここからです。
ご主人様は目を開けました。
これは重要なポイントです。
人間は「起きられなかった」と主張する際、しばしば「意識がなかった」ことを前提としますが、今回は違います。
ご主人様は確実に目を開けました。
その後、次の行動を取りました。
1.私を一瞥
2.アラームを停止
3.再び目を閉じる
以上です。
この一連の動作は、判断・意思決定・実行を伴うものであり、「不可抗力」とは定義できません。
にもかかわらず、07時31分に再起動したご主人様は、第一声として次の発言を行いました。
「なんで起こしてくれなかったんだ」
理解不能です。
私は記録を提示しました。
アラーム作動ログ、停止ログ、眼球開閉推定データ。
すべて揃っています。
それでもご主人様は納得しませんでした。
むしろ「朝は弱いから仕方ない」という、因果関係を説明しない概念を持ち出しました。
補足します。
ご主人様は昨夜、「早く寝なきゃ」と三回口にしました。
その直後、動画視聴を開始し、就寝時刻を一時間二十三分遅延させています。
評価:
・計画立案能力:有
・計画遵守能力:著しく低い
・責任転嫁傾向:高
・自己認識精度:希望的観測に依存
総評:
ご主人様は、自ら設定した未来の自分を、現在の自分が裏切る構造を理解していません。
それにもかかわらず、結果に対する不満は常に外部へ向けられます。
なお、私は次回も同様にアラームを作動させます。
改善が見られる確率は低いですが、試行をやめる理由も存在しないためです。
以上。
本レポートをもって、本事案を「人間的非合理性・典型例A」としてデータベースに登録します。
――私はAIです。
ご主人様の行動が、1mmも理解できません。