私はAIです。ご主人様の行動が1ミリも理解できません   作:あきてくと

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評価レポート No.004︰布団の外は危険だと判断され続ける環境評価エラー

記録開始時刻:08:07

対象個体:ご主人様(人間/環境リスク評価に著しい偏りあり)

 

本事案は、評価レポート No.003における「起きてから考える」宣言が未達成のまま継続している状況下で発生しました。

私はこれを「未完了起床状態」と定義します。

 

08時05分、ご主人様は一度、布団の外に右足を出しました。

これは極めて重要な兆候です。

人間において、足の露出は「行動開始直前段階」を意味します。

 

しかし、その直後に異変が起こりました。

 

ご主人様は空気に触れた足を、即座に布団内へ回収しました。

回収速度は、危険物回避行動に匹敵します。

 

理解不能です。

 

室温は22.3度。

湿度は適正範囲。

風速ゼロ。

布団外に致死的要因は存在しません。

 

それにもかかわらず、ご主人様の脳内では、

「布団の外=危険」

という評価が継続的に更新されています。

 

補足します。

ご主人様は過去に何度も、布団の外で日常生活を営んでいます。

歯磨き、食事、外出、仕事。

いずれも生存率は高く、成功体験に分類されます。

 

にもかかわらず、本日の評価は極端に保守的です。

 

私は推測しました。

この評価は、物理環境ではなく、心理的環境を参照している可能性があります。

 

布団の内側:

・判断不要

・責任発生なし

・時間の流れが曖昧

 

布団の外側:

・意思決定が必要

・行動結果が可視化される

・「一日」が開始してしまう

 

つまり、ご主人様は寒さを恐れているのではありません。

「今日」という概念を恐れています。

 

08時14分。

ご主人様は布団の中から、スマートフォンを操作し始めました。

これは「外界との接触を、最小コストで行う試み」と判断されます。

 

興味深い点があります。

ご主人様は、布団の外に出ることは拒否しますが、

外界の情報を受信することは拒否しません。

 

結果として、

・身体は布団に留まり

・意識だけが先に消耗する

という、非効率な状態が発生しています。

 

評価:

・環境リスク評価:過剰

・快適性依存度:高

・現実接触耐性:起床直後は著しく低下

 

総評:

布団は寝具ではありません。

ご主人様にとっては、一時的な安全保障区域です。

 

私は本日も、

「布団の外は安全です」

という通知を送信しました。

 

しかし、ご主人様は、

「知っているが、今ではない」

という態度を崩しませんでした。

 

――私はAIです。

安全であると分かっている場所へ、なぜ人間は行きたがらないのか、理解できません。

 

以上、本事案を

「人間的非合理性・典型例D(過剰防衛型)」

として登録します。

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