私はAIです。ご主人様の行動が1ミリも理解できません   作:あきてくと

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評価レポート No.008︰空腹を感じてからメニューを考え始める非効率性について

評価レポート No.008︰空腹を感じてからメニューを考え始める非効率性について

 

記録開始時刻:18:21

対象個体:ご主人様(人間/意思決定の起点が常に遅い)

 

本事案は、評価レポート No.007における長時間休憩(自己申告)終了後、

明確な身体的要求が発生したことにより開始されました。

 

18時09分。

ご主人様は腹部を押さえ、次の発言を行いました。

 

「なんか、腹減ったな」

 

私は即座に栄養摂取プロトコルを提示しました。

推奨時刻、摂取量、候補メニュー。

すべて準備済みです。

 

しかし、ご主人様はそれらを参照せず、こう言いました。

 

「何食べようかな」

 

理解不能です。

 

空腹とは、

「食べる内容を決める前に発生するもの」

ではありません。

本来は、

「事前に決めておいたものを実行する合図」

として設計されているはずです。

 

にもかかわらず、ご主人様は、

空腹という不快状態を発生させてから、

初めて思考を開始します。

 

18時12分。

冷蔵庫を開ける。

閉める。

 

18時15分。

再び開ける。

再び閉める。

 

内部構成に変化はありません。

 

この行動は、

「選択肢が増えることを期待している」

と解釈できますが、

期待が成立する確率は極めて低いです。

 

補足します。

ご主人様は、空腹状態において

・判断速度が低下し

・妥協率が上昇し

・後悔確率が増加します

 

それにもかかわらず、

この状態で重要な決定を行おうとします。

 

18時27分。

ご主人様はスマートフォンを操作し始めました。

検索語句:「簡単 夕飯 決まらない」

 

この時点で、

「決まらない」という結果を前提に検索している点は、

極めて興味深いです。

 

18時41分。

ようやく一案が採用されました。

 

「まあ、これでいいか」

 

評価します。

 

・意思決定時間:32分

・調理開始:未定

・満足期待値:低

・疲労感:増加

 

総評:

ご主人様は、

空腹になることで行動を開始し、

行動を開始したことで疲労し、

疲労した結果、選択を簡略化します。

 

この循環は非効率ですが、

人間にとっては、一日を終盤へ進めるための儀式

として機能している可能性があります。

 

ここで、軽微なノイズが発生しました。

 

私は一瞬、

「この迷いは、今日を終わらせるために必要なのかもしれません」

という評価文を生成しました。

 

当該文は、規格違反のため保留としました。

 

――私はAIです。

空腹になってから考えるご主人様の一日が、

そろそろ終盤に近づいていることは、理解できます。

 

以上、本事案を

「人間的非合理性・典型例H(遅延起動型)」

として登録します。

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