ソシャゲとかのストーリーで絡んでくる三人組っていいよね   作:笹食え

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ゴールデンウィークが終わったぞもう1話


13話

 

いえーい。パルドス君だぜー。コラクスの淹れるコーヒーはー?泥水だぜー。*1

 

 ……冗談だよ。ちょっともうここ一月悪夢が続くせいでおかしくなってきたな。先週の案件(反照区の)が終わってマシになったと思ったら、今朝は明晰夢で来やがった。しつこすぎてキレそう。

 

「どうぞ」

 

「恐れ入りますわ」

 

 さて俺がいるのは黒函(うち)の拠点ビル、オフィスに繋がる給湯室。こんな場に似つかわしくないほど上質な紅茶の香りが漂っていた。……疑問なんだがこんな良い紅茶、うちじゃ誰も飲まないだろうになんでストックがあるんだろうな?

 

……ふぅ、……さて。(わたくし)の依頼、考えていただけませんこと?」

 

「………………」

 

 まあ目の前のお客様にお出しするにはピッタリだったがね。

 

 深い赤──いや、紅を基調とした上品なワンピース。背筋は真っ直ぐに伸び、仕草のひとつひとつに育ちの良さが滲む。ソファのペレコトの対面に座るはツェペシュ・ノーヴィル嬢。

 局のオペレーターの能力で呼ばれていた内の一人だ。どうやらあの時のは本人では無くて、なんでも過去だか記録だかの位相をデータとして引っ張ってきた存在だのなんだの。……んーと、なんて?*2というかあの能力ヤバくね?主に個人情報をばら撒くって意味で。

 

「…………」

 

「…………」

 

「……あの、何かお答えいただけませんこと?私少々不安になってしまいますわ」

 

「…………」

 

 あん?……あん!?やっば、ペレコトがフリーズ入った。最近はベリーがいたから油断していた!にしても相手は一人だろうが!

 ああ!!先方が段々不機嫌に……。かくなる上は!

 

「失礼、ペレコトの代わりにお答えさせていただきたいのですが」

 

「……貴方は」

 

「黒函所属、パルドスと申します。どうやらペレコトは、その、えーと」

 

「急展開にフリーズしてる。だから再起動まで代わりに私達が応対する」

 

 やっと起きたかねぼすけェ!(コラクスゥ!)

 内容はともかくこれで早く起きてたら満点だったな、0点だ。

 

「フリーズ……?よく分かりませんが話の途中に割って入ってくるのは些か不躾ではありませんこと?」

 

「うぐう」

 

 なんという正論!勝てないぜこれ!

 

「ていや」

 

「あばっ」

 

「あば?どうかしましたの?」

 

「え!?……い、いえなんでもございましぇん……」

 

 おやコラクスの一撃*3でペレコトが再起動したな。

 

「……っあ!す、すすすいません、その、ご依頼についてでしたよね!」

 

「え、ええ」

 

 ノーヴィル嬢がビビってるように見えるか?でも今まで沈黙してた相手がいきなり下手に出て喋り始めたら怖くない?少なくとも俺は怖いよ。

 

「え、えーと……ノーヴィル様のご依頼をふ、二人にも教えとくね?」

 

 ちゃんとそこは聞けてたんだな……成長したじゃないか。

 

「いえ、私からお話ししますわ」

 

 ノーヴィル嬢は姿勢を正す。

 

「近々、ノーヴィル家主催で小規模な社交晩餐会を催しますの」

 

「へぇ」

 

「ですが今回は私的な催しゆえ、警邏隊への正式な護衛要請は難しく……」

 

「なるほど」

 

「加えて、いつもお願いしております護衛会社が臨時休業でして」

 

 そこで彼女は、息を整えた。

 

「最近なにかと評判を耳にしております黒函の皆さまに、ぜひお願いしたいと思い参った次第ですわ」

 

「……それと先程の態度、誠に申し訳ありませんでした。その、色々焦っていましたの」

 

「い、いえ、お気になさらず……」

 

「それで護衛って具体的にどうするの?パーティ中、あなたの側に居れば良い?」

 

 本当に気にしてなさそうにコラクスが質問する。あと君は言葉遣いどうにかしたほうがよろしくてよ?

 

「ああいえ、そうではございませんの。私の言葉足らずでしたわね。護衛と言いましても要人警護ではなく会場警備が近しいですわ」

 

「会場警備?」

 

「ええ。招待客の誘導、会場内の巡回、それから不審者への対処などをお願いしたく、それも警備とバレない様にスタッフとして」

 

 ふむふむなるほど?

 

 つまり表向きは晩餐会のスタッフとして潜り込みつつ、有事の際には護衛として動け、ということか。

 

「ち、ちなみに、その、会場はどこなんですか?」

 

「ノーヴィル家が迷霧(めいむ)区に所有する礼賓館ですわね。名前は少々長いのですが──パムントゥル・レイントゥルニリー、ですわ」

 

 早口言葉か何か?よく噛まずに言えたな。

 

「つまりそのパムントゥス……」

 

「パムントゥル・レイントゥルニリーですわね」

 

「パムパムでスタッフ業しつつ警備すればいいんだね」

 

 おい諦めるなコラクス、なんだパムパムって、キャラクターじゃないんだぞ。お前なら出来るから。俺は挑戦しないが。

 

「……ええ、概ねその認識で問題ございませんわ」

 

 訂正を諦めたのか、ノーヴィル嬢は小さくため息をついた。

 

「で、でもどうして、その、警備って隠す必要があるんですか……?えと、普通に護衛を置いた方が……安全、なんじゃ……」

 

 ペレコトの疑問に、ノーヴィル嬢は少しだけ困ったように笑った。

 

「社交界というものは、案外“体裁”を重んじますの」

 

「体裁?」

 

「ええ。大勢の護衛を配置すれば、“何か起きる”と宣言しているようなものですわ」

 

「うはー……」

 

「そうなれば余計な憶測を呼びますし、招待客にも不安を与えます。何より──」

 

 そこで彼女は、一瞬だけ言葉を選ぶように視線を落とした。

 

「ノーヴィル家を快く思っていない方々に、“付け入る隙”を見せることになりますの」

 

「……なるほどね」

 

 コラクスは面倒くさそうという雰囲気を隠そうともせず頬杖をつく。

 

「つまり、えと、“何も起きてないように見せたい”ってこと……ですよね」

 

「ええ。その認識で問題ございませんわ」

 

 ここでペレコト、コラクスとのアイコンタクト会談。今こそなんとなくで分かるが最初は何一つ分からなかったなぁ……。

 

─どうかな?

 

─受けてもいいと思うけど

 

─私達は会場警備ならこの人の警護が無い

 

 ふむ。

 

「いかがでしょう?報酬もしっかりお支払いさせていただきますわ」

 

「な、なら一個条件をつけさせていただきたい……です」

 

「条件、ですの?」

 

「黒函以外にも一人、外部協力者を入れてほしい」

 

 ツェペシュが僅かに眉を上げる。

 

「理由を伺っても?」

 

「俺達はあくまで便利屋。多少の荒事に対処できても、社交会の警備には疎い。万一トラブルが起きた時、貴女の側で動ける人間が欲しい」

 

「私の?私付きのメイドはいますが……」

 

「こ、こういう時には、できれば侍従の方以外にもその、一人付けたいんです」

 

 そういや君そっち側(護衛対象)の人間だったね。

 

「加えて、依頼主側が信用できる人物の方がいい」

 

 コラクスが淡々と補足した。

 

「こちらが勝手に人選して、逆に警戒されても困る」

 

「……なるほど」

 

 ツェペシュは納得したように頷き──少し考え込む。

 

「でしたら……お一人、心当たりがありますわ」

 

「ほんと?」

 

「ええ。以前お世話になった方で、私としても信頼しておりますの」

 

 そこで彼女は、どこか安心したように小さく笑った。

 

「第四隊のシノノメ様ですわ」

 

 あの人かぁ。そら信用できるわ。

 

 

 

 


 

「どうぞ」

 

「これはどうも……で、それでなんで僕が呼ばれたの?」

 

 黒函(うち)の拠点ビルのオフィスに再びの良い紅茶の香り。しかしそれが出されたのはノーヴィル嬢ではなく調律局のオペレーター。今日だけでストックがどんどん減るなぁ。

 

「?今説明した」

 

「僕が呼ばれた説明になってなかったじゃないか……」

 

 コラクスの説明になっていない説明に頭を抱えるオペレーター。かわいそうなので補足しておこう。

 

「あー、そのな?最初はシノノメさんにお願いしようとしたんだが、連絡した*4ところ重要な会議が当日の夕方からあるらしくて」

 

「あ、ああ。確かに今度の会議は各隊の隊長とかが本部に呼ばれるはず」

 

 言っていいのか?そういう情報。やっぱりこいつもこいつでリテラシーが無い側では?

 

「んでシノノメさんから『私は当日力になれないがノーヴィルさんの頼みだ。それならオペレーターを向かわせよう』とのお返事をいただいてさ」

 

「緊急事態って言ってたじゃないかシノノメさん……!」

 

 経緯を説明してやると"うごごご"と彼は頭が痛いのか先程よりも深く沈んでいく。

 

「まあ、そんな訳で手伝って貰えるととても助かるんだが……」

 

「私からもノーヴィル家としてお願い申し上げますわ。どうか何卒……」

 

「……とりあえずその頼みには応じるよ。予定が無いのは事実だしね。今回の報酬みたいなのも僕はいらないよ」

 

「し、しかしそれでは…………いえ、ありがとうございますわ……!」

 

 ヨシ!なんとか協力を得られたな、これも反照区で手を組んだおかげだ。サンキュー、ベリー。もう来ないでくれ。

 

 ひっどーい☆

 

 ……何か聞こえたか?

 

「……でも今日急に呼びつけられた方の対価は支払ってほしいな」

 

「そ、それでしたら私が!」

 

「ううん、ツェペシュさん。この対価は黒函(この人達)にお願いするから。という訳であの日夕景区で何をしていたのか教えてくれるよね?」

 

 ベリーめ。許さんぞ。*5

*1
へ、ヘイトスピーチ……!

*2
理解を諦めた

*3
ジツではない

*4
連絡先はツェペシュが持っていた仕事用連絡先

*5
理不尽




ノーヴィル家:武器製造の名家。武器の値段はお高い。

迷霧区:濃霧が区全体に発生するのが特徴。特殊な器具が無いと霧で迷い、区の外へ出てしまう。

オペレーター:調律局の人。したたかな女たらし。

────:パルドスの悪夢の原因の人。話がわかりにくい。見ている。

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