ソシャゲとかのストーリーで絡んでくる三人組っていいよね 作:笹食え
依頼が無いのが長く続くと何となく、手持ち無沙汰に感じるパルドスくんだよ。前まではこれくらい普通に依頼が無かったのに不思議だね?
そんなことを考えつつ、誰も居ないオフィスでコーヒーを淹れる。うーん、良い香り。インスタントだけど。
「そういや……夕景区の依頼だっけか?急に依頼が増えたのは」
誰に言うでもなく呟く。確かあれから2週間に1回なら多い方だったのが、ほぼ毎週大小関わらず依頼が来るようになったんだった。
直近で大きいのは夕景区で局と鉢合わせて、
そんな風に考え込むと何かを忘れている気がする。後で考えようとしてそのまま忘れたような……
「何を一人で唸ってるの?」
「うっおびっくりしたぁ!心臓に悪ぅ……」
いつの間にか、コラクスが帰って来ていたみたいだ。全く気づかなかった。余程今の俺が面白かったのか、くつくつと笑ってやがる。何を考えてたかすっ飛んで行ったぞ。
「足音くらいは立ててくれよ」
「普通に帰ってきただけなんだけど」
にしてはにやけ顔が直ってないぞコラクスさん。
「なんかいい武器はあった?」
「炎を纏った釘が打てるネイルガンとか?」
「それ本当にネイルガンか?」
火矢とかじゃなくて?そもそもネイルガンは建築機材だし。
「ちなみに銃じゃないから販売、所持、使用のライセンス要らず。弾丸じゃなくて釘だから弾のライセンスも不要」
「駄目じゃない?流石に法的に駄目じゃないそれ?」
弓矢でさえ多少の所持ライセンス必要なのに……!何のための“ガン”名称なんだよ。
「でも好きでしょ?そういうの」
「すき」*2
ちょっと脳が溶けた反応をしてしまった。でも好きなんだもん、少年心に嘘はつけないよ。
「それはそうとペレコトは?」
「知らん……コラクスもか?」
まあそんな心配する事でも無いか……言っていたら階段をかけ登る足音が。噂をすればなんとやらってね。
「私もあれくらい足音立てるべき?」
「一応限度はあるからな?」
釘を刺しとかないと多分床踏み抜くレベルで足音立てるからなこいつ。憶測だけど絶対やる。
「たっだいんぶぇっ……」*3
あ、こけた。21の女性が出す声か?これが……
「うぅ……」
「顔から行ったね」
「平気かー?」
……親指立ててGood!*4じゃないんよ。
とりあえずコラクスと二人でペレコトを起こす。
「あ、ありがとう〜……」
「何か急いでたの?」
鼻をさするペレコトにコラクスが聞く。
「え? ……あぁ〜、新刊でテンション上がってた、かな?」
「新刊?」
コラクスは知らない……なら、今から始まるのは─
「うん!この"死にへん"のね!」
「ペレコト、水飲め水。その熱量で飛ばしてたら焼き切れるぞ」
「─はっ。あ、ありがとうパルドス……ちょっと落ち着いてくる……」
俺の声で正気に戻ったらしく、ヨロヨロと部屋を出ていくペレコト。声も出ないのかそれを唖然と目で追うコラクス。
「声を捲し立てるので私が負けた……!?」
「そこか?」
「ちなみに面白いの?その恋愛漫画」
「1ページ目の曲がり角でぶつかった不老不死のイケメンを龍への生贄にし始めたシーンで読むの止めた」
「ギャグじゃなくて……?」
「実写映画があるくらいにはファンがいるらしい」
ちなみに我らがペレコトは実写映画も所有済み。てかこないだ上映会してたし。
「気になるけど……」
「あ、全118……新刊出たから119巻あるよ!」
いつの間にか戻ってきたペレコトによる
ライセンス:観測圏では銃と弾丸には種類ごとにライセンスを必要とし、それぞれ売買、所持、使用のライセンス所有がある者で無ければ"観測規則法基本条項"という法文に違反する。
観測規則法基本条項:調律局、警邏隊、調律、特徴、異常などの観測圏内で遵守する必要のある法文。違反した場合、罰金、拘束、懲罰などそれぞれに応じた罰則がある。パルドスが1話や3話で心配していたのはこれ。
死にへん:『死にかけな私と編集担当の毒であの男を潰す』。観測圏内で刊行されている恋愛異能伝奇ヒューマンドラマ漫画。漫画家の“私”と編集担当である男を潰すために奮起する物語。現在119巻の単行本と実写映画が制作されている。