ソシャゲとかのストーリーで絡んでくる三人組っていいよね 作:笹食え
花粉が辛いよもう一話
「で、では反省会を始めます……」
夜中に拠点の雑居ビルに帰り着いて泥のように眠り、翌朝依頼人のおっさんがホクホク顔で金払ってペレコトと話して出ていった後。俺達は反省会という名の打ち上げを開催していた。
一人一人の反省点なんかをソファに座って飯を食いながら振り返る。今回はフライドチキンとポテト。体に悪〜い。されどその背徳感たるや。
「まずは……」
「やっぱりパルドス」
ですよねー。
俺の反省点か〜……まぁ、
「「「話を聞いて無かった」」」
……うぐぅ。嫌な満場一致だ。とはいえ返す言葉もない。話を聞いていなかったのは事実だし、それゆえ行動の選択肢を自分で狭めていた。物品を回収時に調律局員がいたら持っていることを
「自覚がある、なら、今度からは気をつけてね……?」
優しい。天使か? 俺だったら半日はネタにしていじるぞ。*2
「ペレコトは甘い。ペナルティいれるべき」
「は?」
貴様ァ!!! 余計なことを……! 罰ゲームやらせたいだけだろ!というかおっさんの話お前も寝てたやろがい!!
おのれ……許さん、許さんぞ……覚えておけよ……!ニヤついてチキン食いよってからに……!
「ペナルティ? ……うーん、じゃあ……」
……ま、まぁいいでしょう。今回は明らかに俺の失態。多少の減給や数日の昼食の奢り程度なら甘んじて受け入れますとも。
「
「うわエグ」
「どうか再発防止に真摯に取り組んで参りますのでなにとぞご容赦ください」
ここ数年で一番の平謝りである。いやじゃ!あんなもの飲みとうない!
「……で、でも寝るっていうのは……ちょっと、ね」
「それならコラクスも話を聞かず寝ていたので同罪だと思いますなのでせめてこいつも同じペナルティを受けるべきと思いますがいかがでしょうか」
「超必死だ。ウケる。……ん? 私巻き込まれた?」
死なば諸共ォ……! どうせ減刑されぬのなら貴様も道連れよ!!!*3
「……あー、そっか。コラクスも寝てた、もんね……」
「今はパルドスの話!! 私関係ない!!」
超必死だ。ウケる。わざわざよく通る
「それに依頼達成は私のおかげ!! 私壊した!! MVP!!」
あーあーポテトが落ちちゃって……言い方はともかくその通りなんだよなぁ。よく逃げながら見つけ出して壊すという選択がとれたな。俺はどんな物品かすら分からなかったのに……ん?
「なぁコラクス」
「はぁ……はぁ……何!?」
走った後より息上がってんじゃん。怒り口調だし。*4
「俺は依頼の物品の外見も分からなかったのによく見抜いて壊せたな」
「……え?」
「……小さい木箱に入ってるとは依頼人は言ってた、から直前に教えたはず……だよ?」
ペレコトが手で「これくらいの」と示す。
「でも日も沈みかけで中暗くてその辺のガラクタと全然区別つかなくない?」
夕日もほぼ差し込んでなかったし、見えたとしても小さい木箱としか情報無いはずだぞ。木箱自体はいくつかあったし。
「それは……確かに……?」
「い、依頼人から箱の特徴聞いてたから」
そうは言うが。
「寝てたじゃん」
「寝てた、よね?」
さっき寝てたこと否定して無かったもんな。
さてさてこの俺達の問いにどう答えるのか、果たして返答は?
「…………………………チッ」
舌打ちしやがったこいつ!? しかも俺を
うわ目ヤバ。
「…うえっ。……でも偶然とはいえMVPは私。減刑要求」
「まぁ……コラクスがお手柄なのはその通りだし……
ペナルティとしては一本だけ、かな?」
「うー……わかった」
温情だな。まぁお互い寝てたのは変わらないし、な?*8ドンマイドンマイ!
「……パルドスは後で
いやーなんやろなぁー。全然分からんなー。死にたくないなー。
「じゃあ……今回はこんなとこ、かな?」
ペレコトが締めようとする。だが、まだだ!まだ俺のターンは終わらんよ!
「ペレコトは?」
「……えっ?わ、私?」
おや、コラクスも同じ考えに至ったか*9。やっぱり一人だけペナルティ無しは不公平だよなぁ!?*10
「確かに?局に聞かれたときかなり挙動不審だったなぁ」
「うん、怪しまれてた」
「えと、その、う、うぅぅ〜〜……………そ、それはぁ!! 」
お、久々にでっかい声。コラクスが部屋で整備してて飛ばした銃の部品が額に当たってキレた時以来か。
「「それは?」」
「……私の人格否定だよぉ!」
……そうかな?そうかも……いや……そうか?
「……まー、そこまでのやらかしじゃないし、コラクスと同じ一本のペナルティかな」
「それでいいと思う」
「うぅ……というか、あのエナサイ*11、そんなに、嫌?」
「「嫌!」」
誰が好きで飲むんだあんなもの。
「結構美味しいのに……」
嘘でしょ……?
────────────────────────
「そう言えば結局依頼の物品ってなんだったんだ?」
「暗くて分からなかった」
コラクスも分からなかったのか。まぁ追われてたし、破片だけでもよく回収したものだ。あの破片は黒かったが……さすがに特定できない。
「あ、えーっとね?確か……
「目覚まし時計?」
「うん……デジタルのやつ……」
「そんなものを? ……いや異常の反応があったな。どんな異常か分かる?」
そう、異常の反応が見られたからこそ今回依頼があった。……「可能性」とかぼかしてはいたが。ペレコトはその辺おっさんと話してたんだろう。
「えと、アラーム、あるでしょ?あれが鳴ってる間、周囲は
「寝てても?」
「うん…」
……なんかしょぼくね?いや被害は軽いに越したことは無いんだけどさ。運ぶ時怖いし。
「なら、電池引っこ抜いたらいい」
コラクスもなんだか呆れというか拍子抜けといった口調だ。
「うーん……それがね?電池を抜いても、アラームをオフにしても、こう、鳴るんだって」
「ふーん。なかなか起きれない奴にはちょうどいいんじゃないか?」
「パルドスとか?」
こいつ……!まだ言うか……!そうだけど!!
「あ、あはは……。あ、でもアラームはランダムな時間で鳴って、アラームが鳴りきるまでは止められないって」
は?何そのカジュアルな拷問器具。大体時計のアラームって三十秒から一分くらいだろ?まだ耐えれるけど目パッサパサなるぞ。それにランダムな時間てことは昼夜問わずか……やだな。耳もイカれそう。
そうしみじみ思っていると。
「アラームの長さは?」
「それも、ランダムだけど……平均で、えと、十五分は続く、って」
「……やっばぁ。ドライアイで目痛いだろそれ」
……知らなくても良かったかなぁ。ワンチャン俺達が運んでる時にアラーム鳴ったかもってことでしょ?あのおっさんめ……
「依頼人はメーカーのお偉いさん、だったから、」
「自社製品の悪評を恐れた?」
「だろうなぁ。俺達に依頼したのも局に異常の発生元って知られると公表されるからか……」
……体よく使われたな。
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「局といえば。戦ってる時パルドスどこいたの?」
「確かに……最後、上から来たよね」
んー?どこにいたか?いやまあ、別に
「上の方で鬼ごっこしてたけど?」
「「…………」」
え、何その雰囲気。まるで「自分たちは必死こいてたのになんだこいつ」みたいな。*12
「……まあいいよ、武器は使ったの?」
コラクスが妥協したかのように聞いてくる。
武器を使ったか?
「いや?視線散らすだけでなんとかなった……途中、
なにかをインカムで聞いてから動き良くなったんだよな、なんだったんだろ。視線滑ってこけてたけど。
それは置いといてペレコトとかは確かリーダーみたいなのに追われてたハズ。
「途中追い詰められて合流した」
「なんか……こっちの思考読んだ感じの動き、だった?多分……」
へぇ、ペレコトはともかくコラクスもか。それにしても「思考を読んだ感じ」ねぇ……?
「ふーん、珍しいな。コラクスは昨日の武器はなんだった?」
「籠手。……ハンドガン相手は厳しかった」
「刀……目の前……ぴぇぁ」
「でも声でいい感じに隙突けた。ペレコトが
ペレコトは相当怖かったらしいな、そりゃあ刀相手に杖じゃ厳しかろう。もはや言語が崩壊しかけている。
うーん……でもなんとなく分かった気がする。
「多分あっちの動きは非武装の奴がなんかしてたんだろうな」
「やっぱり?じゃあ指揮とかオペレーターするために外に退いてたのか」
「確かに多層構造式障壁、貼ってたもんね」
そんな名前なんだあのバリア。言うほど多層構造だったか?ぱっと見ただの半透明なハニカムだったぞ。
……できればもう関わりたく無いな。多分俺らの能力の
「もしかして俺達指名手配された?」
「ううん、今回は多分……いっても厳重注意と罰金、だと思うよ。異常の反応に関与、したのは……見られてないと思うし……」
「死角でサイレントに踏み壊した」
ならただの挙動不審で次見つけたら拘束、事情聴取確定の三人組か。それはそれでダメでは???
群樹区:とにかく樹が生えるのが特徴の区。普通の広葉樹から鋼鉄の樹、宝石の実がなる樹、枝が埋まって上下反転した樹など樹自体もなんかおかしい。
鬼強炭酸max樹液エナジーサイダー:群樹区の流木樹の樹液から作られる。独特のエグみ渋みがエナジードリンク特有の風味と共に痛いくらいに強い炭酸で叩き込まれ、後味も強烈で目が覚めるとか。微炭酸、炭酸、強炭酸、鬼強炭酸、鬼強炭酸maxの五段階で発売中。意外にもカフェインレス。
◻︎◻︎社製デジタル時計:製品の一つに「どんな状況であっても、ランダムにアラームを鳴らし、アラーム音が切れるまで強制的に目を開けさせる」異常が確認された。その後同型製品は自主回収となった。